麻雀荘メンバー語録 version2.0

日本プロ麻雀協会所属麻雀プロ、木原浩一による個人的な麻雀についての考え方、戦術等を紹介するブログです。

カテゴリ:プロ公式戦 > 第11期雀王決定戦

麻雀について悩み始めた子供「誠司」とその友人「まさし」、と『父親』の会話。

誠司 「ねぇ。父さんの鈴木たろう追撃作戦教えてよ!」

 『たろうに放銃しないことかな?』

誠司 「そ、それだけ?」

 『シンプルだけどそれが一番だろ?たろう以外ならまあいいや』

誠司 「ふーん。そんなもので牙城を崩せるの?」

 『後はたろうに振り込ませる機会を多く設けることかな?』

誠司 「どうやって?」

 『挟むんだよ。例えばリーチにはリーチで、とかね。もちろん、たろう以外のリーチにね』

まさし 「で・でもそれではたろうさんはオリやすくなってしまうのでは?」

 『そうともいえないだろ。これは7回戦東4局の実戦譜ね』

東家・達也22000 南家・木原36200 西家・たろう21200 北家・金19400

東家・達也  ドラ八萬
北西八筒東南中
一萬三萬横 リーチ
北西(8)東南中
一三リーチ

まさし 「これに対して木原さんは――」

南家・木原
北中發南二索八索
五萬三筒横 リーチ
北中發南28
五(3)リーチ

七萬八萬九萬六筒六筒七筒七筒九筒九筒九筒五索五索五索
七八九(6677)555

まさし 「果敢に追っかけましたね」

 『どうだい誠司?この2軒リーチの河で、うまくオリられると思うかい?』

誠司 「うーん・・・これは厳しいかも・・・」

まさし 「普段は追っかけないのですか?」

 『そうだなー。トップ目なら九筒(9)並べることが多いなー』

誠司 「でもさ、放銃しちゃったら、たろうさんの思うツボなんじゃない?」

 『そうとも限らんさ。それに達也にリーチ負けする分にはいいと思ってる。それよりたろうが間違って放銃する機会を演出したいよね』

まさし 「むむ、デメリットは少ないと見込んだ上でのリーチ選択ということですね。これは、たろうさんのリーチなら追っかけないということですね?」

 『この状況ならね。後、こういうのもあったな。9回戦東3局――』

東家・たろう38000 南家・金18200 西家・達也24000 北家・木原19800

南家・金 ドラ四萬八筒四(8)
白九筒北東八索二筒
四筒五筒横 リーチ
白(9)北東8(2)
(4)(5)リーチ

まさし 「このリーチに木原さんは――」

三萬四萬四萬二筒二筒三索四索 チー四筒横三筒五筒 カン裏中中裏
三四四(22)34 チー(345)アンカン中

まさし 「この牌姿から無筋3連発でカチ込んでますね」

誠司 「安全牌あるのに・・・」

 『これだけのリードでも、いかに鈴木たろうが心臓に毛が生えていそうでも、プレッシャーが皆無ってわけではないよ。こうして仕掛けとリーチに挟まれたら――』

まさし 「なるほど、リーチの現物すら切りにくいですものね。もしやの見逃しまで考えると、オリようとしても厳しいものがありますね」

 『うん。全ツしながらも、YOU!金に打っちまいなよ!とか思ってたね。それにこれ、テンパイしても金と達也からは見逃すつもりだったよ』

誠司 「でも父さん。金さんに放銃したら痛くない?たろうさんだってそれを望んでいるんじゃないかな?」

 『痛いっす・・でも、このチャンスで当てにいかないと、一体どこで当てろというのか?』

まさし 「金さんに放銃は厭わないってことですよね。この選択が良いか悪いかはわかりませんが、木原さんの方針だけはわかります」

 『これがMAX裏目ったのが10回戦のオーラスで――』

東家・金15600 南家・木原39300 西家・達也17200 北家・たろう27900

東家・金 ドラ四萬
北南九筒九萬二萬二筒
一萬四索横五萬發
北南(9)九二(2)
二(2)4リーチ五發

南家・木原
五索五索六索六索六索中中 ポン發横發發  ポン八索八索八索横
55666中中 ポン發ポン8

まさし 「10巡目切った發發をポンして無筋勝負いきましたね。中中は場に1枚切れでした」

 『最高の結果はたろうが父さんに中中を放銃すること。それに準ずる結果は、たろうが金に親マン級を放銃することだね』

まさし 「またリーチと仕掛けで挟んだわけですね」

誠司 「でもでも父さん!金さんに父さんが12000を放銃しちゃったら、たろうさんがトップになっちゃうよ!せっかく8、9回戦連勝して、だいぶ差を詰めたのに!」

 『まあね。でも放銃しても次局がある。僅差だし、うまくいけばたろうを落とすこともできるだろ?』

まさし 「ここに六索6を持ってきて悶絶してましたね。結局アンカンして金さんに5800放銃でした」

 『うん。ただトップを獲るだけなら五索5を勝負するほうがよかったんだけど、たろうが3着以下になる抽選をどうしても受けたくてさ』

まさし 「だいぶ強気ですね。7回戦まではもうちょっと無難な選択をしていた気がしますが」

