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検査

(タンザニア)HIV自己検査キットの販売、使用に懸念が高まる

【2018年8月22日ダルエスサラーム(タンザニア)発】アフリカは概して保健に関する教育が不十分で、感染症が拡大する状況にある。世界にも同様の地域は数多く存在するが、こうした地域において、疾病への対応について、個人が権威ある専門家のガイダンスを受けずに自己決定を行うことは、その困難に拍車をかけかねない。

例えば、HIV陽性かどうかを人口の半分以下しか知らないようなところでは、HIV自己検査は、特に感染リスクの高い人々が自身のHIV感染状態を知るのに役立つが、一方で専門家による検査やカウンセリングも依然として必要である。

HIV検査やカウンセリングへの投資は十数年にわたり行われてきたが、検査キットの使い方がわからない人、差別や偏見により検査結果を受け入れようとしない人がいる。カウンセリング無しのHIV自己検査は、逆に感染拡大を助長しかねないと専門家は指摘する。さらに、検査キットを不法に輸入する販売業者が出てくることが懸念されている。また、不法輸入販売者の出現により、世界保健機関 The World Health Organisation:WHO が規定する最低限の質を担保できない状況も考えられ、本来、医師による再検査が必要なHIV陽性者がそのまま放置されてしまう可能性もある。

2013年の初の国際HIV自己検査シンポジウムで、HIV自己検査は、20年以上も前から注目されてきたにも関わらず、政策立案者の中には賛否両論があり、結果として、これまで積極的に導入されてこなかったことが報告されている。

国連合同エイズ計画 UNAIDS は、「HIVの新たな感染ゼロ、差別ゼロ、エイズ関連死ゼロ」を共通ビジョンに掲げ、これが達成できるよう各国へのアプローチに取り組んでいる。一方、HIV自己検査キットを活用した検査は、環境の整った医療施設で医療者がHIV検査を行い、さらにカウンセリングによって、人々がHIVに関連する知識もえられるというは異なり、検査結果を記録することもなされない。これでは、HIV自己検査キットを自身で購入・実施するHIV自己検査は、個人が自身のHIV感染状況を知る機会を増やすという以外の公衆衛生上の価値は望めない。

このような状況の中、タンザニアの「保健・コミュニティ開発・ジェンダー・高齢者と子ども省」のウミー・ムワリム大臣 Ummy Mwalimu は、HIV自己検査に関する許認可の全権を握っている。つまり、事故検査を促進するか、販売を中止するかについて、権限を持っているということである。

HIV自己検査を普及するにあたっては、これを国内外のHIV関連の目標達成に向けて、プログラムや医療者、関係者を支援するために使っていかなければならない。

また自己検査のガイドラインは、カウンセラー導入されているケースでは、パートナーへの告知を手助けすること、また倫理的、効果的で受け入れられやすく、根拠に基づいた方法で実施・拡大することを目的にするべきである。

原題: Tanzania: Outlaw Self HIV Testing Kits' Sale, Use by Public
出典: Tanzania Daily News
日付:22 AUGUST 2018
URL: https://allafrica.com/stories/201808220581.html

(ウガンダ)強制的なHIV検査への懸念

【2018年8月2日】東アフリカの内陸国ウガンダでは、HIV1の新規感染の増加という現実を踏まえ、特に学生に対して強制的なHIV/AIDS検査を始めることを予定している。その提案はプライバシーに対する懸念を高めている。ウガンダの首都カンパラにある東アフリカの最高学府と言われるマケレレ大学の学生、メシア・ナルクワゴ Methia Nalukwago さんは、政府によるHIV強制検査に賛同している。「私たちは友人たちを、『本当に病気とかにかかってないの?』という感じで、疑いの目で見ている。もちろん誰かに言うわけではないけれど、何か症状があれば、その人は病気に違いないと感じている。強制的なHIV/AIDS検査は私たちが置かれている状況を知るのに役立つだろう」と彼女は話した。一方で、反対している学生もいる。

HIV陽性者の増加
ウガンダの約1,300万人がHIV陽性者で、毎週約800人が感染している。計算すると、1時間に約5人が感染していることになる。ウガンダ政府エイズ委員会による研究では、若者の間での十分な情報の欠如がHIV感染の増加を助長させていると示している。
ウガンダの中央地域東部のムコノ県首都のコムノにあるフォレストヒル大学のジェーン・ウェラ Jane Were 校長は、学校でHIV/AIDS教育に取り組んでいると話した。また、「生徒たちの両親は、生徒たちに抗レトロウイルス治療 Anti-Retro Viral Therapy:ART について誤った知識を伝え誤解させている」、「生徒たちは、なぜこの薬を飲んでいるのか教育されず、また服薬の重要性を知らないために効果的な内服治療が継続できないため、症状が出てしまう」と話した。

子を持つ親でもあるヘンリー・アチク Henry Atiku 氏は、若者の強制的な検査は他の問題を引き起こす可能性を訴えた。「子供たちは、HIV/AIDS検査がどんな意味を持つのかについて理解できていない。HIV陽性者を把握するための強制的な検査は、非難や同級のいじめに繋がるだろう」と話す。

両親たちと取り組む政府

ウガンダのサラオ・ペンディ Sarah Opendi 国務大臣は、HIV感染拡大を抑制するにはHIV検査が重要だが、「両親の同意なく子供たちを検査することについては、これを認めない」、「検査に関する正しい過程を経て、検査を始める必要がある」と強調した。続けて、「私たちは、自殺を考える子供たちを見てきた。これらの子供たちのカウンセリングを行い、前向きな生活へ導いていく必要がある」と話した。

