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放課後の憂鬱

「放課後の憂鬱」序 章「出 会 い」 ジャック:作

                『放課後の憂鬱』
  
                               ジャック:作
おことわり

  この作品は全て空想で書かれています。実在の人名、団体とは一切関係があ
  りません。また、この作品の著作権は「ジャック」が所有しています。
  作品の無断転用もかたくお断りします。違反した場合「著作権法」によって
  「刑事罰」と「民事罰(損害賠償)」が与えられますので、ご承知下さい。

序 章「出 会 い」

 「いやぁぁぁぁ!」
藍は目を覚まし、同時にほっとした。
毎日、同じような夢でうなされ、決まって同じような場面で夢から覚める。
全身汗でぐっしょりと濡れている。
「また朝が来てしまった・・」心の中でそう呟いた。

*---

 藍は小さいころから女優をしている。最近は仕事も軌道に乗り順調だ。何一つ不満のない毎日。しかしそれはついこの間までのことだった。
幼かった藍にとって仕事と学校を両立させるのは、細かいことを気にしていてできることではない。
いや、そんなことすら考える必要がなかった。
学校に友人らしい友人はできなかったし、仕事場ではみな自分より大人だったので、藍ぐらいの子供のするような会話など皆無に等しい。

 いままでそれでも平気だったのは、やはり「幼かった」からなのだろう。
物心つくようになって、学校でも仕事場でも自分が「孤独」である事を知った。仕事場はまだよかった。
「もう一人じゃイヤ・・・ワタシだってオシャベリしたい・・・」

 それが幼稚な感情だとは思っていた。
そんな感情を挟んでいては何一つ進まない、それどころか相手にされなくなる・・・そう体が理解していたから、仕事場では苦にならなかった。

 藍は学校へ行くのが恐かった。
友人がいないだけではなく、周囲は自分を「別の世界」の人間として見ている事を知ったからだ。

 朝食をとって登校する。
その日も誰とも声を交わすことなく学校の門をくぐった。
「おはよう!」
覚悟を決めて藍は声を出した。しかし教室の中の誰一人として返事を返すものはなかった。

 「今日もだめか・・」藍は肩を落とした。
一日中声を出さずに過ごす事も稀ではなかった。藍には耐えられなかった。もう耐え切れそうになかった。しかし、耐えるしかないのだった。
ただ、授業中はあまり気にする必要がなかったため、気が休まった。
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*---

 昼休みになった。
いつものように一人静かに食事をとっていると、なにやら周囲が騒がしい。
「藍ちゃん! 藍ちゃんってば!」
藍が振り返るとそこには別のクラスだろうか、見覚えのない男子生徒が立っていた。

 「えっ? わたし??」
藍は驚いて裏返った声で返事をした。
「ははは、どうしたの? そんなに驚いて!」
「えっ、あっ、私に声をかける人なんていないから・・」
「やっぱりなぁ! 藍ちゃんは有名人だからな!」

 つかみ所のない感じだったが、悪い感じはしない。
「そ、そんなことないよぉ、みんな気軽に話してくれればいいのに・・」
「そっか、ごめんごめん。あっ俺、3組の吉田です。映研なんだ。」
「ふーん。そうなんだぁ。別のクラスだね。見たことないと思った。あっ、2組の前田です。よろしく」

 吉田は邪気のない笑顔で続けた。
「こちらこそ、よろしくね。でさぁ、藍ちゃん、映画とかでてるでしょ?」
「・・うん。」
藍は学校では仕事の話はあまりしたくなかった。が、しょうがないか、と思った。

「いまさぁ、今度の文化祭に出す映画撮ってるんだけど、藍ちゃんにいろいろ教えてもらえないかな、と思ってさ。」
「そんなぁ、教えることなんかないよぉ!」
「そんな事言わないで一度見に来てよ。頼むよ!」

 「・・うん、わかった。」
「ほんと!? 絶対だよ! 約束な!」
「うん。今日の放課後は仕事ないから、今日でいい?」
「OK! やったぁ! 放課後、部室でね。絶対来てよね!?」
「わかった。行く。」

 吉田は喜びながら帰っていった。
藍もなんとなく嬉しかった。今までの憂鬱がうそのように消えてゆき、放課後が待ち遠しかった。

*---

 放課後。
藍は映画研究会の部室を訪ねた。
「・・・こんにちは」
藍は恐る恐る部室のドアをあけ、小声で挨拶した。
部員は男子4名、女子2名で昼休みに来た吉田もそこにいた。

