2019年09月22日

JAPAN評伝の続編が出ます:intermission


スティーヴが無事来日して、先ほど取材をしてきました。
相変わらず gentle で、どんな質問にも真摯に答えてくれました。

大局観があるというか、広い視野で物事を見ている人なので、おそらく活字にするとさっぱり、きっぱりという印象が先立つのでしょうが、彼の来し方を知っている人間には、何気ない発言もかなり刺さるかと思います。

会うのは10年ぶりくらいなんですけど、彼は変わらず、というか.....年とってますます素敵になりましたよね。今の充実ぶりが顔に出てる(私は太りましたけどw)

今日のインタビューは、来月のいつか、Rolling StoneのWEB版に掲載される予定です。

IMG_4628

akikomima at 17:26|PermalinkComments(0)

2019年09月21日

JAPAN評伝の続きが出ます 3


さて。次は本を作る際、最も楽しい作業ーー写真探しであります。

原書を辿りながら、日本版用に足せる写真を探していくわけですが、ありとあらゆる美麗フォトがよりどりみどりだった前回とは異なり、今回はいくつかの「壁」がありました。

1. 83年以降の写真は少ない

→総数は他のバンドに比べると決して少なくはないので、いわゆる「当社比」ではありますが、やはり全盛期と比べると量もバリエーションも少なめ。これは当時のデヴィッドがアイドル的扱いを嫌ってフォトセッションに消極的だったことが関係していたようです。宣材もあるにはあるのですが、地味な写真ばかりで、眺めていたいと思うようなものは少ない。

ただ、そんな中でも長谷部宏(Koh Hasebe)さんとのフォトセッションではかなり心を開いていたらしく、ポーズをつけた写真や笑顔の写真も含め、いい写真が沢山ありました。この時期に撮影された写真でデヴィッドがここまでサービス(?)をしているのは珍しい。やはり、JAPAN時代から築いてきた信頼関係があってこそのことで、『ミュージックライフ』でなければ、これだけの素材を残すことは出来なかったはず。ダリズ・カーのカラーや一風堂の『ファイル・ツアー』の写真が見られるのは、世界でもこの本だけです。フフフ。


2. 元の写真がモノクロ

........そうです。ジャパン全盛期の時は撮影される写真は全てカラーだったのですが、ジャパン解散以降の写真はモノクロが多いのです.......。

デジカメ時代の今と違って、90年代半ばくらいまでは、カラー撮影にはリバーサル・フィルムという高いフィルムを使用したため、撮影する前にカラーで撮るか、モノクロで撮るかを決めていた時代があったのです。今だとデジカメの設定自体、カラーがデフォルトですから、使用する時にPC上でグレースケールにすれば良いのですが。

ダリズ・カーの対談写真やドルフィン・ブラザーズの写真がモノクロなのは、当時の雑誌の記事がモノクロだったから。

また、特に80年代半ばから一層顕著になるのですが、芸術的見地から、デヴィッドもスティーヴも自ら関わる写真はモノクロを好んでいたようです。

そんなわけで、今回は前よりもカラーページがぐっと少ないのでした。

ただ、モノクロが多いからといって全部モノクロ・ページにしてしまうと赤本(前著『光と影のバンド全史』)より見劣りしてしまうので、カラーのところはなるべくカラーで見せたい。

この2冊目だけを購入するという方は、そう多くはないはずです。だとすると、ほとんどの方が赤本と今回の青本を並べて収納するであろうことを想定し、2冊で1セットとして成立するように仕様を合わせた結果、2冊目は定価が高くなってしまいました.......採算上、仕方のないことだったんですけれど、ただでさえ高価な本の値段がさらに上がってしまったことは申し訳なく思っています(でも、内容は前以上に読み応えがあります!)。


『JAPAN 1983-1991 瓦解の美学』は、いよいよ連休明け、24日(火)に発売です。

スティーヴも東京に入ったようですね。
来週はいよいよ、
EXIT NORTH WEEK!









akikomima at 17:01|PermalinkComments(0)

