未知の星・別館

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女武者受難

「女武者受難」第一話 夜更けの高野街道 Shrrock:作

おことわり
   この作品は全て空想で書かれています。実在の人名、団体とは一切関係があ
   りません。また、この作品の著作権は「Shyrock」が所有してます。
   作品の無断転用もかたくお断りします。違反した場合「著作権法」によって
   「刑事罰」と「民事罰(損害賠償)」が与えられますので、ご承知下さい。

     真田ありさ(18歳)      山賊首領・徳太郎<あご髭の男>
    真田幸村(47歳)       山賊手下・平吉<眉間に刀傷のある男>
    猿飛佐助(20歳)       山賊手下・捨蔵<黒い眼帯をつけた男>
    木村重成(22歳)       山賊手下・弥平<丸禿の男>
                      山賊手下・茂兵衛<鉢巻の男>
第一話 夜更けの高野街道

 慶長十九年(一六一四年)、大坂城重鎮木村重成からの命を受けた真田ありさは、ふところに密書を忍ばせ紀州高野山へと向かった。行く先は、関ヶ原の戦で西軍に味方して敗れたあと、信州上田を追われ高野山に幽閉の身となっている父真田幸村の庵であった。
 密書には次々に要求を押しつけてくる徳川家康に対抗するため、大坂城へ決起を促す豊臣秀頼からの檄文がしたためられていた。重成は密書が極秘中の極秘文書であったことから間者を使うことを避け、幸村の長女ありさにその大任を任せた。なお幸村の幽閉時ありさが女性であったことから大きな咎立はなく、故郷上田を追われたあと監視付きを条件に大坂城内居住が許された。そんな環境の中で育ったありさは幼い頃より剣術を嗜み男子も舌を巻くほどの腕前に上達し、やがては重成の目に止まることとなった。

 高野山麓九度山までの街道は険隘で人通りも少なく、山賊や追剥が出没することもあった。そこで重成は一計を案じありさに男物の着物と袴を着けさせ『若武者』に仕立てあげることにした。さらに若武者らしく髪型も前髪を眉の辺りまで左右に垂らし、後方は束ねて紐で結んだ。これで外見は凛々しい『若武者』の出来上がりとなったわけだが、身体の線の細さだけは如何ともしがたく、仕方なく腰にさらし布を二重に巻くことにした。

 四月十日寅の刻、春とは言っても夜明け頃はまだまだ寒い。重成は密かにありさを追手門から送り出した。本来であれば青屋口という裏門から出ていくのが目立たず好適なのだが、青屋口の方角が城の鬼門に当たるため縁起を担いであえて避けることにした。

「ではありさ殿、道中くれぐれもお気をつけて。幸村様には良しなにお伝えくだされ」

 ありさは重成に一礼すると足音を忍ばせ静かに追手門を出て行った。

◇◇◇

 高野山麓の九度山までは十五里。途中険阻な山道が続くためありさの脚だと三日はかかるだろう。
 ありさは下高野街道から高野街道へと抜ける道を選んだ。
 一日目は天王寺村から堺の小寺村を経て岩室村で宿をとり、二日目は市村から長野村を経て三日市宿で宿をとった。
 三日目、三日市宿を出て紀見峠を越え紀伊国橋本に着いた頃はすでに夜も更けていた。
 九度山まではあとどのくらい歩けば良いのだろうか。
 ありさは竹筒の水で口を潤すと休みもしないで先を急いだ。

 麓とは言っても山道に入ると人影もなくなり道も一段と険しくなる。早朝に宿を立ち夜更けまで歩き続けるとさすがに疲れがどっと押し寄せてくる。
 ありさは少し休息を取ることにした。
 座り心地のよさそうな岩に腰を下ろし、手拭いで額の汗をぬぐう。

「ふう……かなり歩いたなあ。あとどれぐらい掛かるのだろうか。明け方には着かなければ……」

 それにしても山道は暗い。辺り一面真っ暗だ。
 いくら剣に自信があると言っても、それは相手が見えての話だ。
 大自然が作り出す漆黒の闇が相手では剣など何の役にも立たない。