 「前田藍じゃん、ほんとに来てくれたよ。」
「なっ! 来てくれただろ?」
吉田は鼻高々にそう言った。

 「部長の高科です。映研にようこそ!」
部長の高科がそう切り出した。
「前田藍です。よろしく・・」藍もにこやかに挨拶した。
「こちらこそ、よろしく」と部員たちは代わる代わる挨拶した。

 「さて、はじめよっか。」
高科がそう言うと部員たちがそれぞれ準備をはじめ出した。
「どんな映画撮ってるんですか?」
藍は高科にそう質問すると、高科が答えた。
「昭和初期の戦争時代に、愛を全うするために一人で戦った女性の話をネ・・・」
「すごいじゃない! 私も参加しようかな!?」藍は目を輝かせてそう言った。

 「そう言ってもらえるとうれしいよ! 主役をどうしようか困ってたんだ!」
「えっ? 主役なんて・・脇役でいいですよ。」
「いや、藍ちゃん主役ならばっちりだ! ぜひやってよ!」
「うーん、わかりました。いいですよ! なんでもやります! わたし。」
「そうこなくっちゃ! 今脚本書いてるから、上がったら早速読んでもらおう!」
藍は久しぶりに楽しかった。「仲間」といっしょにいることに酔っていたのかもしれな
い。

 しかし、これが悪夢の始まりであることを藍が知る由もなかった・・・

    この作品は「ひとみの内緒話」 管理人様から投稿していただきました。

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「放課後の憂鬱」第1章「新しい仕事」(1) ジャック:作

第1章「新しい仕事」(1)

 次の日、藍は朝からの仕事のため、学校を休まなければならなかった。
昨日の楽しかった放課後のことを考えると、後ろ髪を引かれる思いだった。
しかし、幼い頃から楽しいことを抑えてでも仕事をしなければいけない習性が身に付いていたためか、気持ちの切り替えも人一倍早いようだ。
藍自身、そんな性格が自慢でもあり、一方では悲しかった。

 藍は先日、所属事務所を変えたばかりだ。
新しく所属することになった事務所の所長自らが、藍に目をつけ話を持ちかけてきたのだ。藍は悪い気がしなかった。
まず第一に、条件が良かった。やはり言葉は悪いが、目の前に餌をちらつかされると弱い。

 しかしそれよりも、今までいた事務所に妹の「秋」が入ってきたことが本当の理由だった。
藍は姉でありながら、秋に対して対抗意識を燃やし続けてきた。
芸能界で脚光を浴び、秋とは違う世界で生きていることで、秋に対して優位に立っているつもりだった。

 ところが、秋がスカウトされ自分と同じ世界に入ってきてしまった。しかもよりによって、同じ事務所に籍をおいた。
藍にとってかなりショックな出来事だった。
そして家と同じように、秋がちやほやされているのを見ていられなかった。どうしても妹の方をかわいがるのは、親も、仕事場も一緒だった。
そこにこの話がきたので、藍は迷うことなく飛びついた。

 「あそこの仕事はハードだよ、悪いことは言わない。断りなさい。」
元の事務所の所長が藍を説得した。
しかし藍には、自分を利用して金儲けをしようとしている嫌な大人にしか見えなかった。

 「今までのようにわがままの通用する仕事はこないよ。絶対に後悔するから・・」
その言葉に藍は反発するように「後悔するかどうかは私が決めることです!」と言い切り、前の事務所を後にした。

 新しい事務所になってから、今日が初仕事だった。
「ハードな仕事」と聞かされていたため少し不安だったが、勝気な性格はその不安をかき消していた。
「・・わがままなんて言った覚えないよ。でもハードな仕事って、どんなんだろ・・」
そういえば前の事務所では、写真集でも水着になることなんてなかった。
「水着になんなきゃいけないのかなぁ・・」藍は少し抵抗があったが、そのくらい割り切ろうと決心し事務所に向かっていた。

*---

 「・・おはようございます。」
藍は少し小さな声で挨拶し事務所のドアをくぐった。
「お、来たな! おはよう。」豪快な感じの大男が立っていた。
その奥の大きな椅子には、藍に話を持ちかけてきた所長が横柄な態度で座っていた。

 「俺が藍のマネージャーの岸田だ! よろしくな!」大男はそう挨拶した。
藍は「・・いきなり呼び捨て、感じ悪い・・」と思ったが「よろしくお願いします」と素直に返答した。
そうしているうちに所長が、仕事について話を切り出した。

 「今日は早速CMの打ち合わせとテスト撮影をしてきてもらう。岸田、案内してくれ!」
「わかりました、じゃ、行こうか。」
岸田は藍の腕を掴み、藍は引っ張られるようにして連れて行かれた。出かけ際に所長が言った。
「今日のクライアントは大切なお客様だ。粗相のないように頼むぞ!」少しおびえたような声で藍は「わかりました。」と返事をした。

