2008年09月17日
●久々の心温まる手紙
「パパにもやんないのに・・・（苦笑）」
友達の荒牧湧里君の家で遊んで帰って来た息子・龍明（８歳）が、シャワーを浴びながら、
「おかあさーん。おかあさーん」
と呼び始めた。
何事かと思えば、息子は妻に、石鹸のついたアカすりタオルを無言で手渡した。
妻は、私の方を見ながら、
「パパにもやんないのに・・・（苦笑）」
と言いながら、息子の背中をこすってあげているのだ。
事実、私はほんの時折、それも頼んで、娘の玲奈や妻に背中を流してもらっている。
私は、見てはいけないものを見てしまったような気持ちで、
「・・・・。」
であった（苦笑）。
それにしても、子供たちは、お父さん、お母さんという呼び方にはもうすっかり慣れたが、私や妻は、いまだに、ついパパ、ママと口走ってしまう（苦笑）。
「こんな鍼の打ち方があるのか、これまで私がやっていたものとはまったく違う！」
１７日の今日、久々に心のこもった手紙を受け取った。
差し出し主は、「姚江の会」のメンバーの豊田俊成君である。
あたかも、心をこめて書きましたという二ュアンスを感じさせて、いわゆる作為からなるただ丁寧なだけの手紙とはまるで違うのだ。
鍼灸の勉強をしたいという俊成君に、鍼灸の勉強のための「いやしの道協会」を紹介したのである。
そして、6日、7日に八郷（やさと）での「いやしの道協会」の接心に参加したのだそうで、そのことについての報告を兼ねた礼状である。以下、抜粋である。
「接心の内容は、禅が主でした。
６日夜８時頃に現地に着き、すぐに３０分×３の坐禅、翌朝は４時半起床で坐禅、３０分×４、読経もあったりと臨済宗の法に沿った修行を行いました。
横田先生の鍼（はり）模範実技を拝見させていただきましたが、私にはカルチャーショックそのものでした。
〈こんな鍼の打ち方があるのか、これまで私がやっていたものとはまったく違う！〉
実技練習に入ると、他の門下生達は、この不思議な鍼の法を自然と行っていました。
鍼の勉強を始めて１０年と、年数だけ重ねてきましたが、
〈自分の鍼は何と稚拙なのだろう〉
そう素直に感じてしまうと、恥ずかしくて、人前で鍼を打つことができませんでした。
接心を終えて解散する際に、横田先生から
〈東京の月例会にも参加した方がいいでしょう。そっちの方が技術を基本から教えてもらえるから。接心は足が痛くて、もう嫌になっちゃったかな。あっはっはっ〉
とあたたかいお言葉を頂きました」
「え、もしかして、これって大きいゴキブリ」
豊田君は、その後、東京の月例会へも参加したという。
いろいろとあったのだが、ここではそこまでは話せない、まずはめでたしめでたしである（笑）。
私に言わせれば、俊成君のこの素直さは、まさに宝である。
文面にもにじみ出ているのだが、素直に、感じたことを、感動を言葉にしてくれたのだ。
ほとんどの人達は、そのプライドが邪魔して、真の求道者には成り得ないで一生を終えることになる（苦笑）。
経済力を自慢し、政治力を自慢し、家柄を自慢し、学歴を自慢し、知識を自慢し、語学力を自慢し、豪邸を自慢し、あるいは持って生まれた自分の容姿を自慢する、つまり鼻にかける人がいる（苦笑）。
自慢するものが特にとりたてて無い人の場合、自分が年上だということが分かると、居丈高になる人がいる。
年齢は、誰だって黙ってたってとれるものである（笑）。
その年をとったことで威張るのは、なんとも情けないことだということに気付かねばならない、と思うのだが。
話があらぬ方向へいった感がするが、とにかく今日は嬉しい。
と、不肖私も、素直に俊成君からの手紙への喜びを、斯くの如く表明するものである（笑）。
このところ、小松真一『虜人日記』（筑摩書房）を読みふけっているせいか、ついつい軍人口調が口を突いて出てしまう（笑）。
と、ここで中断して、郡山へ講演に出かけられた越川禮子先生がお泊りの郡山シティ・ホテルにＦＡＸをしようと電話にあるところへ移動し、ＦＡＸを試みていたら、なんだか床に黒い小さな物体があるではないか。
すでに家族は寝ているので、そこは薄暗がりである。
「え、もしかして、これって大きいゴキブリ」
と思い、正直ゾクゾクしながら、目を凝らしてよくよく見たら、龍明が飼っている雌のカブトムシだった。
どおりで大きいはずである（笑）。
なんとプラスチック・ケースの蓋を押しあけて、逃亡したのである。
若し、ＦＡＸしに来なければ、逃げられていたか、すぐ側の家族の寝間に侵入して、大騒ぎになっていたところであった。
「良知様、ありがとう」
と、心で感謝した（苦笑）。
いいことは、全部、良知様のせい、悪いことは、全部自分のせい、である（笑）。
本日は、さらに嬉しいことに、越川先生のご親友の細野恵美子先生から『少年少女のための「江戸しぐさ」』を３０冊ご注文頂いた。
御手紙には、こうあった。
「今回の御本は、分かり易く、イラストとのバランスも良く、受けも良いと思います」
越川先生と二人でサインを入れさせて頂いて、送らせて頂くつもりである。
ヒロシマ「プロヴィデンス」を聞きながら
今日は、ＣＤ・ヒロシマ「プロヴィデンス」（１９９２）を聞きながらであった。
１９７９年のデビュー・アルバム「ＨＩＲＯＳＨＩＭＡ」以来、大ファンを自認する一人である。ネットで、その後のアルバムの中から、この「プロヴィデンス」を手に入れた。国内盤中古では、これしかなかった（苦笑）。
ヒロシマは、ロサンゼルスの日系三世たちによって作られたフュージョン系バンドである。とは言っても、そんじょそこらのバンドとはわけが違う。横笛、琴、太鼓、尺八といった日本の伝統楽器をも駆使しており、邦洋楽器を混ぜた程度なら他にもいるが、ヒロシマの場合は、絶妙なコンビネーションなのだ。
特に、彼らのデビュー・アルバムは、絶対、お薦めである。かっこいいんだ、これが。
友達の荒牧湧里君の家で遊んで帰って来た息子・龍明（８歳）が、シャワーを浴びながら、
「おかあさーん。おかあさーん」
と呼び始めた。
何事かと思えば、息子は妻に、石鹸のついたアカすりタオルを無言で手渡した。
妻は、私の方を見ながら、
「パパにもやんないのに・・・（苦笑）」
と言いながら、息子の背中をこすってあげているのだ。
事実、私はほんの時折、それも頼んで、娘の玲奈や妻に背中を流してもらっている。
私は、見てはいけないものを見てしまったような気持ちで、
「・・・・。」
であった（苦笑）。
それにしても、子供たちは、お父さん、お母さんという呼び方にはもうすっかり慣れたが、私や妻は、いまだに、ついパパ、ママと口走ってしまう（苦笑）。
