amapola

さちです。 ゆっくりですが、映画観賞生活を復活です。

映画(アジア・日本)

明日の記憶

監督:堤幸彦
収録時間:122分
レンタル開始日:2006-10-13

Story
『トリック 劇場版』の堤幸彦監督が、山本周五郎賞を受賞した荻原浩の同名小説を渡辺謙、樋口可南子共演で映画化したドラマ。若年性アルツハイマー病に突如襲われた50歳の働き盛りのサラリーマンと、そんな夫を懸命に支えようとする妻との絆を綴る。(詳細こちら
渡辺謙の慟哭が胸に刺さる。続きを読む

遠くの空に消えた

監督:行定勲
収録時間:144分
レンタル開始日:2008-03-07

Story
『クローズド・ノート』の行定勲監督が構想7年の末に作り上げた完全オリジナルストーリーで贈る、少年少女のひと夏の冒険を綴った感動ドラマ。時がゆったりと流れる田舎町で、少年たちの史上最大のいたずらが始まる。主演は神木隆之介、大後寿々花。(詳細こちら
僕は飛行機でここに戻ってきた。続きを読む

天使の卵

監督:冨樫森
収録時間:115分
レンタル開始日:2007-04-04

Story
直木賞作家・村山由佳の恋愛小説を冨樫森監督が映画化。満員電車で出会った女性に一目惚れした浪人生。だが、彼女はガールフレンドの姉であることが分かり…。年上の女性に想いを寄せる主人公役の市原隼人をはじめ、小西真奈美、沢尻エリカらが出演。(詳細こちら
消せない恋の輪郭続きを読む

ヒート アイランド

監督:片山修
収録時間:106分
レンタル開始日:2008-03-26

Story
垣根涼介の同名小説を、注目の若手俳優・城田優主演で映画化。アキをリーダーに渋谷の街を仕切る6人組“ギルティ”。大金の入ったボストンバッグを手に入れた彼らは、暴力団から南米マフィアまで絡んだ現ナマ争奪戦に巻き込まれていく。PG-12作品。(詳細こちら

原作ではもう少し計画が緻密に練られていた気がするけれど
ヒートアップしていく三つ巴(もっと?)の戦いが途中でダレることなく
気持ちよく走り抜けてくれたので合格。

私の知っている渋谷の空気は、もっと澱んでいて、夏場など歩くのも命がけの場所。
呼吸するのもしんどいという独特の湿度は感じられない映像だったけれど
カッコよかったのでよし。
映画としてというよりドラマを観る感覚だったので、甘いかも。

内容上、どうしてもIWGPを思い出してしまうし、比較したくなる。
この作品では自分の笑いのツボがややズレていて、
その分アイタタタと思う部分も少なくなかったが
伏線の張り方が小気味よく、ちょっと得した気分。


私が楽しかった理由は、間違いなく城田優の筋肉にあり。
こーれが実にいい。
気になる方は確かめてみてw

甘い人生

1
収録時間:118分
レンタル開始日:2005-11-02


Story
『誰にでも秘密がある』のイ・ビョンホン主演のアクションノワール。裏社会にも通じるクールで頭脳明晰なホテルマネージャー・ソヌは、裏社会を牛耳る大物・カンから愛人・ヒスの監視を命じられる。しかし、彼は彼女(詳細こちら
一瞬の迷いが人生を狂わせる。続きを読む

秒速5センチメートル

監督:新海誠
収録時間:63分
レンタル開始日:2007-10-19

Story
『雲のむこう、約束の場所』の新海誠が手掛けた連作アニメ。小学校の卒業と同時に離ればなれになった遠野貴樹と篠原明里。大雪の降るある日、ついに貴樹は明里に会いに行く決心をする。「桜花抄」「コスモナウト」「(詳細こちら
記憶の隙間に広がる空には、こんな光がさしこんでいた。続きを読む

ブレス

bc2e086c.jpg製作年:2007年
製作国:韓国
監督:キム・ギドク
出演:チャン・チェン チア ハ・ジョンウ キム・ギドク



Story
ハンソン刑務所に収監中の死刑囚チャン・ジンが、ある朝自殺を図った。それは、これまでにも何度も繰り返されてきたことだった。チャン・ジンの願いむなしく、全て失敗に終わり、今回も再び刑務所に送り返されてしまう。そのニュースを偶然知った主婦のヨン。満たされた日々だった彼女の人生は、夫の浮気発覚を境に狂い始めていた。彼女はチャン・ジンに不思議な同情を覚え、衝動的に刑務所へと向かう。(allcinema)
キム・ギドクの14作目のヘンテコワールド。
息が出来なくなるぎりぎりの瞬間、息が止まるような快感の波に体を委ね、生きている自分を見つけ出す。続きを読む

凶気の桜

監督:薗田賢次
収録時間:122分
レンタル開始日:2003-04-11

Story
『ピンポン』の窪塚洋介が主演し、企画にも参加した青春アクション。反米思想を持つ山口、市川、小菅はナショナリスト結社“ネオ・トージョー”を結成し、半端な不良たちを狩る。しかし、やがて彼らはヤクザの陰謀に(詳細こちら

これが、日のいづる国の21世紀的ナショナリズム、かぁ。
山口が研いているつもりのイデオロギーも、薄っぺらで危うい。
いや、平和な日本で危機感を抱けという方が難しいよね。

それでも、難病&純愛物のお話に条件反射で涙するような生き方よりも、
よっぽど、山口のように自分の頭で考えようとし、危機感を持って生活する姿勢の方が、私は健全だと思うんだ。どんな方向であれ。続きを読む

マイ・ブルーベリー・ナイツ

4ba50418.jpg製作年:2007
製作国:香港 中国 フランス
監督:ウォン・カーウァイ
出演:ノラ・ジョーンズ ジュード・ロウ デヴィッド・ストラザーン レイチェル・ワイズ ナタリー・ポートマン



Story
 ニューヨークのとあるカフェ。失恋したエリザベスは、この店のオーナー、ジェレミーが焼くブルーベリー・パイを食べ少しだけ心癒やされる。それでも、なかなか別れた恋人のことが忘れられない彼女は、ついに宛のない旅に出る。仕事をしながらメンフィス、ラスベガスとアメリカを横断していくエリザベス。彼女はその先々で、それぞれに愛を求め愛に傷つく人々と出会い、彼らと束の間の時間を共有していく中で新たな自分を見いだしていく。(allcinema)
目に潤いを与えてくれる作品。
ガラスごしの役者の表情が、至極、美的。うっとり。続きを読む

キサラギ

887f9b82.jpg製作年:2007
製作国:日本
監督:佐藤祐市
出演:小栗旬 ユースケ・サンタマリア 小出恵介 塚地武雅 香川照之



Story
マイナーなグラビアアイドル、如月ミキが焼身自殺を遂げてから1年が過ぎた。彼女のファンサイトでは一周忌のオフ会を開催することに。集まったのは、サイト管理人の家元とサイトの常連、オダ・ユージ、スネーク、安男、いちご娘という5人の男たち。初めて直に顔を合わせた彼らは、ミキの思い出に浸り、自慢話で盛り上がる。明るかったミキの自殺という事実に釈然としない気持ちを持ち続けていた5人。そしてオダ・ユージの“彼女は殺されたんだ”という発言を境に、彼らはミキの死の真相を巡って怒涛の推理を展開していくが…。(allcinema)

