2012年11月30日

南アルプス 鳳凰三山 二日目は冬山だった

午前2時半、T君のセットしたアラームで起きる。いや、正確には目を開く。眠れていないのか、少しは眠れたのか、よくわからん。あのオッさんのせいだ

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山小屋のマナー、余計な音と光で他の客に迷惑かけないよう準備しヘッドランプを着け3時半に出る。着込んでしまえばそんなに寒さを感じない。寒そうな顔してるけど

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山小屋近くの水場で飲料水2リットルを満たし、スポーツドリンク1リットルを作る

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標高2400メートルほどの山小屋から少し上がってゆくと、途端に雪深くなる。他人のトレース(足跡)をヘッドランプで見つけながら最大1メートル近くの雪に足をとられつつ進む

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5時40分、尾根道に合流。地図にある時間の倍近くかかった

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明るくなってきた。尾根道は風があるため雪は浅い。目指すは鳳凰三山の最高峰、観音岳

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あれが頂上らしい

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6時40分、観音岳に登頂

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当初、我々は鳳凰三山すなわち地蔵岳、観音岳、薬師岳を北からまわって下山するつもりだった。しかし昨晩、山小屋の管理人さんから「天候が良ければ観音岳に登ると北岳にモルゲンロート(朝陽が山肌に反射して光る現象)が見えます」の助言を得た。モルゲンロート、小生は先月、北アルプスでこれを経験した。あれがまた見れるなんて! T君も、「やってみましょう」。そこで2時半に起きてやってきた

ところが、ここ鳳凰三山の最高峰は冬の表情。朝陽どころか他の山すら見えなくなってきた

そしてさっきからデジタルカメラの様子がおかしい。電源は入るのだが直後の一枚しか撮れない。次に撮るにはいったん電源を切り、しばらくしてから入れ直す必要がある。低温でバッテリーの起電力が落ちてきたようだ。フィルムカメラやヘッドランプの電池は衣服のなかで予備を暖めていたが、このデジカメはマイナス10度まで動作するというので予備バッテリーを暖めていない

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これは帰宅してから撮った再現映像

スポーツドリンクを飲むためのチューブと吸い口が凍り、水分とナトリウム補給ができなくなった

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これも再現映像

T君は手がかじかんでしまい、凍傷の恐れがでてきた。そこで雪をコッフェルに入れコンロの火で溶かしお湯を作ることにした。ガスカートリッジのコンロではガスが気化しないのでガソリンコンロを使う。しかし点火するにもライターが、これまたガスが出てこない。そこで非常用に持っていた耐水マッチで着火材に点火し、コンロを温め、ガソリンの気化を促進させてようやく火を得た。最新のガスカートリッジより100年前に設計されたガソリンコンロとマッチがこんな場所で真価を発揮する

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これも再現映像。このときマッチでともした火を我々は「いのちの炎」と呼び敬った

腹がすいていたので前夜、小屋で作ってもらった弁当をあける。私は凍らないように衣服のなかにこれを入れてきた

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お湯で温まったT君の手が赤い

私もオニギリを食いはじめたが、何だか胃にもたれそうになったので1個と半分でやめた。持ってきた2リットルの飲料水は凍っていた

少しでも視界が晴れればフィルムカメラで写真が撮れると思い準備のため三脚を伸ばそうとしたら脚が凍って出てこない。カメラのピントリングも重い。だいいち、機材は外に出すとみるみる白くなってゆく。ここは何もかも凍らせてしまう、厳しい冬の山の世界なのだ。長居は無用、いやむしろ危険かも知れない。行動を再開する。このまま、当初の予定どおり薬師岳へすすむか、地蔵岳を経由して山小屋に戻って下山するか。T君と相談したが深雪そして新雪で苦労しそうなので山小屋へ戻ることにする

T君には先に行くよう促し、中判フィルムカメラで撮影をはじめる。中判カメラのほうはきちんと動作する。こんな低温下でもリチウム電池だからか、露出計と電子シャッターだけだからか。オートフォーカスだ、電動ズームだと、すべてが電子じかけのデジカメは、ほんとなさけない

「作品」としては見れるものではないだろうが、初冬を迎えた南アルプスの、観音岳直下の、まさにいまから氷雪になろうとする山肌

観音岳直下 氷雪
クリックすると大きな画像が出てきます。以下しばらく同じ

樹木は、次第に樹氷になってゆくのだろう

観音岳直下 樹氷_1


雪の山、モノトーンの世界に樹の色が目立つ

観音岳直下 樹氷_2


尾根道へ降りてきたら北岳への視界が少し開けてきた

北岳


これから行こうとしている、地蔵岳。オベリスクという特徴的な岩が頂きに立つ。右手向こうにうっすら見えるは、諏訪湖か

地蔵岳


さきほど、山小屋からあがってきた道との合流地点まで戻る。地蔵岳へは、このまま尾根道を直進する

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ところが途中でトレースがなくなった。T君が先に行ったなら、ずっとトレースがある筈だが。小生が道を間違えたのかと、いったん戻り、進みなおしても、やはりトレースが無い。どうしたものか。高いところで「Tクーーン」と叫ぶと、どこからか返答が。合流地点に戻るとT君がいた。手がかじかんでしまい、地蔵岳を諦め山小屋へ戻りかけていたのだった

少し薄日が差してきた

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風が出てきた。昨晩降った雪が模様のようになっているのでフィルムカメラで撮影

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撮れた写真がこれ

雪紋
クリックすると大きな画像が出てきます

手がかじかんだままのT君。小生は食料と水分補給をほとんどしていない。それに圧倒的な寝不足。地蔵岳へ行くのをやめ、さきほど登ってきた山小屋からの道を逆に戻る。

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みるみる晴れてきた。行こうとしていた地蔵岳が鮮やかに

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1時間少々で山小屋に到着。あ、レンズに水滴がついたまんまだ

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山小屋のベンチを借り「パスタ定食」(乾燥パスタ+ポタージュスープ)の昼食をすませ、午後1時に下山開始

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山小屋の横ではテントが。雪山テント、これは次の小生の課題です

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途中、アイゼンを外す。途端に数回転倒

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八ヶ岳がくっきりと

八ヶ岳遠望
クリックすると大きな画像が出てきます

甲府の盆地の向こう、大菩薩嶺の上に月が浮かぶ

甲府盆地夕景
クリックすると大きな画像が出てきます

ゆっくりゆっくり降りて午後6時30分、駐車場に到着。最後の1時間はヘッドランプを使う

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駐車場に居たワンコ。ヤドの犬かな

で、楽しみにしていた風呂だが・・・肝心のヤドがあいていない! 残念でした

それにしても今日は午前3時半から午後6時半まで、15時間も行動していた! これは過去最長だっ

帰路、腹がへったので韮崎のラーメンレストランに入りノンアルコールビールで乾杯。中央道はT君の運転で小生は眠りこけてしまった

今回、予定の鳳凰三山のすべてを極められなかったが三山の最高峰に行けたので満足。思い返せば小生の雪山経験は、箱根や、せいぜい1600メートルほどの丹沢程度。今回は晩秋〜初冬といえど3千メートルに近い。低温、凍結、雪上など、これに備えた装備への教訓とさまざまな経験を得た思いだ。西穂高に続き本格登山となったT君とて同じ思いだろう

翌日は昼から授業のため出勤。だから痛むカラダを我慢して午前中に洗濯と山道具の手入れ(これがまた楽し)。こうしていると、また次の山への思いが湧いてくるんだなぁ

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aki_miz at 22:30コメント(0)トラックバック(0) 
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