2008年05月30日

感情爆発

840b4590.JPG今日は激しい一日。
はげしすぎて、はげそうです。
でも、髪を失いたくない!

二つの出来事。

一つは学生が苦しんでいること。
もう一つの大学で試験が始まっています。
うちにもその大学の学生が5人、勉強に来ています。
そのうちの二人は成績が悪い女の子。

一人は僕の知り合いの家族の女の子。
2月中旬からうちに通っています。
日本語が好きで、日本語学科に半ば無理やり入学したんだけど、全くついていけてない。
もう一人は以前、アニメグループに来ていた子。
こちらは4月に入ってから、個人レッスンを始めました。
元々、絵の勉強をしていて、家庭の事情もあり、性格はちょっと複雑なところがあります。
二人とも日本語が大好きで、頑張ってはいるのですが、なかなかうまくいかないのです。

私はそれぞれの両親ともよく連絡を取る間柄です。
二人の母親は、自分の子供が通っている大学はベラルーシでも「いい大学」と言われているので、勉強に関しては全く心配していなかったのだそうです。
それが、ふたを開けてみたら、自分の子供はおちこぼれになっていた。
それは親達にとって、非常に大きいショックだったと思います。
子供たちから話を聞いて、大学や教師のやり方に非常に問題がある、と親達は思ったそうです。
私も周りから伝え聞いている話しから考えて、こりゃあダメだろうな、とは思っていました。
おそらく、その「犠牲者」が出るだろうと考えていました。

親達は「大学でちゃんと教えているのなら、わざわざ家庭教師のところに通う必要はない」と言ってました。
私も同感です。
もし大学の授業で事足りるのであれば、それで十分だと私も思います。

二人とも、大学では全くうまく行かず、再試験になってしまったんです。
大学での要求は非常に無茶なもの。
その大学では「みんなの日本語」という教科書を使っているんだけど、その教科書の第1課から第20課までに出てくる漢字を全部覚えろという、全く意味のない要求。
第10課までは漢字の書き方も覚えて、第11課から第20課までは読み方だけでOKという非常に中途半端な内容。

「みんなの日本語」は日本語の総合教科書。
漢字のために書かれた教科書ではないので、出てくる漢字は簡単なものから難しいものまで様々。
例えば、「琵琶湖」。
漢字で書けます? 僕は人生で一回しか書いたことがありません。
他にも「洗濯」「掃除」「金閣寺」など、日本人でも間違えかねない漢字が続きます。
簡単に言えば、無茶苦茶な要求を出しているのです。

その学生達、一年生ですよ!
皆さん、小学校の一年生でどんな漢字を書いていたか、覚えていますか?
「山」とか「川」でしょ?

それでも、彼女達はめげませんでした。
もしかしたら、彼女達は才能がないのかもしれません。
恐ろしく簡単な言葉で言えば、「頭が悪い」のかもしれません。
でも、必死に勉強してます。
日本語が好きだからです。

いとおしい。
誤解を恐れず、言おう。
抱きしめたいほど、いとおしい。
いとおしいとしか言えない。

「頭が悪い」のかもしれない、と書きましたが、僕は学生が「頭が悪い」ということは絶対にないと思っています。
勉強が出来ないのは「教師が悪い」「勉強のやり方が間違っている」、この二つしか理由がないと私は思っています。

僕は昨日の夜、A4の紙を半分に切ったものに、「みんなの日本語」第1課〜第20課に出てくる漢字を使った言葉を全て書き出しました。
それが今日の写真です。
プロの日本語教師の人から見れば、当たり前のことなのかもしれません。
でも、僕は今まであまり使ったことがありませんでした。
というのは、僕は漢字よりも会話中心で教えることが多く、漢字の授業は現地の先生がすることが多いからです。

昨日の夜はとても疲れていました。
正直、倒れそうなほど疲れていました。
でも、僕は漢字を書きました。
夜中の2時半までかかりました。
枚数はわかりませんが、600枚近くはあるはずです。

こんな風に書いていますが、僕は特に考えもなく、とにかく彼女達を合格させたい、その一心で書いていました。
二人のうちの一人の顔を見て思ったのです。
彼女はいつもニコニコしていますが、そのせいで逆に彼女の感情が見えることはありません。
昨日の夜、何をしたかという話しになった時、僕は「2時半まで漢字を書いてました」と言ったら、彼女は「ありがとう」と言いました。
「ありがとう」
これ以上の言葉は要りません。
もしかしたら、夜遅くまでやったことを隠したほうが美しいのかもしれません。
でも、これは本当のことで、僕は隠しません。
夜遅くまでその人のために何かをして、それに対して「ありがとう」。
すごく当たり前で、すごくうれしいこと。

もう一人の「芸術家」学生には、熱く熱く教えました。
漢字の紙を使って、徹底的に。
でも、結果はこの紙の半分しかわからない、という結果に。
彼女の授業は15時半から17時までで、17時から他の学生が来る予定だったのですが、彼女に「これから他の学生が来るので、1時間半、うちの台所で待ってもらえる?」と聞くと、「はい!」
うれしそうに答えました。
それはそれはうれしそうに。
うれしい彼女以上に、うれしかったのは僕でした。