 藍に不安が再び訪れた。話を持ちかけてきたときの所長と、今の所長ではまるで別人のように思えたからだ。この岸田という男も恐い感じたった。
藍は岸田に、どこへ行くのかもわからぬまま車に乗せられていた。
少し走ったら車はあるビルの前で止まった。岸田が「さぁ、着いたぞ。」と藍に言った。

 結構大きなビルだった。
「ここの会社のCMかなぁ?」
藍のイメージは、期待に膨らんでいった。が、それはすぐに打ち崩されることになる。

 二人はビルの中に入り、受付に岸田がなにやら話すとすぐに別のフロアに通された。
そこには撮影の機材やセットが用意されていた。
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「よく来てくれました。」そのフロアで二人が待っていると、そういって白髪の男とすこし若めの長髪の男が現れた。

 岸田が「どうもどうも、例のコ、連れて来ましたよ。」とへつらうように白髪の男に言った。
「思ったとおりだね。いい子だな。」と白髪の男が藍を舐めるように見ながら言った。
藍は悪い気はしなかったが、少しいやらしさを感じた。ただ「粗相のないように」と所長が言っていたのを思い出し笑顔を作った。

 白髪の男が言った。
「藍ちゃんだったね。私がここの広報部長です。彼はカメラマンの吉田氏・・」
紹介をさえぎるように長髪の男が「カメラマンの吉田です。よろしく。」と藍に手を差し出した。
藍も「よろしくお願いします」と手を出すと、吉田は藍の手をぐいと引っ張って引き寄せようとした。

 「きゃあ!」藍は驚き、吉田の手を振り払ってしまった。
「こらこら、おふざけはまだ早いよ。ははは」と白髪の男が吉田をあしらった。
「ごめんね、藍ちゃん。この男はかわいい子を見ると、すぐにふざけてこうするんだ。
吉田のせいで私の挨拶が遅れてしまったな。私は多田といいます。よろしく。」

 藍は多田の言葉ですこし冷静を取り戻したが、まだ胸がどきどきしていた。
「よ、よろしくお願いします・・」藍は少し引きつった様子で返事をした。
「ではあっちで打ち合わせをしよう。みんな座って・・・」
多田は終始落ち着いた声で会議室のような部屋に皆を集めた。

 「今回はうちの水着などのCMを頼みました。しかし最終決定を出すのは上層部なので、そのためのテスト撮影を行いたいので今日は来てもらいました。まず藍ちゃんにはとなりで着替えてもらって、さっきのスタジオで吉田氏に撮影をしてもらいましょう。」
藍は少し気を落とした。
「やっぱり水着撮影か・・」

 多田は続けた。
「では、スタイリストを呼びますので、藍ちゃんは着替えてください。我々は終わるまで外に出ていますかな。」
早速女性のスタイリストが現れ、藍を着替え室に呼んだ。
吉田はカメラの準備にかかり、多田と岸田は部屋から出て行った。

 「まずはこれを着ましょうか。」
スタイリストは藍にピンクの水着を手渡すと、そういってカーテンを閉めた。
藍は少しためらったが覚悟を決めて着ている服を脱ぎ始めた。

 「もういいですか?」
スタイリストは藍に声をかけたが、藍はまだ着替え終わっていなかったので慌てて「も、もう少し待ってください。」と言った。
「時間がありませんから早くしてくださいね。」と冷たい声でスタイリストは言った。

 藍は慌てて着替えると「あっ、いいです。終わりました。」
「じゃあ、あっちの部屋に行ってください。」スタイリストはスタジオを指差した。

    この作品は「ひとみの内緒話」 管理人様から投稿していただきました。

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「放課後の憂鬱」第1章「新しい仕事」(2) ジャック:作

第1章「新しい仕事」(2)

 藍はピンクの水着一枚の姿で、吉田の待つスタジオに入っていった。
着替えのとき慌てていたので気づかなかったが、藍の着たピンクの水着には胸のパットがなかったため、乳首が浮き出てしまっていた。

 「あっ!」藍がその事に気づいた時はもう吉田の前にいた。
藍は吉田に「あのぉ、この水着・・・」と切り出しだが、吉田はお構いなしにカメラを構えた。
「ごめんなさい! この水着じゃちょっと・・」藍は勇気を出してもう一度言ったが、吉田は冷たく「時間ないからさぁ、さっさとやろうよ。」と藍を遮り、撮影を開始した。

