2011年06月

2011年06月30日

(90) お客様に伝えられますか?

◎ 製品性能と商品価値

 

コンサルティングの現場や身近なトピックスからマーケティングのヒントをお届けする

『マーケティング小咄』。今回のテーマは『商品価値』。

 

先日、ある消臭除菌剤メーカーの社長からご相談いただきました。

「当社製品は大手有名企業A社やB社の製品より明らかに優れているのです」と。

 

「しかしながら、A社やB社のようネームバリューはありませんし

大きな広告費をかけることもできません。何とかならないでしょうか」。

 

A社やB社の製品に比べ優れている点を、具体的にご説明いただけますか。

「性能分析表を見てください。数値的に、有効性は明らかなのです」と自信満々。

 

なるほど、確かにこのグラフを見れば、効果はありそうですね。

「そうでしょう。だから、広告だけで売れている商品に負けるはずはないのです」と。

 

「この優位性を消費者に伝えることができれば

50%以上を占める両社のシェアを奪うことができるはずです」と意気軒高。

 

ちょっと待ってください。果たしてそうでしょうか。

確かに分析データを比較すれば、性能は勝っているかもしれません。

 

でもそれはあくまでも製品性能の話であって

『商品価値』が優れているというわけではないのですよ。

 

こう指摘すると、きょとんとしている社長。

 


◎ 伝わらなければ意味は無い

 

性能を数値で比較できれば、商品価値を高める要素の一つにはなるでしょう。

でも、商品価値を決めるのは消費者であり、その基準は千差万別です。

 

会社の知名度や、広告による認知度もまた商品価値の一部なのです。

性能だけで覆すためには、圧倒的な技術差や目に見える効能が必要です。

 

「使用テストの結果では、皆さん当社製品の方が効くと仰っています」と

やや不満顔の社長。「だから使ってさえもらえば・・・」。

 

何人の方に、どんなテストをされたのでしょうか。身内や知人に、性能の高い

新製品を開発したから試して欲しいといって、正確なデータが得られますか。

 

もともと消臭効果の判定は人の嗅覚が頼りであり、基準が曖昧で

臭気判定士という専門職でさえ判断は難しいものなのですよ。

 

仮に消臭効果が10%アップしたとして、それを判定できる人は皆無でしょう。

臭いも、菌やウィルスも目に見えません。

 

むしろ、効果を視覚的に演出するために、反応することで色が変わったり

空間の除菌を表現するために煙を発生させる工夫をしてみてはいかがでしょうか。

 

例え話として、こうお話しすると、「そんなことは効果とは何の関わりもないですよ。

そんなムダな開発はできません」と憤慨気味。

 

どうやら話の意味をご理解戴けていないようです。

研究開発出身の社長に多いのが、自社製品が一番という思い込み型。

 

優れた製品を作るのは自己満足。お客様の視点で商品価値を高めることを

考えるのがマーケティングであり、経営者の役割です。

 


今日の一言: 優位性、伝わらなければ商機無し



★ 商品価値を高めるマーケティング戦略は、ご相談ください。
  
Alpha Marketing Corporation


alpha_marketing at 12:08|PermalinkComments(2)TrackBack(0) マーケティング 

2011年06月27日

(番外) 星2つです!

