アケボノソウ

東京都立川市のあけぼの綜合法律事務所のブログです。 JR中央線立川駅北口から徒歩6分。 初回法律相談は無料です。 (平日日中のみ。30分。事前に予約をしてください。TEL042-512-9737)

中小企業法務、相続・遺産分割や離婚事件等の家事事件に力を入れ、多数取り扱っています。
http://akebono-sogo.jp/

弁護士の鳥生です。
前回、北欧視察報告は最後だと書きましたが、思い残したことが…。
フィンランドに続き、アイスランド番外編。

フィンランドから、飛行機で3時間半程度でアイスランドに着きます。

ふと外に目をやると、飛行機の影のまわりにまるい虹(ブロッケン現象)!

そして、着陸が近づくと、窓外に広がる荒涼とした大地!
DSC_0551
一緒に行った弁護士が、「地の果てに来た…」とつぶやきましたw
「地の果て」感は、飛行機を降りてからも小一時間、
DSC_0556
市街地に入るまで続きました。

フィンランドもアイスランドも、どこに行ってもリコリス菓子がいっぱい。
アイスクリーム屋さんにあったリコリスアイスの灰色はインパクトがありました。
試食させてもらったら意外といけたのでSalted Licoriceを。
ちなみに、サルミアッキは一生にいっこ食べれば十分です。
DSC_0579

アイスランドでは、自炊ができるアパートメントに宿泊したので、
外食をしたのは、現地の方へのインタビューを兼ねたお食事会だけでした。
なので、ここぞとばかりにアイスランドのものを。
パフィンの燻製。
DSC_0710
アイスランドのマスコット的な鳥です。
かわいい。おいしい。
stockvault-puffin136701

ほぐしたタラとマッシュポテトのグラタンのようなもの。
アイスランドの家庭料理だそうです。
でも、これはしょっぱかった…
塩気を控えめにすれば、家でも作れて子どもが喜ぶメニューになりそうです。
そして、クジラのステーキ。
アイスランドは、日本と同じくクジラを食べる文化があるそうです。
DSC_0711
DSC_0712

それ以外の日は、近くのスーパーで買い物をして自炊して過ごしました。
いつもの味に近い食事で、長期にわたる旅の疲れと海外にいる緊張感がだいぶ緩みました。
スーパーに行くと、
おみやげ物屋さんで感じる以上に、アイスランドの物価の高さを痛感しました。
ブロッコリーを買いたかったのだけど、900円近くして断念(泣
他方、野菜も果物も、日本のようにきれいなものばかりじゃない(これはお店によるかも)。
それからキャベツが、すごく、固い!(笑
キャベツは、煮るときには細切りに、炒めるときには下ゆでが必要。生では食べられなさそう。
次にアイスランドのキャベツを調理する時のための備忘に(笑
Skyrというアイスランドのヨーグルト(…と思っていたら、実はチーズらしい)は、濃厚で、粘性のある水きりヨーグルトという感じ。
プレーンよりもベリーなどのフルーツ味がついているのが気に入って、毎朝食べました。

レイキャビク市内を歩くと、どこもかしこも工事中で、
DSC_0798
DSC_0786
きっと次に行った時には、街の雰囲気ががらりと変わってるんでしょうね。

ブロッケン現象から始まり、お天気がくるくる変わるアイスランドでは、虹を何度も見ました。
DSC_0606
DSC_0643
バスに揺られながら、ひたすら広がる溶岩台地を、
あるいは轟々と氷河から流れくる水を眺めていると、
日常の悩みやらストレスやらが、
そしてそれらにキリキリする自分がちっぽけに感じます。
そんなことを考えてると、どしゃーっと雨に降られて、
もやっとしてたのが洗い流されて、
気が付いたら虹が出てる、みたいな。
なんだか不思議と、穏やかに心地がいい場所でした。

