3月5日に広島市東区民文化センターで初日を迎える黄金山アタックの制作をされている
舞台芸術制作室 無色透明の岩﨑きえさんからとっても素敵なオススメコメントをいただきました!

黄金山アタックさんの半券をお持ちいただくと赤×坂公演のチケット代を500円割引いたしますので、ぜひぜひご来場ください!

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わたしが初めて坂口修一さんという役者と出逢ったのは、長久手市(当時はまだ長久手町)で行われた「カラフル」というイベントでした。
広島から名古屋越えの長時間運転で、客席に座っているのがやっとという状態の上に演目はただでさえ観るのが苦手な一人芝居。
完全にクッションに身体が沈みかけていました。
・・・はずなのに、ひとたび幕が上がると舞台を駆け巡る彼の演技から目を離すことができませんでした。
そしてたまたま座った席が、芝居で彼が客席に降りてくる場所だったのです。
わたしの座るすぐ横で、はるか上方の調光ブースから暗い客席をぶち抜くピンスポットの中ではっきりと見えた彼の瞳は、深く強く、そして途方もなく輝いていました。
ホールの客席という絶対安全圏に居るはずなのに、その瞳に吸い込まれぬよう強く強く抵抗していました。
観劇後、ホールロビーで何人かの各地の制作者が集まっている中で、ひたすらそのことをしゃべり倒し、その中に彼を知り合いだという関西の制作の方に「紹介しよか?」とおっしゃっていただいたのですが、とてもあの瞳と対峙する勇気がなく断ってしまったほどです。
何年たっても、わたしはあの瞬間を忘れることができません。

縁というものは不思議なもので、わたしはその役者と、時を経て各地で遭遇するようになりました。
そして「赤×坂」というパフォーマンスで、ついに地元広島で出逢う運びとなったのです。
芝居は虚構です。ともすれば娯楽とも呼ばれるものです。
しかし、何なのでしょう。
あの二人の芝居からこぼれてくるそれでは済まされない「何か」は。
花粉症というものは、人間の身体が花粉にたいして「このくらい」というなにか器のようなものがあって、それが溢れてしまうと発症する、ということを聞いたことがあります。
その器には個人差があり、花粉症になる人もいればならない人もいるそうです。
わたしは、この二人の芝居を想う時、そのことを思い出すのです。
器が満ちてついに溢れてくる「何か」。
もしかしたら、あれを魂というのかもしれません。
こぼれだしたエネルギーが空気を巻き込んで風みたいに客席に押し寄せてくる。
演劇ってそうだ、こういう空気の事を言うんだった。
「赤×坂」の芝居から、わたしはそのことを思い出さされるのです。
面白い、面白くないというのは主観でしかありませんから、「絶対面白いから観に行って!」という言葉をわたしはあまり口にできません。
しかし、演劇というものそのものの面白さを問うならば、この二人ならば間違いは無いということは申し上げられます。
ただただ、舞台に立つ二人の役者の魂に魅了されてください。

舞台芸術制作室 無色透明
岩﨑きえ(制作者)