週末は気軽に、ワイン&グルメ。
ワイン選びや、美味しい料理のセレクトはマーケティングに通じます。

お手軽で美味しいフレンチビストロの代表格だったル・マンジュ・トゥ
今やミシュラン2つ星に輝く名店。変わらぬ味と、谷シェフの気さくなお人柄が魅力です。

そんなシェフのお勧めワインとして紹介されていたのがBaron De Lestac。
スーパーのワイン売り場で見かけたので買ってみました。

BaronDeLestac2


合わせるのは我が家の定番の一つ、鶏モモ肉のソテー。
以前、谷シェフがテレビで実演していた方法で。

塩を振った鶏モモ肉を、皮目を下にしてアロゼ(焼き油をかける)しながら
フライパンでじっくりと焼いて行くだけのシンプル料理。

それ自体、ごく一般的な調理法ですが、シェフが紹介していたのは
予め肉に塩を振って常温に戻すこと。

それに、焼いた肉を皿の上に取って、充分に休ませること。

そして、ここが肝ですが、休ませる際に出た肉汁に同量のエクストラバージン
オリーブオイルを混ぜ合わせるだけで、絶品のソースになるということ。

本当はいろいろと解説をされていましたが、思い付くままのテキトー料理が
信条ですので、この2つのポイントだけを採用させて戴いております。

こうして焼きあがったチキンソテー、付け合わせは若いグリーンアスパラの素揚げ。
以前、同店で初めて戴いたワイルドアスパラガスを想い出しました。

パリパリの皮と、柔らかくジューシーなお肉。そして絶品ソース。
決して高級な素材でなくとも、簡単で充分美味しく戴ける一品です。

さてワインのお味はというと、たっぷりの果実味と程良いタンニンが心地よい
正統派ボルドーの余裕という感じでしょうか。

実は、少し足りなくなって、買い置きのチリカベを飲んだのですが
残念ながら全くの位負けでした。

コストパフォーマンスを考えれば、非常に満足度の高いこのワイン。
でも、谷シェフのオススメがなければ気付かず、選ぶことは無かったかもしれません。

その道のオーソリティによる権威付け(ハロー効果)により、商品価値を高めたり
イメージを高める。まさにその成功事例と言えるでしょう。

こちらもシンプルかつオーソドックスなマーケティング手法ですが
組み合わせと展開方法次第で大きな効果が期待できます。


alpha_marketing at 03:21|PermalinkComments(0)TrackBack(0) ワイン&グルメ 

2011年06月20日

(89) 中小企業サバイバル 第5回

◎ 新しい価値創造

 

コンサルティングの現場や身近なトピックスからマーケティングのヒントをお届けする

『マーケティング小咄』。今回のテーマは復興への道筋。

 

前回まで、震災を経て消費者の価値基準がどう変化したのか。

それにどう対応すべきなのかという、考え方を述べてきました。

 

今、消費者が求めていることを知り、それに応えて行くこと。その一つひとつが

復興に向けての道筋になるでしょう。いくつかの例を見て行きましょう。

 

新しい価値基準の下では、既存商品に新たな価値が見出されることがあります。

分かり易い例ではエコロジー関連の商品やサービスです。

 

割高だった再生紙利用や植林事業などへの協賛。効果が見えにくかったものが

環境への貢献が広く消費者に理解され、共感を得られるようになりました。

 

節電対策としてLED照明や、省エネ家電製品などが人気です。

その一方で、扇風機や蚊帳といったレトロな製品も、再び脚光を浴びています。

 

デザインや機能など新しい付加価値が加えられ、ヒット商品も生まれています。

 

通信手段として、ツイッターなどの携帯電話を使った機能が注目される一方

情報メディアとしてラジオも見直されています。

 

非常時の足として自転車に人気が集まり、災害時の避難場所や帰宅経路に係る

様々な製品やサービスが登場しています。

 

水、自家発電装置、食品の備蓄、簡易トイレなど、防災対策や安全に係る製品

に対しては敏感であり、消費者は積極的に情報収集しています。

 


◎ 何を求められているのか、どう提供するのか

 

では、生活必需品以外の所謂贅沢品や、不用不急の製品は

売れなくなってしまったのでしょうか。

 

そんなことはありません。誰もが経験したことの無い状況下で為す術を見失い

誰がいったか「消費自粛」などという言葉に惑わされ、混乱しただけです。

 

消費者の潜在的な購買意欲は変わっていません。ただし、いつの場合もそうですが

消費行動には必ず動機付けが必要であり、今に相応しい提案は不可欠です。

 

節電対策による時短営業や定休日の導入、店内照明の減光なども
企業としてのポリシーを明示することで、お客様の理解や共感を喚起できます。

 

高めに設定したエアコンの温度も、アロマによる冷感効果を利用して

体感温度を下げる工夫もできるでしょう。

 

消費者が何を求め、何に共感するのか。しっかりと見極める必要があります。

 

被災地の復興支援は、何も義援金やボランティア、物資提供ばかりではありません。

東北への旅行を奨励して、現地の観光産業活性化を図ることもできます。

 

被災地区の物産を仕入れたり、現地企業との取引を通じた支援もできます。

 

被災地においては多くの方が職を失っており、新規の工場進出はもとより

PCを使った作業や内職レベルも含めた職の提供も重要な課題となっています。

 

ここでも、単に同情や施しではなく、ニーズを的確に把握し、共生を図ることが

本質的な復興に繋がるのです。

 


◎ 終わりに ~復興に向けて~

 

2011311日、この日を境に、震災とその後起こった様々な二次災害や

混乱により、日本人の価値観は一変しました。

 

