2012年10月15日

スノーピークLAGO(ラゴ)という山岳テント 半年使用して

個人的な記録として始めたこのブログなのに、断トツに読まれている記事がある。

今年4月21日に掲載した、スノーピーク社製の山岳テント「ラゴ」に関する記事だ。

このテント、正式発売が4月21日(私は前日に銀座の好日山荘で入手した)だったようで、そのあと山岳雑誌をしばしばみていたが、どこにも紹介記事を見かけない。ちなみに私は『山と渓谷』誌を定期購読しているが、コラム程度にも扱われたことがない。ファミリーキャンプメーカーとしてのスノーピークは工夫をこらした商品企画で目をひくが、山ヤさんからは一人前に扱われていないのだろうか。

しかしこうして、このブログで4月21日のラゴの記事だけがアクセス数がコンスタントに増えているということは、興味あるひとが尽きぬいうことの証左かも知れぬ。

そう思っていたら、このテント、今年のグッドデザイン賞を受賞した。審査した側には、おそらく山ヤさんの視点は少ないと思うが、しかし少しは注目度が上がるかも知れぬ。

私が4月21日の記事を書いた時点では(まさかこんなに読まれるとは思っていなかった)、山でのテント泊の経験が無かったという負い目がある。バイクツーリングならば、たぶん100泊くらいはやっていると思うが、そんなのは山に通用しない。

しかしその後、何度も山へゆき、縦走をおこない、数えてみるとこのテントで15泊を経験し、それなりに使ってきた。まだまだ経験が浅いが(著名ガイド氏によるとテントは100泊してみないと評価できない、という)、それでも少しは参考になればと思い、いまの私の「ラゴ」の状況などを書いてみたいと思う。私も山道具の選定に多くの方々のブログを大いに参考にさせていただいた。

初キャンプは試用を兼ねていたので芝生のあるファミキャン場だった。ようやく二回目に初の山キャンプ、雲取山でおこなった。

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その後、八ヶ岳や

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(赤岳が見えるキレット小屋にて)

北アルプス縦走

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(燕山荘テント場にて)

豪雨に耐えたこともあり

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(八ヶ岳の高見石小屋)

強風もあり

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(八ヶ岳の黒百合ヒュッテ前)


こんな素晴らしい光景に出くわしたり

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(北ア 蝶ヶ岳)

湖畔で静かに

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(八ヶ岳の双子池)

ラゴの美点のひとつは、半ダブルウォールながら、ドアパネルをあけるとすぐに外が見えること

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テント内でくつろぐとき、案外ホッとする。それと写真を撮ろうと寝たまんま外のチェックができるのは、大変ありがたいのだ。

そして混雑したテント場では

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(八ヶ岳 オーレン小屋)

ぜったいに他人とカブらない

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(北ア 西穂)左手前からふたつめ

一人用は狭いというが、このサイズで生活するのだと決めてしまえば何とかなる

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さて、状況を書いておく

まずは、インナーテント。ポールスリーブのところから4カ所、ガイライン(張り綱)が出ている

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張るとき、テントポールをドアパネル側からポールスリーブに通すのだが、向こう側(ドアパネルと反対側)のスリーブ終端の手前、ガイラインの付け根のところでポール先端がひっかかることがある

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これに気がつかず立ち上げようとすると、見事にポールを曲げてしまう

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また、立ち上げるときポール先端をグロメットに差すのだが(要領が必要)、このときポール先端がこのように分解してしまうことがある

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さて、このポールスリーブが裂けたことがある

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自分で当て布で修復しようかと思ったが初期ロット特有の現象かと思い二子玉川にあるスノーピークショップに持ち込み修理を依頼したところ、二週間ほどで同種の当て布で修復されてかえってきた

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費用は3000円少々。ショップの対応は快かったが修理完了をあらわす伝票は渡されなかった。伝票にはユーザー向けのメッセージが書いてあったようだが。

当初、このスリーブの裂けは材質不良かと思っていたがメーカーとしては「あり得ない」現象なので有償となったのであろう。私もここでつまらぬクレームをつけたくない。持ち帰ってよく考えてみると、私はテントを洗って乾燥させるとき、このような格好でやっている

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取説によると「するな」という格好だ。写真では下が芝生だが、拙宅でやるときは下が駐車場のアスファルト。すなわち路面と接するところで裂けたようだ。これはメーカーとして禁止していることをユーザーがやって出来た現象だから有償となっても仕方ない。しかしテントの洗浄と乾燥は必須だ。だから再発防止のためスノコをひいて洗浄し、乾燥時は地面から浮かすようにしている

