2010年09月15日

第1回 アーモンドブレーンって何?

人のココロは脳内の「アーモンドブレーン」がその実体です
       

人のココロの実体は、脳内にあります。そこにある扁桃体が、好き嫌いを瞬時に判定することが分かっています。
従来から信じられてきた、胸のハートの実体は、実際はココロではなく、脳の扁桃体によって興奮させられる、心臓ポンプでした。

 この扁桃体は、情動を支配する大脳辺縁系に属していて、アーモンド形状をしています。長さ2㎝弱の神経器官です。存在する場所としては、記憶をつかさどっている海馬の先に、左右一つずつついています。

学名の扁桃体では、喉の扁桃腺と混同されて、親しみもわいてこないので、学名のラテン原語amygdalaがアーモンドそのものであることから、私は「アーモンドブレーン」と名付けました。

これから、毎回、このココロの実体であるアーモンドブレーンの不思議に付いて書いていきます。

 人は元来、感情の生き物です。「感動や恐怖」といった心の動きについては、好きや嫌いの判定をアーモンドブレーンが行っています。その後の判定結果に沿った感情の発生もアーモンドブレーンの重要な働きです。

五感の感覚器官から強い外部刺激を受けると、アーモンドブレーン内にある過去の感情記憶と瞬時に照合を行っています。それに基づいて、無意識レベルの中で「好き、嫌い」、「恐怖・危険・回避」など、自動反応的に素早い判定を行います。

判定結果に沿って感情を脳内に生じさせます。それと同時に、体中に直接、必要な対応行動を取るよう指令まで出してしまいます。

こうした「好きと嫌い」の感情発生は、アーモンドブレーンが外部情報を判定した後に分泌を指令している、二つの脳内ホルモン(ドーパミンとノルアドレナリン)の相対比率によって決まっています。ドーパミンの比率が高いと「大好き」に、ノルアドレナリンの比率が高いと「大嫌い」と感じられます。

何万年にもわたって生き延びてきた人類の習性として、外部刺激からストレスを感じた瞬間、アーモンドブレーンは真っ先に「危機判定」を行います。ちょうど、入国管理の関門のようにセキュリティ機能を担っているのです。

昔は、生きた脳を解剖して、その機能を見極めるためには、小動物実験に頼るしかありませんでした。そういった小動物の基本感情は、日常的に「生きるか死ぬか」に遭遇するため、恐怖・不安がほとんどを占めています。そのことから、アーモンドブレーンは「恐怖の脳」として長く知られてきました。

実際にも、PSTD(心的外傷後ストレス障害)や振り込め詐欺の発生には、アーモンドブレーンが主体的にかかわっています。

「恐怖の脳」として知られたアーモンドブレーンでしたが、近年、fMRI(機能的磁気共鳴画像)装置によって、脳の中心部分が可視化できるようになってから、アーモンドブレーンは「喜びの脳」として機能を持っていることが確認できました。

感動も、アーモンドブレーンの指令によってドーパミンが大量に分泌されることによって起きる、感情の爆発現象です。

それと、人のココロを突き動かす「情動エンジン」のアクセルの役割をアーモンドブレーンが担っています。そのため、人の行動に対して、非常に大きな影響力が与えることになります。

注目すべき点は、アーモンドブレーンの判定プロセスが、すべて無意識レベルの中で行われることです。

これに対して、従来から重視されている理性脳の役割は、自動車のハンドルとブレーキといった、補助的な役割に限られていることが分かってきました。

そのことは、人が認識できる意識内容については、アーモンドブレーンが発生させた感情を、後付けで理性脳が判断して、言葉を付ける役割を果たしているといえます。

例えば、異性と出会って胸がドキドキすると、理性脳はドキドキしている感情から、「この人のことが好きなのかもしれない」と後付けに判断しているのです。

振り返って見ても、現代人は、常に「情と理」といった、相反する考えの狭間で、ストレスを感じながら生きています。

そうした中、「理に適わない」と思われることは、常に軽視されがちです。特に男性では、建前の部分を大切にして、できる限り「情」を表面に表わさないように務めています。


 今日の社会に、「元来、人は感情の生き物だったのですよ」というメッセージを送って人間性の回復を図って行かなければなりません。そうしないと、現代人の心に横たっている「理性を前面に出して、利口に振舞わなければいけない」とした、自縛から決別できません。

リーマン・ショックが起きて以降、多くの人々の心の中には、将来に対する不安が生じました。それが、社会全体に強いストレスとなり、社会に沈滞ムードが漂い、若者からは活気を奪っています。


 問題になっている非婚傾向を見ても、男女の恋愛とは本来、「情」主体のはずであったものに、強い理性判断が持ち込まれています。そうなれば、男女間に熱い感情は生まれにくいのも当然です。

男女が恋に落ちること自体、非合理なことだからです。男女が恋に落ちると、情動脳優位な状態になります。気持ちは熱く高まり、興奮状態におかれます。そうした、「情動脳支配の元では、相手への評価が極端に甘くなります」。そうした中で、高揚感が起きてきて、将来への不安が薄れているため、結婚する決意が付くのです。

このように、人が本来備えている情動脳優位の生き方は、理性脳優位のように自分を縛ることもなく、「自分の好きなように生きる」、そうした生き方を見つけることができます。

 

従来からの生き方の常識であり、人々に不幸感を抱かせてきた理性脳優位の生き方については、改めて見直すべきです。

この考えを加速させるために、「情動脳優位の生き方」について、少しのぞいてみましょう。

世界の中には、ラテン系の国があって、既に情動脳優位の生き方をする地域がたくさん存在しています。

日本女性の本音を聞くと、一番好まれる外国としては、イタリアの名前があがってきます。女性から好まれる理由は、イタリアが持っている情熱的なイメージです。

この、情動脳優位の世界は、もっと身近なところから実感できます。

それは理性脳の発達が進んでいない、6歳以下の幼児の感情パターンを見れば、「大好き」「大嫌い」「つまらない」の三つのパターンしか存在していません
 もし、許されるのなら、自分の気持ちに正直に生きるように変えれば、その段階から自分の人生がもっと幸せに感じられるようになります。これを一度、試してみられてはいかがでしょうか。

  
Posted by almondbrain at 16:16Comments(0)TrackBack(0)