2025年01月06日
(301)対面効果
◎ 時間、距離、密度
コンサルティングの現場や身近なトピックスから
マーケティングのヒントをお届けする『マーケティング小咄』。
今回のテーマは、対面効果。
昨年を振り返ると、懐かしい方々との再会が多く
しかも、公私にわたり直接的な効果が得られた年でした。
私的な部分でいえば、高校の同窓会に参加しました。
そこで45年ぶりの再会を果たした旧友の一人。
高校当時、共にバンドを組んでギターを演奏していました。
彼は、今も別の旧友と共に活動を続けていると言います。
私自身も6年前にギターを再開し、バンド活動をしている
ことから話が進み、半年後に共演を果たしました。
年末には大学の仲間と、これも卒業以来40余年ぶりの再会。
そのうちの一人もバンド活動を続けていました。
しかも、メンバーの一人が私のバンドのメンバーである
という偶然に、驚きを禁じ得ませんでした。
何れも、外見は変われども会って話せば一瞬にして時を超え
あたかも昨日別れたばかりのような距離感となります。
ビジネスにおいても、ある新規事業案件に関連し、
20年以上ブランクのある方にコンタクトしてみました。
今も同じ会社にいらっしゃるのか、覚えていてくれるだろうか。
不安を感じつつ電話してみると、受話器越しに懐かしい声が。
初めは怪訝そうでしたが、想い出された途端に歓喜の声に。
早速お会いすることになりました。
かつて某プロジェクトで苦楽を共にした仲です。
一献傾けつつ旧交を温めると、時間と距離は一気に短縮します。
手掛けている案件を相談すれば、単なる情報提供にとどまらず
プロジェクトに共同参画いただけることになりました。
これは特に大きな案件でしたが、同様の話は毎年のようにあります。
メールや電話ではなく、会って話せば時間が大幅に圧縮されます。
特に新規事業において、このスピード感は極めて重要です。
更に、嘗てと同じ密度での会話ができるので加速度的に進展します。
◎ 労を惜しむなかれ、結果を惜しむべし
対面効果は、何も旧知の方との再会に留まりません。
むしろ、初対面でこそ有効なのです。
流行病の影響でリモートワーク化が進み
なるべくオンライン会議で済ませようという向きが増えています。
新規のご相談もオンラインでというご要望をされる方が
いらっしゃいますが、基本的にお断りしています。
スポットのご相談は、概ね90分から120分です。
この間に、相手のご要望を理解しつつアドバイスするのです。
ご相談内容自体が課題の本質とずれている場合も多々あります。
それらを明確にして、有効な手立てを講じる必要があります。
初対面の方を相手に、オンラインで実現できるとは思えません。
相手がどういう方なのか、理解することすら難しいでしょう。
仮に実施しても、相手の相談を是として、教科書的な回答を
するより道はありません。それならAIで十分ですね。
本質的課題を見極め、どう考え、どう行動すべきか。
それを明らかにすることが目的のはずです。
オンラインで時間を効率化しているつもりかもしれませんが
求める結果が得られぬならば、費用も時間も無駄になります。
そのように説明しているので
皆さん、納得されて対面でのご相談を望まれるのです。
対面効果は、セミナーでも同じです。
実際に成果を上げられる方の多くは会場受講されています。
単に知識やノウハウ提供型のセミナーであれば
本を読むのと同様、オンラインでも差し支えないでしょう。
ワークショップ形式や、現場での成果を目的とした実践に
即したセミナーであれば、対面効果が実感できるはずです。
今日の一言: 会ってみて 目を見て話し 成果あり
= セミナーのご案内 =
『新規事業のトリセツ2025』
~ 新規事業を加速させ、成功に導く道標 ~
開催日時: 2025年1月16日(木) 13:00~17:00
会 場: SSKセミナールーム(東京・新橋)
※WEB受講あり
詳細・お申込みはこちら:
https://www.ssk21.co.jp/S0000103.php?gpage=25049
※新規事業を実践して、成功させるためのセミナーです。
WEB受講も可能ですが、会場でのご受講を強くお勧めします。
新規事業のご相談、セミナー・執筆のご依頼はお気軽にどうぞ。
AlphaMarketing Corporation
まさか繋がっていたとは・・・。
2024年12月06日
(300)やはり大切なこと
◎ 第300回、722本目
コンサルティングの現場や身近なトピックスから
マーケティングのヒントをお届けする『マーケティング小咄』。
今回のテーマは、一貫性。