しかし、ウガンダ現地でHIV陽性者の人権に取り組むNGOである「ウガンダHIV/AIDS保健人権グループ」のパトリック・オジロン Patrick Ojilong は、「政府によってHIV/AIDS検査が実施されてしまったら、個人のプライバシーが侵害される」と警告している。

強制的なHIV検査による利益
ウガンダ政府エイズ委員会は、強制的な検査は学生が自分の状況を把握し治療を開始するきっかけとなると理解を求めている。ルベン・トゥイノムジュニ Reuben Twinomujuni 弁護士は、この新たな方針について「HIV陽性者の大部分は若者であり、このような政策があれば感染症を防げるだろう」と話し、HIV/AIDS対策への効果を期待した。

原題:Outcry in Uganda Over Compulsory HIV Test
日付:2018年8月2日
出典:DW
URL:https://allafrica.com/stories/201808020669.html

ゲイ・バイセクシュアル男性の未検査の養成事例が新たなHIV感染に結びつく

【2018年4月11日】HIV検査と治療のカバー率をどう改善するかが焦点となっているオーストラリアにおいて、過去12年間、ゲイおよびバイセクシュアル男性の未検査のHIV陽性のケースがどの程度、新規感染に影響を及ぼしてきたかについて、ニューサウスウェールズ大学を中心とするチームが調査を行った。

調査方法としては、2004年から2015年の12年間、オーストラリアにおいてゲイおよびバイセクシュアル男性の各段階におけるHIV診断率(「HIVカスケード」と呼ぶ:編集部注)と新規HIV感染の各ステップでの年間の評価を、信頼できる国のデータを使用して実施した。ベイズモデルにより定量的なモデルをカスケードにフィッテングし、未診断群、診断されているが抗レトロウイルス治療(Anti-Retro Viral Therapy:ART)が開始されていない群、ARTが開始されているがウイルス増殖抑制がみられない群、ARTを受けていてウイルス増殖抑制があるという群に関連する係数を推定した。

結果は以下のとおりである。12年間オーストラリアにおいて、HIVに感染したゲイおよびバイセクシュアル男性で、自身のHIVステータスに気づいていない人の割合は14.5%から7.5%へ減少していた。同じ期間、治療を受けていてウイルス増殖が抑制されているゲイおよびバイセクシュアル男性の数と割合がかなり増加しており、ウイルス増殖が抑制されているゲイおよびバイセクシュアル男性は2004年の約3900人(HIV感染GBMのうちの30.2%に相当)から2015年の約1400人(HIV感染GBMのうちの73.7%に相当)と上昇していた。ウイルス増殖抑制にも関わらず、年間の新規感染は期間を通じて約660人から約760人へ増加した。我々の結果は評価するカスケードと伝達係数が不確実であるため広範となっている。それにも関わらず、未診断のゲイおよびバイセクシュアル男性は新規感染へ影響しているようだ。未診断のゲイおよびバイセクシュアル男性群に起因する新規感染の割合は2004年の33%から2015年の59%と約2倍になっている。ほんのわずかの割合(7%未満)だけがウイルス増殖抑制のGBM群に由来する。

研究チームによる調査は結論として、オーストラリアにおけるHIV治療率の上昇はHIV伝播のリスクを減少させることを示している。しかし、感染者の割合と未診断のゲイおよびバイセクシュアル男性からの感染の割合は実質的には増加している。これらの知見はオーストラリアにおけるゲイおよびバイセクシュアル男性のHIV検査と予防の重要性を示している。

*カスケード:診断率、医療機関へ紹介された率、定期受診率・・・診療の段階ごとにその数字がカスケード(階段状の滝)のように落ち込むことにちなんで「HIVケアカスケード」などと使われている

原題:Undiagnosed HIV Infection Among Gay and Bisexual Men Increasingly Contribute to New Infections in Australia
出典:Journal of the International AIDS Society
日付:2018/4/3
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/jia2.25104

(ナミビア)若い男性がHIV検査を恐れる理由

【2018年5月21日ウィントフック(ナミビア)発】アフリカ南西部ナミビア共和国で家族計画等に携わっている「ファミリー・ヘルス・ソサエティ」の保健専門家は、最近24歳から29歳の男性がHIV検査を受けるのを恐れている理由について話した。報告書によると、20歳から24歳の年齢グループがHIV検査に対して消極的であると同時に、同じくらいリスクのあるそのグループの女性は、より年配の男性と関係をもつ傾向にある。

同団体の専門家であるントミゾドワ・マクリラ Ntomizodwa Makurira 氏は、24歳から29歳の男性にとってHIV検査がどのような意味をもつのか彼らの認識にギャップがあるため、HIV検査を受けるのを恐れていると話した。彼女はまた、多くの人々が、一生続くHIV治療に対して恐怖を抱くと述べた。また、多くの人が抗レトロウイルス治療薬(Anti-Retro Viral Drug : ARVs)に副作用があるのではないかと誤解している。差別や偏見を受けるという恐怖も懸念の1つである。特に独身の人にとって自分の陽性状態をパートナーに打ち明けなければならなくなるかもしれない、ということも不安の1つである。また、家族から差別や偏見を受けるかもしれないと心配している。

彼女はまた、最近体験した話を共有してくれた。ある男性はHIV陽性であると判明した後、治療も受けずに何カ月も姿を消してしまった。「彼は彼が恐れていることについて私にメッセージを送ってくれました。彼の懸念の1つは一生治療を受け続ける恐怖でした」彼女は説明した。

原題:Namibia: Why Young Men Fear Testing for HIV
出典:New Era Publication Corporation (NEPC)
日付:2018/05/21
URL:https://www.newera.com.na/2018/05/21/why-young-men-fear-testing-for-hiv/
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