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かきのたね雑記帳 -山と果物の日々-

23 5月

残雪期劔岳八峰2016(3日目)

この山行期間中で唯一,一日天気が約束されている予報です.
この日に照準を合わせて行動してきました.
3時起床,5時行動開始.
昨夜の鳥はどこかに飛んで行ったのか,いませんでした.
昨日までの疲労が蓄積したのか,腰がけっこう痛かったのですが,
しばらくすると痛みが軽くなったので,ホッとしました.
幕営地から30分ほど尾根伝いに登るとⅡ峰に出ました.
はるか長次郎谷の下部には3人パーティが登ってくるのが見えます.
おそらく八峰を登ってくるのでしょう.
ここから,Ⅷ峰までアップダウンを繰り返しながら剱岳山頂を目指します.
ほぼ尾根を忠実にトレースするので,結構切りったった部分が多かったです.
また,夏だと懸垂下降の支点がすぐに見つかるのですが,
今回は雪に埋もれて支点が全く取れないところもありました.
八峰の全行程で合計2回,雪の中に土嚢袋を埋めて,それを支点にして懸垂下降をしました.
セットはいずれもマサさんがしてくれましたが,これに体重をかけるのは怖かったです.
12時過ぎ,ⅤⅥのコルで,Ⅱ峰から見えていた3人パーティに出会いました.
群馬県の有名山岳会の混成チームでした.
群馬からは車で2~3時間で来れるそうで,うらやましい限りです.
今日は,時間が遅いのでここから引き返すとのことでした.
ふたたび,二人ぼっちです.
Ⅵ峰からは,見た目以上に微妙な登りが続いたので,アンザイレンして,2ピッチほどスタカットで登ることになりました.
Ⅶ峰はナイフリッジが続いていました.
Ⅶ峰から土嚢懸垂下降をすると,Ⅷ峰の頭が見えましたが,
斜面の雪の状態がかなり悪いため,Ⅷ峰を巻かずに直登することにしました.
Ⅷ峰の登りはさらに微妙で,3ピッチスタカットしました.
ここから,また懸垂下降をしなくてはなりませんでした.
すでに夕方となっており,早く安全地帯に出て泊まるところを確保したいと思うと,疲れも吹き飛んでいきました.
Ⅷ峰の頭へのルート取りがうまく行き,日が沈む前になんとかⅧ峰の頭の基部にたどり着けました.
ここから池谷乗越へ向かい,7時過ぎに幕営地に到着しました.
テントに入り込めたのは8時でした.
今日も疲れましたが,それ以上にホッとして充実した気持ちでいっぱいでした.
ここは電波が入るようで,3日ぶりにスマホがつながりました.
家族から,「遭難のニュースがたくさん放送されているけど,
生きてたら連絡ちょうだい」とラインが入ってました.


さて,今日の夕食の当番は,自分でした.
五目御飯のアルファー米を持ってきたのですが,
賞味期限が3年過ぎていて,それをチェックしたマサさんが,
これ食べられるんかねと言う顔をされました.
僕は3年ならまだ十分と心の中で思いましたが,「ああ! ホント過ぎてますね~!」と言いました.
お湯を入れてできたものをマサさんが一口食べて,味がおかしいと,それ以上口をつけませんでした.
え!?と思いながら僕も食べてみましたが,確かに味がおかしくなっていました.
でも食べられないことはないので,自分の分はあっという間に完食しました.
マサさんはそれ以上は食べようとはせず,ゴミとして持って帰ると言います.
申し訳ないので,僕が持ちますと言いましたが,マサさんは自分で持つと言って譲りません.
申し訳ないので,僕の手持ちの予備の食料などをどうですかと差し出したのですが,ほとんど口にすることはありませんでした.
本当に申し訳ないことをしました.
今後,期限切れの食品を人には食べさせないようにします.
ちなみにマサさんが,じゃぁこのアルファー米食べないから,ゴミとして僕に持ってと言われたら,僕は食べていたかもしれません.


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昨日の幕営地からⅡ峰へ登る


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Ⅰ峰方面 天気が回復し始める

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今日は最高の晴天!  八峰二人占め


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単調な登りの部分は快適

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ⅤⅥのコルへ懸垂下降

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Ⅶ峰からの懸垂下降のために穴を掘って土嚢を埋めるマサさん


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Ⅷ峰の頭の基部に出た. よかった…

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8時ようやくテントに入り込む
今晩も快適に寝られてよかった.でも10時就寝,2時起床でした













22 5月

残雪期劔岳八峰2016(2日目)