「それにしても暗いなあ……」

 しばらく休んでいるうちに、どこからともなく清涼感のある心地よい香りが鼻腔をくすぐった。その香りは凛とした夜のしじまの中に悠然と溶け込んでいた。高野山の深い森には針葉樹が多く、香りの源はこれら針葉樹だと思った。

 ありさは大きく息を吸い込んで、すくっと立ち上がった。

「先を急ぐとしよう」

 真っ暗な山道を一人足早に進む。父に会うという大義がなければとっくに心が折れて途中で引き返していたかも知れない。
 さらに恐怖は暗闇だけではない。一つ間違えば足を踏み外し深い谷へ転落するかも知れない。

「あっ、そうだ。確か松明が入っていたはず」

 ありさは布袋から松明を取り出した。松の樹脂(やに)の多い部分を竹と束ね先端に点火して照明として用いる。ありさは火打石を擦り火を起こした。松明の火が赤々と灯りわずかだが周囲を照らした。

「これでだいじょうぶだ」
 
 ありさの表情に安堵の色がよみがえった。
 再び歩き始める。
 
 それから半時ほど歩いただろうか。右側の藪からがさがさという物音がした。

「むむっ……!?」

 ありさの表情が突然険しくなった。右手に持った松明を高々とかざす。早くも左手が剣のつばに掛かっている。もし敵が現われたら、松明を投げ捨ていつでも剣を抜くことができる態勢だ。
 再び物音がした。先程よりも大きい。

「うわっ!!」

 藪の上の方から座布団のようなものが飛び出してきて、空を飛び、瞬時のうちに左の藪へと消えていった。
 
「な、なんだ、今のは!?鳥か……?」

 その時、どこからともなく人を食ったような笑い声が聞こえてきた。

「ぶははははは~!おまえはムササビを知らないのか?」
「な、何者……!?」
「ムササビと鳥を間違うとはな~、がはははははは~!」

 ありさの目の前にあご髭の男を筆頭に柄の悪そうな男たちが現れた。
 
「見たところ武者のようだがどこから来た?」
「……」
「ムササビを見ただけで驚くとはとんだ腰抜け武者だな~」
「身体はか細いし、へっぴり腰だし、もしかしたら剣もただの飾りじゃねえのか?何なら貰ってやってもいいんだぞ。ひゃっひゃっひゃっひゃっ~」

  この作品は 「愛と官能の美学」 Shyrock様から投稿していただきました。

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「女武者受難」第二話 山賊五人衆 Shyrock:作

第二話 山賊五人衆

 男たちは口々にありさを愚弄する。
 あご髭の男、鉢巻の男、眉間に刀傷のある男、鍔風の黒い眼帯をつけた男、丸禿の男など、五人のごろつき風の男たちが肩をいからせて歩み寄ってきた。
 ありさは一瞬怯んだが、彼らの威嚇に負けてはならないと、あえて虚勢を張ってみせた。

「貴様たちは何者だ」
「さあて、いったい何者だろうな。高野山のキツネかもな~、コンコン!」
「むむっ、ふざけるな!早くそこをどけ、先を急いでおる!」
「がははははは~!そう怒るなよ~。ところでこんな夜更けに急いでどこに行くつもりかな?高野参りには見えないが。なあ?若武者さんよ」

 幸い彼らの目にはありさが男と映っているらしい。
 ありさはわざと平静を装い、毅然とした態度で臨んだ。

「貴様たちに言う必要などない」
「ふん、なんだよ、偉そうにしやがって!」

 前方のあご髭の男とやり取りをしているうちに、いつの間にか二人が後に回り込み、ぐるりとありさを男たちが取り囲んでいた。
 いくら腕に自信があるとは言っても、相手は海千山千の荒くれども。しかも真っ暗闇は土地勘のある彼らに有利である。
 それでもここは絶対に先へ進まねばならない。父真田幸村のいる庵へ急がねばならない。

