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東莞南博学院日本語中心には日本人先生が二人いる。一人は私、もう一人は71歳のおじいさん先生だ。

最近おじいさん先生が淋しそうにしている。その理由は授業数が減らされてしまったからだ。現在の1週間の授業数は私20時間に対しておじいさん先生は2時間。1時限=45分だから、おじいさん先生は1週間に1時間半しか授業がないことになる。

1週間に2時限の勤務だけでもお給料は契約の満額出るので、中国人先生の中には羨ましがる人もいるが、ご本人の気持ちを察すれば逆に可哀想になってきてしまう。ご本人も、
「もうそろそろお暇しなきゃならんかなあ・・・」
と非常に弱気だ。

そもそも私が昨年ここに来た理由がおじいさん先生のリリーフ役になるためである。おじいさん先生は教科書通りに進行させない。かといって長文読解の練習をするとか、文法を詳しく教えるとか、教科書以外のツールで会話練習するとか、リスニング練習するとか、そういう訳でもない。授業中に内容がない話を漫然と話し、勉強になっていないと生徒からのクレームが多発。そこで僕が呼ばれたというわけだ。

私が来た当初、授業数がほぼ半々、やや僕の方が多いのかなというくらいの配分であったが、次第におじいさん先生の授業数が減っていき、僕の授業数が増えていった。自分の契約コマ数は20時間なので現在がMAXである。

日本での肩書きは、僕が赤帽11年営業、あちらが××の講師何十年で、経歴的には比べようもないくらいあちらの方がメチャメチャ素晴らしい。しかし彼は日本語の授業は苦手なのだという。

今年の春節明け(2月)におじいさん先生が僕の部屋に来た。授業のやり方を教えて欲しいと請われ、簡単な手解きをしてあげた。
「全部僕の真似しても上手くいかないと思うので、後はご自分で研究されてください。説明する順番、そのタイミング・・・色々あります。」
とお伝えして帰ってもらった。

だけれども、新学期が始まってからも彼の授業内容はあまり変わらなかったようだ。おじいさん先生の後の時間に同じ教室に授業に入ると、黒板にぎっしり彼の日本での専門分野の用語が書いてあったりした。あいうえおを覚えて間のない日本語3−4級(初学者)の生徒向けの授業でである。難し過ぎるだろうと思ったものだ。

その後何回か二人だけになった時に彼の授業の相談をした。僕が、
「今後は教科書通りにやったらどうですか。教科書をなぞっているだけでも、生徒は結構楽しそうに勉強してくれますよ。色々ポイント(文法)が出てきますけど、次第に覚えていけばいいですし、もし覚えられなくても先生用のアンチョコがあるから大丈夫ですよ。」
とアドバイスしてみた。

おじいさん先生は多少言い訳じみたことを言う。
「私はそういうことは無理ですから、皆とコミュニケーションして、心で会話させたいんですよね。それに・・・大西先生のように上手く出来ないんですよ。」
心で会話云々話すのだが、実際には後半部分が本音のようである。

一番最近の授業配分の時、中国人先生の何人かに、
「僕も忙しくて大変ですから、おじいさん先生に配分してやってください。」
と水を向けたが、
「おじいさん先生はクレームになるので駄目です」
と却下されてしまった。

1週間に2時限なんてパートタイムの先生みたいなもので、もはや実質専従の先生ではない。授業の質云々は別として、私としては放置しておくのはあまりにも不憫なので、最近はおじいさん先生を食事や健康ランドに誘うようにしている。中国人先生はもうあまりおじいさん先生を相手にしていない。71歳にして外国で一人ぼっちというのは淋しいものである。