「こんな鍼の打ち方があるのか、これまで私がやっていたものとはまったく違う！」
１７日の今日、久々に心のこもった手紙を受け取った。
差し出し主は、「姚江の会」のメンバーの豊田俊成君である。
あたかも、心をこめて書きましたという二ュアンスを感じさせて、いわゆる作為からなるただ丁寧なだけの手紙とはまるで違うのだ。
鍼灸の勉強をしたいという俊成君に、鍼灸の勉強のための「いやしの道協会」を紹介したのである。
そして、6日、7日に八郷（やさと）での「いやしの道協会」の接心に参加したのだそうで、そのことについての報告を兼ねた礼状である。以下、抜粋である。
「接心の内容は、禅が主でした。
６日夜８時頃に現地に着き、すぐに３０分×３の坐禅、翌朝は４時半起床で坐禅、３０分×４、読経もあったりと臨済宗の法に沿った修行を行いました。
横田先生の鍼（はり）模範実技を拝見させていただきましたが、私にはカルチャーショックそのものでした。
〈こんな鍼の打ち方があるのか、これまで私がやっていたものとはまったく違う！〉
実技練習に入ると、他の門下生達は、この不思議な鍼の法を自然と行っていました。
鍼の勉強を始めて１０年と、年数だけ重ねてきましたが、
〈自分の鍼は何と稚拙なのだろう〉
そう素直に感じてしまうと、恥ずかしくて、人前で鍼を打つことができませんでした。
接心を終えて解散する際に、横田先生から
〈東京の月例会にも参加した方がいいでしょう。そっちの方が技術を基本から教えてもらえるから。接心は足が痛くて、もう嫌になっちゃったかな。あっはっはっ〉
とあたたかいお言葉を頂きました」
「え、もしかして、これって大きいゴキブリ」
豊田君は、その後、東京の月例会へも参加したという。
いろいろとあったのだが、ここではそこまでは話せない、まずはめでたしめでたしである（笑）。
私に言わせれば、俊成君のこの素直さは、まさに宝である。
文面にもにじみ出ているのだが、素直に、感じたことを、感動を言葉にしてくれたのだ。
ほとんどの人達は、そのプライドが邪魔して、真の求道者には成り得ないで一生を終えることになる（苦笑）。
経済力を自慢し、政治力を自慢し、家柄を自慢し、学歴を自慢し、知識を自慢し、語学力を自慢し、豪邸を自慢し、あるいは持って生まれた自分の容姿を自慢する、つまり鼻にかける人がいる（苦笑）。
自慢するものが特にとりたてて無い人の場合、自分が年上だということが分かると、居丈高になる人がいる。
年齢は、誰だって黙ってたってとれるものである（笑）。
その年をとったことで威張るのは、なんとも情けないことだということに気付かねばならない、と思うのだが。
話があらぬ方向へいった感がするが、とにかく今日は嬉しい。
と、不肖私も、素直に俊成君からの手紙への喜びを、斯くの如く表明するものである（笑）。
このところ、小松真一『虜人日記』（筑摩書房）を読みふけっているせいか、ついつい軍人口調が口を突いて出てしまう（笑）。
と、ここで中断して、郡山へ講演に出かけられた越川禮子先生がお泊りの郡山シティ・ホテルにＦＡＸをしようと電話にあるところへ移動し、ＦＡＸを試みていたら、なんだか床に黒い小さな物体があるではないか。
すでに家族は寝ているので、そこは薄暗がりである。
「え、もしかして、これって大きいゴキブリ」
と思い、正直ゾクゾクしながら、目を凝らしてよくよく見たら、龍明が飼っている雌のカブトムシだった。
どおりで大きいはずである（笑）。
なんとプラスチック・ケースの蓋を押しあけて、逃亡したのである。
若し、ＦＡＸしに来なければ、逃げられていたか、すぐ側の家族の寝間に侵入して、大騒ぎになっていたところであった。
「良知様、ありがとう」
と、心で感謝した（苦笑）。
いいことは、全部、良知様のせい、悪いことは、全部自分のせい、である（笑）。
本日は、さらに嬉しいことに、越川先生のご親友の細野恵美子先生から『少年少女のための「江戸しぐさ」』を３０冊ご注文頂いた。
御手紙には、こうあった。
「今回の御本は、分かり易く、イラストとのバランスも良く、受けも良いと思います」
越川先生と二人でサインを入れさせて頂いて、送らせて頂くつもりである。
ヒロシマ「プロヴィデンス」を聞きながら
今日は、ＣＤ・ヒロシマ「プロヴィデンス」（１９９２）を聞きながらであった。
１９７９年のデビュー・アルバム「ＨＩＲＯＳＨＩＭＡ」以来、大ファンを自認する一人である。ネットで、その後のアルバムの中から、この「プロヴィデンス」を手に入れた。国内盤中古では、これしかなかった（苦笑）。
ヒロシマは、ロサンゼルスの日系三世たちによって作られたフュージョン系バンドである。とは言っても、そんじょそこらのバンドとはわけが違う。横笛、琴、太鼓、尺八といった日本の伝統楽器をも駆使しており、邦洋楽器を混ぜた程度なら他にもいるが、ヒロシマの場合は、絶妙なコンビネーションなのだ。
特に、彼らのデビュー・アルバムは、絶対、お薦めである。かっこいいんだ、これが。
2008年09月16日
●「ボロキテホーコショ」
桜に魅せられた国鉄バスの車掌・佐藤良次の実話
「さくら」（１９９４年）という映画がある。
これも、実話である。
も、といったのには、理由がある。
我が家では、娘も私も、もちろんわたしの影響だろうが、作り話よりも、実話ものが好きなのだ。
娘は、テレビで映画を見るときには、
「お父さん、これ実話なの？」
と、まずは必ず聞いてくるのだ。
やはり、気になるらしい（苦笑）。
ところで、映画「さくら」の話である。
以前録画しておいたのを、妻に見せてあげた。
やはり、後半は落涙であった（笑）。その生活苦ぶりにも、身につまされるのだろう（苦笑）。
監督は、神山征二郎（こうやま・せいじろう）という人。わたしは、この人物に関してはあまり詳しくは知らない。
原作は、主人公の佐藤良次（りょうじ）（１９２９〜７７。郡上市）の手記を、中村儀朋（よしとも）がまとめた『さくら道』（風媒社）である。
物語は、昭和４１年に始まる。
岐阜県大野郡荘川（しょうかわ）村（現、高山市荘川町）近くに住む国鉄バスの車掌・佐藤良次は、地元の樹齢４００年（現、４５０年）と言われる「庄川桜」に魅せられ、お客さんに喜んでもらいたいと、バス路線沿いに桜を植えることを思い立つ。
やがて、太平洋と日本海を桜で結ぶという夢を抱くようになり、妻や周囲の反対にもかかわらず、果敢に挑んでいく。
つましい生活の中、身銭を切って、まだ幼い桜の苗が、豪雪でつぶれないように、台風で吹き飛ばされないように、と雨の日も風の日も、仕事時間以外は、桜の植樹と世話に奔走するその姿には、神々しいものがある。
