クマのプーさん ブログ

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大西つねき「命の選別」問題について、憂うこと

わたしは、大西つねき氏の発言を知って、すぐにこの発言は問題だと思った。

「れいわ新選組」議員の木村英子さんの見解は当然だと思った。

これまでの、わたしの考え方からすれば、そんなに難しい問題には思わなかった。

しかし、意外な問題が発生していった。

問題の難しさを、次第に感じることとなっていった。


大西氏の発言を「れいわ新選組」から除籍にするほどの問題ではないとか

大西氏を擁護する意見が、想像以上に多いことである。

実際、わたしの身辺で、「れいわ新選組」の支持者である人も

大西さん氏の発言は、除籍するほどのことではないと言う。


大西発言の周辺の、この混乱振りは、なんということだ!

そのことを、たいへん憂うのだ。


参考にしたい意見を以下に載せます。


大西つねき氏の「命の選別」発言について(参議院議員 木村英子 オフィシャルサイト)
https://eiko-kimura.jp/2020/07/15/activity/1053/
2020/07/15

 今回の大西氏の「命、選別しないとだめだと思いますよ。はっきり言いますけど、その選択が政治なんですよ」という発言を聞いて、施設にいた頃の私のトラウマを思いだし、背筋がぞっとしました。

 「命の選別」それが政治によって決められる世の中になったら、常時介護の必要な重度障害者の私は真っ先に選別の対象になるでしょう。

 障害を持った幼い時から自分の命を誰かに預けなければ生きていけない私にとって、他者に従うことは絶対でした。私の命、私の身体、私の生活、すべてを他者にゆだねるということは、支配されてしまうことです。

 「命の選別」、この言葉は、私が幼いころから抱いていた、「殺されるかもしれない」という避けがたい恐怖を蘇らせました。大西氏の発言は、自分の命を人に預けなければ生きていけない人たちにとって、恐怖をあたえる発言であり、高齢者だけではなく障害者も含めた弱者全体を傷つけた暴言であると思います。

 「人は生きているだけで価値がある」という理念を掲げた政党であるれいわ新選組の一員から、今回の発言が出たことに、私は耳を疑いました。

 とても悲しかった。そして、地域で差別と闘ってきた私の35年間の活動が否定されたようで、とても悔しく、怒りを抑えられませんでした。

大西氏の発言についての当事者の意見を聞く会において、当事者たちが涙ながらに意見を訴えたにも関わらず、大西氏は自分の主張がいかに正しいかを話すだけで、当事者の必死な訴えに理解を示そうとはしませんでした。

さらに、命の選別発言の動画に対して、謝罪と撤回をホームページに載せたにも関わらず、当事者の話を聞いたその翌日に、再び動画を公開し、これからも命の選別の主張を続けていこうという意思表示に私たちは恐怖を拭い去れません。

大西氏の処分は総会で決まることになっていますが、私は、今回の大西氏の発言は、決して許すことはできません。

 しかし、これは大西氏だけの問題ではなく、社会全体の問題でもあると思います。程度の差はありますが、大西氏と似たような考えを持つ人は少なくありません。

幼い時から障がい者と健常者が分けられず、日頃から関係性があれば相手の苦しみを想像することができたと思いますが、現状は、障がい者と健常者が、一緒に学び、一緒に働き、一緒に生きる社会の構造にはなってはおらず、お互いを知らないことで、誤解や偏見が蔓延してしまい、無意識のうちに差別が生まれてしまっているのです。

今回の発言は、まさに分けられていることの弊害なのです。

 れいわ新選組は憲政史上初、重度の障害をもった国会議員を生み出し、社会に迷惑とされている弱者が政治に参加するという誰もやったことのないことを実現した初めての党です。

 誰一人として排除されない社会を作るために、それぞれの苦しみや怒りを抱えた当事者が政治に関わることによって変えていける、それが誰もが生きやすい社会を作るために一番必要な政治のあり方だと私は思います。

 今回の件で、弱者に対する差別が明るみに出ましたが、私は、自らの掲げる理念である「共に学びあい、共に助けあい、共に互いを認めあい、共に差別をなくし、共に生きる」を実現し、「誰もが生きやすい社会」を作るために、これからも差別と向き合い続けて、政治を変えていきたいと思います。

命の選別をするのが政治ではなく、命の選別をさせないことこそが、私が目指す政治です。

以 上


大西つねき氏の「命の選別」発言の問題点(文字起こし付き) (荻上チキ)
https://note.com/ogiuechiki/n/n96ed80d5f622
荻上チキ
2020/07/16 17:38

れいわ新撰組の一員である大西つねき氏が、「命の選別」なる発言を行い、twitterで議論になっていました。僕もこの動画を見た上で、この発言は問題であり、優生思想的な発言だなと感じました。そのことはラジオでも言及しています。

【音声配信】「差別発言をめぐるれいわ新撰組の対応の問題点とキャンセル・カルチャー」荻上チキが解説▼2020年7月9日放送分(TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」)TBSラジオ『荻上チキ・Session-22』(平日22時〜)新世代の評論家・荻上チキがお送りする発信型ニュース番組。20www.tbsradio.jp

他方で、大西氏の発言を擁護する者もいます。「優生思想ではない誤解だ」と言いたいらしいのです。典型的な擁護論は、以下のようなもの。


大西つねきの発言についての声明.pdfdrive.google.com

優生思想を「優良な遺伝子を残す」目的であると狭く定義し、そのような主張をしているわけではないから優生思想ではない、と言っているわけです。しかし、歴史的な優生思想の実践は、そのような定義に当てはまるものではありません。

優生思想について指摘された時、狭い辞書的な定義を引っ張り、批判を避けようとするムーブは、残念ながら何度も見てきた光景です。この文書は、「遺伝子を根拠にしたわけではないから優生思想には当たらない」と言っているわけですが、それは優生思想の歴史にあまりに無知です。以下、簡単に続けます。 https://t.co/NpQkWKQpMB
— 荻上チキ (@torakare) July 15, 2020
ここに連ツイしたものと重なりますが。

優生思想は、「優良な遺伝子を残す」という発想に基礎付けられた政治思想と説明されますが、実践された優生思想の経緯を追うと、そのような定義では不十分であることがわかります。というのも、例えば日本の優生保護法が継続する経緯の中では、単に「遺伝」の話がされていたのではないためです。

以前、古市憲寿氏も、「優生思想は遺伝形質や血統の改良を指して用いられるのが一般的」と定義を狭めておられました。しかし優生学的実践は、そのような「一般的」な定義のもので遂行されてきたわけではありません。何を優良・改良・有意義とするかは、その都度変わるということ。そして時代を経て、優生思想的表出は、遺伝以外の根拠に基礎付けられ、人々を動員してきたのです。


落合陽一氏、古市憲寿氏、荻上チキ氏の議論(終末期医療などをめぐって)〜2019年1月※3日現在、議論継続中 (3ページ目)自分はこういう議論はリプ反応も含めてまとめるのが好きだし,そちらこそが本道だと思っているのですが,分量の関係もあり1つの例togetter.com

優生思想の実践を擁護する人々は、様々な時代や立場で論拠を変えながらも、「生活能力」「扶養」「社会財政負担」「当事者の不幸」などを根拠に、断種などを正当化してきました。「遺伝」という「生物・自然」に基礎付けられた思想というより、「遺伝」という視点を借りた、社会的選別行為であった点を見ることが重要だと思います。ここで重要なのは、どのような根拠だてがなされようと、排除される対象が、社会的マイノリティであり続けてきたことです。

