2023年05月02日

人類資金

(2013-松竹/C-140m.)

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製作 「人類資金」製作委員会
監督 阪本順治
脚本 福井晴敏,阪本順治
原作 福井晴敏
音楽 安川午朗
撮影 笠松則通
出演 佐藤浩市,香取慎吾,森山未來,観月ありさ,石橋蓮司,豊川悦司,寺島進,三浦誠己,岸部一徳,オダギリジョー,ユ・ジテ,ヴィンセント・ギャロ,仲代達矢

原作を読んでないから、かもしれないが......
なんじゃこれは。なにひとつ面白いところの無い、現実味も無い、想像の膨らみも無い、緊張感も無い、人間味も無い、なんか勘違いしたような役者が140分にもわたってつまらない題材をもごもご喋るだけの作品。これだけの金をかけてどうやったらこんな気が滅入るだけの作品が作れるんだろう。
出演者の誰にとっても自慢できない作品になってるだろう。こんなつまらないユ・ジテは初めて見たし、ヴィンセント・ギャロは絶対キャリアから隠したい(日本以外ではこんなもん誰も観ないだろうけど)だろう。

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金をどぶに捨てたのは作り手だけじゃなくて観客も、ってのを忘れてもらっては困る。レンタル使用済みDVD5枚で1,000円のうちの一枚としてワゴンセール購入した私をどうしてくれるんだ。あ、やいや、違ったかな。そのセールの売れ残りで1枚100円になってから買ったんだったかな。みんなよく知ってるよなぁ。

2023年03月23日

ガリレオ 沈黙のパレード

(2022-東宝:C-130m.)

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監督:西谷弘
原作:東野圭吾
脚本:福田靖
出演:福山雅治,柴咲コウ,北村一輝,吉田羊

ほんとうに久しぶりに劇場用作品。前二作が優れていたので期待も高まるが.....
凡作。作り手にセンスがない。冒頭ののど自慢シーンから寒気のするような作り手だけの自己陶酔の世界。ああ、こりゃダメだ。
だいたいタフさが売り物の刑事の北村一輝が、いきなり床に吐く、ってのはなんかおかしいでしょうし。
お話の運びも凡庸だし、何より、たまたまその居酒屋の常連客だった、って主人公の登場にもう無理がある。しかも今回の事件、物理学者である必要まるでなし、の活躍ぶり。変人ぶりも少なく、なんでこのシリーズでこの登場人物やってるんだろう。
が、やっぱりこの三人が揃うのはうれしい。が、柴咲コウがおばあさんみたいに見えるショットも幾つか有り。このコが初めて世に出て『アクションカメラ』の表紙になった時、世の中にこんな美女がいるのか、とただただ表紙のために買ったもの。あれから何年たったんだろう。
御贔屓の吉田羊も大した活躍は無く。

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演出のクサさとだらだら見せ場の無い脚本のせいでこうなったのか。原作はどうだったんでしょう。アレ?きっと読んでるよね。そのくせまったく覚えてない。
ノリノリ風、で盛り上げようと安物に仕上がった凡作。シリーズの次の作品危うし。作られるかな?

2022年10月18日

ドライブ・マイ・カー Drive My Car

(2021-日本:C-179m.)
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監督 濱口竜介
脚本 濱口竜介,大江崇允
原作 村上春樹「ドライブ・マイ・カー」など
(『女のいない男たち』 文藝春秋刊収録)
製作 中西一雄,山本晃久
出演 西島秀俊,三浦透子,霧島れいか,岡田将生

世界中で絶賛され各賞を受賞しまくったのは別にして、ふと観始めた。
大変良くできました。主演の西島秀俊が個性を100%使い切っている。こういう内に向うキャラクターを演じるとこの人は実にいいのである。いつものやたら力んだり挑戦的である態度が無い分、いいところだけを研ぎ澄まして出せた。いい役に巡り会えたものである。彼の力がこの作品のほぼ全部を占めている。
舞台が舞台なので、登場人物がみんなこんな喋り方になるんだろうか。棒読みに次ぐ棒読みなのだ。中国人、の設定で出てくるソニア・ユアン(袁子芸)が台湾人だからなのか普通語までがなんか聴き取りにくいのだ(私のヒアリング能力のせいのような気もするが)。
オフビート感を前面に出した演出も効果的だった。何よりサーブ900ターボが効いている。このような扱いにくい車に乗り続けている主人公のこだわりさが実に解りやすい。ああ、旧車はやっぱり良いよな、と。今日は私もこだわりの人となってガレージの奥から旧車をひっぱり出して乗った。排気ガスが車内に入り込んでくるので長時間はきついのだが(近所の車屋の社長曰く、それは日産車の特徴であり夏がひどくて寒くなったらましになりますよ、との事だったが寒くなっても同じみたい)。

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原作村上春樹は何が有っても絶対読まない、と大学生の頃に決めたので読むことは無いだろうが、このエピローグ、何か答えは欲しいよね。韓国・車・犬がすべてを表してるか。
実に心地よい作品であって、2021年だったら私も邦画ではこれをベスト1に選ぶだろう。

イキガミ

(2008-東宝:C-133m.)
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監督 瀧本智行
脚本 八津弘幸,佐々木章光,瀧本智行
製作 佐々木章光,久保田修,黒沢淳
製作総指揮 濱名一哉,
音楽 稲本響 主題歌 PhilHarmoUniQue「みちしるべ」
撮影 柴主高秀
出演 松田翔太,塚本高史,成海璃子,山田孝之、風吹ジュン
漫画の映画化、は私にとってあまり意味がない。今日この頃の漫画、なんてまったく知らないからだ。これも単純に、そういう話なのか、と観始めた。
まったく壮大なお話だと思う。そしてこれは仕方ないのか、オムニバスのようにエピソードの積み重ねとなる。漫画のまま?

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エピソードも感動的ではあるのですが、結末が欲しい、この物語。誰かこの法律を打破できるのか?これだけ長い話を見せられて。完結編求ム。

2022年10月15日

ザ・ファブル 殺さない殺し屋

(2021-日本;C-131m.)

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製作代表 高橋敏弘 沢桂一 藤島ジュリーK. 菊川雄士 有馬一昭 角田真敏 田中祐介 坪内弘樹 昆野俊行 加藤智啓 森要治 小櫻顕 廣瀬健一
監督 江口カン
原作 南勝久
脚本 山浦雅大 江口カン
撮影 直井康志
音楽 グランドファンク
主題歌 レディー・ガガ アリアナ・グランデ
岡田准,木村文乃,安藤政信,黒瀬純,好井まさお,橋本マナミ,宮川大輔,山本美月,
佐藤二朗,佐藤浩市,堤真一
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続篇。相変わらず面白すぎ。しかし、今回は敵役堤真一の狂いぶりも見せなきゃならないので、その分膨らみすぎて131分という長さになってしまい、その分ちょっと息継ぎしなくちゃならない、のが弱点か。いやそれでもやっぱり最後までいっきに見せる面白さ。木村文乃のプロぶりがはたまた最高。
原作漫画はどうでもいいから、次作ってくれないかなぁ。

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ザ。ファブル

(2019-日本;C-119m.)
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監督 江口カン
原作 南勝久
脚本 渡辺雄介
製作 大角正 今村司 藤島ジュリーK. 谷和男 有馬一昭 角田真敏 田中祐介 坪内弘樹 和田俊哉 赤座弘一 大鹿紳 小櫻顕 毛利元夫
撮影 田中一成
音楽 グランドファンク
主題歌 レディー・ガガ
岡田准一,木村文乃,山本美月,福士蒼汰,柳楽優弥,向井理砂,佐藤浩市

原作の漫画とかは一切知らないが、これは観始めると一気に観てしまう面白さがありました。主人公のとぼけぶりプラス相棒の女性のぶっ飛びぶりが最高でした。
特に気に入ってしまって何度も見直してるのが、世話になってる組の大物から「オレのハコスカには指一本触れるんじゃねぇ」って言われるとこ。絶妙のタイミングで乗ってるんですよねぇ。
こういう面白い映画も知らないまま過ごしてきたが、まだまだ埋もれているんですねぇ。自分ではメディア買ったり借りたりはしないけど、って配信で観れてしまって世界が広がる、ってのもいい事だろう。続篇もすぐ観よっと。

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2021年11月28日

東野圭吾「ダイイング・アイ」

(2019-WOWOW:C-60mx6)
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監督 国本雅広
原作 東野圭吾『ダイイング・アイ』
脚本 吉田紀子
出演 三浦春馬,高橋メアリージュン,松本まりか,柿澤勇人,小野塚勇人,淵上泰史,木村祐一,堀内敬子,生瀬勝久

WOWOWの連続ドラマはWOWWOWで観るのが正当だ、と気が付くのが遅かったか。DVDでまとめて観てた路線を変更。こうやって気にしていると、WOWOWでは連続ドラマをいっぱい放映してるのに気が付く。これもそのうちのひとつ。
なんか、最初から出てる俳優やその演技で筋が判ってしまうのが日本のTVドラマの浅はかなところだと感じる。悪役とか犯人はこうでないといけない、なんて錯覚があるんじゃないだろうか。ほんとバカな傾向だ。

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これも6回あるにもかかわらず2回目くらいでそれが確定したのでもうあとは義務感で最後まで観た。主演はなかなか見栄えのいい役者だな、どこかで観たっけな、くらいの認識だったが、あの大騒ぎの人だったんですね。知らない私も問題だとは思うけど、もはや私はここ40年くらいは日本の芸能界なんてどうでもよくなっている。
高橋メアリージュンってほんと朱里みたいな顔しているな、と思ったら、やっぱりフィリピンの血があったんだ。

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アレ、主人公はなんでこうなってるの?と疑問は残ったが、そこそこよくまとまったドラマではあったと思う。が、こういう銀座が舞台の水商売ものってほんとうんざりする。だいたい、ああいうところに行きたくなる、ってのがまず共感できないから。
2021年11月27日

漂流教室

(1987-日本:C-104m.)

