2008年10月29日

ゲリヴェルの夜 НОЧЬ ГЕЛЬВЕРА

140531bd.JPG今日は久々に劇場に行ってきました。
劇のタイトルは「ゲリヴェルの夜」。
ゲリヴェルというのは主人公の男の名前です。
元の戯曲はポーランドのものらしいのですが、どこが舞台になっているのかはちょっとわかりません。

時は第二次世界大戦の頃。
ゲリヴェルは少し知的発達に障害がある青年。
「僕も戦争に行くんだ!」と言って聞かない。
もちろん、そんな青年が軍隊にとってもらえるはずもないのに。

ゲリヴェルの母親は一人苦しむ。
ゲリヴェルは外で誰かに軍隊のことを吹き込まれ、軍隊への憧れが止まらない。
うちの中でも軍服を着、旗を振り回す。
そして、母親に対しても、その悲しい「軍隊ごっこ」を強要し、その行動はどんどんエスカレートしていく・・・

母親が背負った暗い過去。
過去は繰り返していく。
母親を駆り立てるものは愛情か憎しみか。

これ以上ないほど、心理的にきつい劇です。
実は今日は1年生の学生たちと一緒に行ったのですが、正直、心配だったんですよ。
というのは、好き嫌いがはっきり分かれるタイプの劇なので。
救いのない悲しい劇を見て、拒絶反応を示されたらどうしようと内心、ビクビクものでした。
チケットも10000ルーブル(約480円)と、安くなかったですから。

でも、学生たちの反応は・・・
かなりすごかったです。
いろんな人と劇場に行きましたが、ここまですごい反応はありませんでした。
学生は6人来ていたんですが、そのうち5人は少し離れたところに座っていました。
そのうちの一人は劇が終わった瞬間に立ち上がって、両手を上げて拍手。
感激しているのがわかったのですが、その後、姿を消してしまって。
おそらく先に帰ったのだろうとは隣に座っていた学生の話。
泣いているところを見られたくなかったのか何なのかはわかりませんが、こんなケースは初めて。
5分後ぐらいに「挨拶もしないで帰ってしまってすみませんでした」というショートメールが。
やはり、あまりにも感激して言葉がなかったようです。

もう一人の学生はショックの余り、私の呼びかけにも全くの無反応。
目が遠くを見ていて、目の前のものが見えていない感じ。
みんなで地下鉄の駅に向かったのですが、彼女は地下鉄の駅を通り過ぎてしまったので、みんなで彼女を呼び止めました。
劇のことで頭がいっぱいで、何も見えていなかったようでした。

それぐらい劇に夢中になれるのは若さ。
何も見えないくらいがちょうどいい。
正面から感じることができること。
逃げない。
目をそむけない。
それが若さ。
私は一年生のことが大好きです。

他の学生たちも言葉を失っていました。
それぐらいの力がある劇です。
私とベロニカちゃんは見るのは二回目でした。
私はやはり最後のシーンを見ていたら、背筋がゾクゾクしましたよ。

PA102052
ゲリヴェルを演じていたのは、オレグ・コッツ(Олег Коц)。
このブログにもたびたび登場している俳優で、今度結婚するオレグ君です。
今日の演技が良かったので、写真を載せてあげましょう(←10月11日の投稿「俳優と軍隊」にも同じ写真が載っています)。
うちに帰る途中、オレグ君に「うちの学生が劇に感激して、呆然としている」とショートメールを書いたら、「意識を失っている子、いた?」というお気楽な返事。
今日劇を見た学生に彼は紹介すると、イメージが崩れそう・・・

母親役のイリーナ・カバノヴァ(Ирина Кабанова)さんはちょっと面識があります。
ベラルーシの芸術アカデミーで学科長をしているはずです。
すごくうまいんですよ。
当たり前ですけど。
彼女がベラルーシの劇場に所属していないのが不思議なくらい。

それにしても、一年生のリアクションがすご過ぎ。
こんなに感受性が豊かで、感じやすい子達だとは思いませんでした。
みんな、日本語で劇をやりたいと言っているのですが、これはやらなきゃならんでしょう!
やりますよ!