今、優生思想という言葉が障害運動などで用いられる時、広く「いる命/いらない命」「役立つ生/負担となる生」を一方的に線引きする発想に対して、批判的に用いられます。狭く、「優良な遺伝子を残す」などという思想に基礎付けられた排除のみを批判するのではなく、かつて行われてきた排除が、その思想形式を変えながらも温存されることを、拡張された「優生思想」という言葉を用いて警戒しているわけです。

今回、大西氏が持ち出した論理は、「若者の負担」論で、「選別」対象は「高齢者」です。しかしここには重要なレトリックが隠れています。彼の言う高齢者は、単に加齢を重ねた人ではありません。医療的ケアや介護、他人(ここでは「若者」とされています)の支援が必要な存在を指しています。すなわちこれは、障害者や病人の「選別」として機能する言説です。

「群馬チーム」による当該文書は、あくまで個人の「死生観」であると擁護します。しかし大西氏は政治家を志している者であり、選別の話題も、政治的テーマとして繰り広げています。そして、その「死生観」や「幸・不幸観」を、政治的に導入していくこともまた、まさしく優生思想の実践における特徴でした。


そして本人も動画の中で、「僕はそういう政治家になる」と発言している。単に個人が、自分の死生観を示したものではなく、政治信条として捉えていいでしょう。さらに「どこまでその高齢者を長生きさせるのか」というのが彼の議題でした。彼は、自身の死生観の話をしているのではありません。動画で彼は、他人の命の話をしているのです。

障害学や障害運動は、「命の選別」に抵抗してきました。自身も障害運動に携わってきた、重度障害者である木村英子議員が鋭敏に反応したのは、とても重要です。


大西つねき氏の「命の選別」発言についてeiko-kimura.jp

さて、このような趣旨のツイートをしてもなお、「大西氏は終末医療について問題提起している」「優生思想ではない」「切り取った部分だけを見ないでください」という反応があります。

しかし僕は、今回も動画を見て、なんなら文字起こしをしながら確認した上で、批判を行なっています。閣僚の問題発言などでは、「全文見たらもっとひどかった」というケースがよくありますが、今回は率直に言って、そのレベルです。そもそも全体として、大西氏の言葉は、浅く、軽い。

以下に、文字起こしを貼っておきます。公党から国政政治家を志すものの発言であるという観点から、公益目的としての重要性を鑑みて、少し長いですが。

(以下省略━サイトから読んでください)
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エジプト軍閥の“子飼い”小池百合子の運命 エジプトへの個人的な見返り、日本人の血税300億円(特別寄稿)

エジプト軍閥の“子飼い”小池百合子の運命 エジプトへの個人的な見返り、日本人の血税300億円(特別寄稿)
http://agora-web.jp/archives/2046954.html
浅川 芳裕 2020年07月04日 06:01

前回(「私は100%エジプト人なの」)取り上げた「カイロ大学、小池都知事のために都知事選に‟点火”」(ニュースサイト「アルバラド」)などの一連の記事に関し、SNS上ではこんな書き込みがあった。


東京都知事! 誰とやりとりしているんですか?


この証言(カイロ大学声明)は怪しい。エジプト政府の声明だから、疑念をもって当然だ


(この記事は)偽りを語っている。それは、神のためではなく、自分自身の満足、そして腐敗した支配者のためだけに

さすがは独裁専制下で生きてきたエジプトやアラブ諸国のネットユーザーたちだ。小池氏の学歴騒動の深層について、お見通しである。小池氏とエジプト政府間の癒着や腐敗、それを覆い隠すエジプト政府のプロパンガンダを見透かしているのだ。


エジプト流プロパガンダの真髄を見せた動画

そんな小池記事への書き込みが盛り上がった数日後、元記事を掲載したニュースサイト「アルバラド」に妙な動画がアップされた。

「サダム・フセインと東京都知事 ―カイロ大学の卒業生たち」と題するものだ。いわずと知れたフセイン元イラク大統領と小池百合子東京都知事のことである。

これがエジプト流プロパガンダの神髄である。いくら疑念や疑問が寄せられても、一切答えず、さらに大きな“誇張“や”法螺“をかぶせていく。それを何層にも重ねることで、疑念を持つ者の追求心をそぎ、真相を闇に葬り去る。すべてはエジプト国家に有利な言論空間を生み出していくためだ(参考文献:小池氏を子飼いにしたハーテム著『プロパガンダ:理論と実践』未邦訳)。

プロパガンダの各層を丹念にみていけば一見、脈略がなさそうでも重要なメッセージが込められていることがある。では、この動画に何の意味があるのか。タイトルにある「サダム・フセインと東京都知事」―――2人の共通点は何か。


小池氏とフセイン元大統領の共通点

2人は奇しくも、カイロ大学での学歴について真偽が取り沙汰されてきたという共通点がある。さらに、2人とも要人になった途端、エジプト軍閥がカイロ大学の偉大な卒業生として公式に発表し、賞賛されるようになった人物という稀にみるもう一つの共通点がある。


小池氏とフセイン元大統領(官邸HP、Wikipedia)

(ちなみに、フセインはカイロ大学中退説が根強かったが、後年、本人の自伝で法学部2年中退と認めている。その点、小池氏とちがい、正直で潔い。しかし、エジプトは本人が中退と認めていても、自国にとって有利だとみなせば、勝手に卒業公認をする国柄である。小池氏の場合は、フライングして卒業自認(学歴詐称)してしまうが、後に超法規的に公認されるという変則ケース)。

実は2人にはもう1つの共通点がある。カイロ大学の外国人特別待遇枠である。

カイロ大学では1954年の粛清後、小池氏が留学する70年代まで、特殊な外人留学枠が存在していた。1つはアラブ諸国で反政府活動をする若者を亡命させ、ナセルの「アラブの大義」で洗脳し、国に戻ったとき工作員にする枠。サダム・フセインもその1人だった。

もう1つは表向き文化的だが、同様にエジプトの国策に都合のいい将来のエージェント育成のため、非アラブ特定国の若者を優遇する枠。ハーテム氏は情報相のトップとして、アジアやヨーロッパ諸国の若者受け入れを推進すると同時に、それらの国々の議員と友好協会を立ち上げていった。

ハーテムは同協会会長としての功績として、以前とりあげたとおり、2つ功績をあげる。1つ目は「数百億円にのぼる巨額の援助を日本政府から引き出したこと」、そして2つ目は「小池百合子を『子飼い』にしたこと」である(アハラーム紙2004年6月21日)

エジプト軍閥の子飼いになってから40数年後、ハーテムの後継者として、小池氏は最大の栄誉の瞬間を迎えることになる。


シシ大統領は小池百合子元防衛相(1976年カイロ大学文学部アラビア語学科卒)が率いる日本エジプト友好議員連盟会長と面会し、謝意を表した。彼女がエジプトとの関係発展に注意を払い、両国関係を有利に進めている事柄に対してである。(2016年3月4日アハラーム紙)

小池氏は、エジプト軍閥の統領からよくやっていると褒められたのだ。何を褒められたのか。


小池氏が300億ODAの発端を示す証拠

同じ記事のなかで、「エルシシ大統領の日本訪問では、教育プログラムに関連して多くの目標を達成した」とある。

教育関連で一つはっきりしている2カ国間案件がある。3百数十億円にのぼるエジプトへの日本のODA(政府開発援助)による教育支援策「エジプト‐日本教育パートナーシップ(EJEP)」で、シシ大統領から小池氏が謝辞を受けた1カ月前に発表されたものだ。