レイキャビクを発つ日の早朝にはオーロラに見送られて、
DSC_0803

2週間にわたる長く、充実した北欧視察が無事終了しました。



弁護士の鳥生です。
視察報告ブログはこれで最後にする予定です。
最後のテーマは、アイスランドにおける同一労働同一賃金制度について。
私個人としては、これが今回の北欧視察のもっとも重要なテーマでした。
アイスランドでは、2017年6月に「女性と男性の平等な地位と権利に関する法律」(以下、「平等法」といいます)が改正され、同一価値労働・同一賃金の認証制度が定められました。
長くなりますが、せっかくなので立法の背景、経過、制度概要についてご紹介したいと思います。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1 立法の背景
日本(を含めほとんどの国)では、性による賃金差別があることを、それを主張する労働者の側が証明しなければなりません。
(「立証責任」といいます。証明ができないと、主張されている事実はない、と評価されます。)
しかし、その立証は非常に難しいものです。
また、賃金差別を主張して交渉をしようとしたり、さらには訴訟をしたりすると、
えてして、それを主張する個人が職場内で「厄介者」扱いをされることが少なくありません。
そういうこともあり、性による賃金格差は長く解消されない状況が続いています。
これは、実はアイスランドでも同様でした。
そして、この問題を解決するために、アイスランドでは、一定規模以上の企業等団体すべてに同一労働同一賃金システムの認証を受けることを義務化したのです。

2 立法の経過
この法改正に至るまで、
2008年の平等法の改正(福祉省が、労使双方の当事者団体と協働して、同一賃金に関する政策実現に向けた特別なツールや証明制度を開発することが定められた)、
2012年の同一賃金に関するアクションプラン(2012~2016年)の策定、
ワーキンググループの設立、
そして、2017年6月1日に上記平等法の改正法が成立、
2018年1月1日に施行と、
実に10年がかりで、この画期的な法制度の準備をし続けていたのです。
(さらにいうと、これは、1975年から、アイスランド国内の女性が団結して行動し続けてきたことの成果でもあります。このことについては、また機会があれば…)

3 法制度の概要
・25人以上の従業員を擁するすべての民間企業・公的機関等の団体が、同一労働・同一賃金の基準を満たした給与システムを持ちこれを実践していることにつき査定を受け、基準を満たすことを認証するために交付された証明書をジェンダー平等センターに提出しなければなりません。
・給与システム等の査定にあたっては、同一「価値」労働の評価についての基準が別に定められています。
*ごくごく簡単に言うと、専門的なスキルの有無、業務上の責任の有無、業務上のストレスや労働環境、経験・学歴等の個人的な要素など、それぞれの要素に一定のポイントを割り振り、業務ごとのポイントを算出して、合計ポイントが同じであれば同一「価値」の労働とされるのです。
この基準により、オフィスでのデスクワークと水産加工工場での仕事も同一「価値」労働かどうかの比較が可能となり、平等に賃金が支払われているかを評価できる仕組みになっています。
・認証を受けられない場合や定められた更新ができない場合には、日割りで罰金が科されます。
・企業等の規模によって証明書を提出する期限が定められていて、2021年の年末までには、対象のすべての企業等が証明書を提出しなければならないと定められています。

つまり、アイスランドは、2022年までに、性別による賃金格差を撲滅しようとしています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

アイスランドというと、世界経済フォーラムのジェンダーギャップランキング9年連続1位の国です。
そのアイスランドであっても、賃金格差をはじめ不平等が現にあります。
今回のチャレンジによって、賃金格差は解消されるのか、
そもそも「ジェンダー平等」は制度によって実現されうるのか、
今後の変化や影響を見ていきたいと思っています。

弁護士の鳥生です。
少し時間があいてしまいました。
今日は、フィンランド・アイスランドにおける「性教育」「ジェンダー教育」「平等教育」について書きたいと思います。
でもその前に、なぜ弁護士が「教育」?ということについて少し。