一年生へのメッセージ
Для первокурсников
Я знаю, что спектакль вам очень понравился.
Я видел, как вы впечатлены.
Я хочу предложить вам еще сходить на некоторые спектакли, которые мне очень нравятся.
Вы согласны?
И еще одно важное предложение: давайте поставим спектакль на японском языке!
Я давно мечтал о спектакле со студентами, но не было возможности.
Я прекрасно знаю, вы очень хотите поставить спектакль.
Я думаю, что мы с вами сможем осуществить наше общее желание!

ちょっと長いメッセージになりました。
一年生たちに「日本語で劇をやろうか?」と振ったんですよ。
すると、みんなやる気満々で。
しょっちゅう「いつ劇を始めるんですか?」と聞かれまくっているんです。
でも、ちょうどいい劇がなかなか見つからないんですよね。
学生に合いそうな劇があったら、教えてください。
よろしくお願いします。

PA282209
今日のおまけ写真。
今日は一年生の授業が朝の8時半からあったので、6時半起き。
窓の外を見たら、すごい朝焼けが。
日本ではなかなか見られないですよね。
形容しがたい色なので、形容しません。
とにかくきれいでした!

PA282210
似たような写真をさかさまにしてみました。
何か赤い海のようできれいだと思いませんか?

akiravich at 05:25コメント(7)トラックバック(0) 
ベラルーシの劇場 

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コメント一覧

1. Posted by ユーリャ   2008年10月29日 17:43
先生、

「水曜日の劇、すごくいいですよ!楽しみですね!」というのは昨日(火曜日)に先生が見た「ゲリヴェルの夜」という劇のことですか。

実は私、ホントに今日行こうと思っていました。ネットでポスターを見ればよかったのにね。私のバカ!!(>_<)
2. Posted by akiravich   2008年10月29日 18:31
ユーリャさん、今日、劇場に行くんでしょ?
Балада пра Каханнеだよね?
その話だったんだけど。
ゲリヴェルも良かったですよ。
すごく暗いから、ユーリャさんにも気に入ってもらえるかも
3. Posted by ユーリャ   2008年10月29日 19:54
いえ、先生、違います。
Балада пра Каханнеは
今週の水曜日じゃなくて、
11月19日の水曜日ですよ。(^^)

先生の話よく分からなくて、
すいませんでした。
4. Posted by しらつゆ   2008年10月30日 17:40
写真はそのままでも
波立つ海面の
あるいは波うちぎわの
アップの様に見えます
巨大なホログラムみたいに

台本で検索したら
オリジナルの脚本を読める
サイトがいろいろありますね
ほとんどコントのようなものみたいですが
5. Posted by akiravich   2008年10月30日 19:02
しらつゆさん、こんにちは。
こういう朝焼け、日本ではなかなか見られないのではないでしょうか。
ベラルーシでは結構普通に見られます。
脚本、なかなかインターネットでは見つけにくいんですよね。
著作権がしっかりしていないロシア語圏では、インターネットでかなりの数の戯曲を読むことができるんですが・・・
なかなか難しいです。
もうちょっとがんばって探してみます。
6. Posted by Alla   2008年10月30日 22:41
спектакль... я такого давно не видела.. нет.. вообще не видела.. такой игры, таких чувств, таких мыслей и такой отдачи.. я в восторге.. не думала никогда, что у нас такое вообще может быть..
актеры.. такой уровень.. нет слов.. всего 2 человека....
обычно я люблю обсуждать спектакли, понравившиеся моменты, слова и так далее.. а этот я ни обсуждать , ни перессказывать не то, что не хочу.. не могу..
это было.. ну вот.. опять не могу подобрать слов...
в общем.. спасибо вам огромное, я бы многое потеряла, если бы не увидела это.
вы для нас учитель в полном смысле этого слова.
7. Posted by akiravich   2008年10月30日 23:53
Я думаю,что когда не можешь подбирать слова, не надо подбирать.
Потому что молчание говорит о большем, чем слова...
У меня тоже бывает такое состояние:не хочется ничего говорить...
Будем ходить в театр!
Спасибо за прекрасный комментарий.
Мне очень приятно учить вас японскому языку и общаться с вами.

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akiravich

山形県出身。
2000年からベラルーシ共和国の首都、ミンスク在住。ベラルーシ国立大学文学部・日本語教師。目指すのはベラルーシの金八(略してベラ金)。
愛する妻ベロニカちゃんと愛する龍二くん(5歳)とのベラルーシ生活!
日本の皆さまにベラルーシ一般国民目線のベラルーシを御紹介!

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