その1年前、小池とシシ両氏のエジプト大統領府における会談内容をみれば、エジプトへの教育支援ODAへの小池氏の具体的な関与が明らかになる。

シシ大統領は小池氏のエジプトへの支援を賞賛」したうえで、「教育分野において日本の経験から利益を得ることについて、エジプトの関心を表明した。(「アルマスダル紙」ネット版2015年5月3日)

シシの関心に対し、「小池氏はエジプトと日本の関係を強化する努力を惜しまない」(同上)と後押しを表明。

さらに、小池氏は「私がエジプトを大切に思っているのは、公式のレベルだけでなく、個人のレベルのことである」と語っている(同)

つまり、小池氏こそがエジプトに対する300億超の教育支援ODAの発端であり、窓口だという会談内容である。加えて、この教育事業は個人レベルの話だとの意味深な発言も含まれる。

本人発表でも、「小池議員も大統領の認識に賛同し、日本の優れた初等教育の方面からの協力が効果的であり、喜んで協力する準備があるとの発言を行った」(小池百合子衆議院事務局のプレスリリース2015年5月4日)と認めている。

「エジプト‐日本教育パートナーシップ」には2つの事業がある。ひとつは、「エジプト・日本学校(小中学校)支援プログラム」(総額186億2,600万円、エジプト大使館文化・教育・科学局発表)で、小池氏が言い出した“初等教育の方面からの協力”そのものである。


100億円を見返りにした“美しい対応”とは?

もう一つが「エジプト人留学生・研修生」受け入れ事業で、総額101億9,200万円(同)である。

これが、先の小池発言「個人レベルのエジプトへの思い」にもとづく事業のことである。先ほど引用したアハラーム紙記事の記者が種明かしする。長文記事の最後に「小池の経験とエジプトへの美しい対応」と題するコラムを寄せている。


以前、小池氏に取材した際、こう語っていた。故ナセル大統領が外国人学生に対し、奨学金を提供するという重要な政策を採用していたと指摘し、彼女自身もエジプト政府から月額8エジプト・ポンドの助成金を受け取っていた。


ナセルの行った投資は有益で成功だったでしょ。だって、そうじゃない!


小池氏は今日、日本政府のエジプトの学生に対する広範囲な奨学金プログラムについて、強力な支援者である。

記者は「美しい対応」と題しいかにも美談のように語るが、まったくちがう。小池氏が自分のエジプトからの借りを今回、100億円にして返しましたよという下品な話だ。問題は、言うまでもなく日本人の税金を使い、ODAの形でエジプトへ見返りを続けている点である。


小池氏は、ハーテム博士に対して、エジプトやエジプトの友人のために奉仕するプロジェクトを話題にした。(アハラーム2011年9月3日付)

連載1回目で引用した発言のとおりだ。軍閥から弱みを握られた小池氏のエジプトへの見返りについて、今回、現地メディア(軍閥・情報部の従属下にある政治機関)にもとづき明らかにできたのは氷山の一角である。

ただ確実に言えるのは、都知事としての公約実現はゼロだが、エジプトへの公約(見返り)は長年、果たしているということである。小池氏は彼らに生殺与奪を握られているのだ。

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エジプト軍閥の“子飼い”小池百合子の運命 「私は100%エジプト人なの」(特別寄稿)

エジプト軍閥の“子飼い”小池百合子の運命 「私は100%エジプト人なの」(特別寄稿)
http://agora-web.jp/archives/2046908.html
浅川 芳裕
2020年07月02日 06:02

現地メディア「カイロ大声明は小池氏の再選目的」

連載第1回で、エジプトの軍閥が「カイロ大学の学長声明」を通じて、東京都知事選に政治介入した背景と権力構造を解き明かした。


カイロ大学は軍部・情報部に粛清され、長年、その支配下にある。学長の任命権を持つのが軍事政権のシシ大統領だ。情報部の方は、小池百合子氏が爛┘献廛箸離僖僉蹐噺討屮蓮璽謄犹瓩創設、掌握し、彼女を子飼いにしてきた文献証拠を示した。二人は小池氏のカイロ大学時代の一定期間、同居し、その関係は氏が亡くなるまで続いてきた。その間、ハーテム情報相の権力で小池氏はカイロ大学に飛び級の不正入学と裏口卒業(学業の実体はないが“超法規的”な卒業証書保持者)を果たす。また、そのハーテム氏からみれば、シシ大統領は軍閥序列のなかで孫弟子にあたる。

そのうえで前回、「カイロ大学声明」の政治的意図を明らかにした。それは、都知事選を前に、“学歴詐称”疑惑で窮地に陥るエジプト軍閥の“子飼い”小池百合子氏に再選させるためである。

これは私が憶測で言っていることではない。国家情報部の支配下にあるエジプトの現地メディアがはっきり、カイロ大声明は小池氏の再選目的だと書いている。


「カイロ大学、小池都知事のために都知事選に‟点火”」(ウェブ報道サイト「アルバラド」6月11日)


「カイロ大学、危機に瀕する東京都知事を救うために介入」(同「アハバーラック」6月11日)


「カイロ大学、都知事の卒業証書を認めない日本メディアに対し法的手段で脅迫」(「アルワフド」新聞ネット版6月11日)


軍の“諜報テレビ”取材で常軌を逸した小池発言

しかし、なぜそこまでして、小池氏をかばうのか。小池氏自身がエジプトの現地テレビの取材で種明かしをしている。


「私は100%エジプト人なの」
(小池百合子都知事、エジプト軍閥系テレビネットワークDMC、2018年8月30日インタビュー番組での発言、都庁で撮影)

小池氏がこう語ったテレビ局DMCとは、軍最高評議会議長シシ(現大統領)が軍事クーデター後、軍閥のプロパガンダを流すために開局した新興テレビ局である。軍や政府の要人への取材や機密性の高い場所へのアクセスは、この局だけに許されており、現在、独占的な洗脳メディアとしての地位を築いている(そのYouTubeチャンネルは登録者数500万人を超える)。

国内プロパガンダに加え、DMCにはもう一つの目的がある。


「DMCはシシ率いる国家の公式の声であり、エジプトを攻撃する外国メディアに対抗するために創設された(中略)そのため、別名『軍の諜報テレビ』『シシ・チャンネル』と呼ばれている」(ウェブ報道サイト「ノンポスト」2016年9月3日)

小池氏はこのテレビ局から東京都知事としてインタビューを受けながら、「私は100%エジプト人なの」と語り始めたのだ。政治家としてだけでなく、1人の日本人として、常軌を逸した発言である。犹匯瑤ぁ蹐箸靴董⊆分はエジプトの利益を代表していることを吐露したといえる。本人からすれば、エジプトの軍閥と国民向けのリップサービスに過ぎないのだろうか。

小池批判への強権的脅迫

冒頭で掲げた「カイロ大学声明」による都知事選への介入も、軍閥系DMCの目的と同じだと考えればわかりやすい。“100%エジプト人”の要人・小池知事を攻撃する日本メディアは、エジプトを攻撃したと同然とみなされているのだ。