秀逸な脚本によって、その世界にぐいぐい引き込まれていく。続きを読む

7月24日通りのクリスマス

監督:村上正典
収録時間:109分
レンタル開始日:2007-05-11

Story
大沢たかお、中谷美紀ら豪華キャスト共演によるハートウォーミングなロマンティックコメディ。長崎に暮らす地味で平凡な女の子・サユリは、自分だけの王子様ランキング1位を独走する憧れの先輩・聡史と偶然再会して(詳細こちら
季節外れのクリスマスモノに手を出してみる。
ぶっちゃけHDD整理のため、みやすそうなものから優先してしまうのは仕方がない。
これは、妙齢の地味な女の子が恋して輝いてという王道ロマコメ。
主人公サユリは、愛読漫画にでてくるリスボンの7月24日通りと、自分のホームグラウンド長崎の通勤路とを重ね合わせ、ハッピーな気分になっちゃう。
うんカワイイな女の子って。妄想で石畳も街灯もキラキラっ☆続きを読む

ウォーターズ

監督:西村了
収録時間:113分
レンタル開始日:2006-09-06

Story  ウォーターフロントの倉庫街にやって来たストリートパフォーマーのリョウヘイ。夢やぶれた彼は心機一転、ホストとして再起を図るため、新店舗の面接を受けに来たのだった。同じように挫折を味わい、ホストに希望を託す男たちが他にも6人集まってきた。結果、7人全員が合格するが、いざ初出勤の日、肝心の店長が行方をくらましてしまう。彼らから“保証金”とやらをダマし取りトンズラしてしまったのだ。事態をようやく理解した7人は、このまま引き下がるわけにも行かないと、彼らだけで素人ホストクラブ“DOGDAYS”をオープンさせるのだったが…。(詳細こちら
何でこんな作品を観ているのかというと、まぁ察しのいい人なら解ってると思うけれど、去年から小さい栗祭り中というわけで。
この祭りはオブラートに包んでおいて、ポーカーフェイス?でblogを更新しようと思っていたんだけれど、先週は心が砕けてしまいそうな出来事もあったし、オイラ捨身で行くよ。
もうね、なんか楽しいこと考えてないと負けちゃいそうなんだもん。寒いし。続きを読む

ピンポン

監督:曽利文彦
収録時間:114分
レンタル開始日:2003-02-14

Story
「週刊ビッグコミックスピリッツ」で連載された松本大洋の原作を、『GO』の宮藤官九郎脚本、窪塚洋介主演で映画化。卓球に青春をかける高校生の熱い闘いを爽やかに描いた青春映画。『タイタニック』のCGを担当した曽(詳細こちら

久しぶりに観た。
公開当時劇場で鑑賞し、その勢い乗せられかなりテンションが上がったものだけれど、落ち着いて観ても、やっぱり好きなんだよなぁとつくづく思う。続きを読む

デイジー

収録時間:125分
レンタル開始日:2006-10-27

Story
『猟奇的な彼女』のチョン・ジヒョンと『私の頭の中の消しゴム』のチョン・ウソン共演によるサスペンスラブストーリー。ひとりの美しい女性を愛した孤独な暗殺者と刑事。オランダを舞台に3人の男女が数奇な運命に翻(詳細こちら
韓国映画は現実逃避にうってつけ。
何か映画は観たいけれど、現実で煮詰ってて、余計な脳みそを使いたくない時に選ぶのが韓国映画。
なんていったら、怒られちゃうか。(私も一時はそこそこ観てたので許してー!)
今回もかーるく一杯引っ掛けてみたら、やっぱり素通りできなかったよ。チョン・ウソンに!

ってその話は我慢して後に回し、とりあえず映画の感想で。
全く期待していなかったのに思わぬ拾い物の映画だった。
劇場に観にいくべきだったね。
続きを読む

絶対の愛

29b4cdb3.jpg製作年:2006
製作国:韓国、日本
監督:キム・ギドク
出演:ソン・ヒョナ ハ・ジョンウ パク・チヨン
ユーロスペース


Story
互いに深く愛する恋人たち、セヒとジウ。付き合い始めて2年を過ぎ、時の移ろいと共にセヒは次第に不安を募らせる。ジウが自分に飽きて他の女のもとに走ってしまうのではないかと。そんなある日、セヒは突然姿を消してしまう。セヒの行方を懸命に捜すジウだったが、彼女を見つけだすことは出来なかった。6ヵ月後、未だにセヒのことが忘れられないジウの前に、セヒとよく似た名前の女性スェヒが現れる。実は、彼女は整形手術を施したセヒ本人だった。そうとは知らないジウは、セヒへの想いを残しつつも、次第にスェヒに惹かれていくのだったが…。(allcinema)
恋愛における最大の敵は時間?それとも過去の自分?
私が好きなキム・ギドクの作品は、時代も場所も特定しない異空間に迷い込んだような作品(『弓』や『春夏秋冬、そして春』など)で、かつ、セリフが極端に少ないものが多い。
現実味のない世界で繰り広げられる異常愛、常軌を逸した行動をも受け入れられるだけの舞台設定が、必要なのかもしれない。
この作品は街中ということもあり、なにか彼らだけが浮いて見えた。
いや、それこそがキム・ギドク監督の狙いなのかもしれないが。

そもそも、一途な愛というテーマからして、私には向かなかったのかもしれない。
他の作品でも何度かお目にかかった"顔を覆う"という象徴的なシーンが何回か出てくる。
彼らが内なる「自分自身」へ問いかけ、出した結論が「整形」なのだろう。
自分の顔を失っても、相手の愛が欲しかった。試したかったのだろう。

観客である私は傍観する他になにができるんだ?何を感じたらよかったの?