誠司 「この結末は2日目観戦記を参照してください」

 『そうだね。じゃあ弱気だった7回戦目のオーラスを見て締めようか』

まさし 「達也さんのスーパープレイで、たろうさんをラスに押し付けた次の半荘のオーラスですね。2日目の2回戦目、ここは大事ですね」

東家・達也35000 南家・木原24100 西家・たろう23700 北家・金17200

まさし 「木原さん、マンガンツモでトップでしたが早々に諦め、中中を仕掛けてドラの發發を切りました」

 『達也が上家だったからね。安いアピールして、あわよくばアシストしてもらおうかなーって』

誠司 「そんな父さんのせっこい魂胆を打ち砕く、たろうの鉄拳リーチ!キター!!!」

西家たろう
九索西西中四索六筒横リーチ
9西西中4(6)リーチ

 (だからなんでそんなに嬉しそうなんだよ・・・)『その時の父さんの牌姿が――』

五萬二筒三筒七筒八筒八筒二索二索六索八索 ツモ五筒 ポン中中横中
五(23788)2268 ツモ(5) ポン中

 『ぐはぁ・・・・・』

誠司 「ぐはぁ・・じゃないよ!どうせテンパイノーテンでもまくられるんだから、腹くくって全ツッパだよ!」

まさし 「誠司くんの考えは、かなり独りよがりな気がするね。もしかしたら達也さんや金さんが太刀打ちできる素材を持ってるかもしれない。それを聞いてみたい気がしますね」

誠司 「聞いてみるって・・・対局中お話したらダメなんじゃない?」

まさし 「はぁ・・・・あんたバカぁ?」

誠司 「なっ、な・な・な・な・な・な、こっ、こ・こ・こ・こ・こ・こ」

 『いいからっ!でも誠司のいう通りかもしれないね。タイトル戦の勝者を目指すなら、もっと独りよがりに暴れたっていいのかもしれない』

まさし 「しかし、マンガン放銃だとラス落ちしますね。たろうもトップには届かないけど、その一撃で56P差と考えるとどうでしょう?テンパイノーテンでまくられるなら22P差で済みますしね」

誠司 「で、でもマンガンツモられちゃったらどうするのさっ!せっかく前回ラスを押し付けたのに、またたろうさんにトップ獲られちゃうよ!」

まさし 「ツモるとも限らないし、そもそもマンガンとも限らないよ」

誠司 「全ツして放銃したって、マンガンとは限らないじゃないか!」

まさし 「な・な・何おぅ!」

誠司 「 ゚Д゚)キシャー!!!」

 『はぁ・・・あのね。今の誠司とまさしの会話、このオーラス中に50回くらい脳内で繰り返ししたんだよね』

誠司 「んで?結局どうしたの?」

 『打二索2だよ。この中なら一番安全度は高いし、立て直しもききやすいからな』

誠司 「全然安全牌じゃないじゃん!半端もんが!ビシッと五萬五打ったらんかい!」

まさし 「比較的安全といってるだけでしょ?安全牌がないから全ツなんて、まあ普段よく誠司君が負けている理由がわかるよね!」

誠司 「な、何おぅ!」

まさし 「き・ ゚Д゚)キシャー!!!」

 『・・・続けるよ。結局、達也も金も向かえない様子だった。そして恐らく最後の分岐がここ――』

13巡目
五萬九萬五索八索二筒三筒五筒七筒八筒八筒 ツモ六筒 ポン中中横中
五九58(235788)ツモ(6)ポン中

まさし 「3列目ですか・・・巡目が深すぎますね。五萬九萬五索八索五九58は全無筋と、一筒四筒(14)も通っていないので、上家から降りてきそうにもないですしね」

誠司 「何いってんのさ!2人がダメなら自分がやるしかないじゃん!後5巡もあるんでしょ?いけるいける!」

 『それも脳内ディベート済みだったよ。結局、ため息交じり降りたよね。そしたら――』

たろう海底
五萬五萬六萬六萬七萬三筒四筒五筒五筒六筒七筒五索五索 ツモ七萬
五五六六七(345567)55ツモ七

誠司 「たろおぉぉぉ!ハイテイィィィ!ミッションコンプリットゥゥゥー!!!」

まさし 「最悪の結果が選ばれましたね」

誠司 「ほらー!だからいわんこっちゃないよ〜」

 『今回ばかりは誠司のいう通りかもしれないな。まだ7回戦、その先まだ半分以上あるからっていうのは、こうしたタイトル戦では甘えた考えなのかもしれないね』

まさし 「そんなこというのは珍しいですね」

 『人間らしいだろ?(笑)』

誠司 「まだ父さんはタイトル獲る器じゃないんだよ!反省して!」

 『おい。まだ負けてないが??』

誠司 「えっ、えーと、そんなこんなで11月11日、決定戦最終日はニコニコ生放送で放映されることになりました。URLは決まり次第、この日記にアップしまーす」

まさし 「11月10日、前日は「ばかんす」で11回戦〜15回戦が行われますね」

誠司 「乞うご期待!してもいいよね?」

 『サイゼンヲツクシマス』

誠司 (もっと勝ち気なコメントしたっていいのに・・・)


<追記>

その1 11月11日12:00〜http://live.nicovideo.jp/watch/lv113754570 にて「第11期雀王決定戦」最終日放映されます。