では、都知事選への介入を認める一連の記事の中には一体なにが書いてあるのか。各記事に共通する箇所と主要な論点を抜粋する。


「小池東京都知事は、7月5日に迎える都知事選において、危機に瀕している」


「現都知事の反対勢力はその都知事戦を前にして、小池百合子氏に対し、疑惑キャンペーンと闘争を展開中である」


「都知事の反対派たちは、小池氏が取得した学位はカイロ大学に認められていないという情報を日本のメディアにリークしてきた」


「反対派の見解では、小池氏はカイロ大学の学位を取得していない、または、卒業証書はカイロ大学のものと異なるというものだが、それは真実に反する」


「カイロ大学は声明を発表し、日本のエジプト大使館がホームページでそれを公開したとおり、小池百合子氏は1976年、文学部社会学科を卒業しており、卒業証書に対し、日本のメディアが疑念を呈したことを非難した」


「カイロ大学はこれらの疑念に対して、法的な対抗措置を検討している。カイロ大学は世界でもっとも権威ある大学の一つであるから、こうした非難を無視することはできない」


「(声明を発行した)カイロ大学は(取材に対し)コメントを拒否しながらも、エジプト共和国の日本における公式代表であるエジプト大使館の発表した内容のどおりだと認めた」

現地メディアが解説してくれたように、カイロ大学の声明の意図は誰の目にも明らかである。小池氏の学歴を検証し、疑念を呈する者はみな都知事の反対勢力とみなし、小池氏に代わってエジプトが国家として、対抗措置をとるとの強権的な脅迫である。

「本声明は、一連の言動に対する警告であり…」と、もとの声明文にもその本意が書き込まれている。

脅しに屈してしまった都議会自民党

見え透いた脅しに聞こえるだろうが、効果は抜群である。この見え透いた脅しこそ、もっとも心理的な抑圧効果を生むというのが、エジプト国家情報部が得意とするプロパガンダ戦の基本である(小池氏と同居していた、情報部の創始者ハーテム著『プロパガンダ:理論と実践』未邦訳)。

実際、脅しの効果は抜群であった。小池百合子都知事の反対勢力である都議会自民党は「小池氏のカイロ大卒業の証明を求める決議案(6月9日)」を取り下げたのだ(6月10日)。

その理由として、川松真一朗都議は「声明直後に決議を出せば、僕らはエジプトと闘うことになる」(6月10日日刊スポーツ)と語ったが、まさにエジプト国家情報部の思うツボである。川松氏は「間違ったメッセージのようにとらえられかねず、冷静に判断した」と続けるが、それは脅しに屈した者が発する常套句そのものだ。

元々、尋常ではない脅迫メッセージを発したのはエジプト側であり、小池氏の学歴詐称疑惑(筆者の結論では、学業の実体はないが、ハーテム情報相の権力による超法規的な卒業証書保持者)はむしろ深まったと解釈するのが知性だが、それを吹き飛ばすのがプロパガンダである。カイロ大学声明が出たのは、決議案が出された同日の夜という絶妙なタイミングだった。現地メディアが報じたとおり、まさに「危機に瀕する東京都知事を救うための介入」に成功したのだ。

ここで日本の国益にとって問題となるのが、助け舟を出したエジプト軍閥への見返りは何か。借りを作ってしまった小池氏が何を差し出すかである。

この点についても、小池氏は自ら現地メディアの取材の中で何度も答えを示してくれている。

一例として、小池氏が環境大臣に就任後に受けた現地紙でのインタビュー記事をとりあげる。


「エジプトは私に対し、長い間、投資してきたと思っています。今では私への投資が有益で、成功であったことがはっきりしています。そうだよね!(筆者注:原文でエジプト方言の口語体での発言であることを強調して)」

隠喩的な表現なので、わかりやすく言い換えよう。ハーテム情報相を通じてえたカイロ大学の超法規的な卒業待遇というエジプト軍閥からの借りに対し、私は十分に見返りを果たしてきたと自負する発言だ。つまり、小池氏とエジプトは貸し借り関係にあり、過去の借りを国会議員になってから何らかの形で清算してきたという意味にとれる。

上の発言につづき、小池氏はこう述べる。


「日本は、環境分野を含む多くの協力分野でエジプトを支援しています(中略)神が望めば、エジプトは将来、さまざまな地域で日本からの協力プロジェクトを目撃することになるでしょう」(アハラーム紙2004年3月2日)

日本政府の大臣という要職に就き、小池氏はようやく包み隠さず、エジプトへの経済支援=見返りを現地の政府メディアでお披露目できるようになったのだ(その後の小池氏の見返りの詳細については、次回の記事で触れる)。

エジプト軍閥にとってみれば、今後、さらに利用価値が高まる「日本初の女性首相候補」と呼ばれる小池氏の都知事再選に助け舟を出すことなど、お安い御用だったというわけだ。

(続く)

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エジプト軍閥の“子飼い"小池百合子の運命 屮イロ大学声明」を出した組織の正体(特別寄稿)

エジプト軍閥の“子飼い"小池百合子の運命 屮イロ大学声明」を出した組織の正体(特別寄稿)
http://agora-web.jp/archives/2046773.html
2020年06月24日 06:02

浅川 芳裕

JBPressに寄稿したカイロ大「小池氏は卒業生」声明の正しい読み解き方では、小池百合子都知事がエジプトの軍閥に握られた弱みについて書いた。

その弱みとは小池氏がエジプト軍閥の犹匯瑤ぁ匹箸覆蝓▲イロ大学の狡極ゝ的”卒業枠を得たことである。その結果、軍閥が掌握する権力構造に組み込まれてしまった。


学歴詐称で済まされない問題の核心は何か

その軍閥の最上層部に位置するのが「エジプト革命評議会」とその後継者たちであり、1954年の「カイロ大学粛清事件」以来、大学を支配下に置いている。そして、革命評議会の情報・文化・メディア責任者、ムハンマド・アブドゥルカーデル・ハーテム氏こそが、小池氏がエジプトに滞在した1970年から亡くなる2015年まで、彼女の後ろ盾であった。

ハーテム氏を“エジプトのパパ”と呼ぶ小池百合子(左) 小池百合子と同居し、“子飼い“にしたエジプト元情報相ハーテム氏(右)出典:http://gate.ahram.org.eg/Media/News/2013/7/25/2013-635103778659760857-976.jpg

後ろ盾を引き継いだのがシシ大統領であり、その傘下のエジプト国家情報部である。シシ大統領は、ハーテム氏から見れば、軍人時代の弟分タンターウィー(元国軍総司令官、2013年の軍事クーデター後の国家元首代行)の部下、つまり孫弟子にあたる人物だ。情報部はといえば、元々ハーテム氏が創設した組織である。

その裏付けとして、ハーテム氏が最高執行委員を務めていた政府系新聞アハラーム紙の記事を同記事では一部示した。今回、さらに細部にわたり分析していく。

そして問題の核心は、後ろ盾に対する見返りが何かということだ。単なる一知事の「学歴詐称」では済まされない、日本の国益にかかわる問題である。その核心について、現地メディアにおける小池氏の発言から解明していく。

まず、小池氏とハーテム氏の関係を振り返っておこう。


小池氏とハーテム氏の関係を“政府系新聞”から読み解く

政府系新聞アハラーム紙の記事(2016年8月3日付)で「小池氏は非常に特殊な女性である。ハーテム情報大臣の支援を受け、彼女は社会学科を卒業。彼は小池を自分の子供のようにみなしていた」(抜粋)とある。

小池氏自身も同紙インタビューで、ハーテム氏は「私のエジプトのパパ」「私のスピリチュアル・ファーザー(守護者)」などと複数回、語っている。

例えば、2004年3月2日付けのアハラーム紙では「カイロ大学時代の教授陣(複数形)は?」の質問に対して、「私の教授はアブドゥルカーデル・ハーテム博士で、私にとってエジプトの父です」と答えている。