私個人の経験を振り返っても、
社会に出て働いて、結婚し、子どもを産み育てて、というそれぞれの過程で、「女性として」求められるあり方にぶつかって悩んだり、
同時に、それが思いのほか自分自身に深くしみこんでいて、選択肢が見えなくなってしまったりしていました。
自分に、周りの大人にしみ込んだ価値観、「ジェンダーバイアス」を、
無意識のうちに、子どもたちにしみ込ませてしまうことに強く問題意識を感じています。
この連鎖を、断ち切らないといけないと思っています。
それには、積極的に、子どもたちに性について必要な知識を伝え、
また、人権とは、平等とは、どうあるべきものかを考えられるようになるための教育が必要です。
性教育の必要性を主張する声と、性教育バッシングの両方が大きく聞こえる昨今、
「デートDV予防」の出前授業を通して、人権と性の平等を伝える法教育活動を行っている立場から、
北欧諸国でこれらのことをどうやって教えて、ジェンダー平等社会を支える価値観を育てているのかを学びたいと考え、視察をコーディネートしていただきました。

フィンランドでは、ジェンダー学・性教育の研究者であるユッカ・レヘトネンさんに、
アイスランドでは、小中学校を視察して校長先生・教頭先生にお話を聞きました。

しかし、「どんな科目で?」「どんな教材を使って?」「何か特別なカリキュラムが?」と聞く私たちの質問と、返ってくる回答は、いまいちかみ合いませんでした。
フィンランドでもアイスランドでも、主に「健康教育」「保健」の科目で、生殖機能も含む身体の仕組みから、性行為、性病、さまざまな避妊の方法や中絶についてまで、非常に詳しく教えています。
フィンランドでは性教育は必修化されており、ユッカさんは「正しい知識を知ることは、性病・望まない妊娠などから子どもたちを守るために必要だ」とおっしゃっていました。
教育予算の削減によって性教育が必修でなくなった時期には、若者の性病罹患率が上がったというデータがあり、再度、必修化されたそうです。
対象年齢についても、「教えるべきでない年齢はない。その子が理解できる言葉で説明をするべき。」と。
うん!うん!納得です。
ただ、これは正直、予想の範囲内なのです。
それだけではなく、なにか「平等」を説く教育が行われているのではないか、と質問を繰り返す私たちに対して、
「様々な場面でその大切さを繰り返し伝えている」「特別なプログラムはない」を行ったり来たり。

これこそが、私たちの凝り固まった「偏見」でした。
「教育」とは、授業で、教科書を使って、先生に教えてもらうもの、という。
モヤモヤしながらもしつこく質問を続けるうちに、
「個人がそれぞれ平等に尊重されること」「性別で差別されないこと」は、
授業の中で、ましてや教科書を使って教えられるのではなく、
「さまざまな機会、方法で子どもたちの意見を聞き、それにもとづいて学校生活をすすめる」こと、
そして、「日常の学校生活の中で、性別で子どもたちを分けることはしない。そして、教師はそれがとても大事なことだと考えている」という先生たちの態度によって教わり、学んでいるということがようやくわかりました。
主権者教育についても、同様です。
視察した小中学校では、学校生活について議論をする会議には、校長、教師、保護者、地域の代表者に並んで、生徒の代表者が出席し、
生徒代表は、会議に先立って各クラスを回ってみんなの意見を聞き、会議でそれを発表し意見を述べるのだそうです。
クラスでの話し合いの時間がたくさんあって、それに基づいて学級運営がなされているのだそうです。
そういう、民主的な学級運営・学校運営によって、民主的な社会の仕組みを学んでいくのです。

学ぶべきは、子どもじゃない。
私たち、大人なんですよね…。

「テキストを持って帰れないか、なんて、浅はかだったね…」と苦笑いをしつつ、
日常生活でバイアスを引き継がせてしまう社会と、
日常生活で平等のあり方を受け継ぐ社会と、
社会全体の意識の違いの大きさを改めて実感したのでした。

長くなりましたが、最後まで読んでくださってありがとうございました。

このページのトップヘ