第二十二回空き家歌会(二〇一九年三月二四日)詠草
「白」(題詠もしくはテーマ詠)

A 白木蓮花を掲げて立つ闇に別れがたさを掬ってくれた

B あまないティッシュと、あまいティッシュがある。たべてみるまでわからんかった。

C 出会う。始まる。終わってしまう。(現在形で欺くうちに)靴から雪がしみこんでくる

D 日常の余白にそっと角砂糖ドリップが止まるまでの数分

E 永遠に会えないことの明るさのこの身の白夜にあなたは生きる

F 僕たちが仲直りできないせいで三遊間に落ちる白球

G アイボリーとは象牙の白さ できなさを突きつけられて壁にもたれる

H 安物の消しゴムじゃ黒が伸びるだけ書かない道を探し続ける

I 夕ぐれを僕らはなにもしらさぎの一羽が見入る水玉の水

J 君纏うドレスはまるで白椿 キザな台詞もシラけぬほどに

K 博識にあこがれる春ティーカップの縁は薄くて白くてこわい

L しろながすくじらとまでは言いません出会いがしらの春をください


歌会参加者
泳二さん、吉野亜矢さん、多賀盛剛さん、森下裕隆さん、雀來豆さん、羽島かよ子さん、虫武一俊さん、なべとびすこさん、にうさん、のにしさん、谷じゃこさん、牛隆佑

以上、十二首です。選歌の方式は「持ち点制」です。当日、5点を自身以外の歌に自由に振り分けて投票します。(たとえば、五首に1点ずつ、一首に2点・三首に1点ずつ、など)
また、当日の空き家歌会まで各歌への個別の言及はお控えください。では、歌会で!