2012年07月29日
「民主党いらない」コール、国会正門前で
29日の熱い夜、国会議事堂を包囲する大規模集会が行われた。午後7時を期して、国会正門前コーナーに設けられたビールケース4個を束ねただけのメーンステージに、国会議員らが次つぎと立って短いスピーチをした。
最初に「さようなら原発1000万人アクション」を呼びかけたルポライターの鎌田慧さんが立って、「若者たちが原発のある社会はキタナイと感じて行動しているんです。国会議員は原発を無くすために働いてほしい!」と声をふりしぼった。
(写真1)
民主党の首藤(すどう)信彦・衆院議員がマイクを握って、『3.11は神の絶妙な采配のおかげだった』と妙なことを言い始めたと思ったら、『1か月も早かったら、東北は壊滅するところだった』と続けた。
河野太郎(自民・衆)、森ゆう子(新党「国民の生活が第一」・参)、志位和夫(共産・衆)、などの国会議員に続いて、少年がマイクを握り、『ぼくは12歳です。国会議員はぼくたちの意見も聞いて下さい』と叫んだ。筆者は心の中で、<自分たちの声が届いてないと、もどかしさを感じるこれだけの市民が集まって声をあげている。間接民主主義は市民の要求を政治に反映できなくなったのだろうか?>などと思いをめぐらせているうちに、銀杏並木の方でざわめきが起こり、機動隊員が左右から駆け寄った。
交通規制が突破され、国会正門へ向かう広い車道があっという間に埋めつくされた。
(写真3)
全学連と染め抜いた大きな赤旗を先頭に早大、明大などの文字が見える旗が国会正門に向かってゆっくりと前進していた。一瞬、いやな感じがよぎる光景だった。
(写真4)
『直ぐに歩道に上がりなさい』と指揮車の上から警察官l。主催者の『警察官の指示に従ってください』という呼びかけが交錯した。車道を埋めつくした人波はその場に止まり、それ以上の混乱はなかった。
大規模集会は午後8時きっかりに終了した。多くの参加者は、プロ野球の観戦を楽しんだ野球ファンのように、いっせいにそれぞれの地下鉄駅に向かった。
『7.29国会大包囲集会』と呼ばれるこの集会は、毎週金曜日の官邸前抗議集会を主催する首都圏反原発連合によって、数か月前から計画されいたという。この日の午後、日比谷公園を起点に行われた脱原発デモの参加者が国会周辺に移動して合流した。主催者によると参加者は20万人という。
写真1=「これは歴史的な事件です!」と叫ぶルポライターの鎌田慧さん=7月29日、国会正門前で、矢山禎昭撮影 以下同じ
写真2=「民主党、帰れ!」コールを受ける首藤信彦・民主衆議院議員
写真3=警察の規制を突破して、国会正門前に緊張が走った
写真4=国会正門前の路上を埋めつくす人波