 藍は胸を隠すようにしてカメラの前に立ったが、「ねぇ、やる気あるのぉ?」と吉田に言われたため仕方なく手を下ろした。
藍は恥ずかしさで一杯だったが、「きっとこんなの見慣れてるんだ、気にしちゃいけないんだ・・」と自分に言い聞かせ、吉田の言うポーズをとった。
吉田は藍の乳首のことなど気にしていない様子で、シャッターを切り続けた。

 「じゃ、次の衣装ね。」
と吉田が言うとスタイリストが藍を手招きした。藍はスタイリストに「この水着って、パットとか入ってないんですか?」と尋ねると、呆れ顔で「あぁ、競泳用なのよ、これ。そんな事も知らないでここに来たの?」と見下すように藍に言った。
藍はあきらめてそれ以上要求するのをやめた。

 何枚か同じような水着の写真を撮ったあとで、スタイリストは藍に薄手のTシャツとぴったりしたパンツを手渡し、「次はこれに着替えて」といった。
藍は水着が終わったので、ほっとして着替えを始めた。

 着替え終わってカーテンを開けると同時に、スタイリストは藍に厳しい口調で言った。
「ちょっと、なんでブラしてるのよ!それにパンティも穿いてるでしょ?プロでしょ、あんた?!」

 藍は驚いた様子で答えた。
「えっ、ノーブラ、ノーパン・・・ですか?」
「当たり前でしょ? ラインが出ちゃったら台無しじゃない!」
「ご、ごめんなさい、すぐに・・」

 藍が答え終わる前にスタイリストはカーテンの奥に藍を押し込み、Tシャツに手をかけ脱がすとすばやくブラジャーをはずした。
藍の乳房があらわになり、手で胸を隠そうとしたが、スタイリストはすぐにパンツも下ろしにかかった。

 しかし「こ、こっちは自分でします・・」と藍は手を払いのけた。
スタイリストはあきれた様子でカーテンを閉めた。
藍は女性とはいえ、自分の衣服を脱がされたことにショックを隠せなかった。
少しして着替え終わるとカーテンを開け、吉田の前に行った。

 明るいライトが当たると藍はまた驚いた。
Tシャツから乳首が浮き出ているどころか透けてしまっていて、何も身に付けていないも同然だった。
しかもパンツは薄い黄色だったため、陰毛も透けてしまっている。
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 シャッターの連続した音に藍はまるで「犯されている」ような気分になり、その場にうずくまってしまった。涙も出てきた。
吉田が藍を気遣い「どうした?」と声をかけた。その声に反応して、藍はとうとう声を上げて泣いてしまった。

 多田と岸田が驚いた様子で部屋に入ってきた。
多田が「どうしたんだい? 藍ちゃん、何かあったのか?」と藍の肩を取り抱きしめた。
藍は泣きながら「な、なんでもありません・・」と答えるだけだった。

 「今日はこの辺にしようか、なぁ吉田?」と多田は吉田にいたずらっぽく合図した。
「まぁ写真はちゃんと撮れましたから、お嬢ちゃん、がんばったね。」と吉田も藍をなぐさめた。

 藍は少しだけほっとした。しかし涙は止まらない。
「どうした?」岸田が藍に聞いた。
藍は「こんな服、着たことなかったので、ちょっと・・」とべそをかきながら答えた。

 多田は「まぁ、これはテスト撮影だから、本番はちゃんと見えないようにするんだよ、それに今日の写真はすぐに破棄してしまうんだ。安心しなさい。」と藍に言った。
藍はまだ泣きながら「はい・・すみませんでした・・」と答えた。
多田と吉田はそんな藍を見て、不穏な笑みを浮かべていた。が、藍は自分のことが精一杯な様子で気づかなかった。

 岸田は藍に言った。
「そのうち涙なんか出したくても出なくなるんだから!」藍はその言葉の意味を、そのときは理解できなかった。
 
 「もうそのままうちに帰っていいからな。」岸田はそういうと、外に待たせてあったタクシーに藍を乗せた。
「で、でも・・」藍が何か言おうとすると、岸田はそれを遮り「所長には俺からうまく言っといてやるから、心配するな。」と藍の肩を叩いた。

 ドアが閉まると、岸田を残し藍だけを乗せたタクシーが走り出した。
藍が後ろを振り返ると、岸田は見えなくなるまでそのまま立っていた。

 タクシーの中で藍は、今日あった出来事を思い出し顔を赤らめた。
仕事とはいえあんな格好にならなきゃいけないなんて、でもあのくらいのことはあたりまえなのかな・・と思いを巡らせた。が、疲れていたためそのうち眠ってしまった。

