2008年09月

2008年09月08日

 引っ越しで見つかった本。

 

異人たちの館 講談社文庫
折原 一著
税込価格: \920 (本体 : \876)
出版 : 講談社


 叙述トリックの巨匠、折原 一の代表作。謎解きを楽しむというより、騙されるのが楽しいタイプの俺。今回も気持ちよく騙された。

 作家志望の小松原淳が失踪した。母親は淳の伝奇を作ることを思いつき、ゴーストライターに執筆を依頼する。ゴーストライターを引き受けた島崎は文学賞を取りながら作家デビューを果たせないでいるが、淳の生涯をたどるうち、淳の周辺に謎めいた事件が頻発していたことを知る。さらに、淳の美貌の妹、ユキと恋に落ちるが……。

 折原の小説の面白さはミステリ的な趣向だけでなく、藤子不二雄、つのだじろうら、昭和の漫画家たちを彷彿とさせる、独特のユーモア感覚にあると思う。「赤い靴はいてた~」という有名なメロディに乗って次々に起こる怪事件も、どこかマンガ的というか、ユーモラスなのだ。

 ゆえに、つきつめて考えていくと「それってアリ?」と思うような、ちょっと強引な展開も、一貫した世界観のなかの出来事して楽しめる。そう、折原が書いているのは、大人の娯楽としてのミステリなのだ。

 というわけで、夏バテの後遺症(?)でダルい昨今にはピッタリのエンターテインメント。

(23:28)