その時歴史が動いた「土方歳三、箱館に死す」キリンビール「やわらか」

2004年12月18日

「新選組」松浦玲

松浦玲著書。歴史家が書いた新選組に関する本。松浦氏は特に勝海舟研究に明るい人。



小説ばかり読んでいると、不思議と「史実」を知りたくなってくるんですよね。
真実は小説より奇なり。ノンフィクションの面での新選組もきちんと知りたくて読んでみました。
時間軸が非常に細かく、1度読んだだけでは咀嚼しきれなかったので2度読みました。
結構専門的なので、久々に大学のレポートを書くようなノリで細か〜くチェックを入れながら読みましたよー(笑)。
お陰で歴史の流れがとっても良く理解できました。
この本は素晴らしいです。歴史学的資料に基づいてきちんと書かれています。
恐らくLatest新選組研究書でもトップの1つではないでしょうか。

史実というのは、かくも変化するものかと感心いたします。
こうやって時代と共に、当時の真実に近づけるような最新資料が今後も見つかるといいなーと切に願っちゃいますね。
今まで史実と考えられてきたことが実は違うんだよ〜ということがさり気なく書かれていて、ハッとさせられます。

この本で1級品の資料として取り上げられているのは近藤勇の手紙。

試衛館道場主である近藤勇は、留守中の面倒を見てくれている郷里の人々に対し、滞京での説明義務を果たすため長い手紙を数多く残しており、それを今読むことで新選組の内情をより知ることができるのでは?ということに端を発しています。

ところが昭和40年代の栗塚土方&島田沖田ブームで、それまでの「新選組イコール近藤勇」という図式が「新選組イコール土方&沖田」に取って変わり、この2人にハマった数多くの研究者たちが、その後数々の功績を残して来たのは言うまでもないこと。
しかし作者はこの「近藤勇の冷遇」に疑問を投げかけ、改めて資料価値として紛れもなく1級品である「近藤勇が書き残した書簡」に焦点を絞り、著書を記したとのこと。

確かに様々な新選組関係の本を見ると、圧倒的に土方歳三が主役の本が多いんですよね〜(笑)。
あとは沖田総司かな。近藤局長が主役の本ってあんまり、ない。
大河「新選組!」でようやく三谷幸喜が近藤勇を主役にして描いたので、局長にスポットが当たったって感じがします。

後半部分は新選組の落日が描かれているためやはり読むのが辛かったですが、新選組の軌跡をより良く理解するために頑張って読みました!
時代の流れというのは、時に残酷なものですよね。
彼らが一生懸命生きていた5年間が本当に濃厚で、しかし非常に輝いていた時期だったんだな〜と痛感。
結果的に彼らは歴史の表舞台には立てなかったけれど、それでも確かに歴史の流れに軌跡を残したのだと思いたい。
少なくとも、現代の私たちに対してこれだけ強烈な印象と強い関心を与えているのですから。

そして松浦氏の最後の文章。
滅びる徳川幕府の最後の輝きだった新選組。それを支えたのが武州多摩。多摩はやがて自由民権の一大拠点となる。
…これは、大河の最終回で勇を助けに行こうとする小日向彦五郎さんに向かって放った小野鹿之助さんの言葉「近藤勇の後に続く者がきっとこの多摩から出てくる」に全て含まれているんですよね。
もし近藤さんが生きていれば、甲府で戦った敵方・板垣退助と自由民権運動で手に手を取り合い戦ったのかもしれなかったのに…と想像してしまいました。

akichan10314002 at 23:41 │Comments(2) 幕末の本 

この記事へのコメント

1. Posted by パルティアホースカラー   2005年08月19日 01:26
私のブログにコメントを書いていただき、ありがとうございました。
松浦玲さんの本は、内容もしっかりしているし、文章も面白いので、私は大好きです。勝海舟や横井小楠に関する本はオススメですね。また、私は新選組の中では近藤が一番好きなので、近藤にスポットを当てた研究にも好感が持てました。
2. Posted by Aki_1031   2005年08月20日 01:05
パルティアホースカラーさん、こんにちは。
コメント&TBありがとうございます。

松浦氏の、近藤さんの書簡を丁寧に調べている点は
素晴らしいですよね。
とても分かり易い文章だし、好感が持てます♪

また遊びにいらして下さいね。

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