 藍が目を覚ますと、タクシーは既に家に到着していた。
藍は車を降り、玄関へ向かった。が、すぐに足を止め、今の自分の顔を想像した。
「きっと泣いたのがばれちゃう・・」

 少し周りを歩いてから家に帰ろうと思い、足を反対に向けようとしたが遅かった。
玄関が開く音がした。
藍はびくっとして見ると、やはり秋だった。
秋には、秋にだけは見られたくなかった。

 「おねえちゃん、どうしたの?」秋は様子がおかしい藍に尋ねた。
「な、なんでもない。」何食わぬ顔で秋を振り切り、藍は玄関へ向かった。
「なんでもないって、目のあたり、はれぼったいよ。」秋は見逃さなかった。
藍はばつが悪そうに「なんでもないよ! ほっといてよ!」と秋に言い返した。
秋はすこしむっとした様子で、「どうせ仕事で叱られて泣いたんでしょ?」と意地悪そうに藍に言った。

 藍は秋を無視して洗面所で顔を洗い、自分の顔を鏡で確認した。
「だいじょぶ・・だね。」自分を納得させるかのように藍はつぶやいた。
「あ、そうそう、お姉ちゃんにって学校の友達がこれ置いてったよ。」と秋は封筒を手渡した。
「え、なんだろ?」藍はそれを受け取ると自分の部屋へ入っていった。

 封筒には本のように綴じたコピー用紙が入っていた。表紙に「愛の憂鬱」と書かれていた。
「あっ、脚本、もうできたんだぁ! 結構クサいタイトルだね。」と呟きながら、ページを開いた。

 文章は雑だったが内容はしっかりしていて、すぐ引き込まれていった。
兵役から脱走してきた恋人を匿い、自らが捕らえられ絶望するが、それでも愛しつづける、そんな内容だった。

 藍は今日の仕事場での出来事をすっかり忘れて読み読みふけっていた。が、半分ぐらい読んだ所で時計をみると、既に1時を過ぎていた。
「あっ、そろそろ寝なきゃ。明日が楽しみだな」藍はすっかり気分を取り直し、疲れていたせいもありすぐに眠ってしまった。

    この作品は「ひとみの内緒話」 管理人様から投稿していただきました。

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「放課後の憂鬱」第2章「写真」(1) ジャック:作

第2章「写真」(1)

 次の朝、藍の学校へ向かう足取りは軽かった。いままでこんな気分で学校へ向かった
ことがなかったので、ことさら嬉しかった。既に放課後のことで頭が一杯だった。
「よっ、おはよう!」藍の後ろから声が響いた。吉田だ。
「あっ吉田君、おはよう!」藍は元気に答えた。

 「昨日、休みだったね。本が大体出来たんで家に届けといたけど、読んでくれた?」
吉田は少年らしい無邪気そうな声で藍に尋ねた。
「うん、まだ全部読んでないけど、結構おもしろいね!」藍も楽しそうな声で答えた。
「じゃ放課後に、部室に来てね!」
「うん。じゃあ、またね。」
「あっ、今日は練習もするから・・・体操服に着替えて来てくれる?」
「うん、わかった。」
藍は嬉しかった。そして、待ち遠しかった放課後はすぐにやってきた。

*---

 放課後、藍は吉田に言われた通り体操服に着替え、部室へ向かった。暑かったので上は白の半そでのTシャツ、下はエンジのジャージ姿だ。
「こんにちは。」藍は部室に入った。
「よう!」吉田が返した。
部室には吉田を含め男子が三人いた。高科はいない。

 「あれ、部長は?」
藍がたずねると吉田が「高科先輩、今日は都合が悪いんだって。さちとゆうこは、本の手直しがあるんで家に帰ってやってる。」と説明した。
「ふーん。じゃあ今日はこれで全員かぁ。」
「そうだね。」

 人数が少なかったので藍は拍子抜けだったが、「こんな日もあるよ。」と吉田が間髪いれず答えたので、すぐに納得した。
「さぁ、はじめますか」ともう一人の部員、伊藤が切り出すと吉田と柴田も腰をあげた。
「うん、どうするの?」藍が質問すると吉田が答えた。

 「今日はまず設定の確認をしよう。今の本に合わせて動きとか、表情の確認をね。じゃあ藍ちゃん、あそこに立ってくれるかな?」吉田が指を指した方向に、机とライトがあった。

 「この辺?」
藍は指示された位置に行った。伊藤が藍の真正面にビデオカメラを設置しはじめた。
「え、もう撮り始めるの?」藍は驚き尋ねた。
「あぁ、機材のテストもするからさ。テープ入れてないから気にしなくていいよ。」吉田がそういって藍の方へ近づいてきた。

