051122(2004米コロンビア/ジョシュア・マーストン/劇場/★4/オフィシャル
マリア(カタリーナ・サンディノ・モレノ)は、麻薬を包めた小袋を大量に飲み込み、アメリカへ渡ることを決心する。全てはお金を稼ぐ為。姉や母親に稼ぎを当てにされ、妊娠していることも告げられない17歳の少女の直面している現実がこれ。

コロンビアの現状と、そこで生きる人たちが感じているだろう、閉塞しきったけだるい空気など、ここ日本からでは想像するしかないが、スクリーンを通じて伝わる重さは相当のものだった。

特に出国から飛行機内、そして入国審査に至るまでの展開はスリリング。
アメリカに降り立ってようやくその息苦しさは薄まり、かわりに異国の地で路頭に迷う寸前の少女達の心細さが前面に出てくる。
ここではじめて彼女達の幼さを感じるのだ。

自らと腹の中の子どもを守っていこうと決心するラストは清らかで、とてもいい。
長い長い苦しみのトンネルの中で、一筋の光を見せてくれるような、こういう映画は好き。
映画のおしまいはゴールじゃなくて、彼女はスタート地点に立っただけ。
どんな境地に立たされても、悲壮感が漂うことなく、その姿に頼もしさすら感じるのは、主演女優の凛とした眼差しからくるものだろうか。

映画に米資本が絡んでいる為、もうすこし胡散臭くなっているかと危惧していたがそれほど鼻にはつかなかった。いや、全くないとは言えないのだが、それは私が深読みしすぎたのかもしれない。
中南米ではこの映画の評価はどうなのだろうな。ちょっと気になる。
映画が終わった後、雑踏の中色々考えていたら、突如ベティとぶさいく組の顔が浮かんできた。
ベティを作り出せる国だもの、コロンビアは大丈夫だよ。
…なんてことを考えて可笑しくなっているうちに、映画の余韻もぶっ飛び、もう観てから何日たってしまったんだろう(笑)