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監督 大林宣彦
脚本 橋本以蔵
原作 楳図かずお
音楽 久石譲
主題歌 「野性の風」今井美樹
出演 林泰文,浅野愛子,南果歩,尾美としのり,トロイ・ドナヒュー,三田佳子,小林稔侍,高橋悦史,楳図かずお、本多猪四郎

原作(『少年サンデー』)はどの週もどの週も暗くて重くて同じような話ばっかりで、こりゃ全部読むことも無い、と思ったもの。で、結局お話もすべて知らないままこの映画化を封切りで勇んで観たのだが.....
「これはヒドイ」
と強く思った記憶しか無かった。二回目は観てないから。が、その後、ビデオソフトとLDまでは出たがDVDにはならなかった貴重な作品になってしまった。
で、今回、衛星放送で保存できたので、貴重貴重、と観る気になった......なんなく嫌な予感はしながら。で、
「これはヒドイ」
だった、やっぱり。いや、「これはヒドイ!!!!!!」だ。
全世界配給を目指したのか、ただのオチャラケだったのか、舞台を神戸のインターナショナルスクールにして、登場人物も大半は外人、みんな英語で喋るという。実は意味ないでしょう。なに媚びてんだ。まずはオープニングのクレジット(みんなアルファベット)で監督自らが”Obi”って愛称を入れてそれが漫画みたいにピコピコ動いてるのを見て、もうこれはダメだ、と確信した。
まったく最初から最後までクソみたいにたわけた作品で魅力のない主人公に決まりきったキャラクターを演じる下手クソなクソガキばっかりで、しかも頭がおかしくなったとしか思えない監督のチャラチャラした意味のないおふざけの連続。だいたい、一番年下の子供のお友達として変なマスコットが登場する映画はまず間違いなくクソ映画となる。ただ、ああ、晩年は三田佳子ってこんな母親役ばっかりやらされてるけどやっぱり正統派の美人だったんだなぁ、と感じるところ、そしてこの時期の南果歩は絶品中の絶品である事を再確認した。顔から声から肢体までもうゾクゾクとなるのです。浅野愛子可愛い。早く顔の砂落としなさいよ、と思うけど。
こういう日本資本の大作にひとり呼んでくるのが定番の晩年のハリウッド・スターはトロイ・ドナヒュー。いくらもらったのか知らないけど、やっぱりキャリアの汚点のひとつとしかならなかった。この人は’60年代を終えてからはもう転落まっしぐらで’74年に『ゴッドファーザーPARTⅢ』に出れたのがもう最後だった。あとは汚点ばっかりだった。この作品でもまったく精彩を欠いている。こんな作品の中でも精彩を欠けるんだからよっぽど。
もう記憶にないけど、封切りで観た版もこんな英語尽くしだった?まさかもう日本版が存在しなくて海外輸出版を衛星放送で放映した?
かたくなまでに大林流を固持したチャラチャラした映画作り(大当たりとなる作品も有ったが)だが、何を作っているのかを理解してほしかったね、この話。
まったく浮いてるだけのエセ・ミュージカル・シーンもあるし、浅野愛子にパンツ洗わせたり、クソガキが丸裸で母親の三田佳子のおっぱい揉んだり、どうやったらここまでヒドイ作品を作れるか。逆にこれも才能か?

2021年11月22日

オモチャ箱 シリーズ 第3話 絵本 1936年

(1934-日本:B&W-8m.)

製作会社 J・O・トーキー漫画部
配給 千鳥興行
作画:中野孝夫、田中喜次、舟木俊一、永久義郎、平泰陣、西口羆
撮影:平秦陣
音楽 J.O.オーケストラ
撮影 平泰陣
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今晩はアメリカ側が作ったアニメーションのプロパガンダ映画を観続けた。その中のRoony Tunesの一作が最初から最後までとことん日本をコケにした幼稚な内容だったのでなんか仕返しをしたい気分になる。じゃぁ、日本の作ったプロパガンダ映画はどうだ、とこのアニメーション映画を観る。もちろん日本がいい国、である。こんなのあったんですね。
それにしても著作権なんてまったく気にしていないミッキー・マウス登場。敵国代表か、平和な島を分捕りにやってくる侵略者。蝙蝠ネズミ(?)に乗って飛んできます。心なし顔つきが悪いミッキーですね。これを迎え撃つのが日本昔話連合軍。桃太郎、一寸法師、猿蟹合戦....そしてなぜか日本軍の中にフェリックス(ザ・キャット)が一緒にいます。悪者の侵略者がネズミだから?

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まぁ、どうという事も無いお話ではありますが。いやー、なんか凄いもの観た、って満足感はあります。ミッキーマウスが悪役やる話なんて初めて観たもんね。
しかし敵対国に対して著作権なんか知るか、ってつもりだったらもっと悪どい作品も出来たろうな。米国アニメの主人公たちを鬼畜米英として。でもそれをやらなかったのは日本人もみんなアメリカのカートゥーンが心の底では好きだったから?

2021年11月17日

ウルトラマン 怪獣大決戦

(1979-富士映画:C-100m.)
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製作 : 円谷皐
監督 : 宍倉徳子、飯島敏宏、円谷一
構成 : 若槻文三
脚本 : 上原正三、千束北男、山田正弘、若槻文三、金城哲夫
音楽 : 宮内國郎、冬木透
出演:
ムラマツキャップ : 小林昭二
ハヤタ隊員 : 黒部進
アラシ隊員 : 毒蝮三太夫
イデ隊員 : 二瓶正也
フジ・アキコ隊員 : 桜井浩子
ホシノ・イサム少年 : 津沢彰秀
防衛隊幕僚長 : 藤田進
岩本博士 : 平田昭彦
松井所員 : 松本朝夫
防衛隊幕僚 : 幸田宗丸
毛利博士 : 池田忠夫
城のガイド : 林家珍平
伊和送電所職員 : 小高まさる
父親・透明怪獣ネロンガ : 中島春雄
ナレーター : 浦野光、内海賢二(予告編)
ウルトラマン : 古谷敏、荻原紀(新規撮影部分)
バルタン星人 : 二家本辰巳(新規撮影部分)
初代ウルトラマン,ウルトラマンキング,ウルトラの父,ウルトラの母,ゾフィー,ウルトラセブン,ウルトラマンジャック,ウルトラマンエース,ウルトラマンタロウ,ウルトラマンレオ,アストラ,ウルトラマンジョーニアス,宇宙怪獣 エレキング,宇宙恐竜 ゼットン(二代目),宇宙大怪獣 アストロモンス,古代超獣 カメレキング,変身怪人 アトランタ星人,火山怪鳥 バードン,は虫怪獣 ベドラン,吸血植物 ケロニア,怪奇植物 スフラン,地底怪獣 マグラー,友好珍獣 ピグモン,どくろ怪獣 レッドキング,有翼怪獣 チャンドラー,透明怪獣 ネロンガ,宇宙忍者 バルタン星人(初代),宇宙忍者 バルタン星人(2代目),冷凍怪獣 ギガス,彗星怪獣 ドラコ,どくろ怪獣 レッドキング(2代目)

『実相寺昭雄監督作品 ウルトラマン』そして『ウルトラマン ZOFFY ウルトラの戦士VS大怪獣軍団』に続くシリーズ三作目。1年にこれだけ公開してしまうのだから当時はブーム再来だったと言っても良いか。TVでは『ザ☆ウルトラマン』が始まってたからその効果か便乗か。
出てくる怪獣たちはこれは一番派手、と言うかそもそも実相寺昭雄監督作品集が最初にあった、ってのが異常かも。この第三作は要望が多そうな派手な怪獣たちとの対決が主になっている。が、頭が痛くなるようなオマケつきである。
始まりからしてお化けでも出てきそうな景気の悪い新・主題歌で始まり、ウルトラの一味が集合しているシーンである。もちろんこれは新作としての撮り足しシーンであり、全篇ほとんどライブ・フィルムなのを考えると貴重なのはこういうところだろう。しかし、皆さま胴が間延びしたしょぼいスーツでしかも背景は(M78星雲という事のようだが)白ペンキ塗りの張りぼて。ナレーションに合わせてみんながぎこちないパントマイムのように身体で表現(喋らないから仕方ない)。うーむ。しかも実態はアニメである『ザ☆ウルトラマン』も実写の中に登場しないとダメなのでこれも着ぐるみ姿の初公開だ。名前はウルトラマン・ジョーニアス。この実写版ジョーニアスは、顔がアルミ製弁当箱にパイラ星人のおもちゃとウルトラセブンの目を付けたようである。仕方ないので彼も実写で怪獣を倒すシーンを追加撮影!考えてみれば貴重な一作ではある。

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が、肝心のライブフィルムもなんか画質が悪いのである。まだビデオデッキとかビデオカメラとか普及していない時代、どうしても残しておきたい、と私はTVで放映された『怪獣無法地帯』を8ミリフィルムで撮っていたのだ。もちろんカメラがドリーして始まるレッドキングとチャンドラーの名シーンだ。だからしてこのシーンは死ぬほど見返していて色とかなんでも記憶に鮮明なのだ。が、この作品では同シーンがなんかもっさりとした彩度が低い映像なんです。特にチャンドラーに噛まれたレッドキングの血がしたたるその色が全然赤くないんですね。これがまず興ざめ。が、改めてこうやって観るとバルタン星人の登場の回は怖い。素晴らしい。
そして、4歳の時、本放送を観てからずっと感じるのだが、星野君は大人の言うことは聞かないいつもみんなの邪魔になるわがままなクソガキである。今回特にネロンガの回でフジ隊員がとめるのも聞かずに勝手に古井戸の中に降りていくその様子に痛感。
やっぱりこうやって観直すと、『ウルトラマン』は怪獣TVブームの原点であるな、と痛感。カラーTV番組としては『マグマ大使』の方がちょっと先に始まっていたが。幼稚園の砂場で他の子供にウルトラマンについて説明しているのが私の幼稚園時代の一番の記憶である。そしてウルトラマンのブロマイド写真(あの当てもんの袋に入ってた5円のやつ)を強奪した他の園児に頭突きで攻撃して泣かした事。
2021年11月16日

黒鳥の湖

(2021-日本:C-60m.x5)
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監督 岩田和行
原作 宇佐美まこと 『黒鳥の湖』
脚本 小峯裕之
出演 藤木直人,吉瀬美智子,三宅健,財前直見,服部樹咲,大澄賢也,宅麻伸,板尾創路,杉本哲太,中島ひろ子

WOWWOWのドラマはWOWWOWで観る、という基本をすっかり忘れてた。いつもDVDで好きなように按排して観る癖がついていたから。これはHDに録画済みのものを空き時間に按排して観た。と言ってもまぁ、面白い展開だったので今日一気に3話から最終回の5話まで観てしまった。
ひねりにひねった、展開、が売り物だったんだろうけど、登場人物の幅が狭いので、なんか読めてしまう。
服部樹咲という子がなかなか切れのあるいい顔しているので、いろんな賞をもらった『ミッドナイトスワン』を観ることにしよう。
時々、こうやって連続TVドラマを観ることに罪悪感を感じる(特に日本の)。観易いけど、こんなもん観てていいんだろうか、と。まだまだ観てない世界の名作映画がうんとあるというのに。
2021年11月06日

モスラ3 キングギドラ来襲

Rebirth of Mothra 3
Mothra III Invasion of Kingghidora
(1998-東宝:C-100m.)