 ありさは口を真一文字に結ぶと、剣を引き寄せ鯉口を切って見せた。

「ん?おまえ、俺たちを切ろうと言うのか?」
「……」
「面白いじゃねえか。切れるものなら切ってみやがれ!」
「くっ……」

 ありさを取り囲む輪が次第に狭まっていく。
 男たちは古びた剣や鎌など思い思いの武器で身構えている。

「もし運良くお前がおれたちの誰かを切ったとしても、その隙にお前も叩き切ってやるから覚悟してろよ」

 あご髭の男が不敵な笑みを浮かべ凄んで見せた。

「なあ、悪いことはいわねえよ。今のうちなら勘弁してやるから、身包み脱いで置いて行きやがれ」

 彼らは物盗りが目的なのだ。

(冗談じゃない。ここで衣を脱げば、私が女だと言うことがばれてしまうではないか。ここは絶対に突破しないと……)

「断る」
「なんだと?金と衣だけで許してやろうと言ってるのに、俺たちに刃向うのつもりか?へ~、いい根性してやがるな~。おい、野郎ども!この若武者をやってしまえ!」

 親分とおぼしきあご髭男の号令で、突然、正面にいる鉢巻の男が鎌を振りかざしてありさに襲い掛かってきた。

(カチャッ!)

 ありさは目にも止まらぬ速さで剣を抜いた。
 白刃一閃、鎌を握った男の悲鳴が聞こえた。

「ぎゃぁ~~~~~~~~~~!!」

 男は絶叫とともに地面に倒れ込んでしまった。
 
 ありさはさらに剣を中段に構えた。中段の構えは、別名『正眼の構え』とも言われており、攻防自在で、相手のどんな動きにも対応しやすい構えと言われている。

 男たちの顔がにわかにこわばった。

「こ、こいつ、本気でやりやがった!く、くそ!やっちまえ~!!」

 続いてあご髭の男が剣で切りつけてきた。
 おそらくこの男が親分だろう。

(ガシッ!)

 男の剣をありさはがっちりと受け止めた。
 剣が合わさり、男がすごい力で圧してくる。
 刃は欠け落ち剣はまともな代物とは言えないが、そこそこ腕も立ち、何より力が半端ではない。
 ありさは、相手をはねのけようと試みたが、力ではとても敵いそうになかった。
 ありさはあご髭の男に圧倒されて、一歩、二歩と後退していく。

(く、くっ!何と言う馬鹿力!でもここは絶対に負けるわけにはいかないわ!ここを突破して早く父上に密書を届けなければ……)

 そう思った矢先、ありさの頭上に何やら網のようなものが落ちてきた。
 投網のようだ。

「な、何をするっ!?」

 投網は元々漁具として生まれた物だが、山間部の狩人が網を小型化して動物の捕獲用に用いている。
 一度網に絡められてしまうと行動力が奪われてしまい、内側から引き裂こうとしても思うように剣が振るえない。

「ひ、卑怯者!!ここから出せ!!」
「掛かったか~、愚か者め!!」

 ありさは懸命にもがくが、もがけばもがくほど網は身体に絡んでくる。
 四人の男たちが一斉にありさに飛び掛かり、剣を奪われてしまった。

「うわっ!!」

 網は取り払われたが、丸禿の男がすごい力で羽交い絞めにしているので身動きが取れない。

「は、放せ!」
「暴れるな!大人しくしろ!」

 眉間に刀傷のある男が胴体に荒縄を巻き付ける。

「何をする!やめろ!」
「怪我をしたくなかったらじっとしてろ!」

 ありさを縛り付ける手下を余所に、あご髭の男は余裕綽々でありさから奪った品定めをしている。

「ほう~、結構いい剣じゃねえか。これは貰っといてやるぜ。おい、お前たち!その若武者を身包み引っ剥がしちまいな!その着物なら結構いい値で売れるぜ!」
「へえ~、お頭!」
「あいよ!」

 抵抗を避けるためありさの足首にも縄が巻き付けられた。
 括りつけられた縄が引っ張られる。

「うわっ!」

 平衡感覚を失ったありさは思わず横転してしまう。
 ありさを押さえつけようとした眉間に傷の男の指が、図らずもありさの胸元に触れた。

「あれ……?」


  この作品は 「愛と官能の美学」 Shyrock様から投稿していただきました。

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「女武者受難」第三話 若武者は女!? Shyrock:作

第三話 若武者は女!?