本ブログ、マーケティング小咄としての本編が
今回で300回を迎えました。
2010年9月にスタートして14年余、番外編や短期集中
連載企画などの特別版も含めれば722本目の記事。
新規事業やマーケティングにまつわるエピソードを
気軽に読みながら実務にお役立ていただきたい。
そんな思いでスタートしました。扱うテーマは様々ながら
意識しているのは一貫性、この思いは今も変わりません。
原稿を書き溜めることもなく、その時々に
思いつくまま原稿を書き進めています。
基になっているのは、コンサルタントとしての
日々の実体験ですから、ブレることがないのです。
特に重要なテーマについては、手を変え、品を変えて
繰り返しお伝えしています。
過去記事を振り返ることもないので、もしかしたら
重複する内容もあるかもしれません。
それだけ重要度の高いことであれば
それもまたよしと考えています。
◎ 堅固な土台と一貫性
この一貫性、新規事業やマーケティング戦略において
極めて重要ですが、ともすれば様々な段階で失われがちです。
例えば、女性向けのサービスを展開しようとしていたのに
既存の市場においては男性が圧倒的に多い。
本来であれば、そうした市場で女性向けに特化することが
特徴あるサービスであるのに、男性客も意識した施策が混在。
折角の強みが失われるばかりか、男性にとっても女性にとっても
中途半端なサービスになって誰からも支持されない。
これからはSNSだといって、自社サービス利用者が
使ってもいない媒体でマーケティング施策を行い空回り。
ご相談を受けて会議に同席したり、経緯を伺ったりすると
そんな状況があちらこちらで散見されます。
何を目的として、誰に向けて何をするのか。
これをきっちり固めることが第一歩です。
これを土台として一貫性のある計画を立てることが重要です。
土台から外れるものは排除しなければなりません。
いわば建築における基礎工事です。
土台に合わぬ上物を建てれば、倒壊の恐れがあります。
上物に当たるのは、どうやってという方法論であったり
告知や販売促進の手段、売り場や媒体など様々な要素です。
土台さえしっかりしていれば上物は建て替え可能です。
さりとて、後から土台を差し替えることはできません。
頓挫する新規事業や、上手く行かなかったマーケティング
施策の多くは一貫性の欠如に起因しています。
こんな話題も、きっと繰り返し書いているのだろうなと思いつつ
やはり重要なので、改めて記しました。
恐らく、本稿が本年最後の記事となります。
2024年も、拙稿をご愛読いただきありがとうございました。
激動が予測される、来る2025年が
皆様にとって飛躍の年となりますよう祈念いたします。
今日の一言: 目指すべし 堅固な土台と 一貫性
= セミナーのご案内 =
『新規事業のトリセツ2025』
~ 新規事業を加速させ、成功に導く道標 ~
開催日時: 2025年1月16日(木) 13:00~17:00
会 場: SSKセミナールーム(東京・新橋)
※WEB受講あり
詳細・お申込みはこちら:
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AlphaMarketing Corporation
土台あっての・・・。
2024年11月05日
(299)一期一会
◎ スマホ依存症?!
コンサルティングの現場や身近なトピックスから
マーケティングのヒントをお届けする『マーケティング小咄』。
今回のテーマは、集中力。
デスクワーク、会議、移動、食事、トイレ果ては就寝時まで
スマホを手放せない方をよく見かけます。
会議中、スマホをいじって話題の案件について調べ
得意気に解説を始める輩。
本人は機転を利かせたつもりかもしれませんが
そんな暇があったら会議に集中して自身の頭を使うべし。
初対面の相手との面談に際し、名刺交換の後
当たり前のようにテーブルにスマホを置く輩。
着信があれば「ちょっと失礼」といって
通話を始めるつもりなのでしょうか。
相手が目上であれ目下であれ、得意先であれ
仕入れ先であれ、これ以上の非礼はありません。
メールや電話、最近ではWEB会議などが当たり前の時代
わざわざ時と場所を合わせて対面しているのです。
お互いの時間を無駄にせぬため、その場に集中すべきです。
余分なものは排除して、環境を整えるべきところです。
そこにスマホが置かれるというのは、そちらの方が優先と
言っているのと同じことと認識すべきです。
スティーブ・ジョブズは、その中毒性から息子のスマホ使用を
制限したという記事を目にしたことがあります。
真偽のほどは定かではありませんが、問題はそこではありません。
