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2022年02月

2022年02月12日

そのパーティー...

久しぶりのブログでございます。

先日休暇から戻ってきたのですが、いつもなら魔法の絨毯で結構上の方まで連れてきていただいてそこから歩荷をしつつ鉱泉に戻ると言うスタイルでございます。

今回は美濃戸口付近に車を停め、小屋番わかめと歩いて入山すると言う形でした。

今年は雪がよく降り、先日も脛まで埋まるくらいの雪が降りました。

僕は登山を初めてまだ20年程度、小屋番としても10数年程度の新人でございます。

そんな僕ですが今季の冬から小屋番になったわかめとの入山ですので、やはり登ってきた『慣れ』などの部分で差は出てしまうのは仕方がない事です。

雪が無ければ美濃戸口から堰堤広場までは2時間、そこから鉱泉までは1時間のコースタイムです。

わかめとの入山も堰堤広場までは2時間で来れました。

しかしそこから一気にわかめがバテてしまいました。


雪があると無いとでは明らかに体力の消費が違うという事です。

もちろんコースタイムよりも時間はかかるでしょう。

この時に、コースタイムを目安にあと10分で着くなどと言うイメージで動いていると体力の残し方が違います。

あと10分で着くと思っていたのに実際は30分以上かかると言った状況の時、残りの20分はまさに地獄です。


先日の入山の時は30歩ほど進んで後ろを振り返るとわかめは豆粒程の大きさになっており、暫く待つ。

また30歩ほど進みしばらく待つを繰り返していたのですが、これは良い方法とは思えません。

結局僕はわかめのザックも背負い、わかめを空荷の状態で歩いてもらうことにしました。

姫と執事のようでなかなか屈辱的な絵でしたがこれはパーティーなので仕方がない事です。


さて、こんな時に一番やってはいけないのがパーティーの解体です。

ペースが違うからと言って置き去りにしてしまうと何か起きた時に大変です。

むしろ大変なことになっていると言うことにも気づかないでしょう。

パーティーを組んだ以上はパーティーでフォローし合いながら...と言うのがルールだと思いますので。


さて、わかめがヘロヘロになったのは力量差があった事も疲れの原因になります。

ぶっ飛ばして登ってきたわけではないですが、それでも速さや体力の差はあります。

もちろん男女の差もあります。

そこで早い方のペースに合わせると早くない方は疲れます。

前述のしばらく歩いて待つと言うやり方だと、早い方は待ってる間は休めます。

なので、早い方は体力を温存し続ける形になります。

これがずっと続くと目的地に辿り着いた時には疲労度が顕著に現れます。

そこで元気な方やパーティーであればリーダーがその遅れてしまった方の面倒を見れるかが鍵になってきます。


最近はネットで知り合った人と登ると言う、力量差も全然わからない人達がパーティーを組んで登山していると言う非常な危険な状況が増えているようです。

1人で登る自信が無くてパーティーを組んで、周りが自分を置いていってしまうくらいの早さだったら焦ると思います。

ただでさえ自信も余裕もない状態で焦ると言うことは非常にリスキーです。

その組んだパーティーは自分の面倒を見てくれるでしょうか?

疲れたと遠慮せずに申告出来る関係でしょうか?

逆の場合、何かあっても面倒をみれる技術や体力はあるでしょうか?


同じ登山を趣味とするものでも力の差はあります。

その差は雪山であると顕著に現れます。

人数を増やせば安心と言う事は絶対にないので、信頼出来る人とパーティーを組む。

もしくはガイドさんを雇うなどは安全管理として必要になってきます。


新しい趣味として登山を選択される方が増えているのは嬉しい事ですが、それと同時に僕の危険察知センサーに反応するような状況や状態が増えていているのも確かです。

いま一度山との付き合い方を考えてみても良いかもしれないですね。


僕自身久しぶりに山歩きをしたので、忘れかけていた初心を思い出した次第です。

ぶっ飛ばして置き去りにして力の差を見せつけてやろうかと思いましたが、それはやっぱり違いますよね。


akadakekousen at 11:35|PermalinkComments(0)clip!
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