多くの中小企業経営者が変化に気付かず、或いは為す術なく立ち竦んでいました。

このままでは復興はおろか、日本全体が沈んでしまうのではないか。

 

たとえ大企業を中心とした一部企業が業績を伸ばし、GDPを押し上げたとしても

大多数を占める中小企業にとっては殆ど影響が無いばかりか

 

逆に負担を強いられるという構造になっているのが現状です。

変化に気付かず、対応が遅れれば命取りになりかねない。

 

そんな危機感から、急遽セミナーを開催し、また本稿の執筆に至りました。

未曾有の国難に対し、私が為し得るささやかな貢献です。

 

本稿を通じ、共生の精神と、社会への貢献による『共感』こそが

新しい価値基準の中で重要になって来ていることを述べて参りました。

 

本来であれば率先垂範すべきリーダーはというと、国民を顧みることなく

自らの地位保全に汲々として国民から総スカン。

 

「日本をメルトダウンさせた男」として歴史に名を残すことでしょう。

 

しかしながら、私たちは座して道連れにされるわけにはいきません。

自ら立ち上がり、現実を直視し、考え、実行して行かねばなりません。

 

見渡せば、復興の種はそこここに在り、既に新しい芽を出し始めています。

まだまだ間に合います。勇気を持って、踏み出しましょう。

 

そして、「戦後に続き、二度の復興を成し遂げた偉大な国民」として

歴史にその名を刻もうではありませんか。

(了)

 


今日の一言: 『復興』の道筋遥か、いざ往かん



★ 中小企業のサバイバル戦略は、ご相談ください。
  
Alpha Marketing Corporation


alpha_marketing at 10:57|PermalinkComments(2)TrackBack(0) 中小企業経営 

2011年06月19日

(番外) 新世界より

週末は気軽に、ワイン&グルメ。
ワイン選びや、美味しい料理のセレクトはマーケティングに通じます。

先日、グリルした肉とMailleのフレッシュ・マスタード、それにチリカベの組み合わせが
とても好評だったので今週も再チャレンジ。

素材は豚ロース肉。程良く脂の乗った塊肉があったので、これをローストすることに。
粗塩をしっかりと擦り込み浸透させ、フライパンで焼き色を付けて取り出します。

香味野菜を炒めた後、香草でアクセント。タイム、ローズマリー、それにローリエ。
肉を戻した後、フランべしてコニャックの香りを移し、オーブンへ。

じっくりと20分ほど火を入れた後は、アルミホイルに包んで30分間休ませる。
その間にソースを準備。

バターで炒めた玉ねぎと煮詰めた白ワインをベースにしたシンプルなもの。

予想以上に酸味が立っていたため、フライパンに残った野菜に日本酒を入れて
煮詰めたエキスを注入。

隠し味に醤油を入れ、マスタードを引き立たせるための特製ソースが出来上がり。

そしてワイン。選んだのはCasillero del Diabloのカベルネソーヴィニヨン。
チリの名門コンチャイトロのデイリーワイン。

クセが無く、確りと飲みごたえがあり、財布にも優しい。
我が家の常備銘柄の一つです。

Diablo

因みに同社のSunriseという銘柄は、料理用に赤白常備しています。
こちらも何にでも合わせやすくソース作りにも最適です。

コンチャイトロと言えばDon Melchor という逸品が有名です。
確かに美味しく、ボルドーの銘醸ワインに引けを取らない味わいです。

DonMelchor

複数のワインを飲み比べれば、クォリティの高さを実感できます。
ただし、家庭ではそうはいきません。

価格は1本数千円。果たして、家飲み用にこれを選ぶでしょうか。

一流ソムリエならいざ知らず、単なる愛好家にとって、ワインの楽しみや満足感は
味の善し悪しだけでなく、ボトルデザインや産地など、様々な要素が関わってきます。

ゲストに供する際も、チリワインより同価格のボルドーやブルゴーニュの方が
一般的に満足度は高いでしょう。

ですから、我が家では2,000円代までのデイリーワインとして
チリカベを愛飲しているのです。

ビジネスにおいて、品質の追求は、もちろん大切です。
しかしながら、お客様にどのように使われるのか。

マーケティングの視点が無ければ、作り手の独りよがりに陥りかねません。

料理の素材、調理法、ソース、そして合わせるワイン。それぞれの役割を把握して
互いの持ち味を最大限に引き出しえこそ調和が生まれ、満足感を生み出すのです。

こうして、今回も美味しく戴きました。


★ 魅力を引き出すマーケティング戦略は、ご相談ください。
  
Alpha Marketing Corporation


 






alpha_marketing at 06:11|PermalinkComments(0)TrackBack(0) ワイン&グルメ 

2011年06月15日

(88) 中小企業サバイバル 第4回

◎ 『共生』の意識

 

