2008年10月18日

帝国海軍の悪癖をひきづっているのでは?

また海上自衛隊で不幸の事故がおきた。いやこれはそれではすませない。


広島県江田島市の海上自衛隊第1術科学校(長谷川洋校長)で9月、「特別警備隊」の隊員を養成する応用課程にいた3等海曹の男性(25)が、他の隊員15人を相手にした格闘訓練で頭を強打し、16日後に死亡していたことがわかった。



 訓練は本来、1対1で行われるが、今回は男性が同課程を途中で辞める直前で、制裁目的の集団暴行だった可能性もあり、海自警務隊が傷害致死容疑などで調べている。呉地方総監部は「訓練の一環で、いじめや集団暴行という認識はない」と説明する一方、事故調査委員会を設けて原因究明を進めるとしている。



 同総監部によると、男性は9月9日、同校体育館のレスリング場で、防具をつけて行う徒手格闘訓練として、同課程の別の全隊員15人と、50秒間ずつ、連続して対戦させられた。男性は14人目のパンチがあごに当たって転倒、後頭部を強打して意識不明となり、同25日、急性硬膜下血腫で死亡した。発生当時、教官2人が同席して審判役を務め、レスリングマットを隊員らが囲み、男性が倒れ込むと、引き起こして続けたという。



 男性は3月に同課程に進んだが、「続ける自信がなくなった」と申し出たため、9月11日付で学校を辞め、別の部隊への異動が決まっていた。今年7月にも、同課程を途中で辞める隊員に対し、16人が同様の訓練を行い、隊員が歯を折るなどのけがを負った。



 この問題について、同総監部は発生直後と死亡時に概要を発表したが、15人を相手にした格闘訓練だったことは明らかにしておらず、「取材で聞かれなかったので、答えなかった」とし、男性の氏名については「部隊の特殊性から個人情報は出せない」としている。









僕は日本という国を国民を僕等を守ってくれる自衛隊を尊敬しているので、シルクワームとテポドンの区別もつかいない軍事においてはスザンヌ並の知識しかないのに知ったようなことを言う左翼偏向メディアのトンチキな人達が自衛隊を批判するたびに擁護してきたが、これは擁護できない。いや徹底的に原因を究明して組織の再建を図る必要がある。でないと国防体制に不安が残る。




特殊部隊の訓練が厳しいのは当たり前。落伍者がでるのも当然です。
しかしその落伍者にこんな制裁のような訓練するのは時間と労力の無駄。プロの軍隊ならこんな無駄なことはしない。
この特殊部隊。SBUが手本にしたという英国王立海兵隊のSBSでこんなことしないのでね。
さらに問題なのは特殊部隊。つまり精鋭なら己の力をコントロールできないといけない。でないと即座に敵を倒せないでしょう。それを死なすほどのことをして何が精鋭だ。何が特殊部隊だと。
この亡くなった三曹はSBUの訓練は途中でやめたけど、この後、潜水艦への異動が決まってたとそうです。つまり優秀だったということです。
特殊部隊の経験もあるサブマリーナーって得がたい存在。どれほど我が国の国防に役立つ存在だったことか。こういう人材は国民の財産です。
それを死なせてしまった海自の組織としての責任は非常に重い。
旧帝国海軍が優秀なパイロットを特攻などという戦略的には何の意味もないことで死なせてしまったのと同じ。



さらにこんな報道も。



海上自衛隊第1術科学校(広島県江田島市)の男性3等海曹(25)が15人を相手にした格闘訓練中に頭を打ち、約2週間後に死亡した問題で、防衛省の増田好平事務次官は16日の記者会見で、「是認される範囲からは逸脱した訓練だったと思う」と述べ、問題視しているとの見解を示した。

 増田次官が15人対1人の戦闘訓練だったとの報告を受けたのは、13日の報道後だったことも明らかに。海上幕僚監部から資料を受け取った同省内部部局の人材育成課が報告しなかったためで、省内の連絡体制の不備がまた浮き彫りになった




これってミッドウェー海戦の大敗を政府や陸軍に報告しなかった帝国海軍と同じではありませんか?
どうも帝国海軍の悪癖をひきづっているような気がしてしかたない。
必要以上にアメリカナイズされた航空自衛隊でこの種のことは聞かないし。

海軍の役目は何か。簡単にいうとシーレーンの保護です。自国の商船を守るのです。
敵の軍艦をやっつけるのその手段であって目的ではありません。
旧帝国海軍は英国王立海軍から学びました。その薫陶いきとどいていた日露戦争は見事に大陸との通商路補給線を確保し大勝しました。
だけど表面だけ学んだのでしょうね。太平洋戦争では海軍の本来の目的を忘れ敵の軍艦を倒すのを目的にしてしまい。イビツな軍艦ばかり作りボロ負けします。


海自の特殊部隊SBUも英国SBSから学ぶのならウワベのことだけでなく本質を学ばないといけない。軍隊は体育会系とは違います。旧海軍が犯した同じ過ちを繰り返さないでほしい。


さらに問題なのは海自だげてはなく自衛隊の人事。
一般大学の出身者はほとんど将補(少将に相当)までしかいけません。それ以上は防衛大学を卒業した人。幕僚長も順送り人事で抜擢がありません。これでは組織が死にます。アメリカは最近では一兵卒からたたき上げのコリン・パウエルが統合参謀本部議長になったしアイゼンハワーの参謀長で健軍以来の名参謀といわれたスミス将軍も一般大学です。
旧海軍と決別し大胆な人事と合理的な考えで自衛隊には大人の軍隊になってほしい。

それが我が国の国益にかないます。


alamein at 11:19│Comments(2)TrackBack(0)

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この記事へのコメント

1. Posted by giants-55   2008年10月21日 22:42
書き込み有難う御座いました。

自衛隊を支持する人(自分も支持をしていますが。)の中には、「自衛隊の為す事は全て正しい。」といった妄信的とも思える人“も”居ます。そういうのはうんざりさせられるのですが、アラメイン伯様はそういった類の方とは異なるし、今回の件も是々非々で捉えておられたのでホッとしました(笑)。

己がストレスの発散にしか過ぎない“暴力”を、「愛の鞭」と称するそれこそトンチキが古い体質の組織には少なくないのですが、今回の件は虐め&ストレス発散にしか思えない。人には適材適所が在り、今回亡くなられた方はそれが合っていなかっただけの事。それを見せしめの如く暴力を振るうのでは、まともな組織とは言えません。自衛隊への認識が良い方向になっている中、こういう愚行は残念だし、亡くなられた方には悼みの思いだけです。

P.S. 記事違いですので、今回頂戴した書き込みに対するレスは、当該記事のコメント欄に付けさせて貰いますね。
2. Posted by アラメイン伯   2008年10月24日 22:48
giants-55さま。

>自衛隊の為す事は全て正しい

軍事オタクにも少なからずいます。
批判を許さない体質なら英米の合理主義の前に敗れ去った帝国海軍と同じ過ちを繰り返します。
2月の「あたご」の事故は過失という部分が大きいでしょうが、これはあきらからに組織の体質の問題です。

普通の人が考えれば私的制裁と思います。そう思われても仕方ありません。
そうでないというなら海自は論理的に解り易く納税者と遺族に説明する義務があります。
軍隊だから特殊部隊だからといった特殊性で片付けてはいけません。

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