普通、教授陣の名を聞かれれば、専攻学科(小池氏の場合、社会学科)の恩師や少なくとも印象に残っている先生について語るものだが、小池氏は違う。カイロ大学の教授ですらないハーテム氏の名をあげるのみだ。

ハーテム氏は当時、エジプトの副首相(情報担当)であったが、2人は一体、どういう関係だったのか。

「ハーテム氏に面倒をみてもらい、小池氏はカイロでの留学中のかなりの期間、ハーテム家で家族と子供たちと住んでいた」(アハラーム紙2011年9月3日付)

つまり、同居していたのだ。小池氏が1976年、カイロを後にしたのちはどうなったのか。アハラーム紙が記録に残している。

「ハーテム氏と学生から政治家、そして大臣になった彼女の関係は、カイロの地で途切れたわけではない」(同上)

「彼女はスピリチュアル・ファーザーと呼ぶハーテム博士(中略)と常に連絡を取り合ってきた」(同)

「小池氏は2003年2月から日本の環境大臣であり、日本の内閣でイスラム教の寛容性を説いているとハーテム博士に語った。博士は彼女から連絡を受けることをうれしく思っている」(アハラーム紙2004年6月21日)

「(小池氏が今回、カイロにきたのは)ハーテム博士から(2011年)8月に掛かってきた電話でのリクエストがあったからだ」(同紙2011年9月3日付)

「彼女は学生時代に過ごしたハーテム家で家族や孫たちと再会した」(同上)

「そこで小池氏は、ハーテム博士に対して、エジプトやエジプトの友人のために奉仕するプロジェクトを話題にした」(同)

以上が、小池氏はハーテム氏の“後ろ盾”で卒業、その後も二人の関係は継続し、エジプトに何かしら貢いでいたことをエジプト政府(系新聞)が公認した内容である。


「カイロ大学の声明」を出した組織の正体とは

公認といっても、所定の学業を修めたという普通の意味での卒業ではない。卒業と記すアハラーム紙はハーテム氏が最高執行委員を務めていた新聞である。

もちろん、ただの新聞ではない。彼が創設したエジプトの国家情報部の従属下におかれた「政治機関である」(国家情報部ウェブサイト上の『ハーテム回想録 10月戦争政府の首長』紹介ページ。筆者注:第四次中東戦争のこと。ハーテムは戦時中、首相代行を務めた)。記事はすべて、政治的意図をもって書かれた声明なのだ。

カイロ大学と国家情報部———この権力構造を裏返せば、真相が浮彫りになる。“小池氏の卒業”とは、カイロ大学ではなく、国家情報部の公認という意味になる。では、国家情報部の上部機関はどこか。エジプト大統領府、つまり、軍閥のトップ・シシ大統領である。カイロ大学長の任命権は誰にあるか。同じく、シシ大統領である。

この権力のピラミッド構造がわかれば、さらには、6月8日に出された「カイロ大学の声明」を出した組織の正体、そして声明の真の意味が読み解ける。

声明の全文を引用しておく。


「カイロ大学は、1952年生まれのコイケユリコ氏が、1976年10月にカイロ大学文学部社会学科を卒業したことを証明する。卒業証書はカイロ大学の正式な手続きにより発行された。遺憾なことに、日本のジャーナリストが幾度もカイロ大学の証書の信憑性に疑問を呈している。これはカイロ大学及びカイロ大学卒業生への名誉棄損であり、看過することができない。本声明は、一連の言動に対する警告であり、我々はかかる言動を精査し、エジプトの法令に則り、適切な対応策を講じることを検討している」

この声明は、大学公式サイトではなく、外交ルートである在京エジプト大使館のフェイスブックに掲載されたものだ。注目すべきは後段である。「本声明は、一連の言動に対する警告」と目的がはっきり書かれている。卒業証明ではない。その根拠を一切示さず、証書の信憑性に疑問を呈する“日本のジャーナリストへの脅迫”目的の声明なのだ。

外国ジャーナリストを取り締る権限のあるエジプトの管轄官庁といえば、どこか。答えは国家情報部である。軍閥専制国家であるエジプトにおいて、越権行為は許されない。カイロ大学は声明の“表の顔”に過ぎないというわけだ。


政治的な意図が明白だった大学の声明

では何のために、声明の正体“裏の顔”である国家情報部がこんな声明を出すのか。“学歴詐称”がバレ、窮地に陥った“子飼い”の小池氏を都知事選に再選させるためである。陰謀論じみて聞こえるだろうが、そう言っているのは私ではない。国家情報部のコントロール下にあるエジプト現地メディアの報道である。

声明発表の3日後、6月11日に一斉に報じられた記事の見出しをいくつか紹介する。

「カイロ大学、小池都知事のために都知事選に‟点火”」(ウェブ報道サイト「アルバラド」)

「カイロ大学、危機に瀕する東京都知事を救うために介入」(同「アハバーラック」)

「カイロ大学、都知事の卒業証書を認めない日本メディアに対し法的手段で脅迫」(政党系日刊新聞「アルワフド」ネット版)

“カイロ大学”声明とは、事実の公表ではなく、政治的な意図があることが明白になった。知事再選に助け舟を出し、小池氏に恩を売りつけるためである。

この政治声明に歩調を合わせ、小池氏は「(卒業の)ひとつの証になるかと思う」(6月9日)ととぼけるが、その見返りは何なのか。そして、エジプト国家情報部の正体とは…。(続く)

※本原稿のもとになった内容は筆者の浅川芳裕氏のツイッター@yoshiasakawaのスレッドにまとめられている。


浅川 芳裕 ジャーナリスト、『農業ビジネス』編集長
1974年、山口県生まれ。エジプトの私立カイロ・アメリカン大学(1992年〜93年)、国立カイロ大学文学部セム語専科(1993〜95年)で学ぶ。著書は、世界を変えたカイロ大学の建学思想を読み解く『カイロ大学 “闘争と平和”の混沌』(ベスト新書)、『ドナルド・トランプ 黒の説得術』(東京堂出版)、『日本は世界5位の農業大国』(講談社+α新書)ほか多数。訳書に米上院議員ランド・ポール著『国家を喰らう官僚たち―アメリカを乗っ取る新支配階級―』(新潮社)がある。
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40年前、私に学歴を「詐称」した小池都知事:舛添 要一:国際政治学者

40年前、私に学歴を「詐称」した小池都知事
https://news.yahoo.co.jp/articles/4f3d9333dc265e3653b5010daf94dc2575cdc131
6/20(土) 6:01配信
JBpress

 (舛添 要一:国際政治学者)

 17日に、通常国会が閉幕した。コロナに始まり、コロナに終わった国会であったが、任期を延長した黒川検事長が辞任し、検察庁法改正案も廃案になった。さらに、18日には、河井克行・案里夫妻が公職選挙法違反の容疑で逮捕された。安倍政権の退潮を印象づける出来事である。

【写真】6月15日、記者会見で小池百合子都知事が報道陣に公開した卒業証書(右)と卒業証明書

 18日には東京都知事選が告示された。現職の小池都知事、元日弁連会長の宇都宮健児氏、熊本県の元副知事の小野泰輔氏、れいわ新撰組代表の山本太郎氏、NHKから国民を守る党代表の立花孝志など、22人が立候補した。

 小池候補は実質的に自民党、公明党の支援を受け、労働組合の連合からは正式に支持を取り付けている。立憲民主党、共産党、社民党は宇都宮候補を支援し、日本維新の会は小野候補を推薦している。山本太郎氏の立候補によって、野党票が一本化されなくなった。

