2005年10月

2005年10月30日

金銭消費貸借契約

「悪いけど、お金を貸してくれない?」
「仕方ないなぁ、月末までに返してね」

 日常的によくあるお金の貸し借り、実はこれも「金銭消費貸借契約」という立派な法律行為です。でも、権利義務の発生時(貸し借りの時)は、貸すほうも借りるほうも「自分は法律行為をしている」などと意識されないのではないかと思います。

 個人間の金銭消費貸借契約で基盤となっているのは、人間関係です。契約の目的物は、「○○円」と数字に換算される金銭ですが、貸主は、その金銭を得るために、満員電車に揺られたり、上司に怒られたり、睡眠時間を削ったりして苦労しているわけです。その汗と涙の結晶を他人に貸すという行為は、大変なことです。金額が大きくなればなるほど、よほど相手のことや、相手の人生を大切に思っていなければ、できないことだと思います。だから、貸主が差し出しているのは、実は金銭ではなく「相手を思いやる心」なのです。

 ところが、義務の履行時(お金を返すべき時)になると、返済金を工面できない借主は、逃げ回ったり、「あれはもらったものだ」などと開き直ったりします。これは、法的にいえば「債務不履行」ということになりますが、同時に貸主の思いやりを踏みにじる行為だと思います。貸主は「場合によっては貸したお金が返ってこなくても仕方がない」という気持ちでお金を貸していることも多いです。借主が誠意をもって「返せなくて申し訳ない」「もう少し待ってほしい」と頼みにくれば、それに応じるつもりでいるのに、借主が一変して筋違いの不誠実な態度を取るようになると、貸主は信頼関係を破壊されたことに怒りを感じ、「絶対にお金を返してもらう(そして謝罪してもらう)」という気持ちになります。お金の貸し借りが、突如、当事者の間で「法律問題」として浮上してきます。

 借主は、お金を返すという行為が、相手の思いやりに応える行為だということをよく理解してほしいと思います。また、貸主は、信頼を裏切られた上に汗と涙の結晶であるお金を返してもらえないのではあまりにも気の毒なので、お金を貸すときは、必ず借用書を交わし、金額が大きい場合には公正証書にしておくことをお勧めします(もちろん、それが杞憂であった、というふうになることを祈っております)。
 最近、よくお金の貸し借りに関するご相談を受けるので、以上のようなことを考えました。

akikok at 15:13|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2005年10月27日

賠償責任保険

 先週、後見人候補者として家庭裁判所に呼ばれ、調査官の方と面談しました。面接試験のように法律知識のことを聞かれるのかなぁとドキドキしていたのですが、主に下記のような質問を受けました。

1、所属しているNPOの活動内容、研修制度、実績等
2、わたし自身の行政書士業務に関すること(開業年度、事務所、収入等)
3、成年後見業務における賠償責任保険への加入の有無

 第三者後見人としては、「3」の賠償責任保険への加入が重要視されるようです。しかし、東京都行政書士会では、最近「成年後見センター準備委員会」が設立されたばかりですし、有志で立ち上げたNPO法人では規模が小さいために保険会社と契約を結ぶことができません。そこで、県を超えて、「NPO神奈川成年後見サポートセンター」に入会することにしました(損害保険ジャパンさんとオリジナルな保険契約を締結されております)。

 ということで、本日、入会金等を振り込むために、「国分寺本町郵便局」へ。番号札をもって順番待ちをしていると、そばにいらっしゃった男性に「行政書士の方ですか?」と聞かれました。バッジをつけていないのになんでわかったのかなぁ、と不思議に思っていると、先日の社協ふくし講座にご参加くださった方でした。そして、そのまま郵便局の前で立ち話。ご高齢のお父様の財産管理に関するご相談を受けました。地元国分寺駅前をうろうろする行政書士・久保晶子……これぞほんとの「街の法律家」!?

akikok at 23:46|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 成年後見 

2005年10月24日

初めての訪問

 現在、後見人候補者となっている案件で、ご本人の入居されている老人ホームに伺い、初めてご本人(ここではAさんとします)にお会いしてきました。
 Aさんは、90代前半の方ですが、明瞭かつ丁寧な言葉遣いで、ご趣味の俳句や絵画についてお話くださり、こちらも楽しい時間を過ごさせていただきました。認知症がお進みになっても、ご自身が一番輝いていらっしゃった頃のことは鮮明に覚えていらっしゃって、「長いようであっという間の人生だった。でも、いい人生だった。こういう人生もあると思う」と話されました。わたしは、凝縮された人生の素晴らしさに触れたような気がしました。
 介護付有料老人ホームでの生活は安全です。でも、食事も洗濯も職員の方が全部やってくださるので、その反面、ずっと一人暮らしをなさり、ご自身のことはご自身でなさっていたAさんのお気持ちにどのように影響してくるかが気がかりです。帰り際、「今日は来てくれてありがとう。嬉しかった。夢じゃないかと思うぐらい」とおっしゃっていただいたとき、その言葉の背景にあるAさんの日々の生活のことを思い、なんだか胸が詰まりそうでした。
 家庭裁判所から後見人に選任していただけるといいなぁと思います。そうすれば、これからも時々、Aさんのところに遊びに伺えるからです。