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しかし最近、スリーブの数カ所にピンホール状の穴あきができてきた

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私は他メーカーのスリーブ式テントを持ったことがない。特に生地が薄いタイプには、このような症状は常にあるのだろうか

さて、テント内部に移る。これはドアパネル側から後方をみている

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半ダブルウォールのテントは結露が必至のようだ。前後パネルの指さしている部分は必ず結露する。乾燥状態であったのは、いままで1〜2回くらいである。写真では下の黒い部分(ここは後ろパネルとのあいだで袋状になっていて、結露して落ちてきた水分が溜まる)の一部が白くなっているが、これは結露したあと霜に変わっている状態である(10月上旬、北ア 蝶ヶ岳テント場の朝)

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またサイドのこの切り返し部分も必ず結露する

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しかしサイドパネルと、グランドシートの立ち上がり部分(いわゆるバスタブ部)には結露をしたことがない

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この性質を知ったので、私はテント内で荷物や衣類の置き場を特定できるようになった

いずれにせよ、このテントは結露がつきものであり、シュラフカバーは必須である。また強い雨が前後パネルをたたきつけると、その衝撃で内側に付着した露が落下し、寝ている顔にシブキがかかることがあった

リアパネルにあるベンチレーター。夏は判らなかったが、寒くなってから開けると冷気が入ることが分かり、有効に効いていることが判明した

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ドアパネルにあるベンチレーターは外から開閉させる。これを内側から操作するには、いったんドアを開ける必要があるが、そうすると夏は虫の侵入に気をつけ、秋は冷気の進入とのひきかえになる。だからあまり操作したくない。しかし内側から直接開閉できるようにするには雨水の処理に難儀するのだろう

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ドアは、自然に内側に落ちる

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まちがっても、こうなってはならない。ファスナーに砂が嚙み込んでしまうからだ

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そのファスナー、外から開閉すると、二度に一度はこうして嚙み込んでしまう。急いでいるとき、これは困る

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ジャンルは異なるが手持ちのイスカのシュラフ、三種類もっているがファスナー噛み込みは滅多におこらない。ここは設計の工夫で何とかならないものか

さて「ラゴ」の特長のひとつといえる、土間。当初、強風時はここから風が進入するかと心配していたが、それは皆無だった。ただ夏場に虫の侵入が数回あった。土間のパネル開閉は「おしゃぶり」ではなくファスナーだとありがたいと思った

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メーカーのカタログで提案していたように、最初はココに登山靴を置いていたが、寝るとき頭上に泥汚れの付いたモノを置いておくのは抵抗あるし、出入りのとき案外じゃまなので、最近はテントのイチバン奥に置くようにした。で、この土間には最初のほうにあるようにスノーピークの「おぜん」というテーブルと、まわりに食料品などを置くようにした。ただ土間で開けた地面には水を捨てたり、出入りするたびに踏まれたりで、結構よごれる

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出入りなどで地面との摩擦も激しいのか、グラウンドシートの立ち上がり部分に穴がいくつかあいてきた

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テントを洗うとき、最も汚れるこの部分は表裏とも徹底して洗う

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土間の地面部分を覆うシート部との接合部分は、まったくトラブルが起きていない

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洗浄ついでに15回使用したあとのフライシートの撥水状況をみる。雨があたりやすい部分は撥水効果が消えている。ただピンと張ることでインナーテントへの漏水は無いと思う

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さて私はいくつか手を加えている。といってもたいしたことではない

まずフライシートの天頂部にはタープが接続できるよう、プラスチックのDリングがつけられているが、これはどうも華奢なので別途小さなナスカンを付けた。実際、山行きでは少しでも軽量化したいのでタープは持たない。しかしこれを付けておくと、テント場によっては配られる「フダ」を付けるのに便利だ

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フライシートを横に張り出すガイライン部分にはショックコードで伸縮できるよう追加した

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フライシートの張出部分は前室ならぬ側室が出来て便利。ここにストックポールや撮影に使う三脚が定位置

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テント内にはループが斜辺に4つあるので、ここにアライのギアハンモックを吊るしている。狭いテント内で便利。洗濯ばさみは、ヘッドランプを吊るすのに使用

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ラゴにはペグが付いていない。ガイラインはテント場に転がっている石に絡めればいいのでペグは不要というかたもおられる。でもガイラインが石から逃げたり、石が移動したりして用をなさないことがある。だから私は少し面倒だが原則はペグを打つことにしている。いま持ち歩いているペグ

