ラップランド 犬ぞり＆トナカイぞり。間にスキーを行ったりして、それはそれでふつーのウインタースポーツが楽しめることも判明したラップランドだが、僕がそれ以上に楽しみにしていたイベントがあった。それは犬ぞりである。僕は小学校の時に母が買ってくれた『オーロラの下で』という名作を読んで以来、狼犬に（それがダメならそれっぽいハスキー犬に）ソリを牽いてもらいたかったのだ。まさか、その夢をラップランドでかなえる事になろうとは思っていなかった。が、こういうのって叶うときはあっけないし、トナカイソリにも乗ることになった。勿論、家族も一緒だ。
然し、今一度書いておこうと思う。やっぱりフィンランドの人は商売上手だし、ネゴシエーターである。通常、北欧ときくと、『いやあうちは定価ですよ。何せ北欧ですから、そんなイタリア人みたいな、関西人みたいな値引きなんかしまへんわ。』という雰囲気に包まれているのだけど、平家とアヌリが、
「いやあ、この人たちはわざわざ日本からねー、友達である我々を訪ねてねー、家族でそれぞれクリスマスにねー。」てな調子で話がついていたらしく、料金は半額になってました。いやあ、やっぱり何処の国でもヒューマン・コミュニケーションと根回しですなあ。世の中、定価払ってる場合じゃないねえ。いやあ本当に助かりました。
さて、犬ぞり。面白いよ、これ。操縦はバイクのそれにちょっと似ている。それに思った以上のスピード感。ただ、犬どんたちは上り坂になるとバテるんです。やっぱ生き物に引っ張ってもらってるんだなあと実感しました。また、南極遠征あたりでやる事になるような気がします。いや、そうじゃなくても是非２、３日続行したい。サンとネオー（←見知りのクライミング犬）、おまけでもらったベビーベルのソリを接続するから、アルデンヌの森をそれで駆けてくれーって。そいつはちょっと酷だな、小型犬には・・・。
さて、トナカイ。いやあ、びびりました。犬は５匹繋がないと前に進まないのに、貴方はたった１頭で大人２名と幼児１名を牽けちゃうんですね。さすがですわー。サンタはんに見込まれるだけありまっせ、と僕に関西弁を話させるほど驚かしてくれた。（注：京都弁ではこんな風に話しませんので、あしからず。）この底力。そり界のディーゼルとも言えよう。軽快さはないが、寡黙に誠実に牽いていくのだね、君は。ごめんね。昨日はミートボール、その前はステーキで君達の仲間を食べてしまったよ。でも、僕は他の人たちが言うように、不味い肉だとは思わなかったよ。君達は調理の仕方次第では、かなり美味しくいただけると結論したくらいだからね。でも、こんなに一生懸命そりも引くんだね。今日は他のものを食べることにするね。それから約束するよ。仮に君達の仲間がひょいと高速に飛び出してきても、必ずＥＳＰで止まって見せるよ。絶対に無駄に死なせたりしないよ。と、僕はトナカイさんの直向さ、大人しさ、優しいまなざしにいたく感動しました。というように今回のラップランドの旅で僕はトナカイにかなりの親近感を持ったのでした。ただ、トナカイさんは始めは余り物覚えのいいほうではなく、そりを正しく牽くまでに５年はかかるそうな。トナカイを飼育しておられるサーメのかたがたにも頭が下がる思いなのでした。