 「伊藤、位置はどうだ?」
吉田が藍の隣に立ち、藍の目線と同じぐらいにかがんでカメラを覗く伊藤に尋ねた。
「OK、OK。ばっちりですよ。」伊藤が答えた。
吉田の隣にいた藍には見えなかったが、吉田はなにやら伊藤に合図を送ったようだ。

 柴田は何気なくドアを閉め、遮光カーテンを閉じた。そして撮影用のライトをつけた。
部室は重苦しい光に覆われ、「取調室」のようになった。
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藍は少し不安になってきた。
暗い部屋、三人の男、ビデオカメラ。少女を不安にさせるには十分な設定だ。

 「どぉ、藍ちゃん。結構雰囲気出るでしょ?」
吉田はいままでより少し低めの声で藍に言った。
「う、うん。そうだね・・」藍も不安そうな声で答えた。
藍にライトが向けられた。すると陰影が藍の体のラインをはっきりと映し出し、妙に色っぽく映った。

 「どうすれはいいかなぁ。」
藍はこの場の雰囲気を少し明るくしたかったので、わざと子供っぽく尋ねてみた。
「まずねぇ・・・」
吉田が藍が不安になっているのを弄ぶかのように、ねちっこい声で切り出した。

 「ブラジャー取って、ノーブラの上に、じかにシャツ着てくれるかなぁ・・・」
(えっ、なんていったの)
 藍はしっかりと聞こえていたが「えっ?」と聞き返した。
「あとさぁ、下もジャージ脱いで、ブルマーになってよ。」
吉田はお構いなしに続けた。

 藍は驚いたがすぐに正気に返り、「なによぉ、ふざけないでよ。」と冗談ぽく返した。
「ふざけてなんかないよ。早くしようよ。ねっ、藍ちゃん。」
吉田は少し怖い顔で藍を見ていた。

 「で、できるわけ、ないじゃないっ!」藍は強く言い、吉田を睨んだ。
「ほんとにできないの?」
吉田は再度言ったが藍は「できないよっ! 帰るっ!」と吉田達の間を割ってドアへ向かおうとした。

 「ふーん、こんな写真はお金もらわないと撮らせないのか・・」
吉田は帰ろうとする藍の前に立ちはだかると、ポケットから取り出した写真を、手にぶらぶらさせながらそう言った。

 「えっ!?」
藍はその写真を吉田から奪うように取った。そしてすぐに蒼ざめた。
それは・・・昨日の仕事で撮られ、そして破棄されたはずの写真だった。しかも、藍もまだ目にしていなかった写真。
そこにはTシャツから乳首が、パンツには陰毛が透けた、想像以上にセクシーな藍が写っていた。

 「ど、どうして、あなたがこれを・・」
藍は吉田を睨み、尋ねた。しかし、声が震えてくるのが止められなかった。語尾がかすれていた。
「うちのオヤジさぁ、プロのカメラマンなんだよね。で、昨日藍ちゃん写したって言うから、見せてもらったんだぁ。それがこれって訳さ。・・・仕事では藍ちゃん、こんなにエッチなの撮ってるんだ。」
吉田は薄ら笑いを浮かべ、まるでなぶるように答えた。

 (すぐに捨てるっていってたのに・・・・)
藍はすぐにその写真を破り捨て、言った。
「そ、そんな訳ないでしょ! そんなの撮ってない! 撮ってないよっ!」
「でも、現に写ってるじゃん。俺たちにもエッチな格好、見せてくれるよね?」
吉田は他の数枚の写真も机の上に放り出した。
そこには、様々な薄い水着から乳首を立てた藍の姿があった。

 藍は顔を真っ赤にして「ふざけないでよ! できるわけないでしょ?!」と気丈に言い返した。
藍は写真を取りあげると、すべて破り捨ててドアに向かって歩き出した。
「ふーん、帰っちゃっていいんだ? 写真なんて破いたって無駄なのにね。ネガは俺が持ってるから、こんなの何枚でも作れるんだよ。みんなほしがるだろうな、藍ちゃんの透け透け写真。」

 吉田の言葉に藍は立ち止まり、震えだした。
「ネガ、返してよ・・」藍は泣きそうな声で言った。
「返してって? はははは・・・。これは俺のだってば。まぁ言うこと聞いてくれたら、返してあげてもいいけどねぇ。」
吉田たちは顔を見合わせ、にやりとしながらそう言った。

