透析人生

長期透析(45年)を生きる

透析針

15ゲージ針の効果は?

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 念願適って15ゲージ針の使用が許可され、最初の検査結果が出たので透析効率を出してみた。

 血流は300ml/mで変えずに針を太くした効果を検証した。

 KT/Vでは1.57⇒1.76 で0.2ポイントのアップ、気になっていたリンは6.0⇒5.0とほぼ正常範囲に下がった。(食事内容、炭カルは従来どおり)

 なによりも変化を感じたのは、透析後の爽快感であろうか、身体の芯から毒素が抜けた感じで、二日空きの月曜日の透析前でもアンモニア臭は全く無く、快適である。38年目にして味わった本当の透析の味であろうか。こんな事ならもっと早くから太い針を使用すべきであった。

 しかし、疑問がある。KT/Vの比較ならAPS-SAの4型の方が効率は高く、1.9〜2.0はあった筈、なのに体感的には現在の5型DZの方が気分が良い。想像だが、今まで全く抜けなかった、多分3万ダルトン近辺の大分子尿毒素が透析量が増えた結果、除去されてきたのかも知れない。

 針の太さと血流の限度を考えると、

 17Gでは、180ml/mまで

 16Gでは、250ml/mまで

 15Gでは 350ml/mまで  

 かな? 

 17Gで200ml/m以上ポンプを回しても意味が無いどころか、有害な陰圧がかかり宜しく無いようである。

  

17ゲージ針は透析には向いてない

 

 かねがね不審に思っていた事がある。それは、殆どの透析クリニックで使用されている透析針の太さの事である。透析者の希望からか、又はシャントの保護からなのか良く分からないが、17G以下の細い針の需要が殆どで16G以上の太い針の需要は少ないようだ。特に15G以上となるとメーカー在庫は無く、受注生産であると聞く。

 

 つまり、透析針は17G、18Gが殆どであると言う事である。何故、このような細い針が一般的になってしまったのでしょうか。ベテラン看護師に聞いてみると、昔は16G以上の太い針を使っていたと言う。多分、透析膜が改良され効率がよくなった事を契機に穿刺痛を避けるために細くなってしまったのであろう。

 

 透析針の太さと透析効率についてあるクリニックの実験データーがあったので抜粋してみました。

 

 標準穿刺針の設定血流量200ml/分での実血流量mean±SD は、

 

15G 196.9±0.61ml/1.6%減 4hHDで 4 分減、

16G 193.7±0.90ml/3.2%減       8 分減、

17G 177.6±1.75ml/11.2%減           27 分減で

あった。

 

 【結論】

穿刺針の径が適正値より過少であれば、表示どおりの血流量が得られず、透析効率への影響が懸念される。

 

 小生の経験では、5時間、血流250ml/m,で透析針を17Gから16Gに変えた結果KT/Vが1.6から1.9に上がった経緯がある。しかるに、上記実験でも分かるように17G針は血流200ml/mにおいてさえ11.2%ものロスがあり、時間に直すと四時間透析で27分も損をしていると言う。たとえこの針で五時間透析をしても、実質は四時間半程度しか透析していないことになる。

 

 また、ある病院の報告では以下のような臨床例も言われている。

 一部抜粋(コピペ)

 

 

まとめ

脱血針に17Gと18Gを使用した際の平均脱血圧はそれぞれ、−174mmHgと、−234.4Hgで、18Gにおいて有意に上昇した。

 透析前後で、17G群と比較し18G群では、LDHの有意な上昇を認め、パプトグロビンの低下の傾向を認めた。

 

考察

今回、血液流量を200ml/mに設定し、脱血針に17Gと18Gを使用し検証した。血液流量が上昇するにつれ、17Gにおいて強い脱血圧がかかることが考えられる。過度な陰圧を避けるため脱血針に16Gの検討も必要である。

 

結語

17G群と比較し18G群では、脱血圧の上昇を認め、溶血を来たし安いことが示唆された。脱血圧の過度な上昇を避けるため、穿刺針の選択が必要である。

 300ml/m以上の高血流では、15G以上の太い針が安全であると考えられる。


 

 つまり、今巷の透析施設で一番人気の17G針は透析針としては失格であると言うことである。


参考文献

 

「穿刺針の径が血流量に与える影響」

医療法人社団王子会王子クリニック

福井隆一森清政行鄒美千代

 

「穿刺針が赤血球に与える影響」

   −脱血圧と溶血について-

医療法人社団 スマイル博愛病院

広島大学医学部

 

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livedoor プロフィール

Akizy

 1972年9月ネフローゼ悪化で透析導入、長期透析による全身アミロイド症を発症、手根管手術8回、肩手術1回受けております。

 2004年から脊柱管狭窄症で歩行ままならぬ状況ですが、全身性アミロイド症を少しでも改善すべく、より良い透析を模索しております。

 現在は5.5時間、血流400でオンラインHDF透析を受けております。

連絡先 aki63@ma.medias.ne.jp