no title
監督 米田興弘(本編),鈴木健二(特撮)
脚本 末谷真澄
製作 富山省吾
ナレーター 山口紗弥加
音楽 渡辺俊幸 題歌小林恵「Future」
撮影 関口芳則(本編),江口憲一(特撮),桜井景一(特撮)
出演 小林恵,建みさと,羽野晶紀,吉澤拓真,篠崎杏兵,鈴木彩野,松田美由紀,大仁田厚,並樹史朗,上田耕一

気を取り直して最後まで観よう、のシリーズ第三作にて最終作。
北海道、石垣島、と続いて今度は樹海を舞台に(安易だ)登校拒否児童が主人公か、とうんざりするところに松田美由紀,大仁田厚のお父さんお母さん。大仁田は生まれながらの俳優だからいきなりこんなとこに放り込んでも不自然さはない、わけないだろう。いったい何考えてこんな配役やってるんだ。大仁田を俳優として出す事に何の意味があるんだ。天下の東宝の怪獣映画とインディーの領主とがお互いに何依存しあってるんだ、と情けなくなってしまう。
そして物語はキングギドラを担ぎ出してしかも『ゴジラVSキングギドラ』ばりにタイムマシン方式で物語を進めようという。どうせあれ見て思いついたんだろう。少しは進化しろよ、製作陣脳みそ。
あ、山口紗弥加出てない、ひどい!と憤慨しつつ。
キングギドラが子供たちを誘拐してドームに閉じ込める、などという無茶もいいとこで、もう伝統の怪獣たちを使ってくれるな、と切に思う。
平成モスラ主演シリーズもこれで打ち止めとなり特集上映会も終了となった。気に入っている大学時代の友人には申し訳ないけど、これはダメでした、私は。サントラ盤くらいはがんばって聴こうか、と思ったらこれが希少品で高額商品と化けてるのね。まぁ、三部作ブルーレイセットも安くはなかったけど。今度会ったら譲った方がいいのかな、彼に。

モスラ2 海底の大決戦

Rebirth of Mothra 2
(1997-東宝:C-100m.)
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監督 三好邦夫(本編),川北紘一(特撮)
脚本 末谷真澄
原案 田中友幸
製作 富山省吾,北山裕章
音楽 渡辺俊幸 主題歌 Folder,「NOW AND FOREVER」
撮影 関口芳則(本編),江口憲一(特撮),大根田俊光(特撮)
出演 小林恵,山口紗弥加,羽野晶紀,満島ひかり,島田正直,大竹雅樹,奥野敦士,おかやまはじめ,紺野美沙子,細川ふみえ,佐藤正宏,野波麻帆

シリーズ第二作は前作の北海道から沖縄に舞台を移してまた自然破壊をモチーフに。まったく誰にでも思いつくような企画だな。
誰にでも思いつかなかったのはモスラの変身だ。あ、コイツとうとう魚になりやがった、ってあきれたのは私だけか。これも封切り観に行ってたのかなぁ。
有名スターのゲスト出演など、士気を削ぐばかりのおちゃらけが続き、こんな子供が全世界の良心の代表かい、ととって付けたような展開に、これがこの時代のジュブナイルなのか、と。山口紗弥加は小林恵より身体は一回り小さいけどこっちの方が可愛いな、とか神様役の野波麻帆っていったい何頭身?あれって体ごと特撮?とか眺めて観るだけでした。
平成モスラシリーズ一挙上映会、もうやめたくなった。

モスラ(1996)

Rebirth of Mothra
(1996-東宝:C-106m.)

製作 富山省吾,北山裕章
監督 米田興弘(本編),川北紘一(特撮)
脚本 末谷真澄
原案 田中友幸
音楽 渡辺俊幸
撮影 関口芳則(本編),江口憲一(特撮),大根田俊光(特撮)
出演 小林恵,山口紗弥加,羽野晶紀,二見一樹,藤沢麻弥,萩原流行,田中ひろ子,荒川強啓,寺尾聰,大寶智子,須藤真里子,高橋ひとみ,梨本謙次郎
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なんかもう封切で観てその後ビデオソフトも買い(いったいなんで?)これでもう以後は観ることも無いだろう、という記憶はあった。が、大学時代の友人が思いのほか入れ込んでいるので、これはもしかしたら今の年齢になってから観直すと感激できる作品だったか?と平成モスラ三部作上映会を執り行う。ひとりで。

さて、この第一作、内容よりも思い出がある。当時大阪だったが、仕事のアシスタントとして入ってきた子がなかなか変わった子で、今日は退社後これを観に行く、と言ったところ自分も行きたいという。ちょうど松竹会館のタダ券が二枚あったので、ああいいけど、と。で、ふたりで最終回に間に合うぎりぎりで仕事終えて本編上映開始直前に駆け付けたところ、もぎりで非情の、
「この株主招待券有効期限切れてますね」
の一声。泣く泣く切符売り場まで駆け降りて行って二人分を当日券で買う。うう、タダ券で観るはずだったのになんで封切り料金二名分になったんだろう?
この一件でまず彼女の出勤初日から大ウケされる上司であった。
観始めてから、なんだ子供子供したこのヌルい映画は、と。予想はしていたけど、まぁ、いかんな、これは、とか思って軽く観ていたが、横では、孵化後モスラが大急ぎで大空を飛び駆けつけるシーンで、
「はははー、行けー、ソレー」
とか声に出してはしゃいでいる様子。こういう作品の楽しみ方をまぁ、判っておるな、と感心した。御母堂がいっぷう変わった人のようだったので本人もエキセントリックなところがあったが(「今からすぐに行こう!」と思い立った当日いきなりアメリカまで娘を連れてベートーベンのコンサートを聴きに行くような事がしばしばあったらしい)。

結果、11億円を超える大ヒットとなり以後シリーズ化となった。
ジュブナイルとして作ってあるのでそれはそれでいいんだろうけど、今なんでこんなの観てるんだろう、という個人的な疑問も。怪獣映画、がお子様映画であって悪いばっかりではないのだが(『オール怪獣大進撃』)、なんかもうこの年代の作品では出てくる子供自体が共感できなくなっている。兄貴の男の子は妙に生意気だし妹の女の子はいつもグズだし。挿入歌は昭和モスラからのクラシックな曲以外にも美しい楽曲はあるとは思うのだが。友人がサントラ盤を聴き続けている、というのも判らんでもない。
だいたいタイトルバックですでにモスラ見えてる、なんてなんだこりゃ、でしょう。怪獣を見せるためのタメ、ってものを理解していない。この時代、もうそんなもんは必要ない、んだろうか。
今回も数十年ぶりだが、なんでこんなに見心地が悪いのか、と考えてみたら、シリーズを通してベルベラのキャラクターが嫌いだからだろう。映像作品として見せなければならない事をぜんぶ台詞で喋るから、なんだろうか。このキャラクターは薄っぺらでいかにも子供騙し、という気がするのだ。まぁ、そういう作品なんだろうけど。あ、それと高橋ひとみが出てスクリーンいっぱいにアップになる、ってのもある。この人の鼻から下がほんと嫌なんです、いつも。

うーん、どうせ特集上映して観るなら、と三部作ブルーレイボックス買ってしまったのだが(誰のせいだ)、二作目を観るのに腰が重い。

2021年10月31日

さようならCP

(1972年/82分/16ミリ)
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監督・撮影:原一男
製作:小林佐智子
録音:栗林豊彦

脳性麻痺患者「青い芝の会」を紹介するに至ったドキュメンタリー。というよりもその会長ともなった横田弘の壮絶な生きざまがあったから出来た作品なのか。映画作家としての自分側からのアプローチなのか青い芝の会からのアプローチなのか原一男がこれを第一作としたその意図は汲みきれないが、強烈なことは強烈である。
同団体が起こした有名な「川崎バス騒動」1977年以降にこの作品が作られていたらどうなったのだろう。と言うか、作れなかっただろう。

ショックであった。そうであるようあざとい場面の連続なのは判っているのだが、ショックであった。
やはりこの作品の存在は正しいと思う。

2021年05月23日

春男の翔んだ空

(1977-日本:C-117m.)
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監督:山田典吾
脚本:山田典吾
製作:山田火砂子, 山田典吾
撮影:小林節雄
出演:永六輔,佐藤オリエ,愛川欽也,原知佐子,山口崇,太宰久雄,渡辺文雄,三崎千恵子,桑山正一,黒柳徹子,中村公三郎,大泉滉,左右田一平,阿部寿美子,堀井永子,赤塚不二夫,ケーシー高峰,いずみたく,内海桂子,内海好江,戸浦六宏,佐藤慶

最初のクレジット・タイトルで出るわ出るわ、文部科学省特選/全国社会福祉協議会推薦/全日本精神薄弱(者)育成会推薦/厚生労働省中央児童福祉審議会推薦/文化庁優秀映画受賞/日本PTA協議会特選/健全映画鑑賞会特選/映倫青年映画審議会推薦/カトリック映画演劇連盟推薦/日本映画ペンクラブ推薦/優秀映画鑑賞会推薦。ふと気が付いたのだけど、クレジット・タイトルにこれだけ入れられる、って事は作品が完成する前から入ってるんでしょ。推薦に次ぐ推薦だが、作品観てないんじゃないの?
確かに70年代後半に良く目にした題名だし、もしかしたらなかなか観る機会は無いんじゃないか、この中古投げ売りのDVD、って貴重なんじゃないか、って意気込んで観始めましたが.....
子供の頃から永六輔が体質的に受け入れられないのをしっかり思い出した。嫌だな、この役、特に。
出だしの新聞記事と音楽なんて『オリエント急行殺人事件』のそのままいただきじゃないか、と思ったけど、なんかリアルな始まり方で、オッ、と思ったんだけど、主人公登場すると、ね.....やっぱり嫌だなぁ、この顔、この姿、この声。いかにも善人ぶった男、に見えて仕方ないんですね。実際のモデルとなった杉春男さんには申し訳ないけど、この作品は、主演男優を誤った、という事で私の中では最低の部類の作品です。
作りも朴訥と言うか正攻法と言うか華が無いというか、いつまでもいつまでも同じようなエピソードの繰り返しで。それも出過ぎなくらい出てくる特別出演みたいな著名な俳優たち。協力したかったんだろうね。もともと永六輔とは仲良しだった黒柳徹子の場面とか、まぁ、調味料みたいに有名俳優の特別出演をどっさり使ってる。結構いらいらして観続けていたのだが、主人公がいきなり、「自分が偽善者なような気がして死ぬつもりでした」なんてぬかすので、その通りじゃないか。もともと偽善者面してるんだから。実際のモデルとなった杉春男さんには申し訳ないけど。で、やっぱり死ぬのはやめました、って自分で用意したガラスビンの毒薬(?)を子供がうろうろするような公園でその辺に適当に投げ捨てやがったのには驚きです。劇中に実際の知人や知的障児を登場させて、もう現実と作り物の境目がはっきりしない。こういう作り方しか無いのかな、と思いつつ、最後まで観ましたけどね。117分ですよ、117分。大好きな日活児童映画、みたいなのを期待した私が間違っていた。ものすごく長かったぞ。佐藤オリエはまだ可愛いんだな、とか頑張って最後まで観ました。
良心的な感動作です、なんて投稿がWEBでいっぱいあるのには驚いた。本気か?

