「エサは自分で見つけるから」くらいがモテる

まんきつ:最初に付き合った彼氏とは、24日も25日も会わなかったんですよ。前の彼女と切れてなかったからなんですけど…。
犬山:私だったら怒り狂って狂言自殺だけど、まんきつさんはやっぱり…。
まんきつ:私はただイベントに執着していなかっただけなんですが、その執着してない感じが逆に向こうに火をつけたみたいです。
野良犬を手なずけることに喜びを見いだすようなタイプだったんでしょうね。でも冷静になれば手入れの行き届いたプードルのほうがいいことに気がついたのか、まあ、その後は普通に付き合って別れました。
野良犬で言えば、「餌は自分で見つけるから結構」くらいな感じのほうが、男の人って食いつきますよね…。
犬山:そうそう。でもそれが分かっていても本当に好きな男相手にはできないんですよ。
それができる方法編み出した人はノーベル賞もらえるんじゃないかな。
よく一人の時間を充実させろとか言うけど、片思いしてる時って始終その男のことしか考えられないから、本読もうとしても、1行読んでは男思い出すし。大好きなゲームすらできなくなったし…。
恋愛って病気みたいなものだから、理屈でわかってても脳がそうはさせてくれない。付き合う前は駆け引き多少必要だけど、お互い好きってわかったら、かけひき禁止令を出すのがいいと思うんですよ。私は今までの恋愛、最後の恋愛以外はうまく行ってたんだけど、その時は大体駆け引き禁止令をひいて、「私は好きって言ってもらえばもらうほどあなたを好きになります」ということを伝えて、サクサクお互いが好きと言い合う環境を作ってましたね。「ウザいかな」って感情をお互いから排除したくて。
ちなみに最後のダメだった恋愛はぶりっ子しまくって駆け引きしまくって結局ダメだった。
あ、でも愛情重いのがダメなまんきつさんにはこの方法オススメしないや(笑)
まんきつ:そうだよね。
―まんきつさんはそれが自然にできてしまうというわけじゃないんですか?
まんきつ:自然というよりも…あまり人に執着心がないかもしれない。
犬山:その境地ちょっと羨ましいや。プチ解脱してるみたいだもん。 私は別に女同士で寺とかでもいいけど、まだ一人はやだってのあるから、どうでもいいまでいってない。
まんきつ:私は逆に犬山さんが羨ましかったよ。以前犬山さんに対してものすごくモヤモヤした気持ちを抱えたことがあるけど、それは「嫉妬」という言葉ですべて片付いたよ(笑)
あえて寂しさを楽しむ!

―クリスマスを意識しすぎてしまうというのは寂しさを感じすぎているからということもあると思うのですが、お二人が寂しさを感じる瞬間ってどんな時ですか?
犬山:私は、夜にコンビニで男女が仲良くしているところを見ると寂しくなります。これを買って、ふたりで家で食べるんだ…って。今私は安定したお付き合いを求めてるから、カップルから生活感を感じるとすんごい羨ましくなるんですよ。
逆に案外オシャレな店でディナーしてるカップルは見ても平気ですね。
まんきつ:私は…、ほんとに“寂しい”っていうのが、基本的になくて…。え~、ごめんなさいね、ほんとに。
犬山:謝ったよ、この人(笑)
まんきつ:むしろ、寂しい状態が好きというか。
例えば秋口とかに、急に冷え込んできて空が薄暗くなってきて、夕方、車が車道を走っている傍らを一人でとぼとぼ歩くと、寂しい気持ちになるじゃないですか。
その、寂しい気持ちになるのが大好きなんですよ!
だから、寂しくなりたくて、夕方ひとりぼっちで河原を散歩したり、 誰もいない土手とかでひとりでいるの。
プラネタリウムで働いていたときに、みんな良い人で終わった後「ごはん食べよう」ってなるんですけど、それには行かないで、土手にひとりで座って、川のせせらぎを聴きながらコンビニで買ってきた肉まんを食べるのが、ものすごく大好きでした(笑)
犬山:うっわー。マンキツさんをラテン系の国のパーティーに放り込んで1時間放置したら死んじゃうんじゃないか(笑)
―それはでも、最強ですよね。寂しさを楽しんじゃってますもんね。
まんきつ:うん。だからひとりでボートとかも乗っていたのかな(「井の頭池」)。その寂しさが妙に心地良いんですよ。
犬山:私にも、ちょっとノスタルジックなものがいいとか、寂しい感じが好きみたいな時期があったといえばあったんですけど…。私はやっぱりその寂しい行動をやっているってことを周りに言わないと気がすまなかったですね。
まんきつさんは、それをひとりでやって完結するじゃないですか。私は、「こんなことやってるのよ!」っていうのを絶対どこかでは言わずにはいられないっていうのがありますね。結局さみしさを心から楽しんでいるんじゃなくて、“こんなことやっている自分”に酔っている系でしたね。
だから、こういう本当に芯から孤独が好きな人を見ると理解できないんですよね。
―普通は、ほとんど犬山さん側だと思います…。
犬山:ですよね。だからほんと普通なのが私で、まんきつさんが本物ですよね。本物の人たちがやっている話に憧れて、真似してる側です。でも本物の人たちがいないと、真似する側も真似するものなくなるし、そのまま突っ走ってほしいっす。
―まんきつさんにしたら、クリスマスのさみしい感じは楽しめばいいじゃんという感じでしょうか。
まんきつ:はい、やってみてください!ティッシュのAA。
犬山:やりません!
【完】
犬山さん、まんきつさんの出会いなどの番外編を年末にお送りします。お楽しみに!
Text/AM編集部
犬山紙子
1981年生まれ。エッセイスト。2011年、美人なのになぜか恋愛がうまくいかない女たちの悲惨で笑えるエピソードを描いた イラストエッセイ『負け美女』(マガジンハウス)でデビュー。その後は「負け美女研究家」としてテレビ、雑誌、ラジオなどの各種メディアで活躍。現在『週間SPA!』『Gina』などでコラムを連載中。
ブログ:犬山紙子のイラストエッセイ 負け美女
ツイッター:@inuningen
まんしゅうきつこ
漫画家。友人である「東京都北区赤羽」の作者、清野とおる氏のすすめではじめたブログが一躍人気に。以来、雑誌、WEBメディアで活躍中。
ブログ:まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど
ツイッター:@kitsukom
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