
最初に『モーターサイクル・ダイアリーズ』についてブログで触れたのがカンヌの時(5/24)、そして観賞直後の感想。(10/18)ずいぶん長い間楽しませてもらえることに感謝。
2人の旅を忠実に再現するために6ヶ月かけてアルベルト・グラナードも『モーターサイクル・ダイアリーズ』の撮影に参加した。
ひとりがアルベルトに助言を求めると、他の人たちまで寄ってきて耳を傾け、いつの間にか彼の周りに輪ができる。彼の記憶力と人懐っこさに感心すると同時に、アルベルトを見つめる出演者やクルーの真摯なまなざしから、この映画が大切に作られたのだということが伝わってきて、また、『モーターサイクル・ダイアリーズ』を観たくなる。
この映画は、後半に行くにつれてメイキングの枠から、はみ出していく。
いや、初っ端からゲバラをリスペクトする歌が何曲もつかわれ、最後にはチェ・ゲバラ本人の演説の映像も流れる。
ほのぼのロードムービーに徹した『モーターサイクル・ダイアリーズ』では良くも悪くもオブラートに包まれていた「この旅行で何に憤りを感じてエルネストが革命家チェ・ゲバラになるきっかけとなったのか」という政治的な部分にも直接スポットが当たる。
単なるメイキング集ではなくれっきとしたひとつの作品だと言えるだろう。
チュキカマタ鉱山で働いていた人や、ハンセン氏病棟で実際ゲバラの治療を受けた人など、この映画独自のインタビューが興味深かった。
労働者を選別する際には、なるべく若く従順そうな人から選んでいたとは。
50年経ってもなお、貧しい者は貧しいまま。
23歳のゲバラが目の当たりにした問題は、相変わらず撮影隊の前にも横たわっていた。
だからこそ、俳優達も役に入り込んで演技ができたのだろうか。
喉に挟まっていた小骨が落ちたような発見がひとつ。
映画のクライマックスにあたる川を泳いで渡るシーンは、ずっとフィクションだとばかり思っていたが、本当にあったエピソードのよう。脚本を読んで、この部分が決め手となり、サレス監督も引き受けることにしたのだという。改めて感動。
しかし、エルネストもアルベルトもなぜこういうことを日記に記さなかったのだろうね?
以降は余談&つぶやき。
いうまでもなく、ウォルター・サレス監督、ガエルの笑顔でニヤけてきた。
サレス監督の話すポルトガル語を初めて聞いた。いつも英語ばかりだったから。
作品だけではなくて、なんて外見まで素敵なんだろう。この方って!
サレス監督の話すポルトガル語を初めて聞いた。いつも英語ばかりだったから。
作品だけではなくて、なんて外見まで素敵なんだろう。この方って!
監督おとこまえだねえ。