New light on allergy receptor (No. 7252 p 182-183)
Nature, vol 460, 9 July 2009
AMD の wet type:脈絡膜から異常血管(CNV)が成長し感覚網膜に至り、視力を悪化する。
治療:新生血管を誘導する蛋白であるVEGF-Aの活性のblock。しかし、VEGF-Aは正常の血管の成長と成人網膜の神経機能の維持にも関与しており、長期の安全性についての心配もある。また、VEGF-Aのblockの治療に十分に反応のない患者も存在する。
今回、Takedaらはマウスモデルの眼球内でCCR3がAMDで発現していることを発見した。
CCR3:好酸球、mast cell膜に発現するアレルギー炎症における免疫メディエーター。Eotaxin family (eotaxin-1 (CCL-11), eotaxin-2 (CCL24), eotaxin-3 (CCL26))の受容体。
好酸球を炎症部位に動員し、喘息、アレルギーの病因に関与する。
TakedaらのCNVマウスモデルの実験では、CCR3のblock (中和抗体、受容体antagonist、knockout)がCNVを抑制し、効果はVEGF-Aよりも高かった。
CNVマウスモデル(laser injuryにより作成)ではeotaxin-1, eotaxin-2, eotaxin-3)がRPEでlaser injury後に特に上昇しており、これらのchemokineがCNVの進展に重要であることを示した。
人においても、CCR3はAMD wet typeの異常血管の内皮細胞のみで発現しており、AMDのない人、AMD dry type、他の脈絡膜、網膜疾患の人の脈絡膜内皮では発現していないことを示した。また、人のAMDの脈絡膜新生血管でもeotaxin familyが発現していることを示し、eotaxin-CCR3軸が人のAMD疾患に機能していることを示唆した。
CCR3は、炎症細胞による間接的な調節によるのではなく、直接血管にシグナルを誘導すると考えられる。
1.Eotaxin−CCR3軸は人のCNVでは好酸球、mast cellなどの細胞の動員は見られない。
2.好中球、mφが実験CNVでは必須であるが、CCR3のblockに無関係。
マウスモデルに抗CCR3抗体のfragment (Fabs)を注射し、網膜に侵入する以前のCNVを検出することに成功した。この方法を人に行うことによって、AMDを早期に発見し、関与する蛋白などのAMDの進展のプロセスを同定することができるかもしれない。
CNVの動因はBruch膜の裂け目に対する物理事象であり、脈絡膜血管が再配置され、新たな血管形成を送り込むのかもしれない。
そのような再配列は血管内のCCR3の発現に対する反応なのか、それとも、新たなCNVに組み込まれた内皮前駆細胞がCCR3を発現するのか?
循環する内皮前駆細胞が発現しているCCR3の評価と循環するCCR3 ligandの量を測定することによってこれらの問題とAMDのriskを同定することができるだろう。
血管形成の障害は癌を含め、他の疾患でも関与している。腫瘍血管系ではCCR3はどのように異なって発現しているのかの研究は興味深いだろう。