その2 11月8日発売、近代麻雀オリジナル掲載「ウメハラの麻雀」に一部フィクションが混じってます。
BlogPaint

麻雀について悩み始めた子供「誠司」とその友人「まさし」、と『父親』の会話。

誠司 「達也たろうときて、次はいよいよ父さんの紹介だねっ」

 『は?そんなものはないが??』

誠司 「ええぇぇぇ!どうして?」

 『いいかい誠司。自分の評価は他人が決めるのさ』

誠司 「どういうこと??」

 『麻雀ってさ、自分が良いと思った選択を繰り返すゲームじゃん』

誠司 「うーん・・自己満足ゲーってこと?」

 『そういう面もあるな』

まさし 「その結果が良かったからといって、ホントにそれが最善手っだったかどうか、わかりにくいということもありますね」

 『そう。だからこそ自分に対する言い訳もしやすいという面もある』

まさし 「他人の選択に共感できなかったからといって、正当にに他人を評価できない人もいますね」

 『そうだな。総じて自分に甘く、他人に辛い評価になりがちになる傾向はあるな』

誠司 「そんなことないよ!」

 『全てがそうとはいわないさ。でも、自分が思う自分の雀力評価ほどあてにならないもんだよ』

誠司 「えぇー?そうかなぁー?」

 『例えばさ。自分の人生だって自分で選んでいるようにみえて、実は他人が決めているこということも多いんだよ。自分の置かれている境遇=世間の自分に対する評価、みたいな。「自分は本当はできるのに、やらないだけだ」と、本人だけはそう思い込んでいても、それはただ、他人に選ばれなかっただけだったりする話。よくあるだろう?まあそれでもよいと自分で納得ができればいいんだけどね。意外と自分の実力なんて、自分自身では判断つかないものなのさ』

まさし 「なんか話が飛躍しすぎのような・・・」

 『まあいいや。麻雀の話をしようか。3回戦の東1局・西家』

ドラ八萬

三萬三萬六萬七萬八萬一索二索三索四索五索五索七索八索
三三六七八12345578

まさし 「親の達也が役牌を仕掛けていました。木原さん、8巡目に上家から打たれる2枚目の九索9はスルー。ツモ八索8と来て打五索5、たろうも仕掛けて両面ターツ落としの四萬三萬四三切り、この10巡目の三萬三もポンテンは入れませんでしたね」

 『うん。鳴くことは考えなかったね』

誠司 「どうして?2件テンパイにノーテンじゃ分が悪くない?」

 『さあ?テンパイかどうかは気にしてなかったけどな。それに和了りやすさとの兼ね合いもある』

誠司 「ノーテンだとますます和了りにくいじゃん!」

 『そりゃそうだ。だが和了り確率を落としても、門前なら打点が見込める。20%和了りの2000点よりも10%和了りの8000点を獲りたいのさ』

まさし 「他家の勝負手を成就させて失点してしまう可能性もありますが」

 『そりゃあね。どんな選択にだってデメリットはあるよ』

まさし 「結果12000点の放銃に終わりました」

 『結果が悪いと過程を責められることが多いよね。それはある程度仕方のないことなのだけれど、これで門前テンパイを入れ、12000和了りという結果になったら、全く同じ選択をしているのに今度は逆に賞賛されてしまったりもするんだよね』

まさし 「結果と過程は別にして考える、ですか」

 『そう。もうひとつ実戦譜を。これは8回戦の東2局の4巡目』

ドラ二筒(2)

八筒八筒一索一索四索五索六索七索九索北白發中 ツモ白
(88)1145679北白發中 ツモ白

まさし 「八筒(8)切ってましたね」

 『点差が少ないとして、南2局以降は北北切るけど、それ以前なら八筒(8)だね』

誠司 「ふーん・・そうしたほうがいいの?」

 『それは知らないよ』

誠司 「えっ?いいか悪いかもわからないで打ってるの?」

 『そうだよ。上の鳴く鳴かないの選択も、正しいとか正しくないとかそういう話じゃないんだよ』

誠司 「じゃあどういう話?」

 『そうだな。例えば東場〜北場まである1荘戦における東1局の2000点、東場しかない東風戦における東1局の2000点、価値が違うのはわかるかい?』

まさし 「順位点にかかる比重が違いますね。1荘戦だとほとんど影響しなさそうです」

 『じゃあ半荘戦ならどうだい?』

誠司 「そりゃあ・・言いたいことはわかるけど、2000点が意味ないってこと?」

 『違うよ。和了りすることによって失点を防いでいることもあるからね。意味がないということではないよ』

誠司 「じゃあ何?」

 『残り局数が多ければ多いほど、選択の自由度が高まるってことさ』

誠司 「選択の自由度?」

 『そう、わかりやすくいえば何したっていいってことだよ』

誠司 「えぇー?そんなことあるの??」

 『何したっていいは言い過ぎだけどな(笑)順位点がより高く影響するような局面では、選択の方針が画一化されてくる。逆にいえばそうじゃない場合は好みで決めたっていいんじゃないかな』

まさし 「木原さんは東場は打点重視の選択を好むということですね?」

 『そういうことかな。3回戦の実戦譜では放銃しちゃったけど、この時はまだいけると思っていたね。8回戦の実戦譜では、無理っぽいなーと思いながらも、結局はマンガンで和了れたね』