 このような状況下では、小池都知事の再選が確実視されており、盛り上がらない選挙となりそうである。梅雨の時期でもあり、また、投票所での感染を恐れて選挙に行かない有権者も増えるのではなかろうか。消化試合のような選挙なら、そうなるのも致し方ない。

 ただここで、作家の黒木亮氏らが問題にしている小池都知事の学歴詐称問題について、私自身が知っていることを記しておく。

■ 「首席で卒業というのは、学生が一人だったから」

 私は、フランス、スイス、ドイツなど、ヨーロッパ諸国での勉強を終えて、1978年に帰国した。そして、母校の東大で教鞭をとりながら、執筆活動やテレビ出演などをこなした。

 1981年にフランスで社会党のミッテラン大統領が誕生し、日本でもフランスの政治に関心が高まり、専門家である私に解説などの仕事が多数舞い込んできた。竹村健一氏のテレビ番組にも呼ばれ、そこでアシスタントとして活躍していた小池百合子を紹介された。

 「エジプトのカイロ大学を首席で卒業した」才媛ということだったので、凄い人がいるものだと驚いた。小池氏は、1982年には、『振り袖、ピラミッドを登る』という本を出版したが、私も本人のサイン入り著書を頂戴した。

 残念ながら、現物は手元には見つからないが、その本の略歴案には「1971年、カイロ・アメリカ大学・東洋学科入学(翌年終了)。1972年、カイロ大学・文学部社会学科入学。1976年、同卒業」とある。その本も読み、ますます素晴らしい女

私は、1970年代にパリ大学の大学院に籍を置いてフランス現代史の研究を行っていたが、フランスの博士号には「国家博士号」と「大学博士号」の二種類があった。後者は、旧植民地のアフリカ諸国などから留学する学生用に、少し審査基準を緩くした博士号である。前者は全く格が異なり、完璧なフランス語で高度な内容の博士論文を書かねばならないが、合格するとフランス国籍を取得できる。

 ヨーロッパから帰国したばかりの私には、外国の大学で、母国語でない言葉を操って首席で卒業するというのは、想像を絶することであった。驚愕する私に対して、彼女は笑いながら、「首席で卒業したというのは、学生が一人だったからなの」と説明した。

 彼女はカイロ・アメリカン大学での語学研修を1年で終了し、(父親のコネを使って)カイロ大学の2年に編入し、アラビア語を使って勉強し、トップで卒業したという触れ込みなのであった。私も、グルノーブル大学でフランス語に磨きをかけた後、パリ大学に移ったので、語学研修→専門分野の本格的な勉強というコースは理解できる。私の場合、パリ大学大学院への正式登録が既に終わっており、少しでもパリでの勉強が捗るように、夏休みの7、8月を語学研修に充てたのである。

 小池氏の略歴のうち、「カイロ・アメリカ大学・東洋学科」というが、「東洋学科」は存在しない。もちろん、当時の私がエジプトに詳しいわけでもなく、どのような学科が存在するかなど、知りようもなかった。また、「学生が一人」というのも、発展途上国の大学ならそんなこともあるのかと思い、彼女の言葉を信じたのである。

■ 会見でさらりと「首席」を否定

 しかし、「学生が一人だけ」というのも、真っ赤な嘘であることは、下記に引用するように、後に彼女自身が記者会見で否定している。また、「首席」というのも虚偽であった。

 2018年6月15日の都知事記者会見では、小池氏は次のように説明している。

 【記者】では、首席卒業されたということは、はっきりと断定はできない、難しいというところがあるということでしょうか。

 【知事】非常に生徒数も多いところでございますが、ただ、先生から、「非常に良い成績だったよ」とアラビア語で言われたのは覚えておりますので、嬉しくそれを書いたということだと思います。

 この会見では、「首席」ということを事実上否定している。さらに問題なのは、「非常に生徒数も多い」と述べていることである。私には、「学生は一人だった」から「首席」だと説明している。

 これは、私の聞き間違いでも、記憶ミスでもない。私は、日本人の中ではフランス語能力は高いほうだと思う。妻がフランス人だったので毎日フランス語しか使っていなかったが、それでも、パリ大学では私が首席には絶対になれないことを痛感した。フランス語が母国語ではないからである。

 「才媛」小池氏と凡人の自分を比べて、内心忸怩たるものがあったからこそ、今でも、その当時の彼女の説明を昨日のことのように明確に覚えているのである。

 40年近く、私は嘘の説明を信じ込まされていたのである。彼女の言を信じていただけに、不愉快である。個人的な感情はさておき、学歴などについて嘘をつくことは、公職選挙法上の虚偽事項公表罪に相当する。
 都知事選挙が始まる前に、カイロ大学が1976年に小池氏が同大学を卒業したという声明を出したが、これは政治的な工作の疑いが濃厚で、ますます疑惑が深まっている。彼女が国政の場に復帰し、政権に参画すれば、日本外交は成り立たなくなるだろう。

 東京都は都市外交は可能であるが、国の外交は政府の専権事項である。エジプト政府に弱みを握られた以上、国家安全保障に関わる由々しき問題となる。都知事として再選されるだろうが、今回、黒木氏らが呈した疑問にきちんと答えないことは、彼女の国政復帰の道を完全に閉ざしたとことを意味する。40年以上にわたって嘘をつき続けてきたことの代償は、彼女にとっても大きなものとなろう。

■ 小池都政下で停滞した東京の地位

 一方で、東京都政がどうでもよいものでも、軽んじてよいものでもない。日本国の首都であり、政治や経済の中心地である。海外から見ると、日本の最高権力者は首相で、2番目が都知事である。私が都知事のときも、今回、小池氏のためにカイロ大学に声明を出させたと思われるエジプト政府の最高権力者、シーシー大統領をはじめ、首脳クラスの要人が多数会談を求めてきた。

 その東京が停滞している。世界の都市ランキングは、1位ロンドン、2位ニューヨーク、3位パリ、4位東京だったが、私が都知事のときに諸施策を動員して、パリを追い抜き、3位に躍り出た。ところが、小池都政4年間で、また4位に転落している。

 その最大の原因は都市計画の不在である。東京が100年輝く都市であるためには、常にリフォームし続けなければならない。私たちが住む家と同じである。建築当時には最先端の建物であっても次第に時代遅れになっていく。そこで、新技術や新素材を活用するリノベーションが不可欠なのである。


 私が都知事のときには、30年のローテーションで地区ごとにリフォームをするプランを進めた。渋谷は、リフォームがほぼ終わりつつあり、新しい街に生まれ変わっている。東京駅丸の内口は素晴らしい広場ができ、皇居と対になって東京の表玄関となっている。今から八重洲口側がさらに変貌を遂げる。品川駅と田町駅の間に新駅「高輪ゲートウェイ」ができ、これからさらに開発が進む。

 次は、新宿と池袋のリフォームに着手しなければならないのだが、小池都政からは何のプランも発表されていない。パリを改造したオスマン男爵や関東大震災後の帝都を復興させた後藤新平のようなグランドデザインを持つ都市計画の達人が今の東京には必要である。

 私が辞任後、都市計画が全く進展していないことが悔やまれてならない。このままでは、東京の都市ランキングはさらに下がっていくであろう。

■ パフォーマンス最優先で乏しい実績

 パフォーマンス、外国語を乱用する口先だけのスローガンで、どれだけ都政が停滞したか分からない。豊洲市場移転、東京五輪競技施設移転などをでっち上げ、多くの関係者に迷惑をかけ、都民の税金を無駄に使ってしまっている。結果は、何もかわっていない。