 眉間に傷の男が突然いぶかしげな表情を浮かべた。

「おい、みんな……」
「なんだよ?」
「この若武者……男じゃねえぜ……」
「な、何だと!?女だと言うのか!?」
「どうして女だと言える!?」
「む、む、胸がある……」

 眉間に傷の男の一言に、あご髭の男は高笑いをした。
 あご髭の男は彼らの頭領で、名前を徳太郎と言う。
 また眉間に傷のある男は仲間たちから平吉と呼ばれている。

「馬鹿野郎~!胸なら俺にだってあるぜ!要するに胸が膨らんでるってことだろう?」
「そうそう、そうなんだ」

 険しい顔をしていた男たちがにわかに色めき立った。

「何?女だと?」
「へえ~、これは面白くなってきたじゃねえか」
「武者の割りに体つきが華奢だし、やけに肌が生白いので、妙だなあと思ってたんだ」

 黒い眼帯をつけた男がありさを覗き込むような仕草でぼそっとつぶやいた。

「おぬしはまことにおなごか?」
「ぶ、無礼な!私は男だ!」
「ま、後から分かることじゃ。急ぐことはなかろう」

 黒い眼帯をつけた男は名前を捨蔵と言い、元々は武士の端くれで言葉遣いにその名残をとどめている。

「へへへへへ~、これは願ってもない宝物が飛び込んで来やがったぜ~」
「女郎屋に売り飛ばすと結構な金になるぜ」
「それも悪くねえが、その前にたっぷりと可愛がってやらなきゃな~」
「そういえば最近女にとんとご無沙汰だぜ~。ひっひっひ~」
「がははははは~。よし、女武者を小屋まで連れていけ」
「や、やめろ!」

 ありさは一旦地面にうつ伏せにされ、捨蔵と平吉の肩に担ぎ上げられた。
 彼らから逃れようと懸命にもがいてみるが、後手に縛られたうえ両足首まで縄を巻きにされてはびくともしない。

「やめろ!どこへ連れて行く気だ!」
「いつまでも男を気取ってるんじゃないぜ。もう女だってことはばれてるんだから。後から女である証拠をちゃんと拝ませてもらうぜ。がはははは~!」

 それでも執拗に肩の上で暴れるありさに、男たちは手を焼いた。

「放せ~!」
「大人しくしていろ!大声で喚いてもこんな山中じゃ誰もこねえぜ。とっとっと諦めるんだな~」

 風が無く不気味なほど静まり返った闇の中を山賊たちは進む。
 時折「ホーホー」と言う梟の鳴き声が聞こえてくるが、当然ありさの耳には入らなかった。

 山賊たちに囚われ身動きもままならないありさは口惜しさに唇を噛みしめた。
 幸村が暮らす庵の傍までもう少しの所までやって来たと言うのに、不覚にも山賊に捕まってしまうとは何と言う身の不運だろうか。
 男たちは自分をいったいどこに連れて行こうと言うのだろうか。
 自分はこの野卑で汚らわしい男たちの玩弄となってしまうのだろうか。
 ありさの瞼から一滴の涙がこぼれ落ちた。

(生きて恥を晒すなら、いっそ真田幸村の娘として潔く死を選ぶべきではないだろうか……。いや違う、そうではない。私の使命は父上に密書を届けること。無事に届けるまでは死ぬことは許されない。隙を見て逃げるんだ……)