誠司 「へー?昔からそうだった?」

 『ここ2〜3年くらいかな。プロ協会ルールではそうしてるんだよね。失点のリスクは軽視して、加点を重視するような、名付けて東場フルスイング打法!なんてね』

まさし 「ネーミングはどうでもいいですけど、木原さんは守備的思考が弱いので、相性の良い選択なのかもしれませんね」

誠司 「選択のコンビネーションって話だね!昔読んだよ!」

まさし 「ちなみにこれは、天鳳とかお店での麻雀も同じですか?」

 『いや、天鳳はちょっと違うよね。評価ポイントが大きく違うからね。なるべく東場にアドバンテージは取りたいんだけど、それ以上に失点を防ぎたいしね』

まさし 「でも木原さん。鳳凰卓でラス率.235ですけど、失点を防げてないんじゃないですか?」

 『そうなんだよねー。それを元十段の菊地先生に話したら――』

kikuchi
菊地「木原さん。ルールわかってます?赤みりゃ突っ込んでますけど、牛じゃないんですから」

まさし 「き・厳しい後輩ですね」

 『面目ない・・・・』


2日目観戦記はこちら このシリーズ次回で最終回








麻雀について悩み始めた子供「誠司」とその友人「まさし」、と『父親』の会話。

 『ある選択をした結果、良い事が起こることもあるし、悪いことが起こることもある』

誠司 「な・何?いきなり・・」

 『その結果は、ある程度は予測できても、時に期待を良くも悪くも大きく裏切ることだってある』

まさし 「そうですね。必然の過程というものはあっても、牌が透けて見えない以上、必然の結果というものはありませんものね」

誠司 「必然の過程、偶然の結果でしょ?もう耳タコなんだけどっ!」

 『そう。だから我々は選択の段階で、結果として得られるメリット、失うデメリットを十分に考慮する必要があるわけだ』

誠司 「そりゃそうでしょ」

 『だが実際には、なまじ見えないものだから、過大な期待に流され、メリットを必要以上に多めに見積もったり、過剰な不安に陥り、デメリットに大げさに怯えたりもする』

まさし 「そうならないよう、精神状態を保つのは大事ですよね」

 『これは8回戦目のオーラスの話』

東家・金48900 南家・たろう8500 西家・達也6400 北家・木原36200

まさし 「ここまでたろうさんが6トップ、達也さんが1トップ、未だトップのない2人が競った半荘でしたね」

誠司 「覚えてるよ!南3局まで父さんがトップ目だったのに――」

四筒五筒六筒八筒八筒八筒二索二索二索四索五索七索七索 ツモ三索
(456888)2224577 ツモ3

ドラ九萬九 裏ドラ八筒(8)

誠司 「金さんにこんなのツモられて親被り、12700差で迎えたオーラスだったね」

 『まあ、たろうがあんな点数だし、金がトップならまだましか・・・いや!そんなことないよね!ざけんな!捲り返すわ!とは思ってたね。んで配牌取ったら――』

ドラ三索

二萬二萬三萬五萬三筒三筒六筒一索三索六索東北白
二二三五(336)136東北白

誠司 「諦めた?」

 『半分な。チートイかな?こりゃ・・まあこの段階で手牌構成の方針は定まらないけど、やることだけは決まってるんだ。捲れる手ができない場合、たろうから2600以上の和了りか最悪の場合達也に刺すこと。それだけ』

誠司 「精神状態は保てていたんだね」

 『この時はまだね。希望がある内は簡単には折れないよ』

まさし 「この局は16巡目まで誰も動きがありませんでした。完全にそうだとわかったのは、達也さんがノーテンっぽかったことですかね」

 『そうだね。できることなら達也にはたろうを捲ってほしいところ。金にとってノーテンで伏せれば待望の初トップだが、自身が大幅にマイナスしているため、少しでも加点しておきたい。両方の可能性を追うところ』

まさし 「16巡目、木原さんの切った六筒(6)をチー。テンパイを取りました。いわばこれは必然のチーというわけですね」

 『うん。もう一局あったほうが金にとって、良い結果のパターンが多いからね。逆に、父さんに捲られるという悪い結果のパターンも残してしまうわけだが』

誠司 「それを考慮したうえで、テンパイ取りのほうが有利と判断したんだね。でもその鳴きで――」

三萬四萬五萬三筒四筒三索三索五索五索六索六索七索七索 ツモ五筒
三四五(34)33556677 ツモ(5)

まさし 「木原さん、最後のツモで再逆転のハネマン和了りでした」

誠司 「食い流れキター!」

 『誠司うるせぇ。まあ父さんがこれやられたら、ちゃぶ台ひっくり返すくらいの発狂もんだったけどね』

まさし 「かなりキツイですよね」

 『金のいいところってね。自分の牌姿や点差など、目に見えているものに対し、デメリットを過剰に恐れることなくメリットの追求を怠らないところだと思っているんだよね』

誠司 「それって普通のことじゃん?」

まさし 「意外とその普通のことができないものなんですよね。ちょっとでも嫌だなと思ったら、その不安ってなかなか拭いきれない」

 『そうそう。金はこうした選択に対するデメリットだって熟知している。当然耐性だってある。こんなことではへこたれないさ。現に対局後、こんなことをいってたな』

20120518093201202
金「木原くん。私の腹は99%胆力で出来ているのですよ。伊達に育てているわけではないのです。この程度の逆境で諦めるとは笑止千万!あまり舐めないでもらいたい」

誠司 (絶対いってねーし・・・)

 『アプローチの仕方は違うけど、タイプとしては小倉孝に似ているかもね。勝負どころの胆の座り方とかも。このポイント差をひっくり返すのは普通は無理だよね。万が一もない。だが金なら100回に1回くらいだったら、このビハインドもひっくり返せるんじゃないかな?彼にはその雀力が備わっていると思うな。そんな彼にはこの称号を与えよう』

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「金キムチ」

まさし (ひでぇ・・・)