夏物語

5f728ea1.jpg製作年:2006年
製作国:韓国
監督:チョ・グンシク
出演:イ・ビョンホン スエ
川崎チネチッタ


Story
60歳を超えた今も独身を貫き通す元大学教授ユン・ソギョンのもとに、テレビ局のスタッフからある番組企画が持ちかけられる。それは、教授の初恋の女性を探すというもの。どうにかソギョンの了承を得て、取材を開始したスタッフは、やがて、大学生だったソギョンのあまりにも美しく悲しい初恋の物語を知るのだった。(allcinema)
超気合の入った長文感想を書いたのに消えた…。
簡潔に書けということなのか。そうなのか。続きを読む

ただ、君を愛してる

b3beaf4a.jpg製作年:2006
製作国:日本
監督:新城毅彦
出演:玉木宏 宮崎あおい 黒木メイサ
川崎チネチッタ ★4


Story
大学入学式の日、誠人は幼い容姿の個性的な女の子、静流と出会う。人と接することが苦手で大学生活になかなかなじめない誠人だったが、静流とは自然と打ち解けることができた。写真が唯一の趣味の誠人といつも一緒にいたい一心で自分もカメラを手に取る静流。そして2人でキャンパス裏の森へ写真撮影に出かける日々が続く。しかし、誠人はクラスの人気者、みゆきに片想い。子どもっぽい静流のことは決して恋愛の対象とし見てくれない。そこで静流は、誠人が振り向いてくれるようないい女になると決意するのだが…。(allcinema)
随分昔に書いた『恋愛寫真』の感想はこちら。↑私も餌付けしたい(違)

普段観ない恋愛映画に時々ふっと魔が差したように吸い寄せられてしまうことがある。この映画も本当は見送るつもりだった。なぜなら原作に対する思いが強いから。
小説は割と好きだったのに、映像化はことごとく苦笑いで終わったセカチュー(映画は最後まで完走)といま会い(10分で耐えられず挫折)が嘘のように、この作品で私は恥ずかしながら号泣した。続きを読む

木更津キャッツアイ ワールドシリーズ

37071cb4.jpg製作年:2006年
製作国:日本
監督:金子文紀
出演:岡田准一 櫻井翔 岡田義徳 佐藤隆太 塚本高史 酒井若菜
川崎109 ★3.5 


Story
ぶっさん(岡田准一)の死から3年が経過し、バンビ(櫻井翔)、うっちー(岡田義徳)、マスター(佐藤隆太)、アニ(塚本高史)は、ぶっさんにきちんとさよならを言えなかった後悔を抱えながら、バラバラの生活を送っていた。そんなある日、バンビは死んだはずのぶっさんの声を耳にする。 (シネマトゥデイ)
木更津キャッツアイが大好きな自分にとっては、この映画について何がどうのこうのと感想を付け加える必要はないんだ。ただ、彼らに会えるのが嬉しかった。
ドラマから日本シリーズ、そしてワールドシリーズまでたっぷり楽しませてもらったよ。
またね、は言えないんだよね。
これでばいばい。なんだ。やっぱり寂しいや。

ここで終わらせるつもりだったけれど、でもやっぱり続きを書く。
いちおう映画として観た分の、率直な感想を。続きを読む

イルマーレ

1製作年:2006
製作国:アメリカ
監督:アレハンドロ・アグレスティ
出演:キアヌ・リーヴス  サンドラ・ブロック
川崎チネチッタ ★3.5


Story
静かな湖の岸辺に建つガラス張りの一軒家。ここに住む女医のケイトはシカゴの病院に着任することになり、愛着のあるこの家から引っ越すことに。彼女は次の住人に自分宛の手紙の転送を頼もうと、郵便受けにメッセージを残した。一方、建築家のアレックスは子ども時代の懐かしい家族の思い出が詰まった湖の家を買い取り、そこへ引っ越してきた。彼はそこで郵便受けに奇妙な手紙を発見する。それは、ケイトが残していったあの手紙だった。しかし、この家は長いこと空き家になっていたはず。不思議に思い、アレックスはケイト宛に返信を送る。やがて2人は、ケイトが2006年、アレックスが2004年の時代にいることを知るのだったが…。(allcinema)
オリジナル、リメイク、両方観ていないと、なんのことを言っているか分からないだろう感想になってしまった。
しかも乱れ書き。がっつりネタバレしているので気をつけて。

オリジナルの感想はこちら
続きを読む

氷雨 

50cf6cfa.jpg製作年:2004年
製作国:韓国
監督:キム・ウンスク
出演:ソン・スンホン イ・ソンジェ キム・ハヌル
WOWOW ★2.5


Story
アラスカ・アクシア登山に参加したジュンヒョンと後輩のウソンは猛吹雪に遭遇、仲間と離れ離れに。氷の洞窟に避難したジュンヒョンは意識が朦朧としてくる中、ウソンにかつて愛した女性ギョンミンのことを語り始める。(エキサイトシネマ)
3人を繋ぐ線がはっきりと見えるまでは、吸いこまれるようにしてみていたのだが、
終盤にきて回想シーンと現在との行き来が無駄に思え、傍観。結局メロドラマだったのか。

ただ、ラストのスンホンのモノローグがあまりにツボだったので、
書いてやろうとふつふつ思っていたことは、心にとどめておくことにしよう。

雪景色に韓国語の組合せって好きだなぁ。

ゆれる

1製作年:2006年
製作国:日本
監督:西川美和
出演:オダギリジョー 香川照之 伊武雅刀
シネアミューズ ★4


Story
東京で写真家として成功し、自由奔放に生きる弟・猛。母の一周忌に久々に帰郷した彼は、そこで父と共にガソリンスタンドを経営する兄・稔と再会する。猛は頑固な父とは折り合いが悪かったが、温厚な稔がいつも2人の間に入り取りなしていた。翌日、兄弟はガソリンスタンドで働く幼なじみの智恵子と3人で近くの渓谷に足をのばす。ところが、川に架かる細い吊り橋で、智恵子が眼下の渓流へと落下してしまう。その時、そばにいたのは稔ひとりだった。事故か、事件か、やがて裁判が始まる。その過程で稔は意外な一面を覗かせる。一方、一部始終を目撃していた猛も激しく揺れ動く。(allcinema)
参った。ゆれた…。

余白の多さに、心をかきまわされ、不安が募っていく。
私はこの映画の本質を理解できているのだろうか自信がない。
不安に駆られて小説版も読んでみたが、行間はやはり広い。

あいまいな記憶に基づく映像からは、なにが真実だったのか最後までわからない。
ただひとつだけ、兄の浮かべた笑顔だけが妙な重みを帯びていたような気がする。

リアルに感じられる部分(地方の人間が東京に抱くイメージ、閉鎖的な空気、都会と地方の時計の違い、兄弟における家での役割分担)と、この兄弟にしか分からない血のベールに包まれた心情とが交互に波となり押し寄せてくる。
まるで他人の心の中を、ジョハリの窓(参考)から覗いたかのようだ。
赤の他人であれば全く気づかない面を、兄弟は時に本能で嗅ぎ取る。
当人同士も見てみぬフリをしてきたであろう偽りの顔のざらりとした感触を、兄弟だからこそ抱ける甘えと表裏一体の残酷な感情を、調理せず生臭く描いた映画だったと思う。

以下ラストについての私の見方と、どうでもいいつぶやきと。続きを読む

PROMISE 無極

06e789c9.jpg製作年:2005年
製作国:中国 日本 韓国
監督:チェン・カイコー
出演:真田広之 チャン・ドンゴン セシリア・チャン ニコラス・ツェー リゥ・イエ
DVD ★3


