d0524c44.jpg製作年:2001年
製作国:スペイン
監督:フリオ・メデム
出演:パス・ヴェガ トリスタン・ウリョア ナイワ・ニムリ
DVD ★3.5


Story
ルシアは、マドリッドの中心街のレストランで働く若いウェイトレス。6年間同棲した作家の恋人が失踪したことを知り、地中海の静かで明るい島に、逃げるように出かける。
そこでルシアは、陽光輝く環境の中で、彼の小説の禁じられた一節を遠隔操作されて読むように、彼の過去の暗部を覗き始める。多数映画祭で賞を獲得しながらも、過激な性描写でアメリカでは広告掲載を拒否されるなど世界中を騒然とさせた話題作。(HMV)
初回観たときには、こんな感想で文字にすることを放置していたっけ。
『アナとオットー』程ではないけれど、この映画も私は好き。
穴に落ちると自分の人生の選択を変えられる、何度でも物語の途中へ戻ってやり直せるというのがこの映画の軸なわけだけれど、その周りに肉付けされた物語、ルシアとロレンソの恋愛模様が観る人によっては過剰な性描写の羅列とみえるらしく、それによって、上に書いたテーマがボケがちになっているということは否めない。
いっそ、タイトルは『ルシアとロレンソ』でよかったのではないかと、私なんぞは思うのだけれど、SEX、穴という露骨な表現方法でメデム監督が何を言い表したかったかと考えてみた。たぶん勝手なことをつらつら書くと思うので、適宜読み飛ばして。

最初観た時には、かの島全体が明るい光につつまれてやや白っぽくなっているのが夢での出来事のようだと思ったのだが、これは子宮の中のやわらかなイメージなんじゃないだろうか。海は羊水。島は胎盤であり、人間達は大切に育まれる胎児。月の満ち欠けはバイオリズムを表している気もするし、島の持つ磁力はそのまま運命とも言い換えることができる。
運命の糸に手繰り寄せられすっぽり穴に落ちた人間は弱い存在だけれど、彼の(彼女の)物語はいつでもどこでもやり直しが出来るんだという、『アナとオットー』でみせた無力な人間の絶望感を裏返した映画になっていると思う。監督の子宮回帰願望はかなり強そうだな。

この映画のようにメデム監督の作品は日本語字幕があっても監督の意図を汲み取るのに結構時間がかかってしまうので、『Tierra』『VACAS』『La Ardilla roja』はおそらく私には一生感想は書けないと思う。
ただ、最近思うのはどの作品にも共通しているのは、世界の狭さのような気がする。
世界中に人間が5人くらいしかいないような心細くて繊細な映像が透明感を醸し出し、私を引き寄せ繋ぎとめてしまう。

そうだ。この機会なので、どうか『CAOTICA ANA』を日本で公開して〜と叫んでおくよ。
公開記念には、日本未公開作でフリオ・メデム映画祭を打ち出してくれたら最高。
日本での人気が先行しているかれや、かれよりも、私はフリオ・メデム監督の映画が好きだし、おそらく同じように思っている人は少なからず居ると思う、いや、居ると信じてる!(笑)