誠司 「父さん!麻雀に全く関係ないじゃん!」

 『ん?辛いって意味だよ。それにキムキムチ、語呂もよい』

まさし 「ば・馬鹿にしてるんじゃないでしょうね?」

 『してない、してないよ。たぶん彼ならこんなこと書いても怒らないんじゃないかなーという、ギリギリの押し引きだよ。人間関係の押し引き、大事だよね。うん、大事』

まさし (わざわざギリギリ押すこともないでしょうに・・・)

麻雀について悩み始めた子供「誠司」とその友人「まさし」、と『父親』の会話。

 『これ1回戦ね』

南4局・ドラ五筒(5)

東家・木原24200 南家・達也15800 西家・金16500 北家・たろう43500

五萬六萬七萬五筒六筒八筒八筒三索四索七索八索九索中
五六七(5688)34789中

まさし 「木原さん。15巡目に上家から出た二索2をチーテン取りませんでしたね。中中は安全牌ですが」

 『うん。トップ有利のプロ協会ルールとはいえ、この点差じゃあね。途中で決めてたよ。和了りがなければ伏せるってね』

まさし 「16巡目に出た二索2もスルーしてますね。なるほど、トップになる可能性より3着以下に落ちる可能性が上回るわけですから、そうする選択も理解できますね。ただ・・・」

誠司 「そうだよ!父さん!最初から引っ込み思案でどうするのさっ!」

 『そうだなー。試行回数を増やせば増やすほど、こうしたほうが有利だとは思うんだよね。エンドレスゲームであるフリー雀荘で打つ場合がそれにあたるのだが』

誠司 「それは職業病ってこと?」

 『どうかな?試行回数が少なく、期待ポイントよりも4人より1Pでも上回れば勝ちみたいな対局では――』

選択A A1 +50 or A2 −50 A1とA2の振り分け50%ずつ
選択B +10 100%

選択Aにして2回試行した結果は4パターン

A1 A1 +100
A1 A2   ±0
A2 A1   ±0
A2 A2 −100

選択Bにして2回試行した結果は

+20

 『選択AorB、100回試行するとしよう。選択Aを選び続けるのと、選択Bを選び続ける。どちらが有利だろうか?』

まさし 「それなら選択Bの圧勝でしょう。しかし、2回しか試行しない。さらに決定戦のような1位しか評価されない戦いなら?とういことですね」

 『そう。リスクを顧みず、決定打と成り得るような選択を多くしていったほうが、期待ポイント的には損でも、優勝確率的には上なんじゃないかなーと思ったりもしてるんだよね』

まさし 「そういえば昔、こんな記事書いてましたね。ブレ幅MAX打法でしたよね」

 『うん。なんとなーくこういうのってあると思うんだよね〜。,謀選しなくても◆↓で済んだなら、たいしたポイント差にはならないでしょ?』

誠司 「じゃあテンパイとりなよ!」

 『やっぱそうかなー・・・・』

誠司 「父さん!こういうのは理屈じゃないんだよ!インスピレーションなんだよ!わかる??」

 『くっ!ガッツがたりない!』

まさし 「そ・そういう一部の人にしかわからないネタはやめましょうよ」

 『そうだな。次はこれ、5回戦ね』

まさし 「たろうさんの4連勝後の初日最終半荘ですね」

南3局・・ドラ五筒(5)

東家・達也17100 南家・たろう33500 西家・金14400 北家・木原35000

 『東家・達也のリーチが――』

七索三筒一索一萬三萬七索横 リーチ
九索九索三萬
7(3)1一三7リーチ
99三

まさし 「一索1以外は手出しのリーチでしたね。宣言牌も第1打に切っている七索7で七対子を否定、マンズの払い方も外から一萬三萬一三。普通に手なりの面子手のような気がします」

誠司 「まさしくん。何いってんのかわかんなーい!」

 『誠司はほっといて・・・リーチ前から仕掛けていた鈴木たろうは――』

五萬七萬四筒五筒五筒七筒八筒九筒發發 チー三萬横四萬五萬
五七(455789)發発チー三四五

まさし 「六萬六は場に1枚切れ、特によさそうには見えません。發發は初牌。ドラドラとはいえ苦しいイーシャンテンですね」

 『9巡目鈴木たろう、出る發發を躊躇なくポン。打四筒(4)』

誠司 「父さん。さっきのまさしくんの話はわかんなかったけど、この四筒がとても危ないっていうのは僕にだってわかるよ!」

まさし 「果敢ですね。ドラ跨ぎですから、放銃すると12000クラスの失点をイメージしちゃいそうなものですが」

誠司 「そうだよ!次オーラス親番なんだから、そこで勝負でもよくない?」

 『そうだね。だが誠司、この対局は和了り止め、テンパイ止めがないんだよ』

誠司 「それがどうしたの?」

まさし 「そうですね。オーラス親番はちょっと難しいですよね。僅差のトップ目なら、下手に連荘するよりも、ノーテンで終局させるという選択も視野に入れることもあります」

 『そう。ここを和了りしてしまえば、点差的に木原以外には捲られることはほとんどない。つまり2着以上をほぼ確定できるわけだ。対木原についても4000点以上のアドバンテージをとることができる』

まさし 「そうですね。2人以上マンガン差圏内だと捲られる可能性は十分ありますが、1人しか圏内にいない、さらに1人ノーテンでも捲られない点差だと、かなり有利といえますよね」