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2021年05月16日

グロテスク

(2009-日本:C-73m.)

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製作 大橋孝史,小林洋一
監督 白石晃士
脚本 白石晃士
音楽 佐藤和郎
出演  長澤つぐみ

どうせ観るなら、と「アンレイテッド・バージョン」というのを観たのですが。
もともと映倫は通っていないので関係ないですよね。もっとも映倫って必要なの?と今でも思ってるけど。今の世のようにネットで制限無しになんでも観れてしまうのでもう関係ないでしょ。
.....これがまた、作り手の意識を疑うようなもんでした。
ここまでやって恥ずかしくないのか、と。海外メジャー作品でも『ホステル』のようにストーリーがあればまだましだった。これは、無いに等しい。
ただひたすら残虐にカップルを切り刻む男......キャラクターよりも作品自体に虫唾が走る。こんなもんを作って見せる意味がどこにあるのだろう。作り手一人の頭の中での妄想でたくさんだと思う。
「Amazon.co.jpでも自主規制が行われ、販売が中止となった」
との事です。だからと言って観たくなる人が出るんだろうな。たぶん私もそうだろうけど。
2021年04月14日

阪神・淡路大震災から15年 神戸新聞の7日間 〜命と向き合った被災記者たちの闘い

(2010-TV:C-129m.)
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企画 立松嗣章
脚本 田辺満
原作 『神戸新聞の100日』
演出 七高剛、茂原雄二
出演 櫻井翔,吹石一恵,萩原聖人,田中圭,小野武彦,髙嶋政宏,内藤剛志,堀部圭亮,ダンカン,矢島健一,山本圭

今更ながら震災を思う。高速道路が崩壊する数時間前にあれを使って帰宅して寝入りばなだったと思う。ものすごい揺れでさすがに目が覚めたが、大きな犬が3匹上布団の上で丸くなって寝たまま動かないのでこちらも身動きが取れずに布団の中で隣の部屋のビデオテープの山が崩れる音だけを聞いていた。もともと梁が丸太のような頑強な家だったので家自体の心配はしてなかったが、あの揺れの長さがこたえたなぁ。以後しばらく余震はその大きさよりも長さが嫌だった。まぁ、当時のうちの犬たちは暢気なもんだったんだな。寝たままぴくりとも動かなかった。
久しぶりに大学時代の友人とメッセージのやり取りとか始まったので彼の仕事の神戸新聞、ってので観てみる気になった。
今更ながら、あの後に続く日々の過ごし方がみんな違ったんだな、と。電車も止まって会社に行けなくなったので近くの公民館の映画上映に行った。『ガイア・シンフォニー』だったと思うけど。観に行く方も行く方だが、上映をやる方もやる方だったと思う。でもこういう話は直後にはとても作れなかったと思う。
友人によると、制作にあたってフジテレビには「ヒーローはつくるな」など設定や脚本には細かく注文を付けたそうだ。が、ヒーローは作ってあるようにも思えたが。けど、誰もが自分の土台でヒーローになるしかなかった、あの時は。そういう行動が何かを終結させたのだ。あの時、自分は誰かのために何かしたか、というのを痛切に考えさせられた。ドッグフードを買って被災ペットが集められた所に行ってひたすら水汲みを手伝っていた。人間の事は他の人たちに任せとけばいいや、と思っていた。やっぱり何か足りなかったかなぁ.
新聞社を描いた作品としては『クラーマーズ・ハイ』という傑作が小説でも映画でもあるので(TVドラマはちょっと落ちた)、どうしても比べてしまうところはあるが、この作品では、話の趣旨はわりとちゃんと描かれていたと思う。まぁ、劇中で実際の人々を登場させて回想させる、って手は好きじゃないけど。そしてもう頼むから適当に山本圭出すのはやめてほしい。適当に使える名の知れた俳優だがもう賞味期限は切れてるんじゃないのか。
この作品は震災15年として製作され放映されたが、友人によると実は製作20年目の放映も決まっていたらしい。が、放映の数日前に神戸新聞社員の不祥事があり、関西での放映が取りやめになったという事だ。で、21年目の2016年1月26日に放映となったわけね。いったいどれほどの不祥事だったんだろう。

2021年02月12日

事故物件 恐い間取り

(2020-日本:C-111m.)

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製作総指揮 吉田繁暁
製作 秋田周平
監督 中田秀夫
脚本 ブラジリィー・アン・山田
原作 松原タニシ 『事故物件怪談 恐い間取り』
出演:亀梨和也,奈緒,瀬戸康史,江口のりこ,MEGUMI,真魚

まず何より怖くない。だいたい事故物件に残る霊とか怨念とかがひとまとめになるとあんなのになる、ってのに説得力がまったくない。単にお化けものになっていき終わる。不動産物件を生業としている身ではバカにできない内容ではありますが、主人公の暗い面構えとバカさ加減に何の同情も無いのです。
事故物件はいっときでも賃借人が住んでしまえば、次の募集からは事故物件と表記する義務が無くなるってのは勉強になりました。
こんな作品が興行収集で10億円も稼ぐなんて、日本の観客はバカじゃないかとも言えます。私も最新作レンタルで半額220円出資しているバカ者ですか。

2020年12月01日

映画 ビリギャル

Flying Colors
(2015-日本;C-117m.)
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製作総指揮:渡辺正一
製作:那須田淳,進藤淳一
監督:土井裕泰
脚本:橋本裕志
原作:坪田信貴
音楽:瀬川英史
出演:有村架純,伊藤淳史,野村周平,大内田悠平,奥田こころ,あがた森魚,安田顕,松井愛莉,蔵下穂波,阿部菜渚美,山田望叶,矢島健一,中村靖日,峯村リエ,吉田羊,田中哲司

学習塾に通ったのは中学生の一時期数か月だけだったか。その人の少ない夜の退廃した雰囲気とさびれた講師の様子に学校とは違った世界を感じた。こりゃとても勉強どころじゃないな、とさっさと退散した。ここにでてくるような熱血講師に出会っていれば違った高校、大学へと進み、私の学生生活も違ったものになっていただろうか。
とにかく、この先生がとてもすごい。伊藤淳史は他の作品でもなかなか良いのだが、これはダントツに良い。そう言えば、これも数少ない私の好む若者男優の野村周平も出ているし(また、これが良い)、お母さんで吉田羊さんも出ているし、お父さんで田中哲司まで!これは必見の要素はもともとかなりあったのだ。
大学受験の時は自分でもやはり人並み以上に勉強はしたので、こういう努力は、まぁ、そんなに不思議なものには見えないのだが、成績がたいそう悪かった彼女が努力して成績が良くなりました、ってドラマ性はあるのでしょう。
まぁ、良い作品であったでしょう。
2020年11月16日

絞殺

(1979 ATG・近代映画:C-113m.)
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監督:新藤兼人
脚本:新藤兼人
製作:新藤兼人
撮影:三宅義行
音楽:林光
西村晃,乙羽信子,狩場勉,会田初子,岡田英次,殿山泰司,小松方正,草野大悟,渡辺とく子,根岸明美,初井言栄,森本レオ

今になって観てもねぇ。公開当時だったら実話そのまま映画化、って事でそういう意味の値打ちはあったかもしれないが。その新鮮味と乙羽信子を起用する、それだけで作ったとしか思えない。監督も年寄になってからも仕事続けて偉いね、とは言われるけど、もうある時点から能力に問題がある事を誰か指摘してやっとけばよかったのに。これなんかもう作りは安っぽいし(音楽の使い方とかスローモーションとか効果音とか)格から言ったら劇映画なんてとんでもない。
そもそも乙羽信子をこうやって使い続けるのにどうして観客がいつまでも付き合わなければならないのか。この作品のこういう姿の有る役なんてちょっと遠慮してほしかった。これが女性として見れてるのは監督だけ。
最初から最後まで西村晃のくどいほどの独壇場であるのは判るけど、近所の人たちの殿山泰司,小松方正,草野大悟,渡辺とく子,根岸明美,初井言栄なんかの生気の無いただ出ているだけ、みたいなのはなんとかならんかね。
そして雪原でのあのバカなシーン。若者ならなんでもやるだろう、ってよたった年寄視線の表れでしかない。
とにかく、実話だからって映画化すりゃいいってもんじゃない。事件を動画として切り取ってTVの枠に入れただけの拙い作品。
2020年11月10日

Fukushima 50

(2020-松竹/角川:C-122m.)
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製作総指揮:井上伸一郎
製作:二宮直彦
監督:若松節朗
脚本:前川洋一
原作:門田隆将『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発』
音楽:岩代太郎
撮影:江原祥二
出演:佐藤浩市,渡辺謙,吉岡秀隆,緒形直人,火野正平,平田満,萩原聖人,吉岡里帆,斎藤工,富田靖子,佐野史郎,安田成美

これがまったくの事実であったという事に今更ながら戦慄を禁じ得ない。今までどんな映画でも描かれなかったほどの原発の危機が自分の目と鼻の先で実際に起こっていたのだ。当時の恐怖よりも今、この作品を観てそれを感じるという私もどうかしているが。
素晴らしいキャストである。どれも適所適材、と言うか。それにしてもTVのドラマスペシャル番組の面々とまったく同じであるのも興味深い。しかし延々作り続けられている脳みそのかけらも無いような若者劇映画の面々と比べるとやっぱり重みがある。そして、吉岡秀隆と緒形直人がいっしょに並ぶとタイプが似た役者だなぁ、と感じるのである。萩原聖人もちょっと似てるか。
SBOとか専門用語が当たり前のように劇中で語られているがこっちは判らないものもあり、そういうのも知ってて当たり前なのか、とやや驚く。
佐藤浩市と渡辺謙はまったく期待通りの熱演であり貫禄であります。佐藤浩市が出てるから、とこれを観たのも事実であります。佐野史郎って最近何観ても出てきて大声で怒鳴ってる役ばっかり。
とにかく、緊迫感がたいしたもので、結局何をもって解決だったのかがいまいち釈然としないのだが、今年2020年のの目玉となった作品であるのは間違いありません。
2020年11月02日

遺留捜査 第2シリーズ

遺留捜査 第2シリーズ(2012年)
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第二シリーズ。これを最初に見たんですね。月島警察署はこんなのんびりしたとこだ、みたいに描かれて問題なかったんだろうか?でも、こののんびり感がクセになってくるんですね。抜けられない!

