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街並みのチカラ

東京下町を拠点に見慣れた風景をマニアックな視点で見つめ直し、人を惹きつける街の条件を探っていきます。

商業施設

12 9月

夕闇に溶け込む UENO3153(サイゴウサン)

 
夕刻の「3153」。植栽部分の淡いライトアップが上ほどよいアクセントになってかなりオシャレです。まだちょっと街から浮いた感のある昼の姿より、むしろ夜景の方が風景に溶け込んでる感じがしますね。
昨日の記事では上野の街並みにおける景観上の影響ばかり語っていたので、今回は理屈抜きに綺麗な「3153」の夜景写真を何枚か、それと、テナント情報やプレスリリースにある施設の見所などもいくつか抜粋して紹介します。


 

上野経済新聞 (8月7日)  より抜粋
3階には老舗洋食店の「精養軒」、海鮮日本料理店の「さつま魚鮮」が、2階には牛たん「ねぎし」、焼き肉「叙々苑」、「ペッパーランチ」が出店。1階は「ファミリーマート」、フードコートとして「ロッテリア」や「コージーコーナー」が営業するほか、地下1階には「銀座ライオン」「旭鮨」、地下2階には「鳥よし」が入る。 入居するテナントのほとんどが飲食店で、同組合は「公園の規制の関係で飲食店以外は入居することができない。数多くの飲食店に集まってもらったことで、ここに来ればカジュアルにおいしいものが食べられるという顔ぶれになった」と自信を見せる。



ということで、これで上野でメシを食う選択肢が格段に広がります。しかし、公園の規制の関係で飲食店以外は入居できないって・・・、どういう規制なんだろう?ここは本来公園の敷地の一部だから、公園内にある売店のような扱いということ?飲食以外の物品って公園内で売ってなかったっけ・・・?、まあ、いいや。上野は他の主要ターミナルと違って、小奇麗で気の利いた飲食店の数が絶対的に不足してる感があるので、この施設が飲食店ビルになるのは街の魅力を向上させる上で正解だと思います。



一階の繁華な光と、2階、3階の淡い、灯籠のような間接的な光の質感のコンビネーションがとても気持ちいい。ずっと眺めていたい気にさせます。昼間の写真では見えませんでしたが、夜になって明かりがともると一階では開店直前の準備に追われる店内の様子が伺えました。



これはロッテリア?店員のミーティングでしょうか。1階はファストフード系やコンビニがメインのようですが、庇の上の植栽のライトアップと内装の光がマッチして、なんかどこにでもあるロッテリアの店とは一味ちがうプレミア感が漂っていますね。実際他の店と差別化してるかどうかは知りませんが。
まあ、全体的にカジュアルな店ばかりのようですが、ちゃんとした食事をとる店は2、3階と地下に入るようです。


  
西郷さんが見守る屋上テラス。オープンにあわせて、西郷像も毎日ライトアップされるそうです。それもただ明るく照らすだけでなく、相当に凝ったもののようです。

「UENO3153」報道資料
より抜粋
・・・沖縄県の首里城などを手がけた照明デザイナーの近田玲子さんと東京芸術大学彫刻家の深井隆教授に協力をもとめ、ライトアップ計画を進めてきた。白いLED)光器1台を使い、最も効果的な角度や場所に照明を当て西郷さんを浮かび上がらせる。夕方は夕日のような柔らか味のある色見、次第に白っぽい色見に、さらには月の光のように青みがかった色見、調光する。これで陰影が鮮明になり、銅像も引き立ち、色の変化も楽しめる。近田さんも「光の色を変えることで、西郷さんの温かい人柄や、青白い光で国を行く末を決断する厳しさなどストーリー性がだせる」と語っている。いずれにしろ昼間の西郷さんとは一味もふた味も違った西郷さんが楽しめそうだ。

と、いうことなんだそうで、今まで、日が落ちると薄暗くてちょっと怖かった感のあった西郷さん回りも、これからはオシャレなデートスポットとして使えそうです。
ところで、ライトアップで「温かい人柄」や「国の行末を決断する厳しさ」まで表現できてしまうなんて・・・、いったい、どんだけすごい照明ワザなんだろう!? (てゆうか、西郷さんて「温かい人柄」だったの?)
 