 コロナ対策も、後手後手に回り、「ロックダウン」や「東京アラート」など意味の無い言葉と対策の連続であった。経済対策にしても、これまで積み立ててきた財政調整基金、つまり貯金の9500億円はほとんど使い切ってしまった。近隣の諸県が羨むように、東京は金持ちであり、休業補償のための感染拡大防止協力金などをふんだんに支給できる。極論すれば、小池都知事の手腕ではなく、潤沢な都の財源のおかげで成果が上がっているのである。ただし、再選後には、財政再建という重い荷物を背負うことになる。

 東京五輪についても、主催都市のトップでありながら、IOCからは十分な情報を提供してもらえず、いつも蚊帳の外の状況である。延期に伴う必要経費は5000億円くらい必要だと私は見積もっているが、この財政難のときに、どうやってそれを調達するのであろうか。

 嘘で始まった小池氏の政治家人生の集大成が、東京都の破綻では話にならない。

 <お知らせ>
舛添要一YouTubeチャンネル『舛添要一、世界と日本を語る』でも、最新の時事問題について鋭く解説しています。

舛添 要一


★追加情報★

カイロ大「小池氏は卒業生」声明の正しい読み解き方
都知事選を前にエジプト軍閥が切った外交カード
2020.6.12(金) 鶴岡 弘之

*最後の部分だけ載せます。
JBpressサイトで全文お読みください。

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60884?page=6

 これらのエジプト政府系新聞の記事から言えるのは、ハーテム氏がカイロ大入学時から卒業(どんな形の入学や卒業であれ)まで小池氏の面倒をみたこと、そして、その後も両者の関係は何十年も続いていたことです。少なくとも、それが国家の公式声明なのです。

エジプト軍閥が切った外交カード

──だんだんきな臭い話になってきました。小池氏の学歴(詐称)の深層はどう読み解けばいいのでしょうか。

浅川 現在、軍事独裁政権トップであるシシ大統領がカイロ大学長ならびに各学部長の任命権を持っています。ハーテム氏からみれば、このシシ大統領は、ハーテム氏の軍部時代の弟分タンターウィー(元国軍総司令官、2011年の革命後の国家元首代行)の部下、つまり孫弟子にあたる人物です。

 都知事就任時に真っ先に祝電を出したナサール元学長にしても、大統領からの任命(無選挙)で知事になっています。学長(学者)は権力のトップには就けないが、大学の自治や民主化運動弾圧などでうまく立ち回れば、知事や軍閥企業社長などに天下りできるのです。

 カイロ大学を代表して日本のメディア対応をする日本語学科の学科長も、軍部の息のかかった学長の任命です。つまり、これまで日本のメディアからの取材に対し、小池氏を卒業生として認めたり、都知事就任を祝福した学長、文学学部長、学科長らは同じ穴のムジナなのです。

 小池氏の学歴偽証については長年、疑惑が出てきては、日本からのメディアの取材に対して、カイロ大学が卒業を認めることを繰り返しては収束してきました。その背後には、こうした小池知事のハーテム人脈を頂点するエジプトの軍部・情報部と大学の権力階層構造があるわけです。

 そして今回ついに、エジプト軍閥が都知事選を前に外交カードを切ってきた。長年、“子飼い”にしてきた小池都知事の“卒業証明”について、大使館を通じ声明を発表したというわけです。見かけ上はカイロ大学長の文書ですが、彼は独裁者シシを筆頭にする軍閥のお飾り御用学者にすぎません。声明が大使館という国家間外交ルートから出されたことも、その傍証です。

 この世には、冒頭で述べた“超法規的な”殺害があるように、“超法規的な”卒業というものが存在するのです。

 学歴詐称の疑惑の先にある、真の問題は、今回の声明への見返りが何かということです。

 小池氏はこれまでハーテム人脈の権力構造により、特別待遇を受けてきた。その恩に加え、小池氏は、学歴詐称疑惑の渦中で迎える都知事選の直前、エジプトの軍閥から助け舟を出された格好です。

 エジプト上層部・カイロ大学側にしても、何のメリットもなければ、いくらハーテム人脈といっても長年、わざわざ小池氏を擁護する理由はありません。これは、日本の国益にとって、より本質的な問題といえます。

 この問題は、学歴詐称よりさらに深刻なことは明白です。

 エジプトの軍部・情報部に借りがあり、弱みを握られた日本人が現職の東京都知事、そして「日本初の女性首相」候補だったとしたら・・・。

◎浅川 芳裕氏(@yoshiasakawa)
 1974年、山口県生まれ。ジャーナリスト。エジプトの私立カイロ・アメリカン大学(1992年〜93年)、国立カイロ大学文学部セム語専科(1993〜95年)で学ぶ。アラブ諸国との版権ビジネス、ソニー中東市場専門官(ドバイ、モロッコなど)、『農業経営者』副編集長などを経て『農業ビジネス』編集長。著書は『日本は世界5位の農業大国』(講談社+α新書)、『ドナルド・トランプ 黒の説得術』(東京堂出版)、『カイロ大学』(ベスト新書)ほか多数。訳書に『国家を喰らう官僚たち―アメリカを乗っ取る新支配階級―』(新潮社)。中東・イスラム関連記事では『「イスラム国」指導者の歴史観』『なぜ増える? イスラム教への改宗』(いずれも『文藝春秋スペシャル』)などがある。

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『女帝 小池百合子』はまだ読んでないけど、必読書に思えてきた今日この頃

本『女帝 小池百合子』はまだ手に入らない。

増刷を待っている状態だ。

ネット上では、この本を読んだ人たちの情報が

次から次へと上がっている。

以下で紹介したい半田滋さんの書かれたものも

たいへん興味深く読んだが、最後の締めでは

すでに新たな展開が、現実には展開していて

情報についていくのがたいへんだ。

いまや『女帝 小池百合子』は私にとっては、必読書となった。

しかし、お腹のそこでは、小池百合子に振り回されてはなるものか

と思う今日この頃である。


★小池百合子氏「たった55日の防衛大臣」時代に起こした大混乱の真相(現代ビジネス)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/73248
救世主として現れ、怪物として去った

半田 滋

防衛大臣時代からの「怪物ぶり」

『女帝 小池百合子』(石井妙子・文藝春秋)を読了した。政界を上り詰め、今は東京都知事の職にある小池氏。その等身大の姿を描いた渾身のノンフィクションだ。

短い期間とはいえ、防衛相と記者という立場で小池氏と接した私の読後感は、共感を意味する「やはり」のひと言に尽きる。

小池氏が防衛相の職にあったのは、わずか55日間だったが、身近で見た小池氏の姿は『女帝』に描かれた人物像とぴたり重なる。帯に書かれた「救世主か? “怪物か”」との言葉通り、救世主として防衛省に現れ、“怪物”として去って行った。

お膳立ては揃っていた。

前任の久間章夫防衛相は講演会で、米国が広島と長崎に原爆を投下したことについて、「あれで戦争が終わったんだという頭の整理で、今しょうがないなと思っている」と述べた、いわゆる「原爆しょうがない」発言の責任を取って辞任した。これを受けて、小池氏は2007年7月4日、第一次安倍晋三政権下で防衛相の職に付いた。