第1話「水上封鎖!! 運河に女性警察官の死体!? 遺留品にこだわる風変わりな刑事が帰ってきた!! 返本された哲学書と破れた柔道着の最期のメッセージ!!」出演:吉田栄作、草川祐馬 ★★☆ 斉藤由貴はどうしていつもあんな服を着ているか
第2話「15センチ×10センチの青い布人気ランナー謎の死」★★★☆ 可哀想すぎる
第3話「船で運ばれた死体!? 音の違うカスタネットの秘密!!」出演:藤真利子 ★★☆ この衰えた容姿。誰か判らぬ。
第4話「セミが告げる殺人!! ミサンガに込められた夢の秘密!?」出演:高橋かおり、三輪ひとみ ★★★ 三輪ひとみさんの活躍が嬉しい。ちょうどこの頃会いましたが、ほんと絶世のいい女、でした。
第5話「フクロウが見た!? 復讐の銃弾が刑事を狙う!!」出演:原田夏希 ★★★★ こんなエピソードはシリーズには不可欠なんだろうが.....やっぱり心が痛む。それにしてもあの人、銭家楽に似てないか?そして原田夏希の姿に驚く!なんて似てるんだ、と懐かしい人を想う。 
第6話「天才外科医の遺したもんじゃのハガシ!!」★★☆ 一生をかけた恋慕もいいものじゃないか。
第7話「衝撃スクープが盗まれた!! 天才が捨てたボールペン!?」★★☆ もっと他の事考えなさいよ。
最終話「屋形船が乗っ取られた!! 母を殺した江戸切子グラス」出演:平田満 ★★☆ 大団円だがシリーズの区切りとしてはどうでしょう。

遺留捜査 第1シリーズ

遺留捜査 第1シリーズ(2011年)
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このシリーズを観始めたのは単発のスペシャル番組を観た後だったが、特に、と思ってたのだが.....上川達也絡みで、ああ、あのスーツに運動靴の変な恰好のキャラクター、と思い当たって観始めると......止まらなくなった。今の世の中、こういう効率的でない、しかも意固地なくらいの執着を持つ人間がいてもいいだろう、って気になって来る。順番は第二シリーズ、第三シリーズと観てからになったが、最終話あたりでもどうして主人公が第二シリーズから所轄に左遷されているのか、が説明されないので大いにストレスが残った。
第1話「玩具のピアノと乱れた足音」出演:中山忍 ★★★☆ 中山忍、美しい、老けない
第2話「母子手帳と裂けたおみくじ」★★★ やり切れない話
第3話「12402歩」出演:芳本美代子 ★★☆ うまそうな弁当だった
第4話「紅い石」★★☆ 
第5話「書きかけのカード」★★★☆ 日本音響研究所 所長最高。
第6話「神棚の木片」★★☆ 木片の意味あまり重要じゃありません
第7話「すべて他人のもの」出演:根岸季衣 ★★☆ 根岸季衣の芝居いつみても嫌だねぇ 
第8話「つぶれた指輪」出演:星野真里 ★★☆ こいつ殺されて当然、もっと早くこの世から消しておくべきでは
第9話「空のマッチ箱」★★☆ フィルム写真をゆっくりとやりたくなってきた
第10話「遺留品、紛失!!」★★☆ ああ、シリーズを通しての謎が解けるのか!
最終話「消えた遺留品」★★☆ あのスプーンに何の意味があるんですか。これが最終話なんて物足りない!
2020年10月26日

遺留捜査「緊急事態発生!! あの風変わりな刑事が病院立てこもりの人質に!? 少女の心臓手術のタイムリミットは24時間… 遺留品の“鳥のブローチ”が明かす意外な真犯人とは!?」

(2013年-TV:C-m.)
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出演:上川隆也,甲本雅裕,斉藤由貴,八嶋智人,田中哲司,岡田義徳,正名僕蔵,眞島秀和,三宅裕司,升毅,下容莉枝,佐藤康恵,飯田基祐,山中聡,森カンナ、菜葉菜

第二シーズンと第三シーズンのあいだ?くらいのスペシャル。病院の立てこもり犯が発生するが居合わせた主人公は如何にして....って『ダイ・ハード』でしょうか。しかし、犯人たちも拘束した刑事のポケットの中身は見ないんでしょうか?
出るべき人たちが出て毎度の様子が妙な安心感と親近感を。西村雅彦の森田刑事がいつにも増していい味を出してエピローグをさらいます。なかなかいい一作でした。
2020年10月01日

陽はまた昇る

(2011-TV:C-54m.x9)
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脚本:井上由美子
演出:秋山純(テレビ朝日),今井和久(MMJ)
出演:佐藤浩市,三浦春馬,池松壮亮,斉藤由貴,ARATA,YOU,六角精児,石野真子,真矢みき,橋爪功

主人公がなんかどっかで観たような話だな、と思ったら『最後の晩餐 〜刑事・遠野一行と七人の容疑者〜』の続編だったのでした。続編がTVシリーズとして長いわけですね。どうりであの作品のラストでまったく意味の分からない人物の登場シーンがあったわけです。これに無理矢理繋げたのか。
最近は佐藤浩市に感心することが多いのでその名前だけでこれを観たのですが.....
見事に感動した。まったく面白い。最初から最後まで。
しかし、毎回最後に次回予告、として次の回のハイライトを見せないといかんのはどういうことだ。
そして、毎回、タイトルがとても見ていられない。なんだ、アレは?酷い、ひどすぎる、教場の旗振って雨の中で笑いあってそこに陽が照るとみんなでそれを指さして......題名のために付け足しているのだろうが、バカ過ぎる。毎回プロローグのそれまでの緊張感がこれで台無しになる。
が、やっぱり最高に面白かったドラマには違いない。やられたなぁ。
2020年09月28日

震える牛

(2013-TV:C-54m.x5)
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原作:相場英雄『震える牛』
脚本:篠崎絵里子
監督:鈴木浩介,権野元
出演:三上博史,吹石一恵,平山浩行,木村文乃,温水洋一,白石美帆,小野寺昭,遠藤要
田中幸太朗,竜雷太,羽場裕一,佐野史郎,古田新太,小林薫

これまた実話をもとにした小説の映画化。
観てからしばらくはスーパーで肉加工食品は買いたくなくなりました。
三上博史はこういうTVミニシリーズが実にあってると思う。スケールの小ささと恥ずかしいくらいの大げさな顔演技がなんかぴったりはまるのだ。
これも主役は主人公ではなく組織(会社)のために滅私奉公する日本人。組織の中では大義が有っても世間様はそうはいかない、という典型のようなお話。
悪役がここまでふざけて劇画化されていなかったらきちんとした社会派ドラマになっていたかもしれないのに惜しい。
が、さっぱりとしたいい気分でなんか頑張ろうという気持ちにさせてくれるいい作品ではある。羽場裕一,佐野史郎ってTVドラマ観てると良く出てくるんですね。小野寺昭と竜雷太がそろって出ているなんてなんかうれしくなるようなおまけもあります。主人公の娘が可愛らしいのでいったい何で観てた人だったか、と思ったら木村文乃であり例の『殺人分析班』シリーズでしたね。
小林薫がほんとすべてをさらった感が有ります。

石つぶて〜外務省機密費を暴いた捜査二課の男たち〜

(2017-TV:C-60x8)
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原作:清武英利『石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの』
脚本:戸田山雅司
監督:若松節朗,村谷嘉則
音楽:住友紀人
出演;佐藤浩市,江口洋介,北村一輝,萩原聖人,飯豊まりえ,田中健,佐野史郎

事実をそのまま原作化、そして映画化、ってのは緊張感が最初からあるのが得だと思う。そしてこれはたいへんに力の入ったいいドラマであり、それはすなわち主演の佐藤浩市の力量であり、実はこの人のベストではないかとも思う。
いつも目にして耳にしているキャリア、ノンキャリア、の意味をこれで初めて知った。いや、これで初めて調べて意味が分かった。
ここで描かれるのは警察と犯罪、の物語ではなく、官僚と警察官、のそれぞれのノンキャリアの人間と組織、との対比である。個性豊かな登場人物たちが気を張っていても見えてくるのはその背後の組織、の大きさとその手に負えない悪徳。そしてその悪徳もそれぞれの立ち位置によって大義であり正義になっているのが見えてくる。ちょっとしたミニ・シリーズであり傑作の部類であると言っても良い。
が、タイトルは『Xファイル』の恥ずかしいくらいの猿真似、音楽は香港映画『インファナル・アフェア』の完全な盗作である。こういう傑作でもそういうミソが付くあたりがなんとも情けない。たったこれだけの事を放映前にチェックして誰も指摘できないのか。
お、といつも嬉しくなるのは北村一輝の登場である。まったく、この悪党面は何に出ても強烈な存在感であり、普段、だるいTVドラマでもこの人が出るだけでいっきに面白くなるのである。ここでは堂々の主役でもあり、これもこの人のベスト作品ではないだろうか。まったくこの役は、この人を配して大当たり、である。
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しかし、こんな話がほんの数十年前の実話である。日本の政界は常に腐っているのである。
2020年09月26日

激突!格闘技 四角いジャングル

(1979-東映:C-92m.)
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監督:後藤秀司
脚本:真樹日佐夫
原作:梶原一騎 中城健
出演:ストロング小林、サンダー杉山、スネーク奄美、アントニオ猪木、ベニー・ユキーデ、ミスターX,ネイビー・ハリケーン、二宮城光、ウィリー・ウィリアムズ

日本最凶の映画会社、三協映画の格闘技部門の作品。もちろん糸を引いているのは梶原一騎 。公開当時はこの種の猪木関連のパチもの映画には一切鼻もひっかけなかったが、今となっては猪木と関連の新日本も良き時代のプロレスを引き摺る風物詩みたいな感覚で許せるようになった。ことにこの作品、新品DVDで176円と言う捨て値で売られているので、うっ、と軽く思ったが内容にストロング小林VSサンダー杉山、ってのがあったのでもう飛び上がった。悪名高いプレ日本選手権だ。今となってはなかなか貴重な映像であろう、と購入。この時代の小林は不遇の選手人生を歩み始めるあたりだ。
狼軍団として悪役としての登場の杉山はもうレスラーとは呼べない感じだったが、やはり小林との組み合わせは郷愁を感じるものではある。私の子ども時代のプロレスは馬場の日本プロレスだけではなく小林の国際プロレスも大事だったのだ。
この試合も最後まで収録されるまでもなく、他のリーグ戦試合もコマ切れ。坂口征二VS上田馬之助は、場外乱闘で上田をパンフレットで叩く観客が2人も出てきて坂口そっちのけでそれを追いかけて制裁する姿が面白い。が、やっぱり殴ったりしないで座席におしつけるまで、てあたりがこの人の性格を表しているようだ。
決勝戦の猪木VSヒロ・マツダは部分だけでも説得力の無い凡戦であるのがわかろう。あのフィニッシュの見苦しい卍固めで無理に試合を終わらせるミスター高橋の拙いレフェリング。やはり観客動員とかTV視聴率で黄金時代とか言われていても新日本プロレスのレベルは低かったのを垣間見る。
猪木とミスターXの格闘技戦は一連の中でも凡戦中の凡戦であったが、40年近くたった再確認の意味で興味深い。何の格闘技のバックボーンもない素人アルバイト黒人に覆面を被せて試合をさせたという新日本得意の茶番中の茶番。試合を成立させるためにラウンドを引き延ばしている猪木にご苦労さんと言おう。
あとは空手とかムエタイとかボクシングとかで私には何も見るべきものはない。ベニー・ユキーデも。
やはり公開当時からこういう作品には見向きもしなった高校生時代の自分の勘は間違いでなかったと思う。
2020年09月14日

