6月ももうあっという間の
一週間が過ぎて
35歳、なんだかいろいろ生き急いでいます。
ということで
35歳になって一発目のお仕事かもしれません
秋田県のフリーマガジン『のんびり』13号のデザイン。
来月7月中旬の発行を目指して、せっせせっせと。
みなさま、どうぞお楽しみに。

と、6月もジメジメと梅雨のごとく
事務所の中に缶詰め状態で
せっせとパソコンと睨めっこしていた昨日のこと。
なんだか、事務所横のクルミの木にとまった
カラスの鳴き声が「カーカー」うるさいなーと
事務所外に出たところ……
一匹の黒いカラスが高いクルミの木の枝に引っ掛かって
飛べずにもがき苦しんでいるではないですか……
何かの細いワイヤー(紐?)のようなものが
脚に巻き付いた状態で空を飛んでいたら
たまたま、木の枝に引っ掛かってしまったのでしょう……。
いやぁ……
なんとか助けてはあげられないものかと……
建物で例えると4階建てくらいの高さはあろうかという
高い木の枝に引っ掛かっているカラスを
ただただ無力に見上げていた、わたし……。
「んー、仕事もあるから……ごめん!
カラスの仲間たちー、あのこを助けておくれー!」
と、急ぎの仕事もあり、
後ろ髪ひかれながら、その場を一度離れることに。
と、木の枝に引っ掛かった
カラスの鳴き声がただただ痛々しく聞こえる事務所で
急いでその日の仕事を終わらせ
また夕方、あの木の下に様子を見に行くと……
半日もがき苦しんだこともあって
体力が落ち、ぐったりと飛ぶチカラを失いはじめた
あのカラスの黒吉(勝手に名前をつけた)が
木の上で力尽きそうな状態でいました。
と、夕日も傾き、辺りが暗くなりかけたそんな時
無力にただただ木を見上げる
わたしのことが気になったのか
いつも、いつも
本当の親父のように自分のことを気にかけてくれる
わたしにとってのもう一人の親父・隣りの家の父さん(長さん)が
高い梯子とノコギリを持ってきて
真っ暗で足元も見えなくなるような中
高い木に這い上がって
カラスの黒吉を助けてくれたのでした。

もう瀕死状態だったカラスの黒吉に
「ほれ、水のめ。あど大丈夫だがらな。」
と、我が子のようにやさしく大きな手で包んで
蛇口から水を飲ませてあげようとする、長さん。
「本当に長さんは、やさしいなあ。すごい人だなあ。」
と、心配で駆けつけた母と一緒に
長さんのそのやさしい姿を見て、
夜も8時をまわろうとしている中の感動劇に、
二人で泣きそうになっていました。


水を飲ませて
あとは一晩、段ボールの中で休ませようと
ネットを段ボールの上から被せてあげる長さん。
カラスの黒吉の目が
感謝の涙で潤んでいるように見えました。
長さんが本当に神様のように見えた
そんなカラスの黒吉との一日でした。

そして、今朝。
いつものように農作業に出掛けようとする長さんに
「昨晩のカラス、どうなった?」と聞くと……
「無事に飛んでいった。いがった、いがった。」と
ものすごい大きくて優しい笑顔で
嬉しそうに話してくれたのでした。
カラスの黒吉、助かって本当に本当によかった。
あたりの電柱や木々にとまって
「カーカー」元気に鳴いているカラスの中に
黒吉はいないかと、
ふと探してしまっている自分がいました。
今の日本の世の中では
高齢者を看てあげられる環境や人材が不足しているからと
姥(うば)捨て山のように
地方に介護が必要な高齢者を移住させよう
そうすれば介護の雇用も促進され、若者の働き口も増えるだろう……
なんて、信じられないことを口にするお偉いさん達が
この日本の中心にはいるみたいだけど
きっと、そんな人間のこともゴミみたいに扱える人たちにとって
カラスの一匹の生死なんて
本当にどうでも良いことなんだろうし
残念過ぎる世の中だけど……
自分が暮らすここには
飛べない一羽のカラスの命を全力で守ってくれるような
強くて、やさしくて、きちんとした人間らしい心をもった
長さんのような大きな人間がいるから
自分は少しでもこんな長さんみたいなヒトになって
ここで生きていたいなあと
心から強く強く思いました。
いつか、きっと
真っ白な「鶴の恩返し」じゃないけど
真っ黒な「カラスの恩返し」が長さんのもとに
やってくるのだろうなと信じています。
今日は、久し振りに書くブログだっていうのに
「長さんとカラスの黒吉」の話をしながら
お腹の底では
今の心のない日本という国のことを怒ってみました。
カラスの黒吉、
また、うちの事務所のクルミの木に遊びにおいでね。
んでば、ビール。