さて、『立川文学Ⅲ―第三回「立川文学賞」作品集』の発刊にあたり、その内容(作品ラインナップ)について著者の一人として、ここでコメントしておきたいと思います。

 

というのも、今回はオムニバスの作品集ということで、多くの皆さんに手にとっていただくためには、私の作品『見えない光の夏』だけでなく、作品集全体としての「総合力」が試されるという側面があるからです。

 

収録される5篇の小説のうち、「いちばん面白いのは私の小説です!」と言い切りたいところではありますが、いずれも第3回立川文学賞で上位入選した作品ばかりですし、審査委員長の志茂田景樹先生もコメントされている通り、今後新たなステージで活躍する可能性を秘めたメンツが揃っており、まず手に入れておいて損はない1冊だと思われます。

 

では、作品ラインナップについて、さらりと触れていきたいと思います。

 

まず大賞をとられた秋満吉彦さんの『狩野永徳の罠』は、美術ミステリーといったテイストの作品のようです。著者ご自身が某TV局のディレクターをされているとのことで、そうした経験も活かしたストーリーになっているそうです。

 

佳作『天覧―近頃、珍しきモノ見たり―』の三井多和さんは、3月の授賞式をご欠席されたため、直接お話する機会には恵まれなかったのですが、今回の作品は明治時代の歌舞伎の世界を題材にした小説になっているようです。

 

『丹い波(あかいなみ)』の三友隆司さんは、栄えある第1回立川文学賞の大賞受賞者で、時代小説の書き手として志茂田先生からの評価もとても高いお方です。今回の作品もかなりハイレベルだったようなのですが、大賞受賞経験者でもあり「殿堂入り」の意味も込めて特別参考作品賞という扱いになったようです。

 

佳作&立川市長特別賞、澵井宏彰さんの基地に咲く花』は横須賀の米軍基地を舞台にした作品だそうです。我らが相模原にも米軍の施設がありますし、近隣でも座間や厚木(大和)をはじめ、神奈川県と米軍基地は深い関係があります。そういった意味で、個人的にも非常に興味深く、気になっている作品です。

 

加えてラインナップされる、私・秋沢一氏の佳作『見えない光の夏』が相模原と湘南を舞台にしているということもありますので、この2作品が収録されている点だけ考えても、『立川文学Ⅲ』は、神奈川県在住の皆さんには一読の価値ある1冊になっていると思われます。

 

さて、今回の第3回立川文学賞において、唯一の女性受賞者だった大空美南さんの佳作『政宗の右目に見守られ』が不掲載となり、作品集のラインナップから外れたのは少々残念でした。彼女は純粋詩などの分野でも活動されているそうで、一体どんな作品なのか興味があったのですが。


彼女のブログによれば、「作品の仕上がりが納得のいく水準にならなかった」というのがその理由のようです。色々と思うところがあるのでしょうし、書き手にはそれぞれの事情があるので、これは仕方ないかとも思います。

 

個人的には、その瞬間瞬間の「最大風速」を出していくしかないのが、物書きの宿命だとも考えています。しかし、日々産み出していく作品の「質」といったものを、リリースのペースとの兼ね合いの中でどう担保していくのか、といった問題について色々と考えさせられる事象でもあり、他人事ではなく胸に刻んでおくべき出来事のような気もしています。

 

はてさて、だらだらと書いてきましたが、『立川文学Ⅲ―第三回「立川文学賞」作品集』は、ミステリーあり、歴史時代小説あり、青春小説あり、社会派のエッセンスもありといった感じに、様々なジャンルの良作が楽しめる作品ラインナップになっております。

 

ぜひとも、お手にとっていただければ幸いでございます。

 

 

【本へのサインについて】

私・秋沢一氏が出没する場所に『立川文学Ⅲ』をお持ちいただいた場合は、原則として、ご希望であればサインを差し上げます(私なんぞのサインでよければ)。旧作『風にうたうインマイライフ』をお持ちいただいた場合でも、ご希望であれば同様に対応させていただきます。いずれの場合も、新品・古本は問いません。

※但し、やんごとなき事情(めちゃ急いでいる、めちゃお腹が痛い、めちゃ場違いな状況、など)で、お断りする場合もあるかと思います。ご賢察ください。

 

 

諸々よろしくお願い申し上げます。

 

 

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【タイトル】『立川文学Ⅲ―第三回「立川文学賞」作品集』

【編集】立川文学賞実行委員会

【収録作品】大賞・佳作受賞作5篇(秋沢一氏『見えない光の夏』を含む)

【発行日】630
 ※
Amazonなどに情報が表示されるのは約1週間後の見込み

【価格】1,500円〔税別〕

【購入方法】立川オリオン書房、各ネット書店
 ※一般書店さんでの取り寄せ購入も可能

【版元】けやき出版 http://www.keyaki-s.co.jp/

 

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