コンサルティングの現場や身近なトピックスからマーケティングのヒントをお届けする

『マーケティング小咄』。今回のテーマは『共生』と『共感』。

 

私たちが震災からの復興に向けて取り組む時、大きく掲げられるべき

テーマの一つとして『共生』があります。

 

単に、困った者同士で助け合うとか、ライバル同士が一時的に休戦協定を結ぶ

というような現象ではなく、もっと本質的なレベルでの共存共栄の意識といえます。

 

似たような意識は、例えばオリンピック等のスポーツイベント後にも見られます。

しかしながら、それは一過性のものであり、時間の経過とともに忘れ去られます。

 

一方、人の生死や国運に関わる大事であり、今なお課題山積の状況下
共生の意識は、広く国民の心に焼き付いています。

 

だからこそ、企業活動においても自社の利益を追求するばかりではなく

所属業界、地域社会、お客様も巻き込みながら如何に社会に貢献していくか。

 

その姿勢が問われているのです。ここでも見せかけの対応では通用しません。

復興支援に寄与したと、これ見よがしの広告では売名行為の誹りを免れません。

 

節電に協力するため、夏場の休業日を土日から移行した業界があります。

震災後、資材不足を補うためペットボトルの仕様共通化の動きがありました。

 

中小企業レベルでも、被災した会社の熟練労働者を受け容れ支援したり

不足している工業原料を海外から共同仕入れして、リスク分散を図るなど

 

実に様々な取り組みがなされています。

 

従来では考えられなかった同業のライバル同士や、全くの異業種

或いは海外も巻き込んでの様々な合従連衡。

 

そしてそれが実を結び、相乗効果によって業績を伸ばし始めている

ケースも増えてきました。

 


◎ 『共感』を喚起せよ

 

業界を巻き込み、異業種も巻き込み、更にお客様まで巻き込むことができれば

大きな潮流となります。その為には『共感』が必要です。

 

例えば、節電対策に伴いやり玉に挙げられているパチンコ業界。

その功罪や是非を論ずるつもりはありません。

 

ただ、これとて、やり方次第で消費者の共感を得て、永らく低迷している

現状打破のきっかけを作れるかもしれません。

 

先ず電力。一般的に低めに設定されているホール内の温度を高めて

業界全体で統一して実行すれば、大きな節電効果を発揮します。

 

本来来店すべきお客様が、それぞれの自宅でエアコンを効かせて

テレビやゲームに興じている場合と比較して、実際の電力消費量はどうなのか。

 

メーカーも協力して、音や光を抑えた省電力タイプの機種を開発すれば良い。

ここまでは、比較的簡単な話でしょう。問題は消費者の共感です。

 


◎ 温故知新

 

消費者が、かつて何を求め、今何が不足し、将来何を期待しているのか。

こんな視点で、共感の種を探って行くのも有効な手段です。

 

パチンコ = ギャンブル = 好ましくないものというイメージが定着しています。

こんなイメージが作られたのは、いつの頃からでしょうか。

 

かつて、パチンコは庶民の娯楽と呼ばれていました。筆者にとっての原風景は

祖母に連れられて行き、景品コーナーで眺めたお菓子やオモチャの数々。

 

あれが欲しい、これが欲しいとねだったものです。

同様の親子連れや、孫の手を引く老夫婦の姿がそこここに見られました。

 

まさに庶民にとってのささやかな娯楽であり、憩いの場であり

孫とのコミュニケーションの場でした。ここにヒントがあるかもしれません。

 

今、一部のゲームセンターが、高齢者たちの集いの場として活況を呈しています。

高齢者向けに様々な工夫を施すことにより、彼らの共感を呼んだのです。

 

パチンコ同様、不良少年の溜まり場として社会的に敵視されてきた業界が

少子高齢化社会を見据えて取り組んだ成果です。

 

復興や節約といったキーワードはもちろん、公共性や社会的価値を標榜し

実践してこそ、消費者の共感を得ることができるのです。

(つづく)

 


今日の一言: 『共生』を形で示し『共感』へ



★ 共感を呼ぶマーケティング戦略は、ご相談ください。
  
Alpha Marketing Corporation


alpha_marketing at 09:58|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 中小企業経営