 真っ暗な山中をどれくらい進んだのだろうか。
 自分の足で歩いていないから距離感がつかめない。
 ありさの不安は募るばかり。

◇◇◇

 山賊たちが黙々と歩き続けて着いた先は古びた小屋だった。
 建物はかなり年季が入っており、軒に張った大きな蜘蛛の巣がひときわ荒んだ退廃感を醸し出していた。

「よし、着いたぞ」
「お~い、誰か明かりをつけろ」
「おお、すぐに点けるぜ」

 まもなく蝋燭が灯され、周囲が明るくなった。
 驚いたことに小屋の中は外観とは異なり意外なほどきれいに片付けられていた。
 おそらく日頃は彼らの棲み処として使っているのだろう。
 小さな土間の右端にはかまどがあり、左端には木こり用の斧が並べられていた。
 元は木こりが使っていた小屋だったのかも知れない。
 正面は板敷になっており一枚の畳すら敷かれてない。

「それにしても狭いなあ」
「仕方ねえじゃねえか。以前の隠れ処は役人に見つかってしまったんだし、当分ここで我慢しなくては」
「そうだな。雨露が凌げるだけでもありがたいぜ」
「お~い、いくら女でも担ぎ放しだと重いぞ」
「おお、悪い悪い、女はその辺に適当に転がしときなよ」
「よし」

 土間の平吉がありさを床に下ろすと、先に草履を脱いでいた捨蔵がありさを担ぎあげ部屋の隅へと運んで行った。

「ほれ、ここがおぬしの居場所じゃ」

 ありさは縛られたまま部屋の隅に乱暴に下ろされた。

「うっ、私をどうするつもりだ」
「さあ、どうしようかな?ははは~」

 男が乱暴にありさを床に下ろしたため、ありさは肩を打ってしまった。
 床が板敷きなのでかなり堪える。

「ううっ……」

 ありさは顔をしかめ捨蔵を睨んだ。

「なんだ、その目は?」
「おのれ……」
「我らに逆らうつもりか?」

 突然、捨蔵の平手がありさの頬に飛んだ。

「うっ!」
「もう一度そんな目で睨んだら今度は平手では済まないぞ!」
「ふん、何度でも睨んでやる」
「この~~~~~~!!」
「おい捨蔵、やめねえか」

 様子を窺っていた徳太郎が捨蔵を制止した。

「その女を殴るんじゃねえ!傷をつけると高く売れなくなるじゃねえか。よく考えやがれ、馬鹿野郎!」


 この作品は 「愛と官能の美学」 Shyrock様から投稿していただきました。

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「女武者受難」第四話 白磁の如き双丘 Shyrock:作

第四話 白磁の如き双丘

「すまぬ、頭領……」
「だがよ、可愛がってやるのはいいんだぜ。女って奴は磨けば光る珠のようなもの。可愛がってやれば色艶が良くなり値打ちだって上がるってもんだ。がははははは~!」
「ふうむ、さすが頭領、感服いたした」
「ちぇっ、捨蔵はいつまで武士を気取ってるんだか。早く山賊らしくなりなよ」
「全くだ。ひゃひゃひゃひゃ~~~。さあてと、女武者どの、ぼちぼち脱ぎ脱ぎしようか?」

 横で徳太郎と捨蔵の話を聞いていた丸禿の弥平がにやりと笑って、突然ありさに飛び掛かった。

「何をするっ!」
「可愛がっても構わないとお頭からお許しが出たんだ!早速脱がしてやるぜ!」
「や、やめろ!」
「脱がせる間だけ縄は解いてやるが、変な気を起こすんじゃねえぜ」

 弥平がありさの縄に手をかけたとき、徳太郎のドスの効いた声が飛んだ。

「おい弥平、油断するんじゃねえぜ。女と言っても茂兵衛を一刀で倒した奴だ。縄を解いた瞬間、お前の首がすっ飛ぶかも知れねえぜ」
「ひぇ~!お頭、そんなに脅かさなくったって。いくら腕が立つと言っても刀が無ければ木偶の坊でさ。それにしても茂兵衛があんな簡単にやられちまうとはな。おい女武者、後からたっぷりと茂兵衛のお返しをさせてもらうから覚悟してろよ!」

