第十九回空き家歌会


















第十九回空き家歌会(二〇一七年六月二五日)詠草
「敗」(題詠もしくはテーマ詠)

A ただ一度破れるためにきみの書く文字は何度も敗れてしまう

B 両成敗でまるく収まりそうな議論リツイートしてお昼寝タイム

C カゴの中の空き缶だけが待っていた僕の目を焼く初夏の電灯

D カツ丼を愛した敗荷 図書室の嘘の記憶にばかり惹かれる

E 点滅が早すぎるから気付かないだけだったのか体勢を解く

F 渡される林檎を受け取り損ねては透明なまま日々を生きる

G 靴下のやぶれから出た親指よ負けてはいない勝ってもいない

H 愛は勝つ(何に?)おそらく朝に見た轢かれて死んだ鴉がいなくなっているようなことに

I 「よお」と手をあげる真夏のサボテンに何だろうこの敗北感は

J そのときは紫陽花に埋もれゆくといいもう一度敗けた後の都よ

K たっぷりと雨に愛されあじさいは失敗談にもう上の空

L まけたけどチョキの手のまま帰りみち監視カメラに笑顔を送る

M 敗戦と呼べばそよげる一行がたけのこの里年表にあり

N 惨敗です 分かるでしょ?って聞いてくる瞳に一度もYESと言えない

O 血管を流れる春の敗北がようやく胸のあたりを過ぎる


以上、十五首が出揃いました。選歌の方式は「持ち点制」です。当日、5点を自身以外の歌に自由に振り分けて投票します。(たとえば、五首に1点ずつ、一首に2点・三首に1点ずつ、など)
また、当日の空き家歌会まで各歌への個別の言及はお控えください。では、歌会で!