abe4efe8.jpg製作年:2007年
製作国:イギリス
監督:ダニー・ボイル
出演:キリアン・マーフィ 真田広之 ミッシェル・ヨー
六本木TOHO(ジャパンプレミア)
舞台挨拶についてのメモ
劇場観賞2回目の感想


Story
2057年。滅亡の時が迫る人類の唯一の希望は、宇宙船“イカロス2号”に搭乗したエリートたち。日本人船長のカネダ以下、学者や医師らで構成される男女8人のエキスパート・チームは、可能な限り太陽に接近し、この巨大な星を再生させるという極限のミッションに挑もうとしていた。しかし彼らは、人類の想像の域を遙かに超えた異常事態に巻き込まれていく。8人は、太陽の死、すなわち人類の破滅を阻止することができるのか……。(goo)
ハリウッドのSFパニックモノとは一線を画すUK映画。
ダニー・ボイル色が非常に濃い作品だったと思う。個人的には『28日後…』よりも好き

映画に、下手な前フリは何もない。キリアン演じる物理学者キャパのモノローグで、2057年の地球と太陽についての最低限の情報のみ伝えられる。

あとは片道切符で太陽へと向かう彼らが集まっているだけ。
これで地球の様子など逐一挟み込まれたら一気に興ざめだ。この潔さがとてもいい。

まずこの映画の前提は、地球は救えるかもしれないが、彼ら自身には確実な未来がないということ。
自分らの存在しない地球の未来の為、彼らは使命と自分の命のリミットとの狭間で、その時を待つ。

映画を支配する絶望の空気の濃さは非常に好みだし、
誰もが腹に抱えている諦めを、最後まではっきりとした言葉にせず、
地球の為などという暑苦しいセリフを吐くことなく、ただ、ミッションを遂行しようとする静かな姿勢が好きだ。

多分ひとつの見せ場であったであろう極限状態で徐々に関係がいびつになっていくクルー達の心理戦は、
少しでも長く生きることに貪欲な者、冷静にミッションを成し遂げることを第一とする者と
観客がそれぞれの特徴やチーム内の役割を把握する前に始まってしまうのが惜しい。
『シャロウ・グレイヴ』のような緊迫感を期待してたのだが、8人も人間がいると難しかったか。

ダニー・ボイルの研ぎ澄まされた映像感覚、『28日後…』同様、終末観は、いたるところに盛り込まれている。
腹に響く効果音、使用されている音楽もいい。

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以下、映画の核心に触れる部分があるので、隠します。
あとは、5人目のアイツを許せるかどうかだろうか。私は一瞬ひるみながらも、割と平気だった。
ただ、彼の言う神について、そして無神論者になったというキリアンの言う神について、
なかなか自分なりの答えが出せず、感想を書くのに難儀した。
今のところ、彼らクルーにとっては、生命の源である太陽が神そのものだったのではないかというところで落ち着いている。
皆、最期に神すなわち太陽と対峙し、宇宙の塵となっていく。
果たしてダニー・ボイルの意図はどうだったのだろう。

機能的とは思えぬ、珍妙な宇宙服は、人間の英知の結晶というより、
神すなわち太陽の前では、どんなに武装しても非力な科学を如実にあらわしたものなのだろうか、などと考えている。
いやもう、ここら辺は本当に私の勝手極まりない解釈ということで。
も一度観賞した時に見極めなければいけない部分。単なる監督の趣味なのかもしれないし。

この映画は1,2,と来て3,4を抜いて5に飛んだような作品なので、
その余白を、説明不足で意味不明と思えば駄作という評価に傾き、
私のように、ぐるぐる考えはじめると出すと、深くまで迷い込むのではないか。

ただ、やはり、終盤、最後に残る4人の短期的行動の意図が理解できず、
私自身、船内の構造がよく把握できなかった点については、残念だ。
しかし、最後の最後までスクリーンに釘付けになり、何度か本当に鳥肌が立った映画だったのは事実。
試写会といえど、音響効果抜群の劇場で観賞できて本当に良かった。

私にとってダニー・ボイルは特別贔屓の監督ではないのだけれど、
不思議と波長が合う、というか多少あれれ?と思っても、ぐいぐい引っぱられる作品をみせてくれる監督だ。

余談。
いつもは後方からスクリーンを見下ろす位置が好きな私だが、舞台挨拶を優先し、かなり前方より見上げる角度での観賞になった。
故に、太陽に焼き尽くされそうになる感覚を我が身を通して味わった。これもまたいい経験か。
でも、落ち着いてちゃんと観たい。