 徳太郎が神妙な顔で言葉を続けた。

「全くだ。茂兵衛は可哀想なことをしたな。本来ならこの女武者を血祭りにあげて茂兵衛を弔ってやりたいところだが、あいにく俺たちは『義』よりも『利』を重んじる集団でな。お前を売り飛ばして金にする方が茂兵衛の供養になると言うもの。ふふふ、心配しなくても命は取らねえよ。だけど、女として死ぬよりも恐ろしい目に合わせてやるぜ。おい、お前たち、この女武者を素っ裸にひん剥いてしまえ!」

「お~~~っ!」
「任せとけ!」
「承知した!」

 男たちはありさの着衣を脱がしにかかった。

「や、やめろっ!」

 ありさに抵抗をさせないため、捨蔵が背後に回り込みありさを羽交い締めにし、平吉と弥平がありさの手甲(てっこう)と脚絆(きゃはん)を取り外しにかかった。

「ふふふ…気が変ったぜ。脱がすのは俺に任せろ」

 脱衣はすべて手下に任せ自身は高みの見物かと思われた頭領の徳太郎だったが、突然手下たちを制し自分が女武者を脱がせると言い出した。
 すぐさまありさの正面にどっかりと陣取ると、眼を輝かせ舌なめずりをしながら品定めをし始めた。

「ふうむ、暗がりの中だとよく分からなかったが、こうしてじっくりと眺めてみるとかなりの上物じゃねえか。ぐふふふ……」

 含みのある徳太郎の不気味な笑い声に、ありさは不吉な予感を禁じ得なかった。

 徳太郎はにやにやと笑いながら、ありさの胸元の合わせをぐいと広げた。

「うっ、よせ!」

 胸元を開くと、白磁のように白い肌が覗いた。

「ほほう、抜けるように白い肌をしているじゃねえか。こりゃあ堪らねえぜ。ぐふふふ、ぐふふふ……」

 ありさは胸元にかかった徳太郎の手を払いのけようと、身体を揺すって抵抗を試みるが後から羽交い締めにされていて思うように動けない。
 徳太郎は胸の合わせをさらに広げた。
 ありさはこの日、濃紺の着物を着用しその下に白の襦袢を着け、さらに胸のふくらみを隠すため木綿のさらしを巻いていた。

「ほほう、胸に布を巻いて乳を小さく見せようとしていたのか?がははははは、何とも健気だぜ!なあ、みんな」
「まったくだぜ~!それで男だと騙そうとするとはこりゃ愉快だぜ~、ひゃっひゃっひゃっ~!」
「ふん」

 ありさは男たちをきっと睨んだ。

「どこまでも強気な女だぜ。だけどその強気がどこまで続くかな?おい!この女が暴れねえようにしっかりと押さえてろ!」
「へい~!」
「ほいきた~!」
「承知!」

 男たちの腕が一斉にありさに伸びた。

「うわ~~~!!や、やめろ~~~!!」

 三人係りでありさを押さえつけ、徳太郎が衣類を剥がしていく。
 四人の男たちに掛かられてはひとたまりもなく、瞬く間に半裸にされてしまった。
 胸のふくらみを覆っていた木綿のさらしも、筍の皮のようにいとも簡単に剥かれていく。

「くそ~、面倒臭いものを着けやがって。手間が掛かるじゃねえか」
「ぐふふふ、だがよ~、手間が掛かる分愉しみも増すってもんだぜ」
「左様じゃのう」

 身体を捻じって抵抗するありさだが、強靭な力で押さえつけられてはなすすべもない。
 幾重にも巻かれたさらしもついに全て解かれてしまい、真っ白な乳房が現れた。
 乳房は見事に完全な半球を描いている。
 白磁の如き美の双丘とはこのような乳房を言うのかだろう。
 乳首はそれほど大きくはない。
 そしてなぜか重力の影響をほとんど受けていないように見える。
 二つの乳首はきれいに上を向いている。
 陽光を求める蔓性植物の新しい芽のように。