ボロキテホーコショ
やがて、癌に犯される。
同僚や、家族の心配をよそに、それでも、彼は活動を止めない。
彼は、荘川桜の子供を育てることにチャレンジする。何度も何度もチャレンジするが、種は目を出してくれない。苦節７年目にして、ついに発芽したのである。その桜は、「荘川七郎」と命名された。
植樹もすごいが、これは凄い。まさに、工夫と努力と、さらに忍耐の賜物であった。
とはいえ、７年かかったというのは、見終わった後でこの映画について調べていてわかったことで、映画を見ているだけでは、この苦節７年というのが分からないのだ。映画の中で、直接、７年かかったといって欲しいところである。
何事であれ、苦労した分、その感動も大きいのである。苦労は決して無駄ではないのだ。
まだ見ていない人の為にも、これ以上あらすじを書くのは止めておくが（苦笑）、佐藤良次役の篠田三郎の、まさに体当たりの演技もさることながら、妻役の田中好子も実にいい演技である。
いくつかのエピソードが、印象に残った。
佐藤良次は、国鉄の車掌をしている時、自殺を考えて旅に出たのだという。高卒の身で、このまま車掌の仕事で一生を終わるのかと思うと、自殺したくなってしまったというのだ。
そんな彼は、桜の植樹という生き甲斐を見出し、生き生きと生きるようになったのである。
もう一つ、樹木希林演じる姉や兄たちが、彼の活動を次第に支持するようになる。
というのも、兄弟達は、幼い頃に母を失い、父親に育てられたのだが、その父親の口癖が、子供たちの、特に主人公・良次の人生を決定づけたのである。
「フクロウは、〈ボロキテホーコショ〉と鳴くんだ。だから、お前たちも、人様の役に立つような生き方をしなければならないよ」
「ボロキテホーコショ」
とは、
「襤褸（ぼろ）を着てでも奉公しよう」
の意味である。
これなども、「江戸しぐさ」に通じる教えのように思える。
一般的には、「グルスクホッホ」と表記する。
地方によっては、
「ボロキテホ−コー」
「五郎助奉公（ゴロスケ、ホーホー）」
とも言うようだ。
実をいうと、この「ボロキテホーコショ」について触れたくて、本日このブログを書いたのだ（笑）。
ちなみに、コノハズク（フクロウ類）は、「ブッポウソー（仏・法・僧）」と鳴くので、「聖なる鳥」と言われている。
ウグイスは、「ホーホケキョ（法、法華経）」と鳴く（笑）。
やはり、江戸期の人が、そう聞いたのであろう（笑）。
荘川桜は、県指定の天然記念物で、高さ３０メートル、幹回りは約６メートルもあるという。「アズマヒガンサクラ」という種類の長寿で知られる桜である。
追伸
その後、いろいろ調べてみた。
佐藤良次は、決して楽ではない生活の中、国鉄の給料のほとんどを桜につぎ込み、妻は、自宅を民宿「てんご」（現在も営業している）にして家計を支えたという。
監督の神山征二郎は、『ハチ公物語』（１９８７）、『郡上（ぐじょう）一揆』（２０００）、最近作の『ラストゲーム、最後の早慶戦』（２００８）で知られている。いずれもノンフィクションばかりである（嬉）。
「さくら」（１９９４年）という映画がある。
これも、実話である。
も、といったのには、理由がある。
我が家では、娘も私も、もちろんわたしの影響だろうが、作り話よりも、実話ものが好きなのだ。
娘は、テレビで映画を見るときには、
「お父さん、これ実話なの？」
と、まずは必ず聞いてくるのだ。
やはり、気になるらしい（苦笑）。
ところで、映画「さくら」の話である。
以前録画しておいたのを、妻に見せてあげた。
やはり、後半は落涙であった（笑）。その生活苦ぶりにも、身につまされるのだろう（苦笑）。
監督は、神山征二郎（こうやま・せいじろう）という人。わたしは、この人物に関してはあまり詳しくは知らない。
原作は、主人公の佐藤良次（りょうじ）（１９２９〜７７。郡上市）の手記を、中村儀朋（よしとも）がまとめた『さくら道』（風媒社）である。
物語は、昭和４１年に始まる。
岐阜県大野郡荘川（しょうかわ）村（現、高山市荘川町）近くに住む国鉄バスの車掌・佐藤良次は、地元の樹齢４００年（現、４５０年）と言われる「庄川桜」に魅せられ、お客さんに喜んでもらいたいと、バス路線沿いに桜を植えることを思い立つ。
やがて、太平洋と日本海を桜で結ぶという夢を抱くようになり、妻や周囲の反対にもかかわらず、果敢に挑んでいく。
つましい生活の中、身銭を切って、まだ幼い桜の苗が、豪雪でつぶれないように、台風で吹き飛ばされないように、と雨の日も風の日も、仕事時間以外は、桜の植樹と世話に奔走するその姿には、神々しいものがある。
ボロキテホーコショ
やがて、癌に犯される。
同僚や、家族の心配をよそに、それでも、彼は活動を止めない。
彼は、荘川桜の子供を育てることにチャレンジする。何度も何度もチャレンジするが、種は目を出してくれない。苦節７年目にして、ついに発芽したのである。その桜は、「荘川七郎」と命名された。
植樹もすごいが、これは凄い。まさに、工夫と努力と、さらに忍耐の賜物であった。
とはいえ、７年かかったというのは、見終わった後でこの映画について調べていてわかったことで、映画を見ているだけでは、この苦節７年というのが分からないのだ。映画の中で、直接、７年かかったといって欲しいところである。
何事であれ、苦労した分、その感動も大きいのである。苦労は決して無駄ではないのだ。
まだ見ていない人の為にも、これ以上あらすじを書くのは止めておくが（苦笑）、佐藤良次役の篠田三郎の、まさに体当たりの演技もさることながら、妻役の田中好子も実にいい演技である。
いくつかのエピソードが、印象に残った。
佐藤良次は、国鉄の車掌をしている時、自殺を考えて旅に出たのだという。高卒の身で、このまま車掌の仕事で一生を終わるのかと思うと、自殺したくなってしまったというのだ。
そんな彼は、桜の植樹という生き甲斐を見出し、生き生きと生きるようになったのである。
もう一つ、樹木希林演じる姉や兄たちが、彼の活動を次第に支持するようになる。
というのも、兄弟達は、幼い頃に母を失い、父親に育てられたのだが、その父親の口癖が、子供たちの、特に主人公・良次の人生を決定づけたのである。
「フクロウは、〈ボロキテホーコショ〉と鳴くんだ。だから、お前たちも、人様の役に立つような生き方をしなければならないよ」
「ボロキテホーコショ」
とは、
「襤褸（ぼろ）を着てでも奉公しよう」
の意味である。