Story
戦乱の世で親を亡くし、行き倒れ寸前だった少女・傾城は女神から真実の愛と引き換えに、すべての男からの寵愛と何不自由ない暮らしを約束され、やがて王妃の座についた。その頃、王を支える無敵の大将軍・光明はこの世のものとは思えぬ脚力を持つ奴隷の男・昆崙に目を留め、自らの従者とする。やがて2人は、無歓の反乱に遭い危機に陥った王を救出するため城へと向かうのだが…。(allcinema)
散々悪評を耳にし期待の薄い状態で観賞したのが良かったのか。
普通に面白いじゃない(笑)もっと破綻しているかと思っていた。
極めて鮮やかで幻想的な絵巻物の世界は目に驚きを与えてくれたし、
ワイヤーをつかった派手なアクションも自分でプレイしないゲームのような感覚で楽しかった。

まぁ、これを撮ったのがチェン・カイコーだと思うと疑問符も湧いてくるし、どこから手をつけていいのか分からないくらい、ツッコミ所だらけ。噂のドンゴン走りも堪能した(笑)また、運命、宿命というとてつもないスケールのデカイ話なのかと思いきや、ひとつの饅頭が人生を変えたという脱力話でもあった。それらのミクロとマクロの観点からの話はいったん目を瞑って感想を(笑)

私が話の雰囲気が近しいものとして思い描いたのは、日本であれば古事記・日本書紀等。
おそらく中国や韓国でもその類の書物は存在するだろう。全く詳しくはないのでぱっとは浮かばないのだが。

そういった、誇張をふんだんにおりまぜ、もはやホラ話に近い状態で語られる物語に、
専門的に学ぶ人間以外は、多分誰もリアリティなんて追求しない。
涙を流して感動したり、誰かに感情移入したりすることもない。
旧約聖書の世界にしても同様。って信心深い人には申し訳ないが、神話などというものはえてしてそういうもんだ。
だから、ああいう走り方をする人がいても良いんだよ。きっと(笑)

そんなノリでこの映画を観ていたので、細かいことは気にせず煌びやかなな衣装をまとった豪華な俳優陣をぽけーっと眺めて目の保養に徹した。続きを読む

99a51ddd.jpgDVDですでに観賞しているが、劇場へ行ってきた。あの劇場は渋谷のどの映画館よりも年齢層が高い気がする…。

以前書いたレビューはこちら

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弓/The BOW

44afaa69.jpg製作年:2005年
製作国:韓国
監督:キム・ギドク
出演:チョン・ソンファン ハン・ヨルム ソ・ジソク
海外DVD ★4

海の上、ふたりきり。
       老人は少女に永遠の夢をみた。


■ 劇場観賞時の感想



Story
海の上に浮かぶ船の上で穏やかに暮らす少女と老人。少女が17歳の誕生日を迎えたとき、二人は結婚する。2人の住む船には釣をしに客がやってくる。彼らのリクエストで未来を占うために、老人は別の船に移り、少女の漕ぐブランコの向こうにある大日如来(聖観音?)の絵に向けて矢を放つ。そんなある日、船に若い青年が訪れる。少女は彼(と外の世界)へ興味を持ち、老人は焦立ちをあらわにする。
先日24時間ほど韓国に上陸した際、SHOPに飛び込み奇跡的に見つけたDVD。
日本公開は晩夏…っていつ?
どこまでも深読みすべきか、それとも寓話的な世界に漂ったままでよいのか悩む。
極端にセリフの少ないギドク監督の映画だけに、他の英語字幕のDVDに比べれば、見落としている部分は殆どないのではないかと思うのだが。
胡弓の音色が心地よく耳をくすぐり、穏やかな海に漂う船とブランコ、そしてあるときは直線を、またあるときは曲線を描く弓矢の美しさはため息もの。この映画、早く大スクリーンで観たい。

060508老人が考えていた「結婚」とは何か。
私には男と女の契約ではなく、聖母と一体化するための儀式のように思えた。結婚の儀式が滞りなく終えたのち、少女の慈愛の微笑みを胸に老人は去る。
羽衣天女のように重力を感じさせず、微笑を浮かべる彼女を、老人がひとりの人間として愛していたとは思えないのだ。
自分だけを見つめることを止めて外へ目を向けるようになった少女は、もはや老人にとっての守護天使ではなく聖母でもなく、聖性を剥奪されたひとりの女になる。

老人が最後に放った矢について。
矢(老人)は、ブーメランのように戻り、少女に人間(女)としての喜びを与えたのだろう。
聖なるものとして扱っていた彼女を陵辱することで、彼は満たされたのだろうか。
それとも何か違う意図が?もう2人は一心同体ということなのか。
艶かしいこのシーンに関しては、呆気にとられてしまいまだ考えがまとまっていない。
また、全てを目撃した(立ち会った)青年に託された役目についても、もうすこし考える時間が必要。
老人に対しては口元だけで微笑む少女が彼に対しては歯を見せて笑う。こんな部分も気になった。

060507…なんて思ったままをつらつら書いてみた。見当違いの観方をしているかもしれない。
ロリコン★って一言で済ませることも出来るが、私はギドク監督の映画を観ると、いろいろつけ加えたくなってしまうんだ。今回の映画も石が矢に換わっただけで、今までに幾度となく用いられてきたモチーフも沢山ある。本質的な部分で監督が描いている絵は変わらない。そんな気がする。

隣人13号

監督:井上靖雄
WOWOW ★3

Story
カリスマ漫画家・井上三太の人気コミックを実写映画化したサイコサスペンス。小学生時代にイジメを受けた男が、狂暴な別人格と共に壮絶な復讐を開始する。映画、舞台で活躍する人気俳優・中村獅童と『あずみ2〜』の...(詳細こちら
中村獅童の"狂"の演技がお見事。
この人は、純愛映画などではなく、こういう個性勝負の役を演じていって欲しいな。
ふたつの人格が村崎の中でぶつかり合うシーンの赤色が強烈だった。
映画の中での遊び心がいいな。この映画。
遊びがなければただの救いようのない話になりそうだもの。
荒野にぽつんと立つ小屋の中に残される13号、諦めたように扉を開ける十三。これからは13号が村崎の身体を支配していくのだろうか。
エンドロールで初めて13号と十三という名前が結びついた私は鈍すぎ。

ティラミス


製作年:2002年
製作国:香港

Story
ダンス・コンテストを控えたジェーンは、耳の不自由な青年コウと街で何度もすれ違い、お互いを気にしていた。しかしジェーンは、コウと話もしないうちに事故死してしまう。ゴーストとなったジェーンは、コンテストの...(詳細こちら
ニコラス・ツェーという人を観てみたくて(笑)まだこの段階の彼には私の針は動かず。
むしろ相手役の女の子、カリーナ・ラムの健康的な美しさが眩しかった。続きを読む

