2005年06月02日

あるホテル  その2

そのホテルも有名だった。

名前が知られているし、また、別の意味で……。

ワイキキの西のほう、昼も夜も賑やかで明るくて、いかにもハワイといった場所に位置する。

いつだったか、友人が言った。「あそこは出るんで有名なんですよ」
でも私は「へえ〜」と言って特に関心は示さなかった。そしてそんなことは忘れてしまった。

ところが、姉夫婦がハワイ旅行に行ってそのホテルに泊まったのだ。もちろん何も、事件も恐いことも起こらなかったが、姉が言うには、ラナイ(バルコニー)に出ると、ものすごい恐怖感があって、ふう〜っと下に落ちそうな感覚に襲われるそうな。

姉も私も霊感などない。単なる偶然か、ただ設計が悪かっただけなのかもしれない。けれども、そのとき思い出したのだ。

「ああ、そう言えば! あそこは出るって有名らしいよ」

妙な感覚を覚えるところというのは、必ずそういう話がつきまとう。

例えば、ワイキキからアラワイ運河をはさんで山側に見える、ある大きなコンドミニアムは、前から嫌な印象があった。

ものすごく大きくて立派で、セキュリティーも完備しているし申し分ないのだけれど、とてもここに住みたいと思えないのだ。妙に寒い感じがするから。これは私だけなんだろうか、と思っていたが別に友人が住んでいるわけでもなく、これもまた全然気にしなかった。

ところがこれもまた後日知ったところによると「出る」ので有名らしい。

もっとも「見える人」でなければ「出る人」にも遭遇することはないし心配はいらないのだが、それにしても、全く普通の人間にもわかるこの妙な感じというのは、どうして漂ってしまうものなのだろう。  
Posted by alohanoyami at 20:31Comments(0)TrackBack(0)

あるホテル その1

そのホテルは、おそらく日本人のよく知っているホテルだ。事実パックツアーでよく目にするそこそこいいホテルで、トロリーバスも玄関に停まる。ちょっと中心部からは離れているが。

初めてそのホテルに行ったとき、駐車場から入っていったのだが、ものすごい閉塞感があった。嫌な感じ、不気味な感じ……。他のホテルの駐車場とたいして変わらないのに。

けれども、さして気にもとめなかった。ただの気のせいだろうと思ったからだ。私は霊感など強くないし。

ところがしばらくたってから聞いたところによると、そのホテルが建つ前はかつて病院だったかお墓だったかしたらしい。

日本のように土地を浄めるということはするのだろうか?

いずれにせよ、出る、らしい。  
Posted by alohanoyami at 20:20Comments(0)TrackBack(0)

飛び下りが絶えない

それはワイキキかもしれない。

友人の旦那さまから聞いた話だ。当時彼はホテルでバイトをしていた。
彼はかつて日本でAET(中学高校などで短期間教えるネイティブの先生)をしていたので日本語がペラペラだった。事実初めて会ったとき、コンドのインターフォン越しに聞いた声に、てっきり日本人だと思ったくらいだから。

彼いわく、つい先日働いているホテルで飛び下りがあったそうだ。
自殺かどうか、死人に口なしなのでわからないが、どう考えても事故の可能性は低い。だが彼が驚いていたのはそのことではなく、亡くなった女の子と同室だった人たちの行動だった。
彼女たちは日本人。どうやら社員旅行で来ていたらしい。女の子たち4〜5人が一つの部屋に泊まっていた。前の晩、彼はその部屋から言い争う声を聞いたという。
そして事件はその翌朝に起こった。

ホテルの対応は早い。
高層の階から飛び下りた体は一階のプールサイドに落ち、人に当らなかったのが幸いだったが、原形をとどめない体はすぐさま運ばれ、プールサイドは何事もなかったかのように処理されたという。

慣れている、ということか。

彼が驚いていたのは、同室の女の子たちがその日、警察から事情を聞かれたあと、何事もなかったかのように楽しそうな笑い声でみんな買い物に出かけたことだった。

なぜ、友人が死んだのに笑顔でいられるのか? そこに人間らしいショックや悲しみはないのか? しかも(おそらく)自殺。しかも、前日の言い争いは???
もちろん彼が事の真相を知る由もない。

彼は飛び下り自殺そのものには驚いていない。

なぜなら一年に1〜2件、どこのホテルにもあることだから。

  
Posted by alohanoyami at 14:17Comments(0)TrackBack(0)