大誘拐 RAINBOW KIDS

(1991-日本:C-120m.)
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製作:岡本みね子,田中義巳,安藤甫
監督:岡本喜八
脚本:岡本喜八
原作:天藤真『大誘拐』
音楽:佐藤勝
撮影:岸本正広
出演:北林谷栄,緒形拳,風間トオル,内田勝康,西川弘志,樹木希林,嶋田久作
神山繁,水野久美,岸部一徳,田村奈巳,天本英世,奥村公延,松永麗子,岡本真実,橋本功,常田富士男,藤木悠,寺田農,竜雷太

原作の発表が1978年。間違いなくこの年最も面白かった推理小説であった。まったく惚れ込んだ。
この作品は公開当時喜び勇んで観に行ったはずなのだがまったく作品自体の記憶がない。そして今、観直してみると.......これはひどい。
2007年の韓国でリメイク版『大誘拐 〜クォン・スンブン女史拉致事件〜』は原作に劣らぬ面白さだった。それは主演のおばあさん役にかかっているのだ。あちらは怪優ナ・ムニが堂々のおばあさん役。うまいんだ、この人は。それに比べて、この本家日本版の北林谷栄。何の味もない。ここではこの人は人の悪さが顔に出てるのでようなおばあさんを演じてくれる。まったく魅力がない。この彼女を名演技、とか評する人もいるようだが神経を疑う。
そしてその他大勢の個性派俳優たちの誰一人として魅力を発揮していない。緒形拳がここまでくだらない役をくだらなく演じたのは珍しい。嶋田久作、神山繁,天本英世,常田富士男なんて怪優がことごとくつまらないなんてなんて罪な作品だろう!
一番魅力を発揮していたのが素人の岡本真実(監督の実の娘)だったなんて確信犯か?なんか懐かしいいい顔つきしてるんです。
だいたい登場人物みんなのうそくさい関西弁でいっきにテンションが下がるし、また何言ってるのか聞こえないんですね。
最後のクレジットで音楽が佐藤勝であることを知る。流れるこの80年代っぽいバカ歌が佐藤勝の作曲!?頭痛しかもたらさないひどい作品でした。
2020年06月30日

屍人荘の殺人

(2019-日本:C-119m.)
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監督: 木村ひさし
原作: 蒔田光治 · Masahiro Imamura · 今村昌弘
脚本: 蒔田光治 · Masahiro Imamura
出演:神木隆之介,浜辺美波,葉山奨之,矢本悠馬,佐久間由衣

原作がいろいろ賞を獲ったようだが、この映画化に関しては???何をどう評価したらいいのかわからない。
真面目なのかふざけてるのか、出演者もそのレベルだし、あ、今の若い子ってみんな同じ顔してるんだな、と思いつつこのだるくて長い作品に最後まで付き合う。何度眠りこけた事だろう。40年くらい前だったらこういう作品は「毒にも薬にもならない」って誰も鼻もひっかけなかったろうけど、今や話題作がこんなのとは。レベルが低すぎないか、昨今の邦画?
2020年06月21日

石の繭 殺人分析班

(2015-日本:TV-54m.)
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監督:内片輝
原作:麻見和史『石の繭 警視庁殺人分析班』
脚本:渡辺謙作
出演:木村文乃,青木崇高,渡辺いっけい,平岳大,北見敏之,小柳友,古川雄輝,神野三鈴,段田安則,仲村トオル

『蝶の力学』をまず観て、次にスピン・オフの『悪の波動』を観るという完全に逆でこのシリーズに接したわけだが。
後ろのほうでは妙に態度がでかく見える主人公が成長していく姿を追う正しい順番で観るべきだったな、と思わす。
連続TVミニシリーズなので合計時間が5時間近くとれるので一つの事件をじっくり描けるところがいいとこなんだろう。
犯人側の描かれ方もしっとりとしていて納得できるところがある。あまりに魅力的な人物なのでスピン・オフ作品が作られるのもわかる。
映像化作品は合計で4作しか無いわけだが、まだまだこの登場人物たちには接したい気持ちでいっぱいだ。原作を読むことにしよう。
2020年06月18日

誘拐(2009)

誘拐
(2009-日本:C-117m.)
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監督:小林義則
原作:五十嵐貴久 
出演:三上博史、西島秀俊、中越典子、石坂浩二、和田聰宏、三吉彩花、小須田康人、金澤美穂、森下哲夫、中根徹、須永慶、上田益

TV長編ドラマ。これ、面白かったなぁ。
3人の人物を核に物語は描かれるのだが、この三人三様がしっかり演じられている。石坂浩二がこんな総理役なんて珍しいな、似合わないな、とか思わせてこれがなかなか。三上博史は以前の香港映画発言で基本的に嫌悪感がある役者だったが、やはり昨今の薄っぺらな役者たちとは一味違う。西島秀俊は最近何で観たんでしたっけ、と思ったら、蛇の人、だったんですね。
家族構成とか調べたら一発で繋がりが判ろうなもんだけど、まぁ、いいはや。
なかなか現実味の有る筋書きだが、株ってこんなに単純明快かね、って少し思うところはあるんですが。
中越典子の美しさに見とれるシーンも多く。好きな顔だなぁ。
これはいい作品でした。
2020年06月17日

最後の晩餐 〜刑事・遠野一行と七人の容疑者〜

(2011-TV-日本)
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監督: 秋山純
脚本 : 井上由美子
出演:佐藤浩市、柄本佑、六角精児、橋爪功、成宮寛貴、安達祐実、本郷奏多、西田敏行、石黒賢、中尾彬、黒木瞳、斉藤由貴、ARATA、佐藤めぐみ

佐藤浩市の重厚な芝居は見るに値する。昨今の薄っぺらな役者に比べると観ていて安心感がある。
が、物語にあまりに強引な展開が有り、最後の最後に主人公が関係者全員の前で事件の真相を語るのだが、おまえいつの間にそんなに調べたんだよ、ってつっこみたくなるような。強引な動機付けに加えて説得力の無い登場人物の行動。普通、そんな行動取らないでしょ、ってのが多すぎる。
ぎりぎり美女で通る黒木瞳のくさい芝居やキャラクターが安物感をさらに強めているのだが、いつまでたっても子役の延長のような安達祐実が逆に良い。普通の美女じゃなくてなんかこんな娘いるだろうな、って親近感か。
事件と並行して描かれる主人公の家庭の物語が何とも無意味に思えて仕方ない。妻を演じる斉藤由貴にはもうこのような少女時代の3倍はあろうと思われる体重の姿は見せてほしくない。なんか夢が壊れるのである。
『最後の晩餐』をモチーフにした事件、を強調するが、実のところそんなに意味はないでしょう、って。
意味の無いエピローグでさらに価値を落としたような。
やっぱり2時間はあってもTV番組の限界なのかな。
2020年06月15日

去年の冬、きみと別れ

(2018:C-119m.)
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監督:瀧本智行

出演:北村一輝、岩田剛典、山本美月、斎藤工、浅見れいな、土村芳

まったく題名を忘れていて始まってから前に観たことを思い出す。
そしてこれの北村一輝にはほとほと感心した事も。本当に濃い役者だと痛感。暑苦しいまでの。そしてこの人が出るとなんか作品自体に味が出てくるんだよなぁ。
衝撃的な始まり方が最後でしぼんでしまうのが残念と言えば残念だが、いっきに見せてしまうその物語の面白さ。けど、まぁ、こんな話はありえない感は拭えない。恋人を思う強さ、って言うよりもその執念深さと陰湿な計画性が鼻につくのも少々。が、一級品の面白さはある。
2020年06月14日

悪の波動 殺人分析班スピンオフ

(2019-日本:C-25mx5)
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監督:内片輝 、 山本大輔
出演:古川雄輝 、 SUMIRE 、 深澤辰哉 、 阿南健治 、 二階堂智 、 平埜生成 、 久保酎吉 、 左時枝 、 友利恵

WOWWOWオリジナルドラマ、ってとこでくじけそうになるが『蝶の力学』からの付き合いもあるので、と観ることにする。って、これ映画的な作りじゃなくてほんとにTV放映のそのままの30分枠の連続なんですね。がっくり。
まぁ、なんとも、安易な仕事、って感じで。感じ悪いツラした奴は感じ悪い役、って。
どうでもいいんだろうけどヒロイン役のSUMIREって人の顔が、声が、とにかく気に入らなくて不快感倍増ですかね。こんなもんどっから見つけてきてこんな大きな役に据え付けるんだ、と思ったら親の七光りだったのね。覇気の無いいやな顔してる、ほんと。
お話し的にも矛盾というよりも作り手にご都合のいいようなお話で、そんなわけないだろ、警察、ってとこが多い。手抜きで作られてるのがすぐわかる。これに放映5話分も付き合う私も私だが。
それにしてもやっぱりセリフが聞き取りにくい。ちゃんとモニターして音声入れてるんだろうな、と突っ込みたくなる。役者以前の代物が出演しすぎ。まぁ、そんな程度のTV番組なんだろけど。
2020年06月09日

松本清張没後25年特別企画 誤差


(2017-TV:124m.)
 gosa

監督:倉貫健二郎
出演:村上弘明,剛力彩芽,陣内孝則,松下由樹,田中美奈子,小市慢太郎,酒井美紀(友情出演),細川ふみえ、螢雪次朗、水沢アキ、左とん平
 
まだ読んだことがなかったので筋も知らないし観てみるか、と。アマゾンプライムがあったらもう自宅ストックとか保管する映画なんていらないと判断する人多いだろうな。近い未来はもうストリーミング一筋になるのは明らかだ。ダウンロードもコピーもすたれるだろう。 さて、温泉宿の殺人、と地味に始まるのだが出てくる人たちがそれなりに見えるので助かる。TVのこういう警察ものは、バカ丸出しの若者が偉そうなタイトルや地位で出てきて辟易する場合がほとんどだから。だがしかし例によって出演者の活舌が悪くて何言ってるのか聞き取れない。同時録音でもあるまいしなんでこうなるんだろう。劇映画だと新しいものはソフトに日本語字幕が収録されているのでそれを活用するがこういうTVはまず無いので困る。外国映画では英語でも中国語でもまだ聞き取りやすいからこれは邦画界のみの劣悪な習慣のようだ。 まずは水沢アキがお婆さんになって出演しているのに驚く。喜ぶべきなのか。本当にお婆さんなのです。こんなことがあっていいんだろうか。 もう自分が名前を知ってるような人たちは中年以上のおばさんやそんな役ばかりになってしまったのだ。この田中美奈子とか。 まぁ、原作に加えてTV的味付けがなされているに違いない陣内孝則の役柄とか他のドラマの真似しすぎの気はするが、地道に作られてはいると思う。 が、124分もある大作ではありますがTVドラマはTVドラマであろう明快さで終わってみては重みが無い。まぁ、こんなもんでしょう、という感想以外はない。最後のクレジットで細川ふみえ、とあったので、え、と観直してみるとあのやせこけた女性?年輪とは容赦ない!