弓 ちらし

316858fe.jpg日本では晩夏(いつ?)公開らしい、キム・ギドク監督最新作『弓』のちらしをもらってきた。

キャッチコピーがステキ。

   海の上、ふたりきり。
       老人は少女に永遠の夢をみた。

海、船に加えて、今回は私の胸キュンアイテム(笑)ブランコまで登場するのか。そうやって乗せておきながら、またとんでもない方向に飛んでいくんだろうか。


060323
かるくあらすじ。
海の上で穏やかに暮らす少女と老人は、数ヵ月後に結婚を控えている。
静寂につつまれた暮らしが、釣り舟に客としてやってきたひとりの青年の存在によって均衡が崩れ、3人の関係はぴんと張った弓のように張り詰めていく…。

本国のポスターもいいなぁ…。

悪い男

0a9c1bbf.jpg製作年:2001年
製作国:韓国
監督:キム・ギドク
出演: チョ・ジェヒョン ソ・ウォン
DVD ★3


Story
ヤクザのハンギは街で見かけた女子大生ソナにひとめぼれし、いきなりその唇を奪う。そのときからソナの人生は変わった。本屋で落ちていた財布をカバンに入れたのがきっかけで、娼婦街に売られてしまう。しかしそれを仕組んだのはハンギだった。彼はマジックミラー越しに、娼婦になったソナをずっと見つめていた。(amazon)
初期作品へ遡る、ギドクの旅進行中。
今まで観た『サマリア』『春夏秋冬そして春』『うつせみ』は鬼才の名どおり?私の想像の右斜め上へいく突拍子もない方向への展開そして着地に驚き、吸い寄せられてきたが、今回は私の数少ない手持ちの駒(生涯鑑賞作品)のひとつが頭に浮かんだ。続きを読む

うつせみ

f380ab24.jpg製作年:2004年
製作国:韓国、日本
監督:キム・ギドク
出演:イ・スンヨン ジェヒ
恵比寿ガーデンシネマ ★3.5


Story
留守宅に侵入してはシャワーを浴びたり食事をしたりという行為を繰り返しながら転々と放浪生活を続けるミステリアスな青年テソク。ある時、いつものように空き家だと思い込み忍び込んだ豪邸で、テソクはその家の住人ソナに遭遇する。彼女は独占欲の強い夫によって自宅で監禁状態にあったのだった。(allcinema)
うずまく様々な疑問を無理に消し去ろうとも思わず、けだるく映画の世界に巻かれてみる。
この気持ちよさ。
カメラは対象物の内面に近づき過ぎず、静かに出来事を見守る。

日常と非日常。
夢と現実。
幸せと不幸。
暴力と愛撫。

その境界線は、映画の最後にはひどく曖昧で、判然としないものとなる。
ギドク監督の創る作品は、静かに足元からひたひたと満ち、最後には全てを受け入れたくなるそんな世界。
映画に監督の迷いが感じられないのがいい。暴力的に一直線。
あとは観客が好き勝手想像するだけだ。

ただひとつだけ。ラストの1文は、私としては不要だった。
映像だけでも十分余韻に浸れるのに。

映像が終わった途端、エンドロール中ずーっとゲラゲラと笑い転げていた後ろの中年女性2人組。
彼女らは一体何を感じたのだろうなぁ…。

* ギドク次回作『弓』⇒仏オフィシャル

春夏秋冬そして春

83f9c20e.jpg製作年:2003年
製作国:韓国、ドイツ
監督:キム・ギドク
出演: オ・ヨンス キム・ジョンホ ソ・ジェギョン キム・ヨンミン ハ・ヨジン
WOWOW ★5


Story
心境著しい韓国映画界にあっても、もっとも世界的な注目を集める監督の一人、「悪い男」のキム・ギドク監督が、山奥の湖の湖面に佇む小さな寺を舞台に、ひとりの男の波乱に富んだ人生を5つのエピソードで語った美しく静謐なドラマ。(allcinema)
春夏秋冬 永劫回帰 因果応報 輪廻転生 生殺与奪 鏡花水月 明鏡止水
業 原罪 煩悩 欲望 執着 循環…循環…循環。
四季の輪のまわりをぐるぐるぐるぐるまわる物語。

折々の自然が語り、沈黙する。
セリフも殆どなく、極めて静かで穏やかな映画だと思っていたら、季節がうつりゆくにつれてどんどん研ぎ澄まされ圧倒的な力強さと説得力を持って迫ってくる。

060315いいもの観たと思うのと同時に、ヤバイものを観てしまったと正直思った。
私の中の何かが共鳴(揺すぶられて)してしまったよ。
魂か。いやそんな大げさなものではないのだけれど。参った参った。
大体私がこういう風に魂を抜かれる映画は、人に勧めようと思えるような作品ではない。
ただ、好きな人にとってはとことん好きな世界観だと思うし、寓話のような美しさと残酷さを内包した完璧な映画だった。

春・夏・秋・冬・そして春のそれぞれの話のうち、特に煩悩まみれの秋の話が好き。
冬の監督出演パートの高らかなアリラン節には賛否両論あるようだけれど、私は曲自体よりも、歌詞の字幕が煩くて嫌だったな。

石、舟、顔を覆う布、水、仏像(マリア像)の後ろに隠れるという行為。
サマリアとの共通点もあり。一体、何を象徴しているのか。
ギドク監督の神とは一体何なのだろう。

今気づいたけれど、この映画の登場人物には、誰一人名前がつけられてないんだな…。

サマリア…の続き

1032554a.jpg感想を書くことを半ば放棄した『サマリア』が、いまだに頭の中を回り続けているので、少し吐き出すことにする。
せっかくだから、このぐるぐるにもうすこし巻かれてしまえとばかりに、キム・ギドクワールドに入り込んでみようかとも思ったり。いや、それはしんどいからギドクとヒース(祭るらしいよ 笑)のサンドイッチで行こう。ぐるぐるに疲れたら、ヒースで癒されよう。そうだそれがいい。

『サマリア』
これ、私の韓国映画に対するイメージを底辺からひっくり返された映画だった。
『情』の部分にダイレクトに響いてくるのが韓国映画。語弊があるかもしれないけれど、こちらの想像する範囲内からはみださず、ラストまで気持ちよくまとまってくれるのが韓国映画・・・と思っていたんだ。この映画を観るまでは。続きを読む

サマリア

製作年:2004
製作国:韓国
監督:キム・ギドク
DVD ★3.5
Story
鬼才、キム・ギドク監督がふたりの女子高生とその父親が織り成す愛と狂気を描いたドラマ。援助交際をするチェヨンを心配するヨジンは、ホテルを見張る役を買って出る。出演は『狐怪談』のクァク・チミン、『純愛中毒...(詳細こちら
水・石・手帳・笑顔・十字架・窓・船・希望・狂気・同化・理解・愛・救い・独り・罪・贖罪。
連想ゲームのようにぐるぐるぐるぐる。

ちっとも消化できていない。言葉の紡げない映画。
この観賞後の感覚は、『父、帰る』の時にも味わった。
キリスト教との絡ませ方といい、どこ救いがあるのか解らない部分といい。
何でこんなに圧倒されているんだろう…。