kinbaku

「ぐふふふ、小ぶりだがたまらねぃいい乳をしてるじゃねえか。なあ?女武者さんよ」
「さ、触るなっ!!け、汚らわしい!!」

 正面から徳太郎が両の乳房を鷲掴みにしてきたが、他の男に身体を押さえつけられていて払い除けられない。

「そう嫌がるなって、いくら揉んだって減るもんじゃねえんだし。ぐふふふ、いい感触だ。おい、お前たちも揉んでやれ」
「へっへっへ、じゃあ、おいらも」
「それがしも」

 周囲からまるで触手のように野卑な手が伸びてきた。
 いずれの男もよく日焼けして黒光りしている。
 色白なありさとは対照的な色彩均衡を醸し出している。

「や、やめろ~!」
「『やめろ』じゃなくて『やめて』だろう?がははははは~!」
「もう女だと言うことはお見通しなんだから、いい加減男気取りはやめれば?」
「ぐふふふ…まあいい、後からたっぷりと艶っぽい声でよがらせてやるからな」
「これは愉しみじゃ」

 そのとき突然背後からありさの首に太い腕を絡まってきた。

「ううっ……くっ、苦しいっ……」
「へっへっへ~、殺したりはしねえから安心しろ。生まれたままの姿にひん剥いてやるから、ちょっとの間大人しくしてな」
「うううっ……」

 ありさが首を絞められ苦悶の表情を浮かべている間に、たっつけ袴の紐が解かれていく。
 たっつけ袴は日常の袴とは異なり、武者の旅用で歩きやすいよう裾が絞られていたため、脱ぐのにいささか手間が掛かった。

 この作品は 「愛と官能の美学」 Shyrock様から投稿していただきました。

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「女武者受難」第五話 ありさのふんどし姿 Shyrock:作

第五話 ありさのふんどし姿

 手間とは言っても厳重に荷造りされた荷を解くのとは違い、女武者の袴を脱がせることなどたやすいことであった。
 まもなくたっつけ袴がありさの下半身から引き摺り下ろされた。

「おおっ!」
「何と!?」
「ふんどしを締めてやがるじゃねえか」
「こりゃ珍しいや」

 当時ふんどしは男性専用の下着であり、女性がふんどしを着ける習慣はなかった。当時女性が下着として着けていたものは襦袢や腰巻であった。
 ところが今回ありさが袴を穿くことになり腰巻は不釣合いだったため、真っ白な六尺ふんどしを締め込むことになったのだった。

「ほほう~、女だてらにふんどしとはこりゃ驚いたぜ!がははははは~!」
「俺も多くの女を脱がしてきたが、ふんどしを締めた女は初めて見るぜ!こりゃいいや!」

 徳太郎がありさの凛々しいふんどし姿に仰天すると、手下たちも徳太郎につられるように囃し立て手を打った。

「ふんどしは武者としての正装だ。お前たちにとやかく言われる筋合いはない」
「ふふっ、どこまで気取ってやがるんだ。ふんどしはチンポがぶらぶらすると落ち着かねえから男がするって決まったもんなんだぜ。それをマンコしか持ってねえお前が締めて何の意味がある?それとも何か?お前もしかしてマンコじゃなくてチンポが着いてるんじゃねえのか?」
「うつけ者。左様なことはあり得ぬ。この美しき乳房を見よ。いずこから見たとておなごではないか」

 平吉が蝋燭を持ちありさに近づけた。
 男たちはありさのふんどし姿をまじまじと覗き込む。
 弥平に至っては、鼻がくっつくぐらいにありさの乳房に接近している。
 男たちは一様に野卑な笑みを浮かべ舌なめずりをしている。
 我慢ができなくなった弥平がぽつりとつぶやいた。

「お頭、男か女かはっきりさせたいし、いっそこのふんどしをひん剥いて白黒つけやしょうか?」
「いや、ちょっと待て。その前にこの武者に聞いておきたいことがある」

 徳太郎は逸る弥平を制して、ありさのあごを摘まんでにやりと笑った。

「ふふふ、まだお前の名前を聞いてなかったな。名前は何という」
「……」

 ありさは一瞬徳太郎をキッと睨んで、すぐさま顔を背けてしまった。

「そうか、言いたくないか。まあいいだろう。ではもう一つ聞くが、お前が女だとして、どうしてわざわざ男装をして高野山に来たのだ?理由を言ってみろ」
「……」
「素直に答えれば手荒なことはしない。どうだ話さねえか?」
「ふん、すでに手荒なことしているではないか」
「なんだと?正直にしゃべらねえともっと恥ずかしい目に遭うことになるが、いいんだな?」
「好きにしろ」
「ほう~、なかなか肝が据わってるじゃねえか。だがよ、でっかい口を叩いて後で吠え面かいても知らねえからな」
「ふん」

