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DPRK:朝鮮民主主義人民共和国

グローバルファンド、朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)の結核・マラリア案件の更新には進まず、しかし引き続き資金拠出対象国として位置づけ

【2018年5月12日ナイロビ(ケニア)発】途上国の三大感染症対策に資金を供給する国際機関である「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」(グローバルファンド)は、5月9日から10日にかけて、東ヨーロッパ・マケドニアの首都スコピエで理事会を開催した。この理事会において、2月に事務局レベルで行った、朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)の案件を更新しない決定について討議した。討議結果として、理事会はその決定内容を変更することはしなかった。2月に行われた、案件の更新を行わない決定の理由は、DPRKにおけるグローバルファンドからの拠出金の活用におけるリスク・マネジメントの問題や、拠出金が有効に活用されるかどうかにおいて不安があるということであった。

5月10日、グローバルファンドはウェブサイトに見解を公表した。その中で、理事会は「DRPKにおいて結核やマラリアに影響を受けている人々について、引き続き懸念を表明する」と述べている。また、理事会は、更新をしないことによるグローバルファンド資金の拠出停止は、漸次行うとともに、2018年における結核・マラリア対策として、蚊帳と十分な結核の治療薬を提供し、現在の拠出金が有効な間に患者が治療を完了できるようにすると述べた。

理事会は、引き続きDPRKの人々の健康をサポートしていくし、また、DPRKはグローバルファンドの資金拠出の対象となりうる elivible国としてとどまり続ける、と述べている。

原題: Global Fund Board Discusses Decision Not to Proceed With Grants to the DPRK, But Makes No Changes
出典:Aidspan
日付:2018/05/12
URL:http://www.aidspan.org/gfo_article/global-fund-board-discusses-decision-not-proceed-grants-dprk-makes-no-changes

グローバルファンドの朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)からの撤退で 同国の結核・マラリア問題はどうなる?

【2018年4月12日 ワシントンポスト】グローバルファンドは、朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)に対する結核・マラリア対策への支援を6月末までで一旦停止すると発表した。グローバルファンドは、2010年から2017年の間に、結核に6,900万ドル超を、マラリアに約3400万ドルの支援を行った。DPRKをめぐって今何が起こっているのだろうか。

1.グローバルファンドがDPRKへの支援を止めた理由
本当の理由は明確でないが、グローバルファンドは、「ゼロ・キャッシュ・ポリシー」、つまり仲介業者による現金取引の禁止の遵守への懸念だと発表しており、DPRK国内での支援物資の正確な運搬記録をとる必要があると述べている。しかし、現在のところ問題は見つかっていない。グローバルファンドは、DPRKが核実験を行っていた昨年の状況でも支援を続けており、このタイミングでの支援停止は予想外との声が一部団体から出ている。

2.グローバルファンドのDPRKへ支援規模
グローバルファンドのDPRKへの支援は、他の国に対するものと比べると規模は小さい。しかし北朝鮮の立場からすると、同基金の支援を失うことが感染症防止に与える影響は大きい。

3.結核・マラリアはDPRKにおいて深刻か
答えはイエスだ。特に結核は深刻である。北朝鮮は、WHOが定める「結核が深刻な30か国」に入っており、感染率はサブサハラアフリカ以外の国の中で最も高い水準にある。

マラリアについては、現在の感染率はピークだった2013年から減ってはいる。しかしWHOによれば、DPRKの人口の40%は現在も感染のリスクにさらされている。DPRKでの結核・マラリアの深刻化は、近隣諸国にとっても脅威となりうる。中国政府は、DPRKの結核の波及、つまり中国での感染拡大と東アジア地域の不安定化への懸念を示している。

4.グローバルファンドの支援停止により何が起こるか
支援停止は、DPRK国内での感染拡大のリスクを高めるのみならず、保健拡大の流れにも影響を与えかねない。グローバルファンドはこれまで、米国とDPRKの関係が悪化した中でも同国への支援を行ってきた。

しかし、DPRKをめぐる問題は国際関係と切り離せないのかもしれない。DPRK政府は、今回の支援停止措置が米国との外交関係悪化と同時期だったことに対し、グローバルファンドが米国の外交手段として使われたと批判している。

いずれにしても、DPRKに対する米国の経済制裁が同国の保健分野に与える影響は大きいだろう。事実、2016年に韓国がDPRKに対して経済制裁をした際、分野に例外を設けなかったため結核の薬の供給が滞った。今回も、当時と同様のことが起きると考えられる。経済措置は病人を標的にしている訳ではない。しかし外交関係と人道的問題の利害関係の衝突が起こったとき、命が危険にさらされるのは市民なのだ。

原題:North Korea has a big tuberculosis problem. It’s about getting worse.
出典:The Washington Post
日付:2018/4/12
URL: https://www.washingtonpost.com/news/monkey-cage/wp/2018/04/12/north-korea-has-a-big-tuberculosis-problem-its-about-to-get-worse/?noredirect=on&utm_term=.1e16e56c7285
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