情熱の嵐 -LAN YU-


製作年:2001年
製作国:香港DVD ★3.5
Story
天安門事件に揺れる北京を舞台に、男同士の10年に及ぶ禁断の愛の姿を綴る異色ラブロマンス。バイセクシャルの貿易会社経営者・捍東と彼に買われた学生の藍宇は、互いに愛し合い、共に暮らし始める。しかし、些細なこ...(詳細こちら
別れを示唆するセリフから映画は始まるため、当然悲劇的なラストが予想がつく。
ラン・ユー、ハントンどちらに感情移入をしたというわけでもないのに、終わりに近づくにつれて、どんどん苦しくなってしまった。
話自体はどうってことなかったのに一体、なんなんだろうなぁ。この痛さは。
つみあがっていく、心細い映像が、最後の「完」の一文字に集約されて、のしかかってきたんだよなぁ。

浴室のタイルの青、一瞬音が遠のくシーンでの青みフィルターがかかった映像が印象的。
やっぱり、私は、青っぽい映像が好きなんだと再確認。
↓のブロークバックのポスター画像のように、鏡や窓などをつかって、人の心の奥底にある痛みや寂しさなどをさりげなく掬い上げる、ありがちといえばありがちだけれど、そういう間接的な表現が私は好きだ。
部屋の中の逆光のつかい方も、シルエットが痛々しくて、刺さってきた。

相変わらず、ゲイ(バイ?)映画に感情移入するという高等芸は私は持ち合わせていないのだけれど、この映画は、そういう苦手意識を一瞬忘れてしまうような、勢いと(時間も短いし)、雰囲気があったと思う。
言い訳になるけれど、同性愛に限らず、一般的に恋愛映画は照れちゃうか冷めちゃうかなので、あまり食指がうごかないんだ、私。
でも、自虐プレイ的に、この先ゲイ映画が続くかもしれないよ(笑)
春だしね。ふふ。

四月の雪

060201(2005韓国/ホ・ジノ/DVD/★4)
セリフに頼らず、絵で観客を漂わせ、あとはひとりひとりの感性にまかせてしまう、そんな作品だった。
ヨーロッパ映画でこの手の静かな作品に出会うと、思わず立ち止まってしまうが、韓国映画では滅多にない。ホ・ジノ監督の映画は今後も観ていこう。

インスとソヨン、2人の関係は一言で片付けてしまうなら、彼らの配偶者と同様不倫だ。
しかし、底にあるのは愛情ではなく、やり場のない悲しさ。
言葉でいたわるわけでも、慰めあうわけでもなく、ただ磁力で引かれあい、一瞬にして信じていたものを失った混乱のなかで、分かり合える場所に居た唯一の人に寄り添うしかなかっただけなのだ。

配偶者に対する怒りの感情を噴出させることもできず、意識が回復した時に、自分がどのような態度に出るのか全く想像もつかずに看病を続けなければいけない毎日。
精神的な逃避行として関係を持ち、お互いの配偶者同様、形だけ相手を裏切ってはみたものの、夫を妻を許せることができるわけがないことは、おそらく本人達が一番知っていること。
どちらに転んで誰を選んだとしても、2人とも救われない。
一度受けた傷が完全に癒えることなどありえない。
もう、どこにも救いなんてないけれど、不倫が明るみにでた代償とはそういうことなんだろう。悲痛なベットシーンが妙にリアルで苦しかった。

この映画のラストシーンが、好きだ。
こういう考える余地のある終わり方はいい。このあとは、ラストについてぐずぐずと。
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8月のクリスマス

060124(2005日本/長崎俊一/ギンレイ/★5)
古ぼけた写真館を営む寿俊(山崎まさよし)は、死を宣告され、静かな毎日を送っていた。彼の店に、ある日臨時教員・由紀子(関めぐみ)が飛び込んできたことから、彼の時間の流れに対する想いが変わりはじめる。

リメイクということであまり期待せずにいたのだけれど、私はこの映画めちゃくちゃ好き。
この監督さんは、パンフによると対象物から一定の距離感を保った撮り方を得意とするらしい。すごい私好み。
この映画は静かな時の流れを丁寧に撮っているだけで大げさな事件はなにもない。
でも、観客である私たちと家族は寿俊の死がすぐそこに控えていることを知っている。
隠すことのできない寂しさや本人の焦燥感は痛いほど伝わってくる。
誰かを失った経験を持つ人ならなおさらいろんな思いが溢れてくるのでは。

写真を撮り「残す」という行為同様「今」を生きるしかない寿俊。
一方の由紀子は寿俊の期限付きの命を知らず、未来のある子どもを相手にし、輝きに包まれている。
彼らの抱いた感情は恋愛とは微妙に違うかもしれないが、その慕い、慕われあう2人が、時を重ねる程に別れの足音が大きく聞こえてきて胸に迫る。
感情を波立たせないように毎日を過ごす寿俊の、ふとした瞬間にみせる感情の発露も、めざわりな演出が一切ないだけに、なおさら辛かった。
辛いんだけれど、この映画を包み込む視線が温かいから、やけにね沁みこんでくるんだ。

060124私がホ・ジノ監督(『四月の雪』)が撮ったオリジナルを観たのは、もう5年以上前のこと。
記憶は薄れてはいるものの、ハン・ソッキュとシム・ウナさん(私にとって彼女は「さん」付けしたくなる存在)の2人が、最初こそアタマにちらついたが、日本の片田舎で流れる時間の心地よさと山崎まさよしのふわっとした笑顔に、すんなりとこの映画に入り込んでいけた。
日本で、韓国の流れを取り込もうと猿真似したものは大体失敗しているように見受けられるが、
この映画はオリジナルのよさを損なわず、さらにいとおしい世界を作り上げている。
微笑みながら涙がこぼれてきた。うん。いいよ。この映画。
私の映画の好みと通じるものを感じる方には、是非これは観て欲しいな。続きを読む

メゾン・ド・ヒミコ

199d6857.jpg(2005日本/犬童一心/ギンレイ/★4)
借金返済の為、昼は塗装屋の事務員、夜はコンビニで働く沙織(柴咲コウ)の前に父親(田中泯)の恋人春彦(オダギリジョー)という若い男が現れ父親ヒミコはガンで余命いくばくもないと告げる。
沙織は自分と母親を捨てた父親に対して強烈に反発しながらも、父が営むゲイのための老人ホームで、個性豊かな面々と向かい合っていく。

戸惑ったのは、ゲイたちが醸し出す独特な雰囲気と、
世間から少しだけはみ出した寂しさの反動のような明るさと笑い。
確実に死に向かっていく映画の中での異質とも思えるそれらと、
複雑な関係を詰めこみたばかりに、登場人物の個性がスクリーンに収まりきれていない印象をうけた。
それが悪いと言うわけではなく、映画全体のデコボコ具合に人間の不完全さ不器用さが重なってグサグサとえぐられてしまったんだ。

田中泯さんの凛とした寝姿と、オダギリジョーの小尻具合(笑)とナチュラルな演技にも随分楽しませてもらった。
柴咲コウは私にはいつも同じに見えるんだけれどね。どうなの?