これなども、「江戸しぐさ」に通じる教えのように思える。
一般的には、「グルスクホッホ」と表記する。
地方によっては、
「ボロキテホ−コー」
「五郎助奉公（ゴロスケ、ホーホー）」
とも言うようだ。
実をいうと、この「ボロキテホーコショ」について触れたくて、本日このブログを書いたのだ（笑）。
ちなみに、コノハズク（フクロウ類）は、「ブッポウソー（仏・法・僧）」と鳴くので、「聖なる鳥」と言われている。
ウグイスは、「ホーホケキョ（法、法華経）」と鳴く（笑）。
やはり、江戸期の人が、そう聞いたのであろう（笑）。
荘川桜は、県指定の天然記念物で、高さ３０メートル、幹回りは約６メートルもあるという。「アズマヒガンサクラ」という種類の長寿で知られる桜である。
追伸
その後、いろいろ調べてみた。
佐藤良次は、決して楽ではない生活の中、国鉄の給料のほとんどを桜につぎ込み、妻は、自宅を民宿「てんご」（現在も営業している）にして家計を支えたという。
監督の神山征二郎は、『ハチ公物語』（１９８７）、『郡上（ぐじょう）一揆』（２０００）、最近作の『ラストゲーム、最後の早慶戦』（２００８）で知られている。いずれもノンフィクションばかりである（嬉）。
2008年09月15日
●山本七平『日本はなぜ敗れるのか、敗因２１カ条』について
日本軍は、当時の普通の日本人が持っていた常識を一掃することが、入営以後の、最初の重要なカリキュラムになっていた
山本七平『日本はなぜ敗れるのか、敗因２１カ条』（角川書店）を読了した。巻末の余白に感想を記したのだが、その感想の冒頭はというと
「・・・・」
であった。
正直、暗澹たる気持ち、というのがまずあって、そのための「・・・・」（沈黙）なのである。
しかしである。
山本七平の分析には、いろいろとヒントを頂いた。
まず、何故日本軍は敗れたのかの点で、とても興味深かったのは、組織のことである。
明治以後、日本の軍隊は、イギリスやフランスの軍事制度を取り入れた。
つまり、輸入したのである。
だが、
「気をつけーっ」
と号令されて、不動の姿勢を取るといった軍人基本の姿勢というのは、欧米人にとっての市民の規律正しい生活と同じであって、軍隊だけの姿勢ではないのだという。
「由緒あるレストランのウェイターが、礼儀正しく立っている姿勢がすなわち不動の姿勢であり、それが軍隊でも同じだ。・・・（中略）・・・しかし、今よりも、畳の上の生活が自然であった日本人にとっては、これは社会の基本の姿勢ではない。したがって、こういう姿勢をとらされるということ自体がきわめて不自然なことであり、苦痛を強いられることにすぎない。
以上はいわば〈基本的姿勢〉だが、これがすべての面に現われている。彼らのスタッフとラインで構成される組織は、彼らの社会に共通の組織であり、軍隊組織も会社組織も大学も、基本的には変化はない。
すべての組織で、その細部とその中での日常生活を規制しているものは、結局、その組織を生み出した社会の常識である。常識で判断を下していれば、たいていのことは大過ない。・・・（中略）・・・しかし、輸入された組織は、そうはいかない。その社会の伝統がつちかった共通の感覚（コモン・センス）は、そこでは逆に通用しなくなる。
従って、日本軍は、当時の普通の日本人が持っていた常識を一掃することが、入営以後の、最初の重要なカリキュラムになっていた」（第１１章、不合理性と合理性）
明治維新に封建制度の反動で旧物打破と称し古い物はすべて捨ててしまった。其の無意識に捨てられた物の中には可成り良い物が沢山あった筈だ
だからこそ、日本軍の組織は、敗戦と共に、各人が常識で動きだした瞬間に崩壊したが、欧米軍の組織の場合は、彼がら捕虜となって、組織が崩れても、その組織の基盤となっている伝統的な常識で、それ以上の崩壊を食い止めることができたという。
実際、同じ捕虜でありながら、イギリス軍の捕虜の場合には、規律正しい生活ぶりであったのが、日本人の捕虜の収容所での暮らしぶりは、惨憺たる状態がほとんどであったという。
『虜人日記』の著者の小松真一は、
「長い軍隊生活の反動か、ＰＷ（筆者注：日本人捕虜のこと）は整列したり、号令で動くことが大嫌いで、まるで烏合（うごう）の衆だ。規則を守ることも大嫌いだ。ＰＷを指導することはなかなか難しいことだ。
明治維新に封建制度の反動で旧物打破と称し古い物はすべて捨ててしまった。其の無意識に捨てられた物の中には可成り良い物が沢山あった筈だ」
などと語っている。
に通じる話である（笑）。
ついでながら、以下、「江戸しぐさ」に通じる山本七平の見解である。
「戦前は、明治維新前の体制が否定され、徳川期は暗黒時代と定義された。
藤村の小説『夜明け前』の表題は、維新前を「夜明け前」と把握しているわけで、これは当時の人々が、心底から疑わなかった常識である。
そして明治の〈夜明け〉の思想に基づいて、日本の過去の歴史を、それに適合するように再構成した。そしてそれを信じないものは非国民だった」（第１２章、自由とは何を意味するのか？）
私が、陽明学や人智学を学び続けているのは、思想を体得することにより人間としての自分の質を高めたいがためである
『虜人日記』には、
「河野中将に怒鳴られる」
と題してこんな記述がある。
「〈昼間から火など焚いて何だ、お前も相当の教育を受けたのに昼間煙を立てて悪いことがわからんか〉
〈ここは飛行機も敵も来んので皆、昼から火を焚いています〉
〈戦争はこれからだ！！敢闘精神が足らん〉
と、彼の言う文句に、皆回答を与えてたら、口答えをする生意気な奴と思ったか、ぶつぶつ言いながら行ってしまった。・・・（中略）・・・一週間後、閣下もここから１時間程下流へ新築を構えたが、昼から火を焚いたとみえて、朝から火事を出して丸焼けとなった。ざまを見ろと心の中で叫んだ」（「密林の彷徨」）
前回、似たような話ということで、妻のパート先の上司の話に触れたが、
「すべてがその場その場の状況で支配され、威張ってみたりしおれてみたり、一つの思想に基づく自信が皆無だからである」（第１０章、思想的不徹底）
という山本七平の指摘は、戦後３０年どころか、悲しいかな、その後もずっと続いている日本人の態度と言っていいだろう。
すべてがその場その場の状況や気分に支配された子供のように、感情的に生きてしまっているのである。
私が、宗教や哲学、具体的には陽明学や人智学を学び続けているのは、思想を体得することにより人間としての自分の質を高めたいがためなのである。