1時間半、他の学生を教えて、彼女ともう一度授業。
彼女は台所で、僕の言ったとおりの勉強法を使って勉強し、見ても読み方がわからなかった漢字のほとんどをクリアしました。
信じられないほど確信を持って、答えていました。

彼女たちが試験をパスできるかどうかはわかりません。
大丈夫でしょう。
そう信じるしかないです。
彼女達は退学になるかどうかの瀬戸際なのです。
祈るような気持ちで、このブログを書いています。

さて、もう一つの出来事。
学生達との劇「夕鶴」が崩壊しそうです。
もうだいぶ長く書いたので詳しくは書きませんが、おそらくアウトだと思います。
学生の一人が練習に非協力的であることが原因です。

ここまでがんばってきたのに・・・
日本人みたいに「協力」だとか「みんなで力をあわせて」などと言う伝統はここにはありません。
それぞれが自立していると言えば聞こえはいいですが、結局は自分勝手なのとかわりはないですから。

かわいそうなのは主役の「つう」を演じるはずだったレーナちゃん。
彼女がいなければ、とっくの昔に劇を投げ出していたと思います。
彼女が死ぬほど長いモノローグとかを暗記して、演技しようとしていたのを見て、やめるわけにはいかなかったんです。
レーナちゃんと電話で話したのですが、私の話しを神妙に聞いていました。

我ながら、まだ熱いよ!
本当なら、教師として学生達をいい方向に導いて行くようにしなきゃいけないんだろうけど、俺は本気でぶつかっていきます。
もし明日、問題の学生が心から、本気でぶつかってこなかったら、この劇はやめます。
意味がないからです。

私はその学生のことはかなり信用していました。
なので、彼の無責任な行動には私自身傷ついています。

今、夜の12時25時。
心の波はおさまりそうもありません。

akiravich at 06:25コメント(4)トラックバック(0) 
日本語教師の仕事 | 夕鶴

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コメント一覧

1. Posted by prugna   2008年05月31日 00:23
お久しぶりです。いろんな人が集まると何か成し遂げるのって難しいですよね。私も大学の同級生で、去年新入生歓迎の「オペレッタ」をやったのですが、もともとまとまりのある学年ではなかったので、なかなか話し合いや稽古が進まなかっり、衝突したり、ホント完成するか一時は危ぶまれました。でも、いざこざがあったことが良かったのか、その後は結束し、最終的に良いものを作り上げられました。

「協力」という伝統がなく、そんなうまく行かないかもしれませんが、最後まで諦めないで頑張って下さい!
2. Posted by 東洋の神秘   2008年05月31日 02:16
(彼女はいつもニコニコしています)
(「はい!」うれしそうに答えました。)
この子たちは優しい心をもった人ですね。自分が一番苦しいのに周りを気遣ってくれるとは・・・。僕も要領がいい人よりも真っ直ぐで不器用な人の方が好きです。試験にパスすることを日本から祈ってます。
 それとは逆にその無責任な学生はむかつきますね。そんな学生はベラルーシでも嫌われるでしょう?それってベラルーシでは普通ですか?その学生には垂直落下式バックドロップでお灸をすえてください。
3. Posted by akiravich   2008年05月31日 06:05
prugnaさん、本当にお久しぶりです。
元気してましたか?
いざこざとか、ぶつかったりするのって、いいと思うんですよね。
やる気がなかったら衝突もしないわけだし。
こちらの場合、衝突すらしないんですよね。
協力とかするわけでもなく。
まあ、これで終わるわけではないので。
9月からの新学期に仕切り直しといきたいです。
メンバーを入れ替えて、ということも考えてます。
そちらはどうですか? 楽しく生活していますか? 
またメール書きますね。
4. Posted by akiravich   2008年05月31日 06:15
東洋の神秘さん、コメントありがとうございます!
私も要領がいい人より、不器用だけど頑張っている人のほうが好きです。
自分もかなり不器用なほうなので。
残念ながら、彼女達は試験にパスしませんでしたが、電話で話した感じではさほど落ち込んでもいなくて、声が明るく前向きだったのでちょっと安心しました。
無責任な学生のほうですが、そんな人間はベラルーシにごまんといるので、特に目立つこともありません。
私は自分の学生には「いくら日本語がうまくなっても、人間的に問題がある人は、通訳にはなれない」とよく話します。
私としては彼に雪崩式垂直落下ブレーンバスターをしかけたい気持ちです。

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akiravich

山形県出身。
2000年からベラルーシ共和国の首都、ミンスク在住。ベラルーシ国立大学文学部・日本語教師。目指すのはベラルーシの金八(略してベラ金)。
愛する妻ベロニカちゃんと愛する龍二くん(5歳)とのベラルーシ生活!
日本の皆さまにベラルーシ一般国民目線のベラルーシを御紹介!

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