美しいこと(下)
美しいこと(下) (Holly NOVELS)
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美しいこと(上) (Holly NOVELS)
木原音瀬 / 日高ショーコ
楽天→美しいこと(上)
bk1→美しいこと(下)
このお話、攻めさまの寛末の評判がサイテーですよねぇ。優柔不断だの、ずるいだの、鈍くて無神経だの。いい噂を聞いたことがないわけですが、私、案外平気だったんですが……。私はズレてるのかなぁ?

松岡洋介(まつおかようすけ)は週に一度、美しく女装して街に出かけ、男達の視線を集めて楽しんでいた。ある日、女の姿でナンパされ、散々な目に遭い途方に暮れていた松岡を優しく助けてくれた男がいた。同じ会社で働く、不器用、トロいと評判の冴えない男、寛末基文(ひろすえもとふみ)だった。女と誤解されたまま寛末と会ううちに、松岡は「好きだ」と告白される。松岡は、女としてもう会わないと決心するが…。
受けちゃんの松岡が健気で切ないとお聞きし、やっとの事で重い腰を上げポチッたわけですが、ポチるのにえらく作業を伴いました。だって、通販だとことごとく品切れだったり出版社に問い合わせだったりして、すぐに発送してもらえそうになくて。探して探して、やっと見つけたんですよ〜。

で、届いた夜「もう寝ようかなぁ〜?」と言うような時間に、つい読み始めてしまったのが運の尽き。とりあえず(上)を読み終えなきゃ寝られませんでしたよ……。それくらいはまりました。
次の朝起きて(下)を確認したら、『美しいこと』自体は、下巻の1/5ほどしかなかったんですね。あ〜、ちゃんと確認してから寝たらよかったと後悔しました。
残り4/5は、寛末視点の書き下ろしの『愛しいこと』でした。

『美しいこと』
営業マンの松岡は、仕事が出来るだけに半同棲していた女性に逃げられ、仕事のきつさも相まって、彼女が残していった化粧品や洋服で女装する楽しさを覚え、とうとう女装で外出するまでになりました。
そんなある日、一緒に飲んだ男性にホテルに連れ込まれます。松岡は酔っていたので、裸にされるまで気が付かなかったんです。裸にしたとたん、ホテルに連れ込んだ男性は、松岡に怒り出し殴るんです。隙を見て逃げ出した松岡ですが、ようやく服を着ただけの状態で、裸足の上、携帯電話も財布も忘れ、誰にも連絡が取れず(女装しているため、連絡は取れなくても仕方がないのですが)、途方に暮れているところを助けてくれたのが、同じ会社で働く寛末でした。

何も聞かず、寛末はお金を貸してくれたので、何とか自分のマンションまで帰ってこられた松岡は、もう女装はしないと決めます。
が、借りたお金や靴を寛末に買えそうと思ったら、やっぱり女装は不可欠なんですね。
そのままズルズルと、女装をして寛末と出会うようになる松岡。とても美人な松岡のことが、寛末はすっかり好きになってしまいます。
もちろん、好きになったのは容姿だけではなく、しっかりとした意見や考えを持っていたことも好きになったところでしたが。

『好きだ好きだ』と優しく大事にしてくれる寛末のことを、松岡もいつしか愛するようになります。でも、女装もいつかはばれる、早く本当のことを言わなくっちゃ……と追いつめられるような気持ちにもなっていくわけです。

寛末から「隠していることはありませんか?」と尋ねられる松岡。江藤葉子(松岡の偽名)の部屋に松岡が入っていくところを、寛末は見てしまったので、同棲しているんだと勘違いをしてしまったんですね。
いろいろといいわけをする松岡でしたが、

「本当にあいつがどんなでもいいの?」
「彼女が彼女である限り愛せます」

そういいきった寛末なのに、松岡が本当のことを告白すると、速攻逃げ出してしまいます。姿形より心に惹かれますと言っていた寛末なのに、男だから愛せない……と。
みなさん、この辺がどうも許せないみたいですが、私は「そりゃ仕方がないよねぇ」でした。見た目も美しく、心も素敵な女性だったからこそ好きになったのであって、男を好きになったんじゃないんですもんね。ゲイでもバイでもないなら、男性を好きになるという選択肢は、なくて当然じゃないでしょうか。