大通りにもダイレクトにつながる屋上出入口はテラスの両脇に2箇所設置。ところで、このテラスは、西郷さんが仕えた「島津光久の別邸・仙厳園」をイメージし、わざわざ鹿児島から取り寄せた植物が植えられているんだそうです。一見どうということはない屋上テラスですが、こちらも随分とこだわりを持って作られているようです。



さらにもうひとつこだわりの一品。江戸・明治のころの上野の様子を描いた、タイル製の錦絵です。
「UENO3153」報道資料室より
東側塔屋壁面に、タイル製の巨大な浮世絵、明治錦絵が登場する。国立国会図書館のデジタル化資料「東都名所 上野東叡山全図」(江戸期)と、「東都名所之内上野山内一覧之図」(明治期)を、許可を得て複製しタイルに焼き付けたもの。60㎝四方のタイルを縦に4枚、横に8枚つなぎ合わせ、それぞれ縦2.4m、横4.8 mの巨大な精密タイル画として常設展示する。「東都名所上野東叡山全図」は、上野の寛永寺創建時の模様を広重が描いた浮世絵。「東都名所之内上野山内一覧之図」は上野公園で第二回の内国博覧会(明治14年)が開催された模様を河鍋暁斎が描いた作品。江戸から明治へ、上野の歴史を象徴する2枚のタイル画は、西郷さん銅像前の新たな魅力となりそうだ。  

これは一見の価値がありそう。実に上野らしい粋なアイテムですね。待ち合わせの時間に眺めるのにちょうどよさそう。



通りを挟んだヨドバシカメラ前から。ガラス張りのカーテンウォールから放たれる店の光はギラギラ感もなく上品です。
昼みると、まだあまり茂っていない植栽部分がまだ「板についていない」印象を与えるんですが、夜はそこに控えめなスポットライトが当たることで、やわらかい造形が投影されていいアクセントになっていること、それとちょっとケバイ印象のある、縦のラインの赤色が見えなくなって全体的にシンプルな色使いに見えること、このへんが夜の方がよりオシャレにみえる理由ですかね。

理屈はさておき、新しいランドマークの誕生で、上野の夜景が一気にグレードアップしました。


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11 9月

UENO3153(サイゴウサン)は上野の森に溶け込めるか?

長いこと工事してた上野駅前・西郷会館跡再開発施設が、「UENO 3153」 として、今週末ついにオープンします。

新名所「UENO3153(さいごうさん)」、9月15日オープン(流通ニュース 8/28)
上野広小路商業協同組合は9月15日、上野公園に複合商業施設「UENO3153(さいごうさん)」をオープンする。上野の西郷さん銅像直下にファミリーレストラン「聚楽台」が営業するビルとして、長年上野のシンボル的存在であった上野公園「西郷会館」をリニューアルオープンするもので、2010年から解体・工事に着工していた。


上野駅不忍口前からの様子。このように非常に横長の建物で、上野駅の高架のすぐ前に位置しているため、全体像を撮影するのはかなり苦労します。

それはともかく、上野の街のファーストインプレッションを決定づけるこの立地に、このようなエコ志向でポストモダンなデザインの商業施設が誕生するのは喜ばしい限りです。
年齢的に渋谷や新宿の雑踏がだんだん苦痛になり、かといって銀座や丸の内では気取りすぎていて・・・、しかし、駅前に「西郷会館」がデンと居座る昔ながらの上野ではちょっと泥臭すぎて他の繁華街に代替するには役不足・・・、そんな私のような40代・東京の東の方在住の人にとって、上野が「適度に」垢抜けてくれるのは大歓迎なのではないでしょうか?(笑)