スマホを手放すことに、恐れに似た抵抗感を抱くことこそ問題です。
筆者の場合、初対面の相手がテーブルにスマホを置いたら
残念ながら、共に仕事のできる相手とは見做しません。
集中力の欠如に加え、思考力も鈍っていると思われるからです。
対面の場は集中して考えることが求められます。
然るにスマホを取り出すという行為は、場への集中を拒み
考えることを自ら放棄したと見做さざるを得ないのです。
たとえスマホメーカーの方であっても、販売会社の方であっても
筆者の知る限り、有能な方は決してスマホを取り出しません。
◎ 自ら考える
似たような場面がセミナーでも見受けられます。
着席するやPCを取り出し、終始カチャカチャと入力を続ける。
セミナーでの教えに基づき、自身の構想を描き
何やら形にしているのだろうか。
初めの頃は、後でどんな質問が来るのか
ワクワクしながら眺めていたものです。
ところが、そういう方から建設的な質問はついぞ聞かれず
このように理解したが、間違いないですかというもの。
まるで高校の授業の延長のようであり、或いは大学でも
こうだったのかも知れないと思わせるレベル。
きっと有名大学を出て著名企業に就職されたのだろうに。
情報提供型のセミナーならそれでよいのかもしれません。
とはいえ、あくまでも正しく理解されていることが前提です。
集中して聴いていないから、それすら覚束ないのです。
筆者のセミナーは、聞き流して知識をため込むのではなく
実際に考え、自社の新規事業を作り上げる実践スタイル。
先ず集中して聴き、自ら頭を働かせて考えることが前提です。
アイデアや考え方に対するアドバイスは提供します。
だからこそ、数々の成果に結びついているのです。
PC第一で、聴くことも考えることも疎かでは本末転倒です。
面談も会議もセミナーも一期一会の真剣勝負。必要なのは
PCやスマホではなく、健康な身体と明晰な頭脳です。
筆者の新人時代、会議に際し上司から言われた言葉です。
今も変わらぬ金言と言えましょう。
今日の一言: 健全な 心と身体 全集中!
新規事業のご相談、セミナー・執筆のご依頼はお気軽にどうぞ。
AlphaMarketing Corporation
一期一会で臨むべし!
2024年10月06日
(298)迷走回避の処方箋
◎ こんなはずでは・・・
コンサルティングの現場や身近なトピックスから
マーケティングのヒントをお届けする『マーケティング小咄』。
今回のテーマは、新規事業の進め方。
立ち上げた新規事業が思うように進まず迷走状態に陥る。
このようなご相談は少なくありません。
事業が計画通り進んでいないとの焦燥感から
プランナーや実行部隊に不満を募らせる経営陣。
一方、実務の現場では、任せると言っておきながら
些細なことまで口を挟む経営陣に不満を抱きます。
直近の状況だけを見て刹那的判断を下し
場当たり的な指示を下す経営陣。
上からの指示に抗えず、不承不承ながら
時には面従腹背の現場。
当然ながら良い結果は望むべくもなく
互いの不信感は増幅するばかりです。
場当たり的な対応に終始した結果迷走した結果
時には撤退すらままならない状況に陥ります。
ゼロからスタートする新規事業において
現場と経営陣の信頼関係は不可欠です。
そのためには、予め事業の進捗状況を判断するための
指標を共通認識としておく必要があります。
◎ 指標と仕組みとマイルストーン
プランナーが事業の計画段階で必ず為すべきことは
進捗状況を測るための指標を明確化しておくことです。
指標とは、売上や利益の基となる構成要素です。
事業により異なりますが、顧客数や代理店数。
市場シェアや反応率、会員数や購買率など
事業成功の為に必須の項目を抽出します。
抽象的なものではなく、数値化して客観的判断が
可能でなければなりません。
次にそのデータを随時取得できる仕組みを作ります。
ITシステムだけでなく、アナログな手法でも構いません。
事業がスタートしてから仕組みを作る為には数倍の
負担を要するので、予め組み入れることが重要です。
その指標に基づき計画を立て、進捗確認します。
経営陣との確認すり合わせの時期も決めておきます。
例えば6ヶ月毎に進捗確認のマイルストーンを設け
最長3年で結果が出せぬ時には撤退を検討するなど。
もちろん、現場では常時状況を確認しながら
必要に応じて微修正を加えて行きます。
売上数字だけを見て一喜一憂する経営陣には
指標を基に状況を説明し理解を求めます。
日々の細かな変更は現場で完結して
マイルストーンごとに経営陣とのすり合わせを図る。
新規事業の計画は仮説の積み重ねに過ぎません。