捕虜収容所を出て、日本へ帰還する船の中で、かつて上官風を吹かせて威張り散らし、部下たちにつらく当たってきた将校たちは、結局、かつての部下たちから激しくいじめられ、自殺者も出たという。
権力や経済力を笠に着た政治家や経営者、官僚は、未だに跋扈してはばからない（苦笑）。
山本七平『日本はなぜ敗れるのか、敗因２１カ条』（角川書店）を読了した。巻末の余白に感想を記したのだが、その感想の冒頭はというと
「・・・・」
であった。
正直、暗澹たる気持ち、というのがまずあって、そのための「・・・・」（沈黙）なのである。
しかしである。
山本七平の分析には、いろいろとヒントを頂いた。
まず、何故日本軍は敗れたのかの点で、とても興味深かったのは、組織のことである。
明治以後、日本の軍隊は、イギリスやフランスの軍事制度を取り入れた。
つまり、輸入したのである。
だが、
「気をつけーっ」
と号令されて、不動の姿勢を取るといった軍人基本の姿勢というのは、欧米人にとっての市民の規律正しい生活と同じであって、軍隊だけの姿勢ではないのだという。
「由緒あるレストランのウェイターが、礼儀正しく立っている姿勢がすなわち不動の姿勢であり、それが軍隊でも同じだ。・・・（中略）・・・しかし、今よりも、畳の上の生活が自然であった日本人にとっては、これは社会の基本の姿勢ではない。したがって、こういう姿勢をとらされるということ自体がきわめて不自然なことであり、苦痛を強いられることにすぎない。
以上はいわば〈基本的姿勢〉だが、これがすべての面に現われている。彼らのスタッフとラインで構成される組織は、彼らの社会に共通の組織であり、軍隊組織も会社組織も大学も、基本的には変化はない。
すべての組織で、その細部とその中での日常生活を規制しているものは、結局、その組織を生み出した社会の常識である。常識で判断を下していれば、たいていのことは大過ない。・・・（中略）・・・しかし、輸入された組織は、そうはいかない。その社会の伝統がつちかった共通の感覚（コモン・センス）は、そこでは逆に通用しなくなる。
従って、日本軍は、当時の普通の日本人が持っていた常識を一掃することが、入営以後の、最初の重要なカリキュラムになっていた」（第１１章、不合理性と合理性）
明治維新に封建制度の反動で旧物打破と称し古い物はすべて捨ててしまった。其の無意識に捨てられた物の中には可成り良い物が沢山あった筈だ
だからこそ、日本軍の組織は、敗戦と共に、各人が常識で動きだした瞬間に崩壊したが、欧米軍の組織の場合は、彼がら捕虜となって、組織が崩れても、その組織の基盤となっている伝統的な常識で、それ以上の崩壊を食い止めることができたという。
実際、同じ捕虜でありながら、イギリス軍の捕虜の場合には、規律正しい生活ぶりであったのが、日本人の捕虜の収容所での暮らしぶりは、惨憺たる状態がほとんどであったという。
『虜人日記』の著者の小松真一は、
「長い軍隊生活の反動か、ＰＷ（筆者注：日本人捕虜のこと）は整列したり、号令で動くことが大嫌いで、まるで烏合（うごう）の衆だ。規則を守ることも大嫌いだ。ＰＷを指導することはなかなか難しいことだ。
明治維新に封建制度の反動で旧物打破と称し古い物はすべて捨ててしまった。其の無意識に捨てられた物の中には可成り良い物が沢山あった筈だ」
などと語っている。
に通じる話である（笑）。
ついでながら、以下、「江戸しぐさ」に通じる山本七平の見解である。
「戦前は、明治維新前の体制が否定され、徳川期は暗黒時代と定義された。
藤村の小説『夜明け前』の表題は、維新前を「夜明け前」と把握しているわけで、これは当時の人々が、心底から疑わなかった常識である。
そして明治の〈夜明け〉の思想に基づいて、日本の過去の歴史を、それに適合するように再構成した。そしてそれを信じないものは非国民だった」（第１２章、自由とは何を意味するのか？）
私が、陽明学や人智学を学び続けているのは、思想を体得することにより人間としての自分の質を高めたいがためである
『虜人日記』には、
「河野中将に怒鳴られる」
と題してこんな記述がある。
「〈昼間から火など焚いて何だ、お前も相当の教育を受けたのに昼間煙を立てて悪いことがわからんか〉
〈ここは飛行機も敵も来んので皆、昼から火を焚いています〉
〈戦争はこれからだ！！敢闘精神が足らん〉
と、彼の言う文句に、皆回答を与えてたら、口答えをする生意気な奴と思ったか、ぶつぶつ言いながら行ってしまった。・・・（中略）・・・一週間後、閣下もここから１時間程下流へ新築を構えたが、昼から火を焚いたとみえて、朝から火事を出して丸焼けとなった。ざまを見ろと心の中で叫んだ」（「密林の彷徨」）
前回、似たような話ということで、妻のパート先の上司の話に触れたが、
「すべてがその場その場の状況で支配され、威張ってみたりしおれてみたり、一つの思想に基づく自信が皆無だからである」（第１０章、思想的不徹底）
という山本七平の指摘は、戦後３０年どころか、悲しいかな、その後もずっと続いている日本人の態度と言っていいだろう。
すべてがその場その場の状況や気分に支配された子供のように、感情的に生きてしまっているのである。
私が、宗教や哲学、具体的には陽明学や人智学を学び続けているのは、思想を体得することにより人間としての自分の質を高めたいがためなのである。
捕虜収容所を出て、日本へ帰還する船の中で、かつて上官風を吹かせて威張り散らし、部下たちにつらく当たってきた将校たちは、結局、かつての部下たちから激しくいじめられ、自殺者も出たという。
権力や経済力を笠に着た政治家や経営者、官僚は、未だに跋扈してはばからない（苦笑）。
2008年09月14日
●日本人には、思想的に徹底したものがない
’７０年代の懐メロを聞くと、なんだか気持ちが若返る
１９７０年代の懐メロを聞くと、なんだか体が若さを取り戻したかのようなそんな錯覚に陥ってしまう（苦笑）。気持ちが高揚するというのか、元気になるのである（笑）。これなども音楽療法の一つである。
こうした効果は、私の場合、仕事でパソコンに向かうときなどには、大いに有効なのだ（笑）。
尾崎紀代彦の「また逢う日まで」がヒットしている頃は、真夏の盛りに、多摩ニュータウンの団地建設の現場で、下働きのバイトをやっていた（笑）。
サングラスの跡がくっきり顔に残るほど、日に焼けた。サングラスをしたのは、かっこをつけてのことではない（笑）。４〜５階建ての団地の屋上にいる人とのやり取りの時に、とてもではないが、裸眼では屋上を見れないのだ。
数ヵ月ではあったが、飯場で寝起きし、地下足袋にニッカズボンをはいたのは、生まれて初めてのことであった。
