この日に照準を合わせて行動してきました.
3時起床,5時行動開始.
昨夜の鳥はどこかに飛んで行ったのか,いませんでした.
昨日までの疲労が蓄積したのか,腰がけっこう痛かったのですが,
しばらくすると痛みが軽くなったので,ホッとしました.
幕営地から30分ほど尾根伝いに登るとⅡ峰に出ました.
はるか長次郎谷の下部には3人パーティが登ってくるのが見えます.
おそらく八峰を登ってくるのでしょう.
ここから,Ⅷ峰までアップダウンを繰り返しながら剱岳山頂を目指します.
ほぼ尾根を忠実にトレースするので,結構切りったった部分が多かったです.
また,夏だと懸垂下降の支点がすぐに見つかるのですが,
今回は雪に埋もれて支点が全く取れないところもありました.
八峰の全行程で合計2回,雪の中に土嚢袋を埋めて,それを支点にして懸垂下降をしました.
セットはいずれもマサさんがしてくれましたが,これに体重をかけるのは怖かったです.
12時過ぎ,ⅤⅥのコルで,Ⅱ峰から見えていた3人パーティに出会いました.
群馬県の有名山岳会の混成チームでした.
群馬からは車で2~3時間で来れるそうで,うらやましい限りです.
今日は,時間が遅いのでここから引き返すとのことでした.
ふたたび,二人ぼっちです.
Ⅵ峰からは,見た目以上に微妙な登りが続いたので,アンザイレンして,2ピッチほどスタカットで登ることになりました.
Ⅶ峰はナイフリッジが続いていました.
Ⅶ峰から土嚢懸垂下降をすると,Ⅷ峰の頭が見えましたが,
斜面の雪の状態がかなり悪いため,Ⅷ峰を巻かずに直登することにしました.
Ⅷ峰の登りはさらに微妙で,3ピッチスタカットしました.
ここから,また懸垂下降をしなくてはなりませんでした.
すでに夕方となっており,早く安全地帯に出て泊まるところを確保したいと思うと,疲れも吹き飛んでいきました.
Ⅷ峰の頭へのルート取りがうまく行き,日が沈む前になんとかⅧ峰の頭の基部にたどり着けました.
ここから池谷乗越へ向かい,7時過ぎに幕営地に到着しました.
テントに入り込めたのは8時でした.
今日も疲れましたが,それ以上にホッとして充実した気持ちでいっぱいでした.
ここは電波が入るようで,3日ぶりにスマホがつながりました.
家族から,「遭難のニュースがたくさん放送されているけど,
生きてたら連絡ちょうだい」とラインが入ってました.
さて,今日の夕食の当番は,自分でした.
五目御飯のアルファー米を持ってきたのですが,
賞味期限が3年過ぎていて,それをチェックしたマサさんが,
これ食べられるんかねと言う顔をされました.
僕は3年ならまだ十分と心の中で思いましたが,「ああ! ホント過ぎてますね~!」と言いました.
お湯を入れてできたものをマサさんが一口食べて,味がおかしいと,それ以上口をつけませんでした.
え!?と思いながら僕も食べてみましたが,確かに味がおかしくなっていました.
でも食べられないことはないので,自分の分はあっという間に完食しました.
マサさんはそれ以上は食べようとはせず,ゴミとして持って帰ると言います.
申し訳ないので,僕が持ちますと言いましたが,マサさんは自分で持つと言って譲りません.
申し訳ないので,僕の手持ちの予備の食料などをどうですかと差し出したのですが,ほとんど口にすることはありませんでした.
本当に申し訳ないことをしました.
今後,期限切れの食品を人には食べさせないようにします.
ちなみにマサさんが,じゃぁこのアルファー米食べないから,ゴミとして僕に持ってと言われたら,僕は食べていたかもしれません.
昨日の幕営地からⅡ峰へ登る
Ⅰ峰方面 天気が回復し始める
今日は最高の晴天! 八峰二人占め
単調な登りの部分は快適
ⅤⅥのコルへ懸垂下降
Ⅶ峰からの懸垂下降のために穴を掘って土嚢を埋めるマサさん
Ⅷ峰の頭の基部に出た. よかった…
8時ようやくテントに入り込む
今晩も快適に寝られてよかった.でも10時就寝,2時起床でした