現場では「こんなはずでは」の連続です。
些細なことまで経営陣を巻き込めば混乱は必須です。
成功の為には、変化と上手く付き合う術も重要です。
今日の一言: 信頼の 基は指標の 明確化
新規事業のご相談、セミナー・執筆のご依頼はお気軽にどうぞ。
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信頼関係があってこそ。
2024年09月06日
マーケティング小咄 (297)伝承
◎ 予期せぬ邂逅
コンサルティングの現場や身近なトピックスから
マーケティングのヒントをお届けする『マーケティング小咄』。
今回のテーマは、新規事業に想うこと。
筆者は年に数回、新規事業をテーマとしたセミナーを
開催しており、会場へは虎ノ門駅から向かいます。
蕎麦好きなので、途上にある老舗でもりを1枚
手繰って行くのが習わしとなっています。
ところが、先般ネット検索をしていた折
たまたま「虎ノ門 元禄」という名が目に入りました。
藪や更科などは比べるべくもありませんが
それほど珍しい名前でもありません。
それでも気になり、先日のセミナーの折
いつもの老舗ではなく、その店に足を運びました。
もし期待外れであれば、帰路にいつもの老舗に
立ち寄れば良いという程度の気軽さです。
オフィス街にある雑居ビルの地下。開店間もない
店内に客はなく、昼時の嵐の前の静寂でしょうか。
けれども、閑散とした店内に弛緩した風はなく
凛とした佇まいに背筋が伸びる思いです。
もりそばと田舎そばを相盛りにした二色せいろを注文し
良く冷えたそば茶を喫しつつ、待つことしばし。
やって来た蕎麦は、見るからに角が立ち
余分な水分がきれいに拭われて美しい。
きちんと水切りをし、必要に応じて拭き取る。
このひと手間を惜しむ店のなんと多いことか。
有名な老舗とて、蒸籠に水が溜まっていることも
しばしば目にします。何とも興ざめなことです。
添えられた薬味は、芯を除いて細かく刻まれた白ネギと
鮫皮でおしたと思しき、きめ細やかな山葵。
そして、手ぬぐいできっちり絞られた辛み大根。
何れも汁が薄まらぬための配慮でしょう。
一つひとつの丁寧な仕事ぶりに、元禄という
店名だけを頼りに伺ったのは正解だったとの思いでした。
◎ 伝承と途絶
少量のそばを取り、濃い目の汁を少しつけ口に運びます。
まず、冷水で絞められたそばの香りが拡がります。
出汁の効いた汁の旨味、心地よい喉越しが追いかけます。
ここに至り、期待は確信に変わりました。
薫り高い山葵を添えて、細切りのそばを一気に手繰ると
滋味豊かな田舎そばは辛み大根と共にいただきます。
余分な水気はないので、そば湯まで美味しくいただけます。
四半世紀の時を経て、再会した喜びでした。
会計の折、「こちらは佐野の元禄さん
所縁のお店でしょうか」と伺ってみました。
すると女将は、ちょっと驚いた表情をされた後
「主人は弟弟子です」と仰いました。
佐野の店を最後に訪れて以来、既に25年の歳月が経過。
恐らく先代の頃。当代の弟弟子ということでしょう。
かつて新ブランドの立ち上げに際し、毎月のように
栃木県の佐野を訪れていた時期がありました。
その際、店の佇まいに惹かれてふらりと入った
街道沿いの蕎麦店が元禄さんでした。
丁寧な仕事ぶりと、居心地の良い空間。もちろん
蕎麦は絶品とくれば佐野訪問の何よりの楽しみです。
東京でもめったにお目にかかれぬ歴とした江戸前のそば切り。
鄙にも稀なるといっては失礼ながら、まさにお宝の発掘でした。
その後、機会がなくなり佐野を訪れることなく四半世紀。
名前だけを頼りに訪れた店で、懐かしい味に出会えるとは。
伝統の技と、丁寧な仕事ぶりが時と処を越えて
確かに承け継がれているのです。
店の佇まい、亭主の心遣い、静かな情熱、それに
裏打ちされた確かな味。歳月を超え、記憶が蘇ります。
同時に、当時奔走した日々の活動も、どう考え
どのように行動したかが克明に思い起こされます。
これまで携わってきた数々の事業には、今なお変わらず
承け継がれているものも、発展を続けるものもあります。
一方で、長い年月の間に変容するものや
消えて行ったものもあります。
その何れもが自身の財産であり、ゼロから作り上げた
日々の記憶は、筆者の誇りであり、喜びです。
新規事業に携わってきた日々、関わってきた人々。
全てに感謝、ありがとうございます。
そんな思いを抱かせてくれた虎ノ門の名店。
また伺います。
今日の一言: 1枚の
蕎麦に歴史が 刻まれる
新規事業のご相談、セミナー・執筆のご依頼はお気軽にどうぞ。
AlphaMarketing Corporation
丁寧な仕事ぶりがいたるところに。