 「ど、どうすれば・・いいの・・・」藍はすこし下を向き震えていた。
「だっからさぁ、さっき言ったじゃん。まずブラ取ってよ。」吉田は笑いながら言った。
「ジャージも脱いでね。」すかさず伊藤が続けた。
「・・・わ、わかった・・・」
藍は躊躇いながら、Tシャツの中に手を潜り込ませ、するするとブラジャーを外した。

   この作品は「ひとみの内緒話」 管理人様から投稿していただきました。

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「放課後の憂鬱」第2章「写真」(2) ジャック:作

第2章「写真」(2)

 「さすが女優さん! 着替えは早いねー。さぁ、お次は下ね。」
吉田たちは囃しながら、着替えている藍を見守った。
藍はジャージに手をかけたが、そのままジッとしてしまった。手がかすかに震えている・・・。

 「早くしろよぉ。」
柴田がせかしたが、すぐに吉田が立てた人差し指を口に持ってゆき「しー」というポーズを取った。
「こういうのはさぁ、あっさり脱がれちゃおもしろくねーんだよ。わかってねーなぁ」と柴田をあしらった。
「そっか、そうっすね。さすが、吉田先輩!」柴田も納得し、静かに藍を見つめた。

 藍は今にも泣き出しそうな顔で、「・・いや。できない・・」と懇願した。
「でもさぁ、ブルマーになるだけじゃん。いいっしょ、別に。いつも体育の時なってるんだしさ。」吉田は追い討ちをかけるように言った。
「脱がなきゃ写真をさぁ・・・」安っぽい脅し文句を伊藤が言った。

 体育の時と同じ・・・確かにそうなのだが、三人のサカリのついた男に見られながらジャージを下ろすということは、まるで裸になるのと同じ感覚だった。
このままグズグズしていても・・・藍は覚悟を決めると、一気にジャージを引き下ろした。その拍子に勢い余って、下に穿いていたブルマーもずり落ちていた。
藍はすぐには気づかなかった。

 「おぉぉぉぉ!」
吉田たちは、お決まりの感嘆の声をあげた。
「藍ちゃん!」
吉田が藍に呼びかけると藍は「今度はなにっ?!」と強がった返事をした。

 吉田は続けた。
「怖いなぁ、せっかくブルマーずれてるの、教えてあげようとしてるのにさぁ。はははは。」
藍は驚いて下を向くと、かなりずれているブルマーに初めて気が付いた。
「えっ? あっ、きゃあ!」藍は慌ててブルマーを引っ張りあげた。
すると今度は引っ張りすぎて、ブルマーの下に穿いている白いパンティーが、足の付け根から出てしまった。
その上ブルマーは股間に激しく食い込み、藍の股間の形をはっきりと映し出した。

 「ははは、藍ちゃん、引っ張り過ぎだって。それじゃ、あそこの形も丸見えだ」吉田は嬉しそうに笑った。
伊藤と柴田は黙って見入っている。この光景を彼らは一生忘れないだろう。

 藍は少し足を開くと、股の付け根の部分から指を入れパンティをブルマーの中にしまいこんだ。この姿も、妙になまめかしかった。
やっと直し終わると、藍は胸を手で隠すようにして立っていた。

 吉田が言った。
「藍ちゃん、手をどかしてよ。せっかくのビーチクが見えないじゃん。あ、そういえばオヤジにも、そう怒られたんだってね?!」

 藍は顔をますます赤らめて下を向いた。
(一体、どんな親子なのよ!)そう思ったが、ためらいながらゆっくりと手を下ろした。
「そうそう、いいよ、藍ちゃん。男心をわかってるねー。」柴田が喜んでそう言った。

 「どうだ、ちゃんと撮れてるか?」
吉田が伊藤に、ビデオをチェックしろと合図した。
伊藤はビデオのファインダーを覗き込むと、「OK、ばっちりです!」と返事した。

 (えっ? 撮ってるの?)
藍はビデオが回っていたなんて思ってもいなかったので「や、やめて!撮らないで!」と吉田の腕を掴んだ。
「だめだってば。ちゃんと撮れるか、チェックしなきゃ。」吉田は笑いながら藍の手を振り払った。

 「さぁて、次はどうしてもらおうかな?」
吉田が他の二人を見て言うと、「水、かけませんか?」と伊藤が提案した。
「や、いやよぉ。・・・そんなの、いやぁっ」藍は泣きそうな声で言った。

 ますます吉田が面白がって「おっ、いいね、それ! 柴田、バケツに水汲んで来い!いっぱいな!」と柴田に言う。
「わっかりましたぁ!」とバケツを持って、柴田が走り出て行った。