BLの王道なら、「貴方だから好きになった」ちゅ〜ことで、男でも無問題で速攻ラブラブになるんですが、さすが木原さん、そう簡単にハッピーエンドにはしてくれません。

松岡から逃げ出した寛末のことを、やっぱり愛し続け想い続けるんです、健気に。
これまでは寛末が松岡(江藤葉子)のことを積極的に追いかけていたけれど、今度は立場が逆転。いつまででも待つと、寛末のことを追いかけ始めます。
見た目もいいし仕事も出来る松岡が、ここまで寛末のことを想い続けるのが不思議でした。惚れちゃった方が負け……って言うのはよくある展開ですが、その展開の最たるものだなぁ〜と感じました。
寛末って、特技があるわけでもないし、見た目を気にしないから野暮ったいし、仕事もリストラ候補に挙がるくらいだし。(結局リストラされちゃうんですが、30代半ばで)
そんな冴えない男に、ここまで惚れちゃうのはなぜ?
固執することで、どんどん傷ついちゃって。いや、傷つけられて……でしょうか。

寛末も、ここまで松岡に惚れられちゃってるって言うことが、心地よかったんじゃないかなぁ。自覚しているのかしていないのかは?ですが。
結局、松岡のことが気になって仕方がない寛末は

「好きだと思うんだ。だから、もう少し待って。ちゃんと松岡さんに好きだと言えるまで」

ここまでが雑誌掲載分で、書き下ろしの寛末視点『愛しいこと』へと続きます。

自分の気持ちを確かめたい寛末。好きは好きなんだろうけど、男性と言うことが引っかかって、今一歩踏み出せないんですよね。
グルグル悩んでいる間に、寛末はリストラを告げられ、松岡は出世します。自分より年下の松岡に、嫉妬してしまう寛末。同じ男として、いろいろと思うところがあるわけですね。こんな情けない自分を、なぜ好きだと言えるのか、どうしてこんなにも拘るのか、男としての差を感じるだけに、余計意地になっている気もしました。

リストラされてしまった寛末は、結局部屋を始末し、実家へ帰ることにします。その話を人伝に聞いた松岡は、慌てて寛末のところまでやって来ます。『すがりつく』と言う言葉がぴったりなシーンでした。出来るいい男代表の松岡が、あんなにさえない男代表の寛末に固執するのが、マジでびっくりでした。
引っ越し先の住所も教えることなく、松岡を捨てた寛末。

実家へ帰って、のんびりと家の仕事を手伝う毎日。そんな生活が、松岡とのことを改めて考えるきっかけになったんですね。
元同僚から結婚式に招待され、上京することになり松岡に連絡を取ろうとしたら、携帯やメルアドはすでに解約されており、住んでいたはずの部屋もすでに他人が入居していました。
もはや松岡と連絡すら取れない状態になってしまって、どれだけ松岡のことが特別だったのか?と言うことに気が付きます。
だって、再会して一緒に行ったカフェで、寛末が口にした吸い殻を、松岡が自分の携帯灰皿に入れた意味をちゃんとわかったんですよね。きっと、まだ東京にいた頃なら、絶対に気が付いてないよねぇ……って思いました。

でも、遅いよ〜〜〜!
まぁ、何とか間に合ったからいいけど。それでも、松岡の傷つき具合は、半端じゃなかったはず。
とは言うものの、知り合ったきっかけがきっかけだけに、寛末ひとりを責めるのも酷というものじゃないかなぁとも思うんですよねぇ。
だからといって、無意識とは言えここまで松岡を傷つけてもいいという免罪符にはなりえませんが。

いまいち大きな声で『ハッピーエンドです!』というラストではなかっただけに、下巻で応募できる、番外編に応募しなければ……という使命感でいっぱいです。
今後のこのふたりが、いったいどんな風にラブラブしているのか確認しなければなりません!
あとがきでは、同棲生活に入りバカップルになっていると書いてありますが、この目で確かめなくっちゃ。

メルフォレス
 ・『同級生』高校生ならではのお話で。 >キラキラ、ピカピカ、真っすぐは、アダルトカップルにはない輝きですよね。 そうなんですよ、高校生だからこそ許されるお話だと思いました。どうやら、雑誌で連載が続いているみたいなので(チラシの雑誌の表紙を見るとそれらしい題名が載っていた)、続きの本が出るのを楽しみにしています。レモン味のキス、同意していただいて安心しました。苦笑

WEB拍手お礼
 ・3月1日2時頃、ポチッと押していただいた方、ありがとうございました。遅くに遊びに来ていただいて、ありがとうございます。

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