 
(流通ニュース)より引用
外観は全面ガラス張りの斬新なデザインを採用。2階、3階には壁面の特設のプランターを配置、常緑のヘデラを植栽、2本の緑の帯が横に広がる工夫をした。
3階から地下2階まで人気グルメ店、老舗料理店が出店し、3階には西郷像にゆかりの店名の「海鮮料理薩摩魚鮮」と、上野の森の老舗フランス料理店として知られる「上野精養軒3153店」が出店する。(以下略)

ということだそうで、21世紀になってもずっと「戦後」の雰囲気を残していた上野駅不忍口前の雰囲気は一変しました。壁面緑化のグリーンのラインが公園の緑と連なり、このすぐ背後に広大な上野公園の森が広がっていることを、駅を降り立った人に視覚的にアピールする演出のようです。



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18 4月

東急プラザ表参道原宿 本日オープン


 

表参道 東急プラザ開業 ファッション 緑と一体に
(東京新聞2012年4月18日 夕刊)
高級ブランド店がひしめく東京・表参道と、若者向け普段着の店がそろう明治通りが交わるファッションの中心地、渋谷区の神宮前交差点前に、商業施設「東急プラザ 表参道原宿」が18日、オープンした。  地上7階、地下2階の延べ約1万2000平方メートルの施設内に、日本初上陸となる米カジュアルブランド「アメリカンイーグルアウトフィッターズ」など国内外で人気の衣料、雑貨27店が入る。3階には、旬のブランドショップが1カ月単位で次々と入れ代わり出店する場所もある。  ケヤキ並木で知られる表参道と調和するよう、屋上には木々に囲まれた庭園を設置。いすを置き、都会のオアシスとして自由に散策できるようにした。  開業式典で、開発した東急不動産の金指(かなざし)潔社長は「緑豊かなこの場所を日本、世界に向けた一大情報発信地にしたい」とあいさつした。


ということで、昨日、渋谷方面に行く用事があったので、帰りに見てきました。
交差点に面したメインエントランスは、ミラー仕上げの多面体で、なんとも派手で未来的ですが、表参道の並木に面した側は、落ち着いた色合いの、独立した路面店のような作りにしていて、欅並木とマッチしています。「トミーフィルフィガー」の旗艦店のようですね。
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31 3月

さようなら新宿三越アルコット

 
新宿三越アルコット(旧三越新宿店)が本日(間もなく)閉店します。閉店後、この建物はビックカメラになります。
「新宿三越アルコットが閉店へ 跡地は最大級ビックカメラ」(Fashionsnap.com News 2011. 5.12)

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22 3月

公示地価で丸ビルが銀座に並んだそうです。(「丸の内永楽ビル」は、なかなかイーヨ!!)

「地価日本一、丸の内が銀座に並ぶ 大型開発で活気 ー12年公示地価ー」
日本経済新聞 2012/3/22/22:14
今回の公示地価では、6年連続で地価の最高地点となっている東京・中央区銀座の「山野楽器銀座本店」に、同・千代田区丸の内の「丸の内ビルディング」が並んだ。丸ビルが首位になるのは2006年以来。周辺では大型ビルの開発が今も進む。ビル間の競争が活気をもたらし、地価下落にブレーキをかけた。  山野楽器が前年と比べ2.2%下げたのに対し、丸ビルの下落率は1.8%。丸の内周辺は特区指定を受けて容積率が緩和され、今年も「丸の内永楽ビルディング」「パレスビル」など大型ビルの完成が続いている。


3月21日撮影の東京駅前(丸の内オアゾとJR高架の間から南西を臨む)。
写真右端が今回公示地価日本一となった「丸ビル」。左側が修復再生工事の進む東京駅赤煉瓦駅舎のネギ坊主屋根。その向こうに見える青いガラス張りのビルは、東京中央郵便局跡再開発「JPタワー」。高層部の外観はすでに完成しています。(この写真では赤煉瓦駅舎に隠れて見えない低層部の旧郵便局舎保存再生部分も大分姿を表していました。その様子は近々記事にしてアップします。)

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