 『そう。そうなんだけど・・・』

誠司 「でもさ、でもさ!ここで親にマンガン打っちゃうと3着転落じゃん!ラスまで見えてくるんだけど、それでも押したほうがいいの?」

 『そこなんだよね。しかもたろうは、今日既に4連勝しているわけじゃん!初日とはいえトータル断トツなわけですよ。普通なら「まっいいか」っていう風になってもおかしくないよね?』

まさし 「さすがですね。貪欲ですね。上の記事で「ノーテン」とかいってる木原さんがみみっちく見えますね」

誠司 「あっ!でもその四筒(4)刺さってるよ!」

 『結果はね。内心うぃぃぃぃぃぃぃ!ざまぁぁぁぁぁぁ!とか思ったけど、やっぱたろうは凄ぇなーとも思ったね』

誠司 「父さんなら發發鳴けなさそうだもんね」

 『うん。鳴かないよ。ダメなの?文句ある?』

誠司 (怖い・・・・)

 『そんなたろうさんは対局後、この選択についてこう語っておられました』

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たろう「木原くん、麻雀の3大原則って知っているかい?退かぬ、媚びぬ、省みぬだよ。覚えておくがいいよ」

誠司 「さ、サウザー?!」

まさし (そんなことはさすがにいってないんじゃ・・・)

 『傍若無人っぷりがやたらと取り上げられる彼だけど、すべてがそうというわけではない。経験や読みに裏付けされた自信から成る選択だと思うんだよね。そんな彼にはこの称号を与えよう』

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「鈴木くんのごういんなドリブル」

まさし (・・・・・・だから)

誠司 「父さん…どうでもいいけどこの画像、写真写りが悪いんじゃない?もっといいのなかったの?」

 『いいんだよ。敢えてそうしてるんだよ。だってアイツ、あんなについてたんだからさぁ。これが父さんのささやかな抵抗なんだよ』

誠司 「小さい…小さいよ父さん」



<追記>

 『1日目の観戦記はプロ協会HPにUPされているのでよかったらご覧ください』

誠司 「父さん1日目、エアタイム多かったね」

 『えあたいむ??』

誠司 「空気時間のことだよ!全然和了れてなかったでしょ?」

 『ああ・・・それについては観戦に来てくださった同僚の菊地プロから、辛辣なお叱りを受けまして――』

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菊地「木原さん。せっかく観戦に行ったのに、2時間以上和了ってなかったんですが、どういうことですか??」

まさし 「き・厳しい後輩ですね」

 『面目ない・・・・』


麻雀について悩み始めた子供「誠司」とその友人「まさし」、と『父親』の会話。

 『これ6回戦ね』

まさし 「初日鈴木たろうに5連勝されて、2日目の1回戦目ですね。各々思うところはあったでしょう」

誠司 「そうだよね!目の前で5連勝とか屈辱だよね!」

 『まあそうだな。3人とも今日こそは!気持ちの強かったろうな』

誠司 「父さんも作戦とか考えたの?」

 『方針はあったよ。なかなか望むような共闘は難しいと思ってたからね』

まさし 「どういう作戦だったのですか?」

 『それはまた今度話すよ。えっとこれは南3局から振り返ってみよう』

東家・たろう21700 南家・金13900 西家・達也47300 北家・木原17100

 『こんな点差。親はたろう、西家のトップ目の達也が7巡目リーチ』

ドラ九筒(9)

五萬六萬七萬六筒七筒五索六索七索九索九索東東東
五六七(67)56799東東東

 『これに対して金は――』

一索二萬五索八索四索九萬
四萬發五萬一索七索七萬
三萬三筒

裏裏裏裏裏裏裏裏裏裏 ポン中中横中

誠司 「リーチ後に切った五萬七萬三萬五七三はすべて無筋、三筒(3)だって無筋。かなーり鼻息が荒い感じがするねっ」

まさし 「ドラ含みホンイツ。最低マンガンコースでしょうね。形にもよるけど、プッシュしてもおかしくはない局面だと思います」

 『そうだね。そして15巡目、達也八筒(8)ツモ――』

誠司 「あっ!ツモったんだ」

まさし 「安めでしたが和了りですね」

 『達也八筒(8)ツモ―― 切り・・・切りぃ???

誠司 「えええええええええぇぇ!!!!!!」

まさし 「な・なんと!和了り拒否!」

誠司 「間違ったのかな?いや!父さんじゃあるまいし・・・」

 (無視・・・) 『その八筒(8)が――』

一筒二筒三筒五筒五筒五筒六筒七筒九筒九筒 ポン中中横中 ロン八筒

まさし 「なるほど・・・(5)ツモならたろうマンガン親被り、それだけで12P縮まり、金も木原もオーラスたろうをまくりやすくなる。金にマンガン放銃は、たろうの着順を1つ下げることになる。それにしてもしかし・・・」

