img088『日本の雇用と中高年』(濱口桂一郎、ちくま新書)

いいペースで中程まで読み進めていったところ、第二章末の"解雇と定年の複雑な関係"でページを繰る手が暫時停まりました。タブーと言うとおおげさかもしれませんが、多くのサラリーマンが感じていながら表立っては話題にはしない、能力不足を理由とする解雇はまず行われない事実について、唐突に言及されています。著者曰く「日本型雇用システムの本質に関わるところ」。それって、社会政策も超えて社会保障の機能まで有すると?
そのことが頭にあったので、今日の官報で地方公務員法の次の改正を見て、むむ、今後は能力不足でバッシバッシ免職していくのか! と一瞬誤読してしまいました。

職員が、人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、勤務実績がよくない場合は、その意に反して、降任し、又は免職できることとした。(第二十八条第一項第一号関係)

逆ですね。「勤務実績がよくない場合」の判断に客観的な根拠を求めることとして、恣意的な運用を制限する改正と評価していいのでしょう。

それはともかく、本書、前二著で親しんでいる著者の論の中高年雇用問題への当てはめ、ということで、サクサク読めました。いつもながら明快な分析で、歴史を踏まえた現状のクリアな認識を得られたような気はするのですが、その現状、種々の要因が複雑に絡み合い、あちら立てればこちら立たず、なんとも難しい。著者の具体的な提言はあるわけですが。