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左からイーストンのジュラルミン中空ペグの200ミリと150ミリ。200ミリはテント本体ガイラインに、150ミリはインナーテントの四隅を押さえるのに使う。その右はアライのスティックペグ。これはフライシートを張りだすのに使う。イチバン右のはアライのクロスペグ。軟弱な場所用に持っているがいままで出番がなかった

これらのペグを先端を出口に向けペグ袋(たぶんスノーピークのタープに付いてきたと思う)に入れている

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これらをひとつにして

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いつも使っているモンベルのザック(バランスライト40)の横につけたサイドポケット(7.5リットル)に入れている

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先日、西穂のテント場で撤収時に専用スタッフバックを飛ばしてしまった。スノーピークに部品として注文すれば入手できそうだが、手早くグラナイトギアの5リットルバックに入れた。これでもまだ余る。ちなみにペグなどを入れた全重量は1510グラム。ラゴ1人用は公称1250グラム。ペグを見直すなど、もっと軽量化せねば

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私は山岳用テントを他に持っていないし(ラゴの前にプロモンテの二人用を買ったが教え子に譲った)、他のテントを山岳で使ったこともない。したがって他のテントとの比較はできない。ここではトラブルのことばかり書いているが、実際にこれらのトラブルは些細なことだと受け止めている。山岳テントは信頼性と軽さが第一だと思っている。その点で、この「ラゴ」は十分応えてくれるのではないか。

これからめっきり寒くなり、次の出番は来春になると思うが、私はおそらく来春からもラゴを使い続けるだろう。個性が強く持ち主少なく。そして軽いこと。いや、もっと軽いテントは他にもある。しかし森林限界を超えた山岳で安心して眠りにつけるテントとなると、現状ではこのあたりがミニマムではないだろうか。私はこれより軽量化が必要となった場合、テントではなくツェルトを選ぶだろう。しかしそこに踏み切るには大きな割り切りが必須と思う。テントとして必要最小限度で、テントとしての生活空間を得るための道具として、私はラゴが充分ではないかと思っている。



別のテントを買って、ラゴのことで気になったことが出たので追記しておく。

梅雨時の北八ヶ岳 白駒池キャンプ指定地でのこと。テント張った場所は水はけが良くなかったようで、昼から明け方まで降り続いた雨で一部が水たまりのようになった

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幸い、使っていたテントはフットプリントも敷いていたためか浸水の恐れは無かった(しかしテント床は一部柔らかく、冷たい部分があった)が、土間を密閉状態でふさぐことができないラゴでは、このようなときどうなるのであろうか。カタログによると土間カバーで浸水の心配無し、とあるが。

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aki_miz at 22:37コメント(3) 
山道具 

コメント一覧

3. Posted by 名無し   2019年04月24日 17:33
メーカーが「するな」と言っていることをやってゴチャゴチャ愚痴垂れてるとはねえ、偏屈な人だ。
2. Posted by miz   2013年09月05日 09:45
コメント、ありがとうございます。少しはこの記事、役にたったのでしょうか。

今年はニーモ タニを買い、主にバイクツーリングのとき使っていますが、数日の縦走する山行きで、できるだけ装備を絞り込みたいとき、少しでも小さく軽くなるラゴ1に出番がありそうです。

先日、久々に試し張りしたところ、またスリーブ部分の破れを発見してしまいました。ちょうどポールのドン突きになる手前のところがぱっくり空いてしまい、気づかずにポールを通すとポール先端がドン突きに行く前に外に出てしまいます。スリーブの弱さは、このテントの弱点かな。

とはいえど、いまさら1人用を買い直す気もおこらない、また連れ出させる気にさせるテントであることは間違いなさそうです。

どこかのテント場でお会いできればよいですね。
1. Posted by 使ってもそのまんま男   2013年09月04日 21:47
5 アライテントエアライズ2をおそらく10年ぐらい前に買って10回ぐらい使ったでしょうか?子どもが大きくなって次第に山から遠ざかってしまい、ほったらかしでした。約10年ぶりに南アルプス後半戦南部縦走6泊7日挑戦してきました。10年のブランクの間に道具の進歩に驚きました。特にザックと靴の軽さに!テントはどうなのか?アライテントは材質等がマイナーチェンジしたようです。ソロテントの軽さに惹かれてロゴ1を買ってしまいました。やはり、結露と土間と入り口のメッシュがないことが気になっていたので参考になりました。それといくつかの弱点と注意点も…。

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