 ありさには彼らから辱めを受けることより、もっと震撼すべき事があった。
 それは彼らに密書が見つかってしまうことである。
 幸いなことにありさが隠し持っている密書の存在に男たちはまだ気づいていないようだ。
 旅立つ前夜、ありさは念のため襦袢の裏地に密書を縫いつけておいたのだ。
 命を賭しても父幸村のもとへ密書を届けなければならない。
 長年離れて暮らすことを余儀なくされてきたため一度も果たせなかった父への孝行。もしかしたらこれが最初で最後となるかも知れないが、是が非でも果たしたかった。
 不幸にも山賊たちに捕らわれてしまったが、たとえどんな屈辱を受けようともじっと耐え忍び、父幸村に秀頼公からの檄文を伝えなければならない、と心に誓ったありさであった。

 入山の理由を話そうとしないありさに、徳太郎は目を吊り上げて凄んでみせる。

「どうしてもしゃべらねえつもりだな?」

 業を煮やした突然徳太郎はありさが締めている六尺ふんどしの縦褌(たてみつ)に指を掛けた。
 六尺ふんどしの縦褌は秘部を隠すために少し幅広に締め込むものである。
 縦褌を鷲づかみにした徳太郎はぎゅっと握りしめた。

3-28

「よ、よせ!何をする!」

 いきなり縦褌を掴まれたありさは狼狽している。

「ぐふふ、お前が男ならば俺の手の中にチンポの感触がなけりゃならねえ」
「確かにその通りじゃ。で、この武者の股間には肉の感触がござったか?」

 手下たちは徳太郎の次の言葉に注目している。
 徳太郎はぽつりとつぶやいた。

「ない……」
「やっぱり女だったか~、そりゃそうだよな~、このふくよかな胸で男はねえよな~、わはははは~」
「こりゃ今夜はたっぷりと楽しめそうだぜ!」
「それがしのせがれが騒ぎ出したでござるぞ」
「そう焦るな、お前たち。その前にこの女武者の名と男装までして高野山へやって来た目的を白状させなければな」
「……」

 縦褌をむんずと掴んだまま、徳太郎はありさに顔を近づけた。
 ありさは口をつぐんだままで徳太郎から目を逸らしている。

「ぐふふ、どうしてもしゃべらねえって言うなら、ここに聞いてみるより仕方ねえか」

 徳太郎は掴んでいる縦褌をぐいっと引き絞った。
 ふんどしは縦褌を絞られると臀部の後縦褌まで引きつってしまい、おのずと麻布が股間に食い込んでしまう。
 縦褌はふんどしを着用する時点で初めからよじって締め込んであるので想像以上に堪える。

「ううっ……」

 徳太郎ははありさの顔を舐めるように覗き込みながら、縦褌をぐいぐい絞り上げる。

「どうだ?割れ目に食込んで痛いか?」
「うううっ……」
「この程度なら男の場合さほど痛くはないが、女はさぞかし痛いだろうなあ~」
「何のこれしき……」

 ありさは眉根に縦皺を寄せて耐えている。

 この作品は 「愛と官能の美学」 Shyrock様から投稿していただきました。

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未知の星・別館



「愛と官能の美学」様より
いただきました。

ここは、赤星直也が管理している「未知の星・別館」です
本館へは、下記サイトで、
お確かめ下さい。

  「未知の星」

おことわり

この作品は全て空想で書かれており、実在の個人名、団体とは一切関係がありません。また、この作品の著作権は小説作者が所有してますので作品の無断転用もかたくお断りし ます。違反した場合は著作権法によって刑事罰と民事罰が与えられますのでご承知下さい。
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