当時の防衛省は、アフガニスタン攻撃に向かう米軍艦艇などへ自衛隊が燃料を洋上補給するテロ対策特別措置法の期限が10月に迫り、米国から延長を迫られていた。また前年、日米で合意した辺野古新基地をめぐり、沖縄の強い反発を招いてもいた。

徐々に民主党が勢いづき、これまでの防衛政策が維持される保障はなかった。

こうした難題を抱えたうえ、もともと硬派なイメージの防衛省。そこへ初の女性大臣である。


言葉は多いが、よくわからない

テレビキャスターから政界入りし、細川護煕、小沢一郎、小泉純一郎といった有力者に接近しては出世のステップを駆け上がった。「政界渡り鳥」の悪評があったものの、一方で「男たちの嫉妬はすごいからね」と話し、小池氏に期待する防衛官僚もいた。

防衛相に指名され、白のスカート・スーツで官邸に現れた小池氏は、皇居での認証式には濃紺のドレスに着替え、防衛省への初登庁には黒のパンツ・スーツと2度のお色直しをする気合の入れようだった。

午後6時42分から防衛省10階の会見室であった就任の記者会見。前任者が原爆発言で退任したこともあり、米国による原爆投下についての感想を求められたが、小池氏は「歴史の評価については、歴史家に任せたい」「人道的には認められない事は明らかです」とあいまいな答えに終始した。

言葉は多いものの、中身がわかりにくいため、再質問となり、その回答がまたわからないので再々質問をする、といったループ状態に陥り、就任会見は51分という異例の長時間におよんだ。

明快に答えたのは、記者の質問が小池氏の背景にある世界地図に及んだときだ。前日まで背景は、青いカーテンだった。

小池氏は「このカーテンがちょっとくすんで見えて。テレビ出身なもので、すみません。でも、やっぱり、世界の中の日本、日本の安心安全を国民に対して伝える上でですね、こうやって世界をバックにしながら伝えるというのも一つのメッセージになるのではないかと思っております」とよどみなく答えた。

防衛省の記者会見は、防衛相と陸・海・空・統合各幕僚長の5人による定例会見が日替わりで行われる。小池氏の指示で5種類のスクリーンが用意され、毎回、それぞれの会見に合わせて掲示されることになった。もっとも、防衛相用のスクリーンはその後世界地図ではなく、「防衛省」の文字とシンボルマークになったが…。これらのスクリーン掲示は、現在の会見でも続いている。

これを功績と呼ぶなら、小池氏が残した功績のひとつには違いない。大食堂の割り箸を使い回しができる箸にしたことや、大臣専用車をハイブリッド車に替えたことなどの小さな功績は、片手だけで数え上げることができる。


「防衛省の天皇」を排除した

小池氏が引き起こした最大の “事件” は、「防衛省の天皇」と呼ばれた守屋武昌事務次官に退官を申し付けたことだろう。これに反発した守屋氏による「小池vs守屋」の対決は、官邸や自民党を巻き込んだ大騒ぎに発展する。

2007年8月6日、東京湾に浮かぶ海上自衛隊特務艇「はしだて」で小池防衛相が主催する洋上懇談会が開かれた。局長以上の防衛官僚や陸海空統合各幕僚長らが出席する、記者との意見交換会だ。

晴海埠頭を出港し、レインボーブリッジをくぐったところで引き返す1時間半のクルーズは、相手に逃げ場がなく、記者にとっては絶好の取材機会でもあった。

ところが、時間になったのに「はしだて」は出港しない。自衛隊幹部は「大臣待ち」と言って、埠頭に止まっていた大臣専用車を指さした。車内の小池氏は携帯電話を握り、厳しい表情で話し込んでいる。結局、大幅に遅れて「はしだて」は出港した。

小池氏は政治部記者に囲まれ、私は話をする機会がなかったが、下船する直前、握手を求められ、「あなたが半田さんね」と声を掛けられた。社会部記者は自衛隊制服組の取材を担当し、防衛相を直接、取材することはめったにない。

面はゆい気持ちになったが、私は翌朝、毎日新聞を見て、仰天する。「守屋事務次官退任 後任に西川氏」と1面にあったからだ。書いたのは洋上懇談会に出席していた同紙の政治部記者。小池氏によるリークは疑いようもなかった。


「ものすごい野心」

事務次官人事は、正副官房長官による閣議人事検討会議を経る必要がある。だが、小池氏はその手続きを踏んでいなかった。新聞で内示される形になった守屋氏は、次官室に西川徹矢官房長を呼び出し、「お前は知っていたのか、恥を知れ!」と怒鳴り上げ、大臣室に向かった。

「あなたには辞めてもらいます」「なぜ相談がなかったのか、納得できない」押し問答の末、守屋氏は官邸へ駆け込んだ。防衛省と官邸に激震が走る中、夕刻になると小池氏は予定通り、米国への外遊に出発した。

8月9日、10日の2日間で小池氏が面談した米政府関係者は、チェイニー副大統領、日本通で知られるアーミテージ元国務副長官、ゲーツ国防長官、ライス国務長官の4人。民間の保守系シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」では講演までこなした。

防衛相の訪米といえば通常、カウンターパートである国防長官との会談のみで終わる。直接関係のない副大統領や国務長官とも会った防衛相は、小池氏が初めてだ。

ライス国務長官との面談で、小池氏は「私は『日本のライス』と呼ばれています。私のことを『マダム寿司』と呼んではどうでしょうか」と英語で意味不明のスピーチをしている。そもそも小池氏を「日本のライス(長官)」と呼ぶ人などいない。高揚感から思わず口走ったのだろうか。

当時、首都ワシントンで取材した特派員の一人は「ものすごい野心家だと思った。将来、首相になるには、米国のだれと会って自分を売り込めばよいのか、その視点で日程を組んでいた」と振り返る。

だが、帰国した小池氏に官邸も、自民党も冷ややかだった。守屋氏との問題を放り投げるようにして訪米し、米国の高官相手に存在感をアピールした。やりたい放題と見えたのだろう。8月27日の内閣改造で大臣ポストに小池氏の名前はなかった。


世界一心のこもっていないあいさつ

翌28日、防衛省で小池防衛相の離任式があった。小池氏は解任に抵抗した守屋氏について、「私の真意をくみ取り、防衛省・自衛隊のあるべき姿について、まさに叫びとして受け止めさせていただいた」と述べ、あてこすった。

対する守屋氏は「送別の辞」で、「本日をもって大臣が防衛省を離れられることは誠に寂しい限りですが、大臣の残された業績の上に立ち、新大臣の下、一丸となって職務に励む所存です。小池大臣のご活躍とご発展を祈念します」と淡々と語った。「世界一心のこもっていないあいさつ」として防衛省の語り種になっている。

守屋氏はこの3日後の8月31日に退官した。さらに3カ月後に、東京地検特捜部に収賄容疑で逮捕された。この逮捕を受けて、私は小池氏が捜査情報を察知して、安倍政権のマイナスにならないよう「現職次官の逮捕」ではなく、「元次官の逮捕」とするべく、先手を打ったのだとポジティブに考えていた。

しかし、『女帝』を読むと、このタイミングで守屋氏に引導を渡したのは、完全な権力闘争、さらに言えば小池氏の権力誇示であったことがわかる。

『女帝』の中で守屋氏はインタビューに答え、辺野古新基地をめぐり、環境大臣だったころの小池氏と意見の対立があったことを明らかにしている。

だが、小池氏は防衛相の就任会見で、沖縄の政財界から出ていた辺野古新基地案を見直して沖合移設案とすