2017年07月17日

出ました!


お久しぶりです。

この2週間、フジロック・パンフの仕事にかかりっきりになってしまって、すっかりご無沙汰してしまってました。一昨日、無事に校了してようやくひと段落です。

さてさて。

JAPAN 1974-1984 光と影のバンド全史』、おかげさまで無事に発売されました。

厚くて重くて高い本ですが、この手の書籍にしては売れ行きも順調で、私自身、嬉しくも驚いています。


解散して30年以上経っているバンドの本がこんなに注目されるとは本当にありがたいことで、SNSを通して、ファンのみなさんから沢山のメッセージをいただきました。

著者のアンソニー・レイノルズさんのところにも反響が届いているそうです。

改めて御礼申し上げます。


これまで「制作日記」と称して日本版制作のエピソードを書いてきましたが、今日は本書についての私自身の感想を、つらつらと。


JAPANといえば、あえて孤高の道を歩むバンドというイメージで、アーティスティックな人たちというイメージがあったのですが、最初に原書を読んだ時に感じたのは、良くも悪くもフツーのロック・バンドだったのね……ということ。詳細を書くことは避けますが、実にありがちな理由でバンドの力関係が崩れ、実にありがちな解散劇を演じたという印象です。


ただ、その“ありがち”な流れに翻弄されたり抗ったりしている中で、バンドが揺るぎない個性を育んでいったのだと思うと、起こったことすべては規定路線(ドラマティックに言えば運命)だったんだろうな、とも。

ひとつのロック・バンドの物語としては、相対的に見ると地味な部類に入りますが、幅広い関係者の証言と、いくつかの新事実もあり、往時を知るファンにとってはとても読み応えのある本です。

ただ、欲を言えば、メンバーそれぞれの心模様に関する記述がもっとあればなぁ、とも思ったけれど。アンソニーさんが取材を始めたとき、ミックは既に亡くなっていましたし、デヴィッドはこの本に関する取材を拒否したので、肝心の二人の真意はわかりません。(ただ、ミックに関しては『ミック・カーン自伝』でデヴィッドに対する恨み節を隠さず綴っているので、この本を読んで今回の『光と影のバンド全史』を読んだ人は「ああ、あの話か」と、裏取りができるようになっている)

あと、「アフターJAPAN」に1章くらい費やしてほしかったというのもありますね。

この本を読むとスティーヴとリチャードの付和雷同ぶりにかなりの謎が残るのですが、JAPANのときは二人ともデヴィッドに反発心を持っていて、レイン・トゥリー・クロウでも裏切られたのに、その後もなにかというと行動を共にすることとか……そのへんの心情、知りたかった。


もっとも、バンドの力学の繊細さについては、KISSしかり、クラフトワークしかり、チェッカーズしかり、キャロルしかりと、古今東西さまざまなバンドが実証していて、まさに『スパイナル・タップ』の世界そのもの。複雑怪奇な人間関係には、その分常人にはかりしれない濃密な味わいもあるということで、改めてバンドって因果なものだなと思いました。


イマイチぼんやりした文章で申し訳ないですが(全体のあらましや新事実は、実際に読んで知っていただきたいので)、『JAPAN 1974-1984 光と影のバンド全史』は好評発売中でーす。引き続き、よろしくお願い致します。


JAPAN 1974-1984 光と影のバンド全史
アンソニー・レイノルズ
シンコーミュージック
2017-06-29



※明日は八重洲のGibson Brands Showroomで、JAZZTRONIKこと野崎良太さんの新プロジェクト、野崎良太 with GOODPEOPLEの試聴イベントに出演します(私は司会進行役)。新作の『GOODPEOPLE』、ココロ躍るような素晴らしいアルバムなのですが、それをハイレゾで聴くゆうべ。試聴はもちろん、制作にまつわるお話を聞くのも楽しみです。




akikomima at 22:38|PermalinkComments(0)

2017年06月27日

JAPAN本制作日記 5


『JAPAN 1974-1984 光と影のバンド全史』、いよいよ今週木曜日に発売です。
私のところには、数日前に早刷りの見本が届きました。
重くて厚い本です。制作費の関係上、値段が高くなってしまったことが悔やまれるのですが、この内容なら納得していただけるかな、と思っています。

JAPAN 1974-1984 光と影のバンド全史
アンソニー・レイノルズ
シンコーミュージック
2017-06-29


 

さて。
これがおそらく発売前の最後のブログとなるかと思いますが、今日は写真の話を。


先のブログでも書きましたが、『A Foreign Place』の日本版である本書は、原書のアップデート版という位置づけでもあるため、原書には載っていない写真が多く掲載されています。今回のセールス・ポイントのひとつでもあるわけですが、最も顕著なのは巻頭のグラビア(カラー16ページ)でしょうか。
 

たとえば、JAPANと名乗るずっと以前、彼らが学生時代に家で練習している風景があったりします。メイクをする前の、あどけないメンバーの顔(特にスティーヴはまだ子供!)を記録した写真はとても貴重なものです。


他にも、日本のメディアが初めてJAPANを取材した時のロンドンでのバンド・ショットや、初来日公演のステージ写真、京都や大阪、福岡でのロケ写真なども満載。


JAPANは当時とても人気があったので、シンコー・ミュージックには山ほどストックがあるのですが、ポジも紙焼きもすべて見て、その中からわりと珍しいもの、既に出てはいるけど圧倒的にカッコイイものをバランスよく選びました。中にはジョン・パンターなどメンバー以外のクルーの写真や、矢野顕子さん、土屋昌巳さんなど日本のアーティストとの写真もあります。写真は、私の手が入ってしまって(しかもツメがとんでもない色で)ちょっとうるさいですが(笑)、解散ツアーの最終公演 in 名古屋。

IMG_3938


 



また、原書でもひときわフィーチャーされていた、倉田恵子さんによるスナップショットはほぼそのまま収録されています。倉田さんは当時、JAPANのファンクラブに関わってらして、メンバーとも親しかった方。スタジオでのフォトセッションやロケでの写真と異なり、移動中や買い物中のメンバーの自然体の表情をとらえた倉田さんの写真は貴重で、目にも愉しく、見ごたえがあるものだと思います。

72191a←倉田さん撮影による初来日時のスナップ。

 


著者のアンソニーさんも倉田さんが提供してくださった素材と、日本版刊行のためにくださった御尽力(彼女がCROSSBEATと付き合いのある久保憲司さんにこの本を出しませんかと言ってくださったらしいです)にはとても感謝してらっしゃり、本書の日本版は倉田さんに捧げられています。JAPANの本の成立に、日本のファンが大きな役割を果たしていたとは、嬉しい話ですよね。


そして、もうひとつ。これは私が個人的にやりたかったことでもあるのですが、章末に、いわゆるキメ写真ではないアウトテイクっぽい写真を入れてみました。この写真のように、日本の仕出し弁当を食べるミックと、それをいぶかしげに見つめるリチャードとか。

IMG_3934 


こういう写真って、なかなか使う機会がないんですけど、これは丸ごと一冊JAPANの本ですから、ちょっと妙な写真でもそれなりの使い方はあります。これ幸いとばかりにシンコーのアーカイヴを片っ端から見て、クスっと笑えるようなもの、あるいは「こんな写真あったんだー」というような珍しいものを入れてみました。我ながら「こんな写真使うのは最初で最後に違いない」と思ったんですけど、本の内容がどうしてもヘヴィで堅苦しくなりがちだったので、箸休め的な感じで。

 あと、時系列に写真を見ていくことで、読者のみなさんはミックの顔つきにどんどん険が出て、ある種の凄みをたたえた美しさが滲み出て来ることに気づくと思うのですが、その理由は本の内容を読めば分かります(笑)。

ということで、発売までしばしお待ちください。 




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2017年06月19日

JAPAN本制作日記 4


ご無沙汰してしまってごめんなさい。
他の仕事が佳境に入ってしまって御報告が遅くなってしまいましたが、JAPAN本、無事校了しました!

JAPAN 1974-1984 光と影のバンド全史
アンソニー・レイノルズ
シンコーミュージック
2017-06-29




29日の発売までもう少しですので、楽しみに待っていてください。

それから、ベルクカッツェさん、 コメントをありがとうございました。
私もロキシー・ミュージック大好きなので、彼らの本はあるべきと思っています。2010年の再結成のときとか、その後の解散宣言のときとかが良いタイミングだったんですけどね。次の機会を待ちつつ、作戦を練りたいと思います。ちなみに、96年4月に出た『THE DIG』(シンコーミュージック刊)のロキシー特集は結構良いです。それから同じくシンコーからブライアン・フェリーの詩集は出したことありますね。今は亡き今野雄二さんが訳を手掛けていらっしゃいました。

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さてさて。今日は「翻訳」についてもう少し。


先のブログにも書きましたが、今回の本は、日本で初めて出るジャパンの評伝です。

御自身も熱心なジャパン・ファンであるイギリス在住のライター、アンソニー・レイノルズさんが、クラウドファンディングで制作費を募って書き上げた渾身の一冊です。


愛と情熱が原動力になって出来た本であることがおわかりいただけると思います。


そしてこのアンソニーさん、実はミュージシャンでもありまして、本国では音楽活動の方をメインにしていらっしゃるそうです。そのため本書でも楽曲の制作方法、特に『錻力の太鼓』のレコーディング秘話にはかなりのページが割かれており、レコーディングの方法や機材についてなどが事細かに書かれています。


名盤が生まれた背景にはもちろん興味がありますし、それが自分の好きなバンドとなればなおさらなんですが、いかんせん専門用語や独特の言い回し等が多くて、訳文を読んでもイマイチよくわからない……そんなわけで、専門性の強い部分はテクニカル・ライターの布施雄一郎さんにお願いして監修をしていただくことにしました。


布施さんはローランドに務めていらした方なので、一般的な音楽制作の方法はもちろん、当時のジャパンが使用していた機材も熟知しています。しかもチョー熱いジャパン・ファン! まさに願ったり叶ったりです。


かくして布施さんは丁寧に本文を読んでくださり、語句や表現の修正、レコーディング工程や特殊な用語の解説をしてくださいました。また、元々の発言者が言葉足らずだった部分なども、布施さんに補足していただくことで、あれほどちんぷんかんぷんだった内容を、ビックリするほどスッキリと理解することが出来ました。


また、その他の小さな工夫としては、曲のタイトルは、たとえば「誘惑スクリーン(Television)」や「Alien(異国人)」のように、邦題と原題を併記してあります。これは、この本を買ってくださる主たる層が、40代〜50代のオリジナルの日本盤を買っていた人たちであろうと考えたからです。


地名や固有名詞などについては、当時は“聞こえたまま”の発音をカタカナに起こしてあったものも多いですが、それも一通りアップデートすることが出来ました。たとえば古いファンの方々の中には、スティーヴが生まれた街を「スィディナム」と覚えている人(私もそう)も多いと思いますが、「シドナム」に修正したりといったことです。この本が出てからも当分ジャパン関連の書籍は出ないだろうと思ったので、「決定版」的なものにしたいという希望がありました。


さて。次回はこれまた重要な素材である「写真」の話を。




akikomima at 21:06|PermalinkComments(2)TrackBack(0)