「ネコ」と呼ばれる一輪車で、モルタルを運ぶ仕事では、初めのころは、何度も何度もひっくり返してしまって怒鳴られたものである。それでも気が付いたら、モルタルを山積みにしたネコを自由自在に動かしていた。
てっきり気が荒い人たちとばかり思っていたのだが、喧嘩もないし、職人の先輩たちの優しさが、今でも忘れられない。
日本人には、思想的に徹底したものがない
１３日の昨夜から、妻は義父の法事で、義兄のいる柏に出かけた。法事の食事の準備で夜１時までかかったという。今朝法事を済ませ、つい先ほど帰宅した。
その間、私は、ずーっと子供たちと一緒であった（笑）。
実は、２７日（土）に、所沢木鶏（もっけい）クラブの主催で
『ゲーテ・シュタイナー思想入門� �
と題して、講演をさせて頂くことになっていて、このところ、折を見ては、シュタイナーの本を手にするようにしているのだが、昨夜は、シュタイナーの教育学の本を読んでいた。
そして、つくづく思い知らされたことがある。
それは、日本人の無思想性である。このことは、山本七平の『日本はなぜ敗れるのか、敗因２１カ条』で思い知らされたことでもある。
敗因１６条は、
「思想的に徹底したものがなかった事」
である。
山本七平は、こう補足する。
「徹底的に考え抜くことをしない思想的不徹底さは、精神的な弱さとなり、と同時に、思考の基礎を検討せずにあいまいにしておくことになり、その結果、基盤なき妄想があらゆる面で〈思想〉の如くに振る舞う結果にもなった」（同上、第１０章、思想的不徹底）
この敗因１６条は、敗因１１条の
「個人としての修養をしていない事」
にも通じる問題なのである。
だからこそ
「日本人には、教育はあっても、教養がない」
などと米人から評されるのである。
どうやら、私は、日本人の中でもいい人と巡り合ってきたこともあって、いいところしか見てこなかった感がしている。
山本七平の著書を通じて、今私は、日本人の欠点をイヤっというほど思い知らされているところなのだ。
日本人が、感情的だということと無思想であるということは、イコールなのだ
そして、危機的状況に、せっぱつまった状態にならないかぎり、その無思想性が露呈することはない。
無思想であるということは、自分を律するものがないということであり、昨日言ったことと今日言ったことが違う、という節操のない人間を意味する。
危機的状況、言いかえれば、上司などからプレッシャーを与えられたときなどの場合である。そんなとき、自分を律するものがない人ほど、心が乱れに乱れるのである。
事実、妻のパート先（婦人服売り場）の上司に、まるでそういう人がいて、昨日言ったことと逆のことを平気で言ってくるのだそうで、そんな上司のもとで、いい仕事ができるはずもない（苦笑）。
たとえば、こんなことである。
「新商品が、ストック（倉庫）に届いていたので、気を利かせて持ってきて売り場に並べたら、その時には喜んでくれたのに、それから数日後にも同じことをやったら、今度は
〈そんなことは私がやるからいいの〉
と叱られた」
「〈Ｔシャツなどの場合、上の襟からハンガーを入れると、襟が広がったりするから、洋服をハンガーに掛けるときには、必ず下からハンガーを入れなさい〉
と注意しておきながら、自分は、平気で上から入れている」
のだそうである（苦笑）。
無思想だからこそ、感情的に生きている、感情で生きるしかないのである。
日本人が、感情的だということと、無思想であるということは、イコールなのだ。
おヘソのゴマを取るには、オリーブオイルがいい
閑話休題。
と、ここで、息子に呼ばれた。
「お姉ちゃんの、おヘソの汚れをとるんじゃないの？」
そういう約束をしていたのだった。
娘を仰向けに寝せて、オリーブ・オイルをおヘソに垂らして、１、２分そのままにしておいてから、綿棒でやさしく取ってあげるのである。
そうすると、無理な力を入れないでも、汚れが取れるのだ。
我が家では、そうやって子供たちのおへその掃除をしてあげている。水着になったときなどに、恥ずかしい思いをしないで済むというわけである。
この方法を教えてくれたのは、何を隠そう、最初の妻であった（笑）。
講演『ゲーテ・シュタイナー思想入門� 戮里完篤�
以下、今月２７日の講演会について、ご案内させて頂く。ご興味がおありの方は、ご参加下さい。難しい話はしません。
■所沢木鶏クラブ２００８年９月例会『ゲーテ・シュタイナー思想入門� �
日時：９月２７日（土）１８：００〜
会場：レストラン・ニックス（「稲荷山公園駅」徒歩３分）
�筍娃粥檻横坑毅粥檻坑毅坑�
会費：講演会費＝２０００円、懇親会費＝３０００円
申込先：豊田吉三郎、ＦＡＸ：０４−２９４９−７７８３
※『ゲーテ・シュタイナー思想入門�◆戮蓮■隠扱遑横菊�（土）１８：００〜の予定。
１９７０年代の懐メロを聞くと、なんだか体が若さを取り戻したかのようなそんな錯覚に陥ってしまう（苦笑）。気持ちが高揚するというのか、元気になるのである（笑）。これなども音楽療法の一つである。
こうした効果は、私の場合、仕事でパソコンに向かうときなどには、大いに有効なのだ（笑）。
尾崎紀代彦の「また逢う日まで」がヒットしている頃は、真夏の盛りに、多摩ニュータウンの団地建設の現場で、下働きのバイトをやっていた（笑）。
サングラスの跡がくっきり顔に残るほど、日に焼けた。サングラスをしたのは、かっこをつけてのことではない（笑）。４〜５階建ての団地の屋上にいる人とのやり取りの時に、とてもではないが、裸眼では屋上を見れないのだ。
数ヵ月ではあったが、飯場で寝起きし、地下足袋にニッカズボンをはいたのは、生まれて初めてのことであった。
「ネコ」と呼ばれる一輪車で、モルタルを運ぶ仕事では、初めのころは、何度も何度もひっくり返してしまって怒鳴られたものである。それでも気が付いたら、モルタルを山積みにしたネコを自由自在に動かしていた。
てっきり気が荒い人たちとばかり思っていたのだが、喧嘩もないし、職人の先輩たちの優しさが、今でも忘れられない。
日本人には、思想的に徹底したものがない
１３日の昨夜から、妻は義父の法事で、義兄のいる柏に出かけた。法事の食事の準備で夜１時までかかったという。今朝法事を済ませ、つい先ほど帰宅した。
その間、私は、ずーっと子供たちと一緒であった（笑）。
実は、２７日（土）に、所沢木鶏（もっけい）クラブの主催で
『ゲーテ・シュタイナー思想入門� �
と題して、講演をさせて頂くことになっていて、このところ、折を見ては、シュタイナーの本を手にするようにしているのだが、昨夜は、シュタイナーの教育学の本を読んでいた。
そして、つくづく思い知らされたことがある。
それは、日本人の無思想性である。このことは、山本七平の『日本はなぜ敗れるのか、敗因２１カ条』で思い知らされたことでもある。
敗因１６条は、
「思想的に徹底したものがなかった事」
である。
山本七平は、こう補足する。
「徹底的に考え抜くことをしない思想的不徹底さは、精神的な弱さとなり、と同時に、思考の基礎を検討せずにあいまいにしておくことになり、その結果、基盤なき妄想があらゆる面で〈思想〉の如くに振る舞う結果にもなった」（同上、第１０章、思想的不徹底）
この敗因１６条は、敗因１１条の
「個人としての修養をしていない事」
にも通じる問題なのである。
だからこそ
「日本人には、教育はあっても、教養がない」
などと米人から評されるのである。
どうやら、私は、日本人の中でもいい人と巡り合ってきたこともあって、いいところしか見てこなかった感がしている。
山本七平の著書を通じて、今私は、日本人の欠点をイヤっというほど思い知らされているところなのだ。
日本人が、感情的だということと無思想であるということは、イコールなのだ
そして、危機的状況に、せっぱつまった状態にならないかぎり、その無思想性が露呈することはない。
無思想であるということは、自分を律するものがないということであり、昨日言ったことと今日言ったことが違う、という節操のない人間を意味する。
危機的状況、言いかえれば、上司などからプレッシャーを与えられたときなどの場合である。そんなとき、自分を律するものがない人ほど、心が乱れに乱れるのである。
事実、妻のパート先（婦人服売り場）の上司に、まるでそういう人がいて、昨日言ったことと逆のことを平気で言ってくるのだそうで、そんな上司のもとで、いい仕事ができるはずもない（苦笑）。
たとえば、こんなことである。
「新商品が、ストック（倉庫）に届いていたので、気を利かせて持ってきて売り場に並べたら、その時には喜んでくれたのに、それから数日後にも同じことをやったら、今度は
〈そんなことは私がやるからいいの〉
と叱られた」
「〈Ｔシャツなどの場合、上の襟からハンガーを入れると、襟が広がったりするから、洋服をハンガーに掛けるときには、必ず下からハンガーを入れなさい〉
と注意しておきながら、自分は、平気で上から入れている」
のだそうである（苦笑）。
無思想だからこそ、感情的に生きている、感情で生きるしかないのである。
日本人が、感情的だということと、無思想であるということは、イコールなのだ。
おヘソのゴマを取るには、オリーブオイルがいい
閑話休題。
と、ここで、息子に呼ばれた。
「お姉ちゃんの、おヘソの汚れをとるんじゃないの？」
そういう約束をしていたのだった。
娘を仰向けに寝せて、オリーブ・オイルをおヘソに垂らして、１、２分そのままにしておいてから、綿棒でやさしく取ってあげるのである。
そうすると、無理な力を入れないでも、汚れが取れるのだ。
我が家では、そうやって子供たちのおへその掃除をしてあげている。水着になったときなどに、恥ずかしい思いをしないで済むというわけである。
この方法を教えてくれたのは、何を隠そう、最初の妻であった（笑）。
講演『ゲーテ・シュタイナー思想入門� 戮里完篤�
以下、今月２７日の講演会について、ご案内させて頂く。ご興味がおありの方は、ご参加下さい。難しい話はしません。
■所沢木鶏クラブ２００８年９月例会『ゲーテ・シュタイナー思想入門� �
日時：９月２７日（土）１８：００〜
会場：レストラン・ニックス（「稲荷山公園駅」徒歩３分）
�筍娃粥檻横坑毅粥檻坑毅坑�
会費：講演会費＝２０００円、懇親会費＝３０００円
申込先：豊田吉三郎、ＦＡＸ：０４−２９４９−７７８３
※『ゲーテ・シュタイナー思想入門�◆戮蓮■隠扱遑横菊�（土）１８：００〜の予定。
2008年09月13日
●「故（ふる）きを温（あたた）めて新しきを知る」
シュタイナー学校では、８年間は持ち上がり
今月２７日（土）は、子供達の小学校の運動会だ。娘の玲奈にとっては、小学校最後の運動会となる。
これまでにも、運動会へは必ず顔を出してきた。
私たちの子供の頃の運動会とはまるで違って、地域住民たちが顔を会わせる御祭の一つ、といったものではなくなっていた。まる事務的で、無味乾燥で、正直な話、進んで行きたいという気にはなれない（苦笑）。
地域共同体の崩壊現象が問題になってきたにも関わらず、小学校の今の運動会のあり方には、首をひねらざるを得ない。地元住民と転入者とが、子供を通じて初めてコミュニケーションが取れる晴れの場なのだが、単に運動会という大きな学校行事を無事にこなすというだけで、せっかくの運動会というチャンスの有効活用がなされていないのだ。
教頭校長も含めた教職員が、転勤などで常に移動するという今の仕組みの洗いなおしもなされない。
シュタイナー学校では、小学校１年生から高校３年生までの１２年間一貫教育で、その間の１〜８年生までの８年間は同じ先生が担当する。
そんな話をすると、すぐに
「いい先生にあたれば、それは嬉しいけれど、駄目な先生にあたったら、それこそ損ですよ」
との答えが返ってくる。
じゃあ、今の制度で、子を持つ両親が、いい先生、駄目な先生を見分けているのかと言えば、そうではない。私の周囲でもそうだが、ほとんどの両親は、担任の教師としての質などには無関心なのである（苦笑）。
シュタイナー学校では、教員として採用される段階で、ペーパーテストの点数を重視するという方法は採らないし、教職に愛情を持つ人、使命感のある人を採用するのだから、その心配は取り越し苦労というものだ。
教師「でも」やるかとか、教師「しか」ないから、といった動機の人の採用は、まずあり得ないといっていい。
もちろん、何事にも、あるいはどんな制度にも、物事には裏があれば表があるように、デメリットはつきものだ。パーフェクトはありえない。
折角、子供達の個性が理解出来てきて、さらにはその子供たちの両親や家庭の事情まで把握してきた頃に、クラス替えとなったり転勤したりでは、愛情のこもったきめ細やかな教育ができるはずもない。
「故（ふる）きを温（あたた）めて新しきを知る」
と、ここまで書いたら、郵便物やメール便が４〜５個届いた。と言おうか、子供達が、書道の塾の帰りに、一階にあるポストから持ってきてくれたのだ（笑）。
その中の一つにちょっぴり感動した本があった。
丸山敏秋氏から贈って頂いた新しい御著書