2019年09月11日

JAPAN評伝の続きが出ます 2


「タイミング次第」とは言うものの、その「タイミング」とは一体いつ来るのかーー。

一般的には「バンドの周年」「新音源リリース」、あるいは「来日」といったところが思い浮かびますが、最初のチャンスと思われたのは、リチャード・バルビエリの単独来日が決定した時でした(2018年9月に「2019年4月に来日」する旨が報じられた)。ちょうどこの時は私が別の仕事で手一杯だったこともあるのですが、東京のみ、しかも1日限りの公演ということで「お祭り感」にはやや欠ける印象.....冷静に現状を検討した結果、残念ながら見送ることになりました。

年が明けて2019年。
イギリスのアンソニーから『Cries And Whispers』の献本が届きました。
布張りの黒い表紙に金文字でタイトルが入っている、大変立派な本です。
しかもオールカラー。PDFでは感じ得ない重厚な趣に、イギリスではまだこういう本が出せるんだなぁと羨ましく思いました。

IMG_4598






IMG_4599







改めてページを繰ると、いくつかの章で「ああ、シンコーの倉庫にこの時の写真があったなぁ」とか「この時期のインタビューがMusic Lifeにあるだろうなぁ」というものがあり、頭の中で「日本版を出すとしたら、ここにこれを足して....」などとモーソーしている自分がおりました。
ああ、これ、早く出せないかな。

アンソニーは前の本の成績が悪くなかったので、当然次もすぐに出せると考えていたらしいです。
彼から度々届く「次も出しましょう!」という前向きなメールに、「今、最適なタイミングを待っているところで.....」と、日本の出版不況やら、JAPANとソロのファンベースの違いやらを説明する返事を書いたのですが、これがホントに情けなくってね.....。
「良いもの、出すべきものだということはわかっていますが、今は様子見」って、書き手にとっては謎にして最悪の返事じゃないですか。アンソニーはそのあたり大人というか、こちらの本心を汲み取る想像力を持っている人なので、「なるほど、わかった」って納得してくれましたけど、自分が文化の担い手なのか、それともただの生業として編集をやっているのか......自問自答を伴うイヤな期間でした。しかし出す以上は売らなければならないのも事実(というかこれは“使命”という方が正確)。本は出せばいいってものではないのです。読みたい人にどうやったら情報を届けられるか......そういったことも考えないといけません。


さて。そうこうしているうちに季節は2019年初春。
友人のエピファニーワークス、林口さんより「EXIT NORTHの来日が決まりそうです」との一報が届きました。そう、スティーヴ・ジャンセンの新バンドです。実はその少し前に「続編を出したい」と彼女に話していたのですが、彼女は彼女でスティーヴを呼ぼうと思っていたのでした。その折には一緒に何か出来たら良いですね、などと盛り上がっていたのです。

現状で考え得る最高の「タイミング」がついに訪れたわけで、早速その旨を版元であるシンコーミュージック大谷さんに伝え、会議にかけていただいたら、無事、出版の許可が下りました。

次は訳者の選定ですが、さあ、誰にしよう......? ということで、大谷さんとも相談し、今回は伴野由里子さんにお願いすることにしました。伴野さんは通訳者としてテレビなどにもよく出ていますが、技術はもとより、気遣いのレベルもトップクラスの素晴らしい方です。私は彼女にCROSSBEAT編集部時代から本当にお世話になっていて、今では家族ぐるみのおつきあいをさせてもらっていることもあり、こうして一緒に本が作れることをとても嬉しく思いました。

翻訳を手がけるのは『デヴィッド・ボウイ ゴールデン・イヤーズ』(シンコーミュージック刊:2017年)に続いて2冊目とのことですが、言葉の一つ一つを吟味した丁寧な訳が素晴らしく、かつ従来の訳文文体(例えば女性の発言の語尾が『〜だったわ。〜なのよね』というような定型的なものになりがちなこととか、男性の話法が『〜ってわけさ』とか『〜なのさ』など、なぜかイタリアンな感じになるアレ)とは異なる自然な訳をしてくださるのが素敵です。また、アンソニーの元々の文体は修辞的でどちらかといえば複雑なので、彼女にお任せすれば読みやすいものになるはずです。
 
こうして『Cries And Whispers』日本版の制作が始まりました。


(続く)


akikomima at 00:17|PermalinkComments(1)
記事検索