誠司 「そうだよ!オーラスは金が親なんだよ!まくられちゃったらどうするのさ!」

 『そうだね。ともかく、たろうの着順を落とすことには成功したわけだ。そして次局オーラスに――』

まさし 「7巡目親の金がドラの東をポンしてますね」

九索一筒白西發一筒
中五索七筒四筒中九萬
一索白

裏裏裏裏裏裏裏裏裏裏 ポン東横東東

誠司 「ほらね!いわんこっちゃない。まくられちゃうよ!」

 『ドラの東を切った親の上家のたろうの河がこんな感じ』

西八索白八索南東←鳴かれる
七索東七索二萬一萬北
五萬

まさし 「明らかに勝負してますね。絞る気配もない。2着まで1500点差なので、獲れそうならギリギリまで行く構えでしょう」

 『そしてラス目の木原が13巡目にリーチ。3着たろうまで4600点差、2着金まで6100点差、トップ達也まで20900点差』

九萬白九索九筒八萬六萬
發八筒三萬一萬南一索
三索横 リーチ

 『その時達也の手牌はこう』

三萬三萬五萬七萬八萬二筒四筒五筒七筒九筒四索七索八索

まさし 「10巡目、面子中抜きの打六索6。和了りに向かっている感はないですね」

 『そう。そしてここに六索6をツモって、木原の一発目に割ととスパッと選んだ牌が――』

二筒二筒三筒三筒三筒五筒六筒七筒三索四索五索六索七索 ロン八索
(22333567)34567 ロン8

誠司 「天才か・・・」

まさし 「し・しかも、達也さんの手牌中、唯一の和了り牌ですね」

誠司 「すごいね!マンガみたいだ!それに父さんこれ2600じゃん!一発じゃないと危うくアガラスだったね!」

 『もしかしたら一発で差してくれるかもっていう期待はあったよ。けど、ここまで見事にやられると、嬉しいっていうより驚きの感が強いね。この半荘終了後の達也のコメントがね』

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達也「木原くんは絶対来ると思ってたからね。将来危険になりそうな牌は残しておいたんだ。うまくいったよね!ヒャッハー!」


まさし (ヒャッハー!とはいってないんじゃ・・・)

 『こうして金と木原にマンガン連続放銃することによって、たろうの着順を1つずつ下げ、希望通りのトップラスを決めたわけなんだよ』

まさし 「文章で伝わりますかね?ぼ・僕、これ観戦してたんですけど、この2局は凄くて鳥肌立ちましたね」

誠司 「でも父さん。これってホントに得な選択なの?」

 『それはわからん。でもこの選択には達也の意志というか信念を感じるね』

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達也「俺様はこんなことをやっても必ず最終的には獲って見せるぜ!」

 『みたいな』

まさし 「見せつけられた感じですね」

 『そうだね。前回の記事での差し込めなかった自分と比べて、なんかね・・・』

誠司 「なるほど・・この伏線があったからこそ、ますます差し込みを考えたわけだー」

 『そういうことだね』

まさし 「人は人。自分は自分ですよ。それぞれに合ったやり方でいいのではないですか?」

 『お、まさしくんはいいこというねぇ。その通りだと思うよ』

誠司 「じゃあ別にいいじゃん!」

 『まあな。でも達也の麻雀ってね。なんかこう・・・いちいちカッコいいんだよね』

誠司 「へ?カッコいいとは?」

 『カッコいいというのは父さんの主観なんだけどね。捨て牌から開けた牌姿に至るまで、押し引きから開けた牌姿に至るまで、仕掛けから開けた牌姿に至るまでの様がこう・・・好みなんだよねー。ハズレがないというか』

誠司 「へー?父さんがそういうこというの珍しいよね」

 『そうかい?好みの打ち方の人、他にもいるんだよ?でもねー・・あんまり強くないんだよねー』

まさし 「嗜好と強さは別なんですね』

 『ううん。達也は強いじゃん!ああいう打ち方でも強くあることはできるんだよね。そんな彼にはこの称号を与えよう』

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「昭和麻雀の最高傑作」

誠司 「与えようとか・・偉そうじゃね?」

 『まあまあ(笑)このブログは最終日ニコ生放送の告知でもあるのでね。ちょっと人物紹介も兼ねてだな・・』

まさし 「ニコ生といえば四神降臨、達也さん評判良かったみたいですね」

 『ちょっと仕事で見れなかったんだよねー。でも視聴者の人に達也の良さが伝わったのなら嬉しいね』

誠司 「決定戦、これからも楽しみだねっ」

  (見れるポイント差になっていればいいけどな・・・)

麻雀について悩み始めた子供「誠司」とその友人「まさし」、と『父親』の会話。

まさし 「決定戦、いよいよ開幕しましたね」

誠司 「そうだね。2日間終わってどうだった?」

 『いや、正直疲れたね。苦行みたいだな』

誠司 「苦行?楽しくないの?」

 『結果がアレだから楽しくないね。それに普段仕事とも、天鳳とも、リーグ戦とも違うような選択を考えながら打ったりして、無駄に神経擦ったよね』

誠司 「ん?かっこつけたってこと?普段通り打つのがいいんじゃないの?」

 『違ぇーし!ポイント差がすでに異常なので、なんとか詰めようと悩んだの!もしかしたら気が急いていただけなのかもしれないね』

まさし 「で・でもそれはそうだと思いますよ。優勝以外、2位も4位も同価値なのですから〜。なんとかしたいですよね」

 『それはそうだね。なんかずいぶん迷っちゃってー。献身的選択と保身的選択の葛藤というのか・・・もはや一刻の猶予もない。これ以上加点を許すくらいなら、たとえ他家に放銃してでもそれをくい止める。例えばこれが献身的選択』