北の零年

(2005日本/行定勲/WOWOW/★2)
吹雪のなかで無駄死にしそうな可哀相な母子と、ホッカイドウと言えば馬という安易なイメージと、そして吉永さゆりさんの美しさを撮りたかっただけのような映画に思えた。
実話を基にしていたとしても、ホッカイドウ開拓史をなめとんのかっ!
結構本気で頭に来たわよ!イライラしながらも途中で止められなかったのは、私もね、強い稲を探しに札幌へ行った、謙さん(役名忘れた)の帰りを待っていたわけよ(笑)
謙さんだけじゃなく、香川さんとか、トヨエツとか、何気に好きな人達も大集合していただけに、惜しいなぁ。この映画。

最近そろそろ認めなければと思うのは、この監督とはどーやら相性が悪いらしいということ。『GO』は好きだったのにな。『セカチュー』もダメだったっけ。

Laundry

(2001日本/森淳一/劇場/★5)
ぼくの名前はテル。本当は照夫だけどみんな「テル」って呼ぶ。
ぼくはコインランドリーで働いている。
洗濯物が盗まれないように、見張っている仕事だ。
ぼくのあたまには傷がある−。

好きすぎて、今さらどう感想を書いていいのか分からない(笑)
先日数年ぶりに、この映画を観た。
劇場で観た時と同様、映画の中にゆったり流れる時間で、こころの曇りや濁りが洗い流され、エンディングのボニーピンクの歌と共にさーっと涙が出てきた。
色あせないままのこの映画の世界が無性に嬉しかった。

感想を繋ぐ言葉のかわりにいろんなシーンが鮮やかに頭に浮かぶ。
ガスタンク、青空、水たまり、菜の花畑を横切る自転車、眠りこけるテル
銀のグラスの中の青年の吹く口笛などなど。

一見現実から切り離されているかのようなおとぎ話の世界なのに、
ついその先を見てしまうから、心細い映像に感じてしまうのだろうか。
永遠の少年のように、まっすぐで澄んだ目で世界を見るテル(窪塚洋介)
アンバランスな心を抱え、自分を変えたいと願う水絵(小雪)
どちらも、ひとりだとうまく生きていけないけれど、ふたりならきっと寄り添っていける。
サリー(内藤剛志)の言葉どおり、この映画の中でふたりの時が幸せなまま流れるなら、どんなに幸せなことだろう。

できることなら、窪塚への先入観を捨てて、まっさらな心で観て欲しい。そのねじの緩んだ演技にあざとさを感じてしまったら終りかもしれないけれど。
テルの存在があるから、私は役者窪塚をいつまでも好きでいるんだと思う。

小説も、読みながら情景が広がる素晴らしい作品。
森淳一監督が脚本も原作も手がけているので、世界感が損なわれることも違和感を覚えることもない。
こちらもゼヒ!

同じ月を見ている

051218(2005日本/深作健太/劇場/★2)
10歳の時に出会った恋人・エミ(黒田メイサ)の心臓病を自らの手で治したいと医者の道へ進んだ鉄矢(窪塚洋介)
エミとの結婚を目前にしたある日、鉄矢のもとに、ドン(エディソン・チャン)が刑務所を脱走したという報せが入り、鉄矢は動揺する。
いつも一緒だった3人を引き裂いたのは7年前の山火事事件。その事故でエミは父を失い、その犯人としてドンは服役していた。

…参ったな。何を書いていいか分からんわ(笑)
純粋に映画として観るならこの映画の作りはお粗末だし、途中何度も萎えた。
場違いで仰々しい音楽にも、高らかに流れる主題歌にも脱力。
登場人物の心がしっかり描けていないがためもあって、ブツ切れなシーンが続き、2回目の山火事なんてCGのしょぼさも手伝って、おいコラっ!と苦笑い。
最後になっても監督が何を伝えたかったのか、さっぱり伝わってこない。
またそれを深く突き詰めよう、自分の想像力で補填しようとも思わない。
ただ、その脚本の見事な迷走ぶりで、号泣の(人によっては爆笑の)ラストが読めなかったのはすごいことなのかも(笑)
脚本・森淳一っていうので期待していたんだけれど。

まぁこうやって貶しながらも、不覚にも私は泣いたんだわ。
ええ。私、窪塚好きですから。そこんところよろしく。続きを読む

恋愛小説

(2004日本/森淳一/DVD/★2)
法学部に通う大学4年生の宏行は、相手の浮気が原因で恋人の美和と別れた。
ある日彼は、同じ大学に通う”通称透明人間“の聡史(玉木宏)から、自分の遺言書作りを依頼される。
たった独りで豪邸に住み自らを“死神”と呼ぶ聡史は、自分の周りの人間が次々と死んでしまうという過去と、瑞樹(小西真奈美)という女性との哀しい愛の物語を語り始める…。

WOWOW制作のドラマ。
この短編が収められている原作『対話篇』は、大好きな小説集。
それを森淳一監督が手がけるとなると、気にならない訳は無かったのだけれど、逆に怖くて今まで観ることができなかった。
やはりこれ、観なければ良かった。
純愛映画ブームを意識しすぎて、世界観が全く変わってしまったよ。
原作の、温度の低いざらついた文章から、ここまでウェットな世界が再構築されてしまったのかと思うと、脱力してしまう。
絵はいいのよ。
単発ドラマ向けとは思えない程美しくて、役者二人もイヤじゃない。
でも、「遺言書作るならさっさと公証人役場に行けよ」なんて思ってしまう余裕が私にはたっぷりあったんだ。悲しいことに。
やっぱり、原作ありきの映画は、鬼門だよね。

ハウルの動く城

051125この映画のことを再び書く日がくるなんて、人間って何が起こるかわからないよね。
去年のワースト3に入れたような気がするこの映画(笑)
DVDが出たから観たよ。英語版で。クリスチャン・ベイルの声で(笑)

いろんな意味で、イマジネーションが膨らんでしまって、いやはや参った参った(笑)
ハウルというキャラクターには日本人のあの方の声のほうが合っている気がするんだわ。いや、栗声がどうのの前に、アニメ向きなのは、断然こちら。

それがクリスチャン・ベイルの英語になると妙に人間くさくなって、血の通った声…といえば聞こえはいいけれど、フツウの男の声で、それがくすぐったいわけだよ。
なんだよ。あのため息、吐息、笑い声は(笑)
ズキュン★バキュン★だったわよ。←笑いながらだったけれど。

宮崎アニメは私の分からない高み(?)に上っていってしまい、もう、これ以上は追いかけてはいけないと観るたびに思うのだけれど、やっぱり諦めがつかないのか、観ては、がっくりということを繰り返している。

今回のDVDは私としてはかなり真剣に(いや、ストーリーと関係なく、笑いながら)見直したけれど、理解不能だった。結局、なにが言いたかったのかしら。戦争反対??ラブ&ピース??えぇ??

台無しだっ!!!

最近、夜中によく、『私の頭の中の消しゴム』のCMを観るんですけれど、

なんですか。あの歌は!!!