 藍は震えながらうずくまっていた。両手でしっかりと胸を覆っている。
「藍ちゃんさぁ、どうしたんだよ! 座ってちゃだめじゃん。」
吉田はやさしげだが、棘のある声で藍に言った。

 藍はゆっくりと立ち上がると、無理を承知で懇願した。
「お願い! なんでもするから、やめて、ね、やめてよ。」
吉田は笑いながら「何でもするんでしょ? だからやめないよ~。」とからかった。

 柴田がバケツを重そうに持って帰ってきた。
「おせえよ! 早くこっちもってこい!」吉田が怒った口調で柴田に言ったが、「へいへーい。」とおどけた調子で答えて、笑いながらバケツを吉田の前に置いた。
「藍ちゃん、また手を下ろしてくれないかなぁ。でないと・・・」
さっきより陰険味を増した口調で、吉田が藍の耳元で囁く。
 
 藍がおずおずと手を下ろすと「では、伊藤君。提案者の君が、藍チャンをずぶ濡れにしてください!」と吉田が伊藤にバケツを手渡した。
「ありがたきしあわせです!」と軍隊口調で言うとバケツを受け取り、一気に藍に水をかけた。
「きゃあぁぁぁっっ!」ざばっという鈍い音とともに水がかけられ、藍はずぶ濡れになった。
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 藍の白い薄いTシャツは水を得て肌の色と同化し、胸は裸以上になまめかしかった。
赤いブルマーもパンティはおろか、陰毛までくっきりと浮かび上がらせていた。
「あぁぁぁ! み、見ないで・・・」
藍は耐えきれず、すぐにうずくまってしまった。

 吉田が藍に言った。
「あらあら、またしゃがんだぞ! 立てよ、立つんだよ! 約束だろっ!」
そこで振り返ると「おいっ、二人とも、藍ちゃんを立たせろ!」
「Ok!」

 伊藤と柴田が藍の両腕を持ち上げると、背の低い藍の足は宙に浮かんでしまった。
「やめて! やめてぇぇぇ! おろしてよぉ!」
藍は足をばたばたさせて抵抗したが、男二人の力にはどうすることも出来なかった。

 「さぁて、濡れた体操服は冷たいね。脱がしてあげよう。」と吉田が抱えられ宙に浮いている藍のブルマーに手をかけ、ゆっくりと下ろし始めた。
「やだ! やだ! やめて! 脱がさないでぇぇぇ!」
藍は泣きながら足をばたつかせたが、無駄だった。

 吉田の手が藍のブルマーを膝ぐらいまでおろし、パンティがあらわになったその時、ドアがドンドンと音をたてた。
「おい、なにしてるんだ!?」

 「やべっ、先輩だ!」
吉田たちは慌てたが、すぐにドアは開けられ、高科が現れた。
藍は二人の手から逃れ、ずぶ濡れでブルマーを下ろされた状態のまま高科に抱きついた。

 「ぶ、部長!」
「吉田、なにしてるんだ!」
高科は強い口調で吉田を問いただした。
「いや、そのぉ、カメラチェックを・・・」
「よしだぁぁぁっっ!」
高科は吉田を張り倒した。吉田たちはふてくされ、そのまま部屋から出て行った。

 高科は自分のシャツをすぐに脱いで藍に着せ、抱き寄せた。
「だいじょうぶ? ひどいことしやがって・・」高科は藍にやさしく声をかけた。
「・・・は・・い・・」藍は震えていたが、高科の声で少し落ち着いた。

 「でも、あいつら、本当は悪いやつらじゃないんだけど・・藍ちゃんがあんまりかわいかったから、からかいたかったんだよ。許してやってよ。」
「・・」

 「もう二度とこんなことさせないから! 約束するから、部を辞めるなんて言わないでくれ! 藍ちゃんは俺がなんとしても守るから!」
藍は高科の言葉に少し安心した。
そしてこの人を信じてみようと思った。
でないと藍のいる場所はどこにもなくなってしまう。ここが私の場所なんだ、そう思った。

 それは藍の初恋だったのかもしれない。
しかし藍の初恋は、ほんの一瞬の幻のような恋だった。

   この作品は「ひとみの内緒話」 管理人様から投稿していただきました。

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未知の星・別館



「愛と官能の美学」様より
いただきました。

ここは、赤星直也が管理している「未知の星・別館」です
本館へは、下記サイトで、
お確かめ下さい。

  「未知の星」

おことわり

この作品は全て空想で書かれており、実在の個人名、団体とは一切関係がありません。また、この作品の著作権は小説作者が所有してますので作品の無断転用もかたくお断りし ます。違反した場合は著作権法によって刑事罰と民事罰が与えられますのでご承知下さい。
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