誠司 「差し込みも辞さずってやつだね」

 『まだここで無理する必要はない。この先にでもチャンスはある。とりあえず自分が失点するは回避しよう。例えばこれが保身的選択』

誠司 「ふむふむ」

 『これね。2日間で1番葛藤した局面なんだけど、9回戦目で鈴木たろうが既に300P以上離れた首位という状況下で――』

東2局・6巡目・ドラ九索9 達也37000-たろう25000-木原-19800-金18200

 『南家の鈴木たろうの仕掛けが六索6を六索横七索八索678でチーして、四筒(4)のトイツ落とし。続けて五筒(5)手出しと』

まさし 「ホンイツですね。役牌かドラのトイツまたはアンコが2セット以上という感がありますね」

 『十中八九そうだろうね。それはその場での共通認識だと思うんだけど、8巡目、トップ目北家鈴木達也がドラ九索9を切る。それを鈴木たろうがポン』

まさし 「今回の決定戦の面子の中では、他家の仕掛けに対するケアが最も厳しいのが達也さんという気がしますけどね。それが切るドラはちょっと重たいですね」

 『うん。そして鈴木達也が次巡リーチ。この時まではよかった。たろうもまだ非テンパイかもしれないし、一発目押してたし。YOU!刺さっちまいなよ!くらいの気持ちで眺めていたんだけど』

まさし 「達也さんがツモ切った發發がポンされましたね」

裏裏裏裏  發發横發 ポン九索九索横九索 ポン六索横七索八索 チー

誠司 「ハネ確キター!!」

 (なんで楽しそうなんだよ・・・)『これはまずいじゃないですか。その時父さんの牌姿が』

二萬二萬三萬四萬四萬五萬八萬八萬二筒三筒六筒七筒四索六索
二二三四四五八八(2367)46

まさし 「安全牌に困ったわけではないですよね。差し込みを考えたということですか?」

 『達也は本当にできる子なんで、父さんみたいに愚形で被せるような真似はしないんだよね。おそらく絶テンに見える好形待ちなんだろう。とすると・・・』

まさし 「場に2枚切れの六萬六か四筒(4)またぎ両面とか考えたわけですね」

 『そうだね。でも・・きっと・・安くはないんだろうなーってね。結局身を切るのが嫌でベタオリして達也の勝利を祈るんだが』

まさし 「最悪の横移動でしたね」

 『ああ。なんというかこう・・・嫌になったな』

誠司 「でもでもーこれってそんな悪い選択なの?普通に達也さんが勝つ可能性だってあったでしょ?それに賭けたっていいじゃない?」

 『まあそうだね。でもこう思ったのには、ちょっと伏線となる出来事もあったんだよね。んじゃその話はまた次回に』

誠司 「次回っていつ?また放置しちゃうんじゃないの?」

 『決定戦3日目が11月10日だからね。それまでに書くよ。というか、それまでは3日に1記事更新するから!!』

まさし (またできもしないことを・・・)

誠司 (やるやる詐欺だな・・・)

麻雀について悩み始めた子供「誠司」とその友人「まさし」、と『父親』の会話。

誠司 (ポチポチ・・・ポチポチ)

まさし 「何してるの?あっ!誠司君も麻雀の着順メモっているんだね?」

誠司 「うん。なんか習慣みたいなもんだよねー。今日さぁ、めちゃくちゃ着順よかった割に、あんまり勝ってないんだよねー。なんかイマイチだったなぁ・・・」

まさし 「勝ったという結果だけをみれば、誠司君が勝ったというだけでかなりの僥倖といえるのでは?」

誠司 「あ?(怒)」

まさし 「まあまあ冗談・・ではないけれども。コホン。いいかい誠司クン。キミはあそこでトータル圧倒的に負け越しているのだからそうみられても仕方ないんだよ」

誠司 「な、ななななな・・・・・」

 『はいはい。そこまでー』

誠司 「父さん!まさしくんが酷いんだよ!」

 『うん。そうだね。まさしくん。キミは真面目すぎるが故、どうも表現が直球すぎるよね。もうすこし緩急をつかったり、ぼかした表現を織り交ぜないとな。正論こそ正義ってわけでもないだろう?』

誠司 「否定はしないんだね・・・」

 『うん?でも誠司は勝つためだけに麻雀をしているわけじゃないんだろう?好きでやっているんだったら楽しむことができれば勝ちみたいなもんじゃないか。ほら!満足度の話でもいったろう?』

まさし 「なにげに心を抉っているような・・」

 『目的がなんなのかを論じる前に、「勝つ」という定義がそもそもなんなのかをだね――』

誠司 「父さん・・・もういいよ・・・」

 『そ、そうか』

まさし 「そ、そういや明日から雀王決定戦ですね」

 『お、いきなり話が飛んだね。まさしくん。まるでもっと何か話があったのにもかかわらず、めんどくさくなって途中でスパッと切り上げたような』

まさし 「そ・そ・そんなことないですよ。えっと詳細は――」

≪第11期雀王決定戦について≫
【日程・会場】
◆日程
1日目…10月20日(土)
2日目…10月21日(日)
3日目…11月10日(土)
4日目…11月11日(日)
いずれも11:00開始

◆会場
神楽坂「ばかんす」


まさし 「勝利の定義は当然優勝ですよね!」

 『ああ、もちろん。対局を楽しんでこようなんて気持ちは微塵もないね。卓上のすべてを焼き尽くすくらいの気持ちでな』

誠司 「ちゅ、中二かよ!」

 『お、ナイスつっこみ(笑)とにかく目の前で勝たれるのは屈辱的だからね。相手は強いけど、そのくらいの気持ちでやろうという意気込みだよね』

まさし 「頑張ってください!」

 『自分のために頑張るのなんて当たり前だし!そもそも麻雀は頑張ったからどうこうなるゲームでも――』

誠司 「父さん・・・もういいよ・・・」

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