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異色の人気シリーズ第9巻、さっそく読了です。

今回は工兵たちスルガシステムのメンバーが新サービスを開発する話。とはいえ、完全文系の俺としては技術的なことはもはや完全においてけぼりでしたが……
もはや何が新しくて何が凄くて何が困難なのかさっぱり分かりませんでしたが、とにかく「今までと違うことをやろうとしている」ということだけは分かりました。アルファベットの略称だらけの専門用語も意味不明だし、登場する企業もどういうポジションなのかイマイチ掴めない。けど、それでも十分に読めるように話を進められるのがこの作品の凄いところです。異能や舞台の説明に腐心する作家さんたちはぜひ見習ってほしい。

さて、内容。前巻の感想でも述べましたが……
結局、どんな仕事も一番大事なのは人どうしの信頼関係であるということ。もちろんビジネスである以上は技術だの価格だのといった面での競争を避けることはできませんが、信頼関係だとかチームワークだとか、最後にモノを言うのはそういうソフトパワーなわけですね。作中のスルガシステムは小さな企業だからなおのことそのへんが強調されていますが、大企業や官公庁でも同じことだと思います。

瞬間通い合った二人の絆に鳥肌が立つ。ああ、くそ……畜生格好いいな。互いが互いの実力を認め合い真剣勝負で議論を交わす。まさしくプロの姿勢だ。甘えも妥協も一切ない、職人同士の対話。

こんなことは、1巻から書かれていたことではあるんですけどね。わりと毎回新キャラやゲストキャラが登場するこの作品だけど、今回は久しぶりに登場キャラは少なめで、工兵、立華、梢の3人が中心となって物語が進みます。もちろんカモメさん、福大、橋本課長、薬院ちゃんといった準レギュラーキャラも少しずつ登場はするけど、あくまでメインは3人。だからこそ余計に、最小単位の、大げさに言えば絆の力的なものを感じました。

もちろん、すべてを精神論に丸投げすることはなく、現実的なことはきっちり現実として描かれているのもなれる!SEの素敵なところです。既に書いた通り、詳しいことが理解できないのが残念なのですが……

しかしこれだけ何でも簡単に調べられる時代に、「難しいからわかんなーい」と理解を放棄するのも情けない話なのかもしれません。だからゆとり世代って言われるんだな……なんだか最近、ライトノベルを読んで自分が如何に向上心のない生活を送っているか痛感する機会が多くなってきている気がします。

俺TUEEEEな人生イージーモードの主人公が流行っていると言われる昨今のラノベ業界ですが、その一方で、こういう「お説教ラノベ」もかなりの需要があるのかもしれませんね。

レビュー:tartarous

なれる! SE (9) ラクして儲かる?サービス開発 (電撃文庫)なれる! SE (9) ラクして儲かる?サービス開発 (電撃文庫) [文庫]
著者:夏海公司
出版:アスキー・メディアワークス
(2013-05-10)