一晩中みぞれ交じりの雨が降り続きました.
天気の回復を寝て待っていましたが,9時ころからようやく天候が回復し始めました.
急いで準備を始め,10時45分に出発しました.
12時にハシゴ谷乗越に到着.
ここから地図で方角を確認しながら真砂沢出合を目指します.
14時前にようやく真砂沢出合に到着.
剣沢には巨大な雪崩の跡があり,まるでスキー場の圧雪車が通った後のようでした.
15時前,ようやく長次郎谷の出合に到着.
明日の行動を考えて,本日は八峰Ⅰ Ⅱ峰間のコルまで行きたいところです.
ここから小一時間ほど登ったところがⅠ Ⅱ峰間ルンゼの取りつき.
思った以上に雪が深く,二人交代のラッセルで思うようにはかどりません.
シュルンドに足を取られ,ちょっと怖い思いもしました.
18時過ぎ,Ⅰ Ⅱ峰間コルの手前で暗くなり始めました.
ルートファインディングが難しくなるのと,シュルンドのような危険個所の処理が出てくる可能性があるので
これ以上続けるのは困難と判断し,Ⅱ峰直下の尾根上でなんとか幕営できそうな場所を探し,30分くらい時間をかけてかろうじてテントを張ることができました.整地のため雪の斜面を掘っていると,灌木が出てきたので,
念のためこれでテントのビレイをとっておきました.
今日も目的地まで到着できずじまいで,とても疲れました.
水を作るための雪を取ろうとマサさんがテントを開けると,
名前はわかりませんが小さなツバメのような鳥が入ってこようとしました.
何度もこちらに向かって羽ばたいてくる姿を見て,「寒いからテントに入りたがっているかも」と田中さん.
今は雪の上で羽を広げたままじっとしています.
マサさんは,「凍死したらかわいそうだから,テントの中に入れてあげたい」と言い出しました.
僕は,「えー!?マジですか!?」と言いました.
雪山で鳥と一緒にテントに泊まったなんて話,聞いたことないけど,マサさんがどうしても入れたいなら仕方ないかなとも思いました.
マサさんは,鳥が糞をしても大丈夫なように,自分の靴用のビニル袋の中に入れてやると言っています.
でも,雪山の中に生息している野生の鳥だし,本当にテントの中に入りたいと望んでいるかどうかわからないし,かえってありがた迷惑かもしれないので,そのままそっとしておいた方が…
結局そのまま外に放置することにしました.
明日,凍死してなければ良いけどと,マサさんは心配しています…
心のやさしい人です.



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天気も回復傾向.ハシゴ谷乗越へ向けて快調に進む

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真砂沢出合に向けての下り.思いのほか時間がかかりました

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剣沢の中.雪崩の圧力で雪がガチガチに


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Ⅰ Ⅱ峰間ルンゼの取りつき.黒い岩が目印

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ⅠⅡ峰間ルンゼの登り.ラッセルで体力を消耗する
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交代でひたすら登る

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翼を広げて休む?野鳥.
凍死しなければいいが…

18 5月

残雪期劔岳八峰2016年4月30~5月3日(1日目)

この連休,マサさんから山に行かないかとお誘いを受け,ギリギリまで予定が不確定だけど,
どこでもいいので行けるところに行きましょうと言うことになりました.
とりあえず,目標は劔岳の八峰ということになったが,マサさんも直前に中国出張で帰ってこれるかどうかわからないし,
僕も休みが取れるかどうかわからない状態でしたが,なんとかお互い都合がつき劔岳に行けることになりました.
しかし,天気予報はかなり荒れるという予報で望みは薄そう.
まあ,無理のない範囲でとりあえず行ってみようと言うことにしました.

4月30日
一晩かけて福岡から大町まで2人で交代しながら運転し,扇沢に到着.
午前中は予想に反し,いい天気.
予報では荒れ模様で気温も低くなるとのことだったので,厚手の服を着てきたので暑くてしょうがありません.
10時発のトローリーバスで黒四ダムまで行き,そこから黒部川へ降りて行きます.
針木岳の先鋒が見事でした.
12時内蔵助平と下廊下の分岐点に着き,ここから登りとなります.
少しずつ雲が多くなり始めました.
雪は少なく,道は所々崩壊し内蔵助平まで時間がかかってしまいました.
内蔵助平についた頃には,みぞれ交じりの雨が強くなってきたため,
上下アウターを着ることにしました.
ここからハシゴ谷乗越に向かうためには徒渡しなくてはいけません.
橋を見つけたので,これを渡ることにしましたが,橋への降り口が雪で覆われていたため
僕がビレイして,田中さんにステップを作ってもらいながら橋へ降りてもらいました.
この時点ですでに16時30分.真砂沢出会いまで行きたかったのですが,天気も悪くなってきたこともあり,内蔵助平で幕営することにしました.

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下廊下 いい景色です

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穏やかな下り坂が続く

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針木岳の先鋒 天気もいい


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丸山東壁の下を通過 道が不明瞭なためルートを探しながら進む

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内蔵助平に着いた頃には天気は悪くなる

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徒渡地点 ステップを作って渡り終わった所

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