akikok at 23:29|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 成年後見 

2005年10月23日

行政書士試験

 本日、13時から15時30分まで、平成17年度行政書士試験が実施されました。わたしは明治大学和泉キャンパス会場の試験監督員として参加しました。

 10時30分本部集合、試験室点検後、アルバイトの学生さんといっしょにお弁当を食べました。試験開始前のチーフ監督員にとって、一番大切なのは問題用紙です。問題用紙の入った段ボール箱をもってうろうろしたり、封を開けたりしてはいけないのです。
 試験室入室後、12時35分から注意事項を読み上げ、問題用紙・解答用紙の配布。13時に試験開始の振鈴。チーフ監督員は、受験者名簿に出欠を記録したり、「2時になりました」とか発言したり。わたしは某資格予備校で答案練習会用の問題・解説を作成する仕事もしていたので、「この中にわたしの作った問題を解いた受験生もいるのかなぁ。ぜひ合格してもらいたいなぁ」などと思いながら、監督。幸いにして、不審な行動を取る受験生もおらず、15時30分に試験終了。
 答案用紙の回収も無事済み、教室内を片付け、アルバイトの学生さんと本部へ。本部室に戻ると、本部員の方々がズラッと並んでいて、「おめでとうございます。一番乗りです」と言われ、なんだか得した気持ちになりました(一番受験者数が少ない教室なので当然といえば当然なのですが……)。その後、交通費をもらって解散。アルバイトの学生さんと仲良くなれたので、お別れするのが少し寂しい気持ちになりました。

 これまで行政書士試験は10月の第4日曜日に行われておりましたが、来年から11月の第2日曜日になります。来年も、試験監督員をやりたいです。来年はどんな学生さんにお会いすることができるかなぁと今から楽しみです。

akikok at 21:29|PermalinkComments(2)TrackBack(0)

2005年10月22日

社協ふくし講座

 国分寺市社会福祉協議会と協力して準備を進めていた社協ふくし講座「老後を安心して暮らすための財産管理−成年後見と遺言−」が、本日13時30分から16時まで、国分寺労政会館で開催されました。講師はNPO法人早稲田成年後見サポートセンターの理事長・小田恭平先生。わたしもこの日のために8月頃からせっせとチラシや資料を作成してきたので、うまくいくかどうかドキドキでした。

 他の講演会と日程が重なり事前申込みは30名程、午前中から欠席の電話が入り、空には暗雲が垂れ込めている……。どうなることやらと心配しながら社協の担当者の方々と国分寺労政会館へ。しかし、受付時間が始まってみると、当日参加の方が続々といらっしゃって、「椅子が足りない」「資料が足りない」の嬉しい悲鳴。70名を超える参加者となりました。遺言、成年後見の分野は、人気があるんだなぁと再確認。

 質疑応答では、任意後見に関する質問が多く出ました。どうやら任意後見契約を結ぶとすぐに後見が開始すると誤解されやすいようです。任意後見制度では、まず、正常な判断能力があるうちに、自分の信頼のできる方と「任意後見契約」を結びます。この際、「任意後見受任者」(任意後見契約により任意後見人になる予定の方のこと)と併せて委任契約も結び、日ごろから見守ってもらうようにします。そして、任意後見受任者は、ご本人の判断能力が低下してから(認知症が始まってから)、後見業務を開始します。しかし、後見業務を勝手に始めてよいわけではなく、家庭裁判所に「任意後見監督人選任の申立て」を行い、家庭裁判所により「任意後見監督人」(任意後見人が悪いことをしないように監督する人のこと)が選任されて、初めて正式な「任意後見人」となり、後見業務を開始することができるようになります。

 お隣に座っていらっしゃった民生委員の女性から「だれが任意後見人になることができるの?」とのご質問を受けました。任意後見人には、未成年者や破産者等、法律で定められた欠格事由に該当する者でなければ、一般の方でもなることができます。ただ、主に、一人暮らしであったり、親族が信用できなかったり、という場合に任意後見契約が必要となるので、現実には第三者後見人として行政書士等の専門家を選ぶことになると思います。そこで、さらにご質問。「行政書士はどこにいるの?」。需要がある、制度の内容もわかった、でも肝心の後見人候補者が見当たらない……。制度と現実の乖離、そして、「街の法律家」であるはずの行政書士がまだ市民に身近な存在となっていないという2つの問題点を浮き彫りにしたご質問だと思いました。今後の課題です。

akikok at 23:28|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 成年後見