2020年02月02日

スウィングガールズ

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Swing Girls
(2004-東宝:C-105m.)
 
 監督:矢口史靖
 脚本:矢口史靖
 製作:亀山千広,島谷能成,森隆一
 製作総指揮:桝井省志
 出演:上野樹里,貫地谷しほり,本仮屋ユイカ,豊島由佳梨,平岡祐太,谷啓
  満を持して、とブルーレイ購入で鑑賞。 面白い話だとは思うのだが、登場人物の掘り下げが浅く、単なる学園群像劇で終わっているのが残念。もっと面白くできたのでは、と。これが、この年の日本アカデミー賞最優秀脚本賞という事だが、そのレベルの低さが判ろうもの。まったく意義も権威を感じさせない賞。
それに内容が嘘嘘過ぎで。管楽器に何度も挫折している自分には、こんな短期間で音が出るか、演奏できるか、こんなにうまくなるか、とあまりにも真実味が無いのである。 さらにあのストップ・モーションとかジェス・フランコの映画じゃないんだから勘弁してくれよ、って感じです。
つくづく竹中直人が嫌である。どうして俳優として映画に出さなければならないのかいつも疑問に思う。芸人なのは分かったからTVでバラエティとかに出ててほしい。 谷啓に何の見せ場もないまま、ってのも絶対納得できない。
 が、やっぱりいいんだよな、こういう話。たぶんあと何回も観るだろう、好きなとこだけ。

2019年12月17日

幻の動物王国  悪い奴ほど裏切らない

(2017-日本:C-66m.)
「幻の動物王国 悪い奴ほど裏切らない」の画像検索結果

監督 クーロン黒沢
主演 クーロン黒沢, 本多忠祇

しおさいの里、の事は一切知らなかった。こんな事件があったんだ、と今更ながら驚く。今回はその現状を面白半分に紹介。作者の意図やラストで見えるスタッフたちの悪意や嘲笑は吐き気ものだが、この男の一生を垣間見た価値はあった。映画の企画そのものは唾棄ものだが結果として有意義なものになったという奇作。
けど、犬たちのために生涯をかけているような人たちは我々の身の回り5キロメートルくらいの中には必ずいます。みんな知らないだけです。こういう風に陽の目を見ることがいいのかどうかはみんな考え方が違うと思うけど。たまにはそういう活動の輪に入ったり出たりしても、結局は自分の家の犬を大切にしてやろう、というところに落ち着いてしまう私だが、それが原点であり基本なのではないだろうか。プラスでも何でもない。それができないマイナスの人たちが世にいっぱいいるのでその歪をただすためにこういう人が存在する。
繰り返すが、ラストで主人無き主人公の家を訪れて嘲笑し続けた撮影隊たちは声だけでなくて顔出しで画面に映って殺されてみろ。本当のゴミはお前たちみたいな輩だ。

ラーメンヘッズ

(2017-日本:C-93m.)
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監督:重乃康紀
出演:富田治

千葉県の行列の凄いラーメン店の記録。
店長のラーメン哲学と言うよりも、一杯のラーメンごときに振り回されて朝6時から終日かけてるような客たちに哀れを感じる。見るからに一回食べてみてネタにするために来ました、みたいな人たち。みんな普段やることないんだなぁ、と。
主人公は自己のラーメン哲学や業界や事業に対する真面目さもあり、良く有りがちなうんちくや御託を並べないだけましだが、この指輪は何とか、とか身に着けているものを自慢げに話すあたりで見切ってしまえる人だな、と。
これだけ人が騒ぐなら一度食べてはみたいと思うけど、まぁ時間がもったいないのが正直なところ。
けど、やたらとラーメンが食べたくなった夜中。けど外にお出かけしてまで、なのでカップ麺で済ませました。

2019年02月12日

日本の熱い日々 謀殺・下山事件

shimo
 (1981-松竹:B&W-115m/131m.)

製作:佐藤正之・阿部野人
製作補:相沢徹・遠藤武志
監督:熊井啓
脚本:菊島隆三
出演:仲代達矢,山本圭,浅茅陽子,中谷一郎,井川比佐志,隆大介,大滝秀治,平幹二朗 橋本功,稲葉義男,神山繁,仲谷昇,菅井きん,小沢栄太郎,井川比佐志,役所広司

観てはいたはずだが印象に無い。と言うよりもあまり感動した覚えもなかった。 ので観直す。
これって’81年に作ってたんですね。よくもまぁ、あんな軟弱な時代にこんな硬派な作品が出来たことだ。が、すでに時代はこの事件を嚥下できるほどこなれていた。公開当時はたいした話題にもならずに忘れられたのではないか。 今、見直すと’60年代にこれができていたらな、と思わずにはいられない。20年遅いのだ。もうこういう濃い謀略に憤りを感じる時代ではなくなったのだろう。
浅茅陽子や隆大介の起用に、あ、と時代を感じるのだが、浅茅陽子なんて何の芝居もやらせてもらえないままだ。当時良く起用されていた隆大介の演技は疲れるんだよね、観てると。
やっぱり山本圭は山本圭の役しかできないんだな、と改めて苦笑。でも不思議と安心します。
結局、いい映画になる要素はいっぱいあったとは思うのだが、なんか希薄なまま終わる。もったいない。 佐藤勝の音楽が例によって美しい。
公開当時は115分だったようだが今日は131分版だった。


 
2019年01月26日

ミックス

(2017-日本:C-117m.)
mix

監督:石川淳一
脚本:古沢良太
製作:石原隆,市川南
出演:新垣結衣、瑛太、広末涼子、永野芽郁、
蒼井優、中村アン、佐藤風香 、田中美佐子、池上季実子

韓国映画の影響か、というか近年の邦画もネタ切れでスポーツやかるたに熱中のコメディが多すぎる気がします。
まぁ、いいんです。私も40年のブランクがあってもまた卓球場に行ってみようかな、って気にさせてくれたのだから。友達同士で自分勝手にやっていた卓球も学校のクラブ活動になり大会になるともう勝つことだけに執着しなくてはならない、じゃなくて勝つことだけに執着する自分の性格に疲れて離れていったんだな、と自己分析。
仕事が無いから一家離散、みたいな短絡的な描写が気にならんでもないが、まぁ、お気楽に観ていればそれはそれでいいのです。ここにはスポーツとしての卓球はない。やった事のない人たちが考えてより集まって作ってるな、って感じ。卓球用のパンツに「太腿が見えすぎ」なんてセリフは門外漢もいいとこ。
それよりも、ここで久しぶりに再会したのがかつての知り合い。あの頃まだ大学生だった頃だから、スクリーンで見ても、おお、大人になったな、を通り越して、齢取ったな、と思ったけど、いい脇役になったんじゃないだろうか。こういう風になるとは思わなかったな。一世を風靡してそのまま消え去ったのだと思ってた。あ、あのきつい目つきは知ってるな、と懐かしく感じるものもありました。

あれ、田中美佐子だろうな、と思ったらやっぱり。でも、この人は逆に齢を取らないな。最後のクレジットで池上季実子の名前があったので目を疑った。見直してみると、あの医者婦人集まりのおばさんだったのね。もう役名も無いような小さな役で無視されて。もったいないぞ。
2019年01月10日

勝手にふるえてろ

(2017-日本:C-117m.)
katte

監督:大九明子
原作:綿矢りさ
脚本:大九明子
出演:松岡茉優,渡辺大知,石橋杏奈,

私は変わり者だと人には思われてる
って考えてる女性が好きだ。これは私の本能と言うか曲げられない、一生変えられない嗜好だろう。

『ちはやふる』後半2作でこれは相当に気に入った松岡茉優の主演作、という事であまり観たくないような内容のものを無理して観る。
冒頭10秒で嫌な映画になるな、と気付く。
ちゃんと原作があって映画化のせいではないのだろうけど、こんな結末は許せない。こんな事はありえないのでは。
軽薄で屑の見本のような男が終始登場して、自我のある主人公との対比をさせようとしているのだが、これがあまりにも屑過ぎて同性である事が恥ずかしくなるようだ。凛とした女性を際立たせるだけの存在ではあろうが、見せられるだけでクソ不愉快な気分になる。
松岡茉優は時折非常にいい表情を見せてくれて期待に応えてくれるのだが、最初から最後まで出っ放しとは言え、この作品は一度でたくさん。絶対に許せん、と言っておこう。
2018年03月15日

三度目の殺人

(2017-日本:C-124m.)
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製作:小川晋一, 原田知明,依田巽
監督:是枝裕和
脚本:是枝裕和
音楽:ルドヴィコ・エイナウディ
撮影:瀧本幹也
出演:福山雅治,役所広司,広瀬すず,斉藤由貴,吉田鋼太郎,満島真之介,松岡依都美,市川実日子,橋爪功

なんかアメリカ映画の『●●●●・●●●●』の焼き直しじゃないか、と思わすところがありまして。
役所広司がほんと美味しい役をやっています。役者冥利に尽きる、とはこれだろうな、と。対して福山雅治が相当に下手ですね。なんか勘違いして演技プランを持っているのではないかと。演出もこれを認めるのかな。
斉藤由貴がこういう使われ方をするのに時代を感じます。
なんかすべての演出が伏線をこれ見よがしに並べて作為的で素直にのめりこめないとこもあり。これは感動的でもなんでもないですね。
2018年03月13日

修道女ルナの告白

(1976-日活:C-74m.)
監督:小沼勝
出演:高村ルナ、中島葵、田口久美、
梓よう子、中丸信、ロジャー・プリンズ


これは封切り当時、成人映画の見れない年齢であった私でも『キネ旬』の紹介記事を見ながら、よくもこんなバカな企画が通ってこんな映画出来るもんだ、とあきれたものでした。
まぁ、一生観る機会も無かったでしょう。普通なら。
でも、衛星放送でふっと放映されると、なんかこの題名に懐かしさを感じてしまいまして。やっぱりああいう感受性の強い?頃のインプットは一生残るもののようで。
さて、この作品の売りは、何と言っても「元・ゴールデン・ハーフ」の高村ルナ、を日活ロマン・ポルノに主演させた、という事でしょう。今じゃゴールデン・ハーフ自体を覚えている人の方が少ないかも。でも当時ではやっぱり事件だったかなぁ。その頃は芸能活動も停止していたと思うけど(ゴールデン・ハーフ・スペシャルってのに変わってたかな)。この高村ルナ、ほんとそんな美人でもないしスタイルも良くない。まさしくネーム・バリューだけで主演。
物語は当然の事ながら、どろどろ。タイトル・バックからして物凄い事になっていまして。しかるべき筋からは抗議とかいっぱい来たろうなぁ、って心配です。さすがに修道院をずっと舞台とするわけにもいかず、主人公は腹違いの妹のもとへとやって来る。そして、愛欲とカネの絡んだお話が進みます。この味はほんとこの時代の日活でないと出せないねぇ。
そして、クレジットでは堂々の扱いながら田口“東京エマニエル夫人”久美がいっこうに出てこないのに首を傾げます。わ、最後になって出てきたぞ。やっぱり貫禄あります。画面をさらいます。
まぁ、どろどろで終わるんだろ、と思いきや、あっと驚く展開で観客を煙に巻きます。これはいいな。こういう事ができるのが日活ロマン・ポルノの凄いとこなんです。成人映画ではあるけれども人間のナマの息吹みたいなものが必ずあったんですよ、70年代までのロマン・ポルノには。『天使のはらわた・赤い教室』『女教師』なんて私の認める邦画の大傑作だと思いますし『人妻集団暴行致死事件』なんて題名から想像も出来ないような青春映画の名作だと思うけどなぁ。毎日ホール『映像のロマン』で新聞配達からのタダ券でまとめて観た大学生の頃。これらを知った事が私の邦画への真の目覚めでした。

この作品もそういう片鱗を覗かせる意義のある一作ではあったと思います。悪くない、悪くない。
2018年03月07日

ガス人間㐧一号

The Human Vapor
(1960-東宝:C-91m.)
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製作:田中友幸
監督:本多猪四郎(本編),円谷英二(特撮)
脚本:木村武
原作:ジョン・メレディス・ルーカス『ガス人間』
音楽:宮内國郎
撮影:小泉一
出演:三橋達也,八千草薫,佐多契子,土屋嘉男

周期的に観たくなる作品のひとつ。
とにかくこの音楽が頭の中を回りだすともう止まらないのだ。もっともこの作品よりもペギラの姿が一緒なのだが(『ウルトラQ』『ウルトラマン』で宮内國郎音楽完全流用)。
昨夜は、いつにも増して土屋嘉男の陰気さを感じる。数ある特撮怪人間の中でも特筆物の陰湿な見かけと性格である。そしてその不幸さも際立っている。
そして、それを愛しているのか殺したいほど憎んでいるのか、のヒロインの八千草薫の美しさはこの世のものではないくらい。相対する佐多契子が蓮っ葉な不美人なのでさらに際立つ。

予告編では苦労して撮影したゴム人間水野のシーンが残っているのが貴重。本編では使用されなかったカットですね。まぁ、あまりにも作り物くさいので仕方なかったのでしょう。逆にアレ怖いんですけどね。
とにかく東宝大部屋軍勢が楽しめます。DVDの特典メニューで彼らをとことん写真つきで紹介しているおまけが大変役に立ちます。
やっぱり怪奇人間シリーズは哀しいものがありますね。
2018年03月02日

相棒 -劇場版III- 巨大密室! 特命係 絶海の孤島へ

(2014-日本:C-114m.)
「相棒 -劇場版III-巨大密室! 特命係 絶海の孤島へ」の画像検索結果

製作:松本基弘, 伊東仁, 遠藤英明,西平敦郎, 土田真通
監督:和泉聖治
脚本:輿水泰弘
音楽:池頼広
出演:水谷豊,成宮寛貴,伊原剛志,釈由美子,風間トオル,渡辺大,吉田鋼太郎,宅麻伸,及川光博,石坂浩二

ちょっと見慣れてきた。水谷豊のクサさがあまり鼻に付かなくなってきたのだ(あまり)。
今回は舞台とその設定が面白く、警察組織、よりも自衛隊組織をこき下ろしているのが興味深い。
釈由美子ってほんと齢を取らないままだな、と感心。石坂浩二は今こんなになってるのか、と納得。
ここではじめて知った。題名の相棒、って毎回変わるものなのね。k
お話的には、まぁまぁですが、回を重ねるたびに良くなってきている気がします、劇場版。だから今夜も観るのだ、第四作。
2018年02月28日

相棒 -劇場版 II

相棒 -劇場版II- 警視庁占拠!特命係の一番長い夜
(2010-日本:C-133m.)
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監督:和泉聖治
製作総指揮:早河洋
脚本:輿水泰弘,戸田山雅司
音楽:池頼広
撮影:会田正裕
出演:水谷豊,及川光博,小西真奈美,小澤征悦,宇津井健,國村隼,岸部一徳

第2作。あれ、第一作と相棒が変わってるのね。TV版の進行具合によるもんなんでしょうかね。
おお、なんとチャン・ツイイーに似てる子がいるもんだ、と感心。小西真奈美っていうんだ、若者は全然知らない人ばかりです。
しかしみんな揃ってよくもこんなクサい芝居ばかりするな、と感心。昨今の(と言っても8年も前だが)この出演者たちの酷さは演出家に責任があるのか俳優自体が質が低いのか。こういうのにみんな慣れていくんだろうな。
警官を殴ったりそっと死体を盗んだりする担当の者がGTRみたいな目立つ車で行ったりしないでしょ、ってのはありますが。
顔の知れた俳優たちはもちろんもう老人なのですが、ここまで年寄りになると、みんな顔の形が変わってくるんですね。
前作に比べると話もきちんとしてるし(比べると、ですが)格段に面白くなっている。私も麻痺してきたのか本当に向上しているのか。
2018年02月27日

相棒 -劇場版- 絶体絶命! 42.195km 東京ビッグシティマラソン

(2008-日本:C-117m.)
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監督: 和泉 聖治
音楽: 池 頼広
出演:水谷豊,寺脇康文,本仮屋ユイカ,柏原崇,平幹二朗,西田敏行、木村佳乃

こういう邦画シリーズものを観ていこうか、と。
これなんかはもともとTVシリーズ見てる人向けに作ってあるようでいきなりの人物設定に困る(ほどのもんでもないが)。
まず、水谷豊のこの演技のクさに驚く。なんだこれは、普通にできんのか、これがこのキャラクターの特徴なんだろうけど。これは酷いな。
そして西田敏行 も全力でクサい演技満開。いつものことですけど。
ストーリーは破綻していて、つけなくてもいいおまけの連続でますます変な話になる。さらに薄っぺらな登場人物設定。
これが公開当時の大ヒット作品。44億円だってほんとうにバカとしか言いようが無い。やはりTV先行というメディア牽引式の宣伝の力は恐ろしい。
ま、第二作観ますけどね。
2018年02月10日

復讐するは我にあり

Vengeance Is Mine
(1979-松竹:C-140m.)
復讐するは我にあり に対する画像結果
監督:今村昌平
脚本:馬場当,池端俊策
製作:井上和男
音楽:池辺晋一郎
撮影:姫田真佐久
出演
榎津鎮雄:三國連太郎
榎津かよ:ミヤコ蝶々
榎津加津子:倍賞美津子
浅野ハル:小川真由美
浅野ひさ乃:清川虹子
柴田種次郎:殿山泰司
馬場大八:垂水悟郎
畑千代子:絵沢萌子
吉里幸子:白川和子
河井警部:フランキー堺
吉野調査官:浜田寅彦
桑田警部補:園田裕久
市川刑事:浜田晃
口石刑事:辻萬長
ハルの旦那:北村和夫
ハルの麻雀友達:火野正平
ステッキガール:根岸とし江
「あさの」の客:佐木隆三
質屋の主人:河原崎長一郎
駅の助役:金内喜久夫
海軍主計中尉:小野進也
巌の少年時代:佐野大輔
被告の母:菅井きん
保護司:阿部寿美子
裁判長:石堂淑郎
河島弁護士:加藤嘉
警官:梅津栄
農婦:中村美代子、牧よし子
タクシー運転手:法月一生

大学入試の際の面接官がこの映画のラストシーンの意味を質問した。で、自らその意味を説明した。「あれは主人公が成仏できないことを表現している」と。そんなものは「馬のションベンだ」とロバート・レッドフォードも言っている。こんな学校は入る必要はないな、と感じた。で、そのクソ野郎は馬のションベン並みに扱ってやった。
金が欲しければ人を殺してぶん取り、騙してかすめ取る。女が欲しければ金で呼ぶし口から出まかせで引き寄せる。刑務所に行こうが誰がなんと言おうがおのれのできる事をして罪に問われる。これが本能のまま、であるならそれはそれなりの悪党を描く物語となって終わりであった。が、それを誰が判断できるのだ。父親も血を分けた息子の行動が理解できない。本人もなぜ殺したか分からない殺しもある。ここでは、殺したいやつを殺してない、と主人公は二度にわたって責め立てられる。それだけの感情と動機が無いまま凶悪犯罪に走る、それは価値の無い事だ、と。
だがしかし、この混とんとして希望の無くなった世の中に人間はどうして価値のある、理由のある、動機のある存在でいられるのか。ラストシーンは成仏できないのではない、その存在自体が完結出来るほどこの作品は主人公を理解も把握していないからだ。そんな必要はない。悪行も人間の業も完結する必要はない。なぜ物語は完結して結論を描く義務があるのだ?
今回、EUREKA版の英国盤ブルーレイを購入、観た。3回目くらいだが初めてこの作品の値打ちが判った気がする。いや、凄いものを観た。
この時代の小川真由美は何を観ても本当に素晴らしい。まったく圧倒される。私は基本的に倍賞美津子には嫌悪感が走るのだが(猪木絡みで)この作品ではいい仕事してるな、と思う。恐ろしいほど凄いのは清川虹子で、これは本当に凄い。加藤嘉は死体となっても目の玉が動いているような気がしてこれはこれで恐ろしい。笑ってはいけない。