『美しき日本の家庭教育』（致知出版社）
である。
氏は、（社）倫理研究所の理事長である。
綺麗な墨書で私宛のサインを入れてくださり、さらに
「薫化（くんか）」
の言葉が添えてあった。
「薫化」とは、
「徳の力で感化する」
といった意味である。
話を戻す。
実は、この表紙に、
「温故知新（おんこちしん）、故（ふる）きを温（あたた）めて新しきを知る」
と記してあった。
『論語』為政（いせい）篇にある言葉である。
この言葉に、ちょっぴり感動したのである。
何故かというと、朱子は「温」を
「尋（たず）ねる」
と読んだのだが、王陽明は、
「温（あたた）める」
と読んだのだ。
「故（ふる）きを温（あたた）めて新しきを知る」
とは、
「煮詰めてとっておいたスープを、もう一度温めなおして飲むように、過去の伝統を、もう一度考え直して新しい意味を知る」（貝塚茂樹・訳注『論語』中央公論新社）
などといった意味である。
本書の「はじめに」で、この「故きを温めて新しきを知る」についての説明があり、敢えて「温（あたた）めて」と読まれたことが了解された（嬉）。
今回のご著書は、講義とトークで仕上げられていて、非常に読みやすいものとなっている。
これから拝読させて頂くのが、楽しみになった。
音楽は、私の仕事の原動力
他、当「姚江の会」のメンバーの藤原一巳氏のお知り合いで、岡山県の加古浦歴史文化館学芸員の村上節子さんからのお手紙と小論文である。
小論文は
「日生村の須知家系図にみる了介出岡後の蕃山（しげやま）村」（「閑谷学校研究」第４号、平成１２年５月１日・発行）
である。
藤樹の高弟の熊沢蕃山に関する論文なので、これも拝読させて頂くのが楽しみとなった（笑）。
その他は、アマゾンで注文したいくつかのＣＤである。このＣＤについては、いずれ紹介したい。
私が、仕事を楽しくやるための工夫の一つが、ＣＤ、つまり音楽なのである。仕事を始めるにあたり、いい曲を聞きながらだと、
「ようし、やるぞっ」
という気分になるから不思議だ（笑）。
今月２７日（土）は、子供達の小学校の運動会だ。娘の玲奈にとっては、小学校最後の運動会となる。
これまでにも、運動会へは必ず顔を出してきた。
私たちの子供の頃の運動会とはまるで違って、地域住民たちが顔を会わせる御祭の一つ、といったものではなくなっていた。まる事務的で、無味乾燥で、正直な話、進んで行きたいという気にはなれない（苦笑）。
地域共同体の崩壊現象が問題になってきたにも関わらず、小学校の今の運動会のあり方には、首をひねらざるを得ない。地元住民と転入者とが、子供を通じて初めてコミュニケーションが取れる晴れの場なのだが、単に運動会という大きな学校行事を無事にこなすというだけで、せっかくの運動会というチャンスの有効活用がなされていないのだ。
教頭校長も含めた教職員が、転勤などで常に移動するという今の仕組みの洗いなおしもなされない。
シュタイナー学校では、小学校１年生から高校３年生までの１２年間一貫教育で、その間の１〜８年生までの８年間は同じ先生が担当する。
そんな話をすると、すぐに
「いい先生にあたれば、それは嬉しいけれど、駄目な先生にあたったら、それこそ損ですよ」
との答えが返ってくる。
じゃあ、今の制度で、子を持つ両親が、いい先生、駄目な先生を見分けているのかと言えば、そうではない。私の周囲でもそうだが、ほとんどの両親は、担任の教師としての質などには無関心なのである（苦笑）。
シュタイナー学校では、教員として採用される段階で、ペーパーテストの点数を重視するという方法は採らないし、教職に愛情を持つ人、使命感のある人を採用するのだから、その心配は取り越し苦労というものだ。
教師「でも」やるかとか、教師「しか」ないから、といった動機の人の採用は、まずあり得ないといっていい。
もちろん、何事にも、あるいはどんな制度にも、物事には裏があれば表があるように、デメリットはつきものだ。パーフェクトはありえない。
折角、子供達の個性が理解出来てきて、さらにはその子供たちの両親や家庭の事情まで把握してきた頃に、クラス替えとなったり転勤したりでは、愛情のこもったきめ細やかな教育ができるはずもない。
「故（ふる）きを温（あたた）めて新しきを知る」
と、ここまで書いたら、郵便物やメール便が４〜５個届いた。と言おうか、子供達が、書道の塾の帰りに、一階にあるポストから持ってきてくれたのだ（笑）。
その中の一つにちょっぴり感動した本があった。
丸山敏秋氏から贈って頂いた新しい御著書
『美しき日本の家庭教育』（致知出版社）
である。
氏は、（社）倫理研究所の理事長である。
綺麗な墨書で私宛のサインを入れてくださり、さらに
「薫化（くんか）」
の言葉が添えてあった。
「薫化」とは、
「徳の力で感化する」
といった意味である。
話を戻す。
実は、この表紙に、
「温故知新（おんこちしん）、故（ふる）きを温（あたた）めて新しきを知る」
と記してあった。
『論語』為政（いせい）篇にある言葉である。
この言葉に、ちょっぴり感動したのである。
何故かというと、朱子は「温」を
「尋（たず）ねる」
と読んだのだが、王陽明は、
「温（あたた）める」
と読んだのだ。
「故（ふる）きを温（あたた）めて新しきを知る」
とは、
「煮詰めてとっておいたスープを、もう一度温めなおして飲むように、過去の伝統を、もう一度考え直して新しい意味を知る」（貝塚茂樹・訳注『論語』中央公論新社）
などといった意味である。
本書の「はじめに」で、この「故きを温めて新しきを知る」についての説明があり、敢えて「温（あたた）めて」と読まれたことが了解された（嬉）。
今回のご著書は、講義とトークで仕上げられていて、非常に読みやすいものとなっている。
これから拝読させて頂くのが、楽しみになった。
音楽は、私の仕事の原動力
他、当「姚江の会」のメンバーの藤原一巳氏のお知り合いで、岡山県の加古浦歴史文化館学芸員の村上節子さんからのお手紙と小論文である。
小論文は
「日生村の須知家系図にみる了介出岡後の蕃山（しげやま）村」（「閑谷学校研究」第４号、平成１２年５月１日・発行）
である。
藤樹の高弟の熊沢蕃山に関する論文なので、これも拝読させて頂くのが楽しみとなった（笑）。
その他は、アマゾンで注文したいくつかのＣＤである。このＣＤについては、いずれ紹介したい。
私が、仕事を楽しくやるための工夫の一つが、ＣＤ、つまり音楽なのである。仕事を始めるにあたり、いい曲を聞きながらだと、
「ようし、やるぞっ」
という気分になるから不思議だ（笑）。