チロチロチロリロリーンローンの旋律(分かる人だけよろしく)の方が絶対いいのになぁ…。イェジンちゃん、また来日したりしないのかな?

私の頭の中の消しゴム

050914(2004韓国/イ・ジェハン/試写会/★4.5)
やっと観れた。予告編をぐるぐる繰り返しながら待っていた甲斐あって、映画の作り手の考える、さぁ微笑んで、さぁ泣いて、の波に、全てのっかってきた。映画のエキスを余すことなく享受して、最高に満ち足りた気分よ。

病気で記憶が消えていくだけではなく、この映画は、ふたりが出会って、ひとつ、ふたつと記憶を積み上げていくところを丁寧に描いている。
映画を観ながら、二人と一緒に記憶を蓄積していくから、愛する人の記憶から自分が消えてしまうというチョルスの気持ちに感情移入しやすかったのかもしれない。

この映画の題名からして、結論は誰でも大体想像はつく。
どこで映画のピリオドを打つかが非常に楽しみだったのだけれど、笑顔のなくならない終わり方が良かった。エンドロールにちょっとだけ流れる二人の幸せな場面を見たら、体の力ぬけて立ち上がれなくなった。続きを読む

ションヤンの酒家

(中国/フォ・ジェンチイ/劇場/★2.5)
ションヤンが華奢な肩を両手で抱えながら、求めているのは人並みの幸せ、ただそれだけ。

煙草の火をつけてくれる人を待つ。
待つ、待つ、いつまでも待つ。

その先にあるものが見えてこない。

人並み以上の容姿を持っていながら、一歩を踏み出さないその確信犯的不幸があの気だるいオーラを生み出す。
そして、人を惹きつけずにはいられない。
そんな強くて弱くて古風な1人の女の話。

映画から離れた話になるが、最近、映画の中の赤色に目をとめてしまう。
太陽の光を浴び、浮力を感じるラテンの赤。
しっとりとした空気の中で灯るアジアの赤。
同じ赤なのに、場所が変われば、撮る人が変わればまったく違う色に感じる不思議な色。

スカーレット・レター

(韓国/ピョン・ヒョク/劇場/★2)
いやはや、どえらい映画を観てしまった。食欲がうせる映画だった。
映画の世界と役者がモロシンクロしてしまう作品はしんどい。

私のお気に入りスポット、すっぱい香りのおじさんが点々と寝転がる街川崎のシネコンはレディースデイでも大体空いているので、ギリギリに映画館へ飛び込んだら、前から2番目の席しかなくて、見上げるように鑑賞するしかなかった。
後方からの観賞が好きな私にはそれだけでも、かなりぐるしかったのに、この内容だもの。

率直に言って、映画としては満足していない。
オチも大体予想できたし、それが明かされたところで、ぐぇぇと思うだけ。
俳優陣のギリギリの演技で持っているような映画。
でも、映画のSEXシーンでこんなに胸苦しくなったのは初めてだと思う。
本当に本当に惜しい女優を亡くした。
もしこの映画が報道のようにイ・ウンジュ氏の自殺の引き金になった原因のひとつだったとしたら、こうして観てあれこれ言うのは気が引けてしまうのだけれど。

帰りに人が居ないのに、ぐるぐるロープで覆われた『甘い人生』のスチール写真展を観た。
ビョンホン独占状態(笑)そうだったよ。来てたんだよなぁ。チネチッタに!

マッハ!

(タイ/プラッチャヤー・ピンゲーオ/WOWOW/★2)
ぬすまれた仏頭(オンバク)を取り返せ!
ワイヤーアクションなし、スタントマンなし。
体を張った映画だというのは宣伝どおりだが、肝心のお話は面白くない。
アクションシーンが途切れるととたんに退屈になってしまう。
てっきり笑いを取るのが目的の映画だとばかり思っていたけれど、バカ真面目に走り回ってたわね。トニー・ジャー。
その心意気はしっかり受け止めたよ。

最後の恋、初めての恋

(日本/当摩寿史/CS/★2)
恋人に裏切られたショックで半年ほどやさぐれていた早瀬(渡部篤郎)が中国でひとりの女性と出会い、ようやく止まっていた時間が緩やかに流れ始める。ただ、その女性は不治の病に冒されており、残された時間はあとわずかだった。

中国語、英語、日本語が飛び交う。
予想するとおりに話が進んでいってくれて、ある意味面白かった。
はい、そこで写真撮影!みたいな。まるで韓国のドラマや映画を10倍に希釈したような映画だった。
早瀬世捨て人モードからあっというまに恋愛モードにスイッチが入れ替わるので、共感もへったもないが、多分最後に狙った泣きどころのシーンも綺麗だったからまぁ、いいんじゃないかな。と投げやりに。

この映画は何よりタイトルがいい。

テッセラクト

050510(タイ・日・UK/オキサイド・バン/DVD/★2)
わっ。面白…くない(笑)
1次元は2次元の展開図。2次元は3次元の展開図。3次元は4次元の展開図なんていう4次元立方体の説明が最初にもっともらしく流れるのだが、そんな壮大な話じゃなくって、思いっきり肩透かし食らった感じ。

それも途中で投げ出せるようなツマらなさじゃなくて、最後の最後に「あれ、それでおわりかよ」っていうような、気持ちになるのだからなんか悔しい。

こま落ちのような映像や時間軸のブレ、止まったり動いたりする時計の針や停電などなど引っ張り方が思わせぶりで、気になってずるずる見せられてしまった。

この映画は内容よりジョナサン・リース=マイヤーズを楽しむ方向での観賞がいいな。たぶんきっと。
でも私は彼よりも、ウィット役の子に目がいった。どんな大人になるんだろうな。

純愛中毒

(韓国/パク・ヨンフン/WOWOW/★2)
題名からしておおよその展開は想像していたけれど、ああいうふうに終わってしまうとは。
無駄に長いベッドシーン(おもわず早送…)を縮めて、もうちょいなにか付け足してくれたほうが良かったのではないかと。

純愛とは、誰の誰に対する気持ちなのだろう。
ゆがんだ愛情を描いた映画は結構好きだ。

世界の中心で、愛をさけぶ

泣けませんでした…。
泣けるか泣けないかというその一点で観賞したのが良くなかったのか、「助けてください!」を心待ちにしすぎたのが良くなかったのか。
突っ込みどころ満載で、途中から笑いがこみ上げてきたよ…。
少なくとも私は、婚約している相手がオーストラリアに前彼女の遺灰を撒きに行くと言い出したら、かなりムカつくと思う。
思い出に浸るなら一人でやってほしいよな。

こんな感想じゃ社会現象にもなったこの映画に失礼だと思うので(笑)
原作読んだときの感想を貼っておきます。
私が好きだった言葉が映画ではサクじゃなくてアキが言ってたのが残念。

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ストーリそのものよりある言葉にココロが引き止められた小説。
「僕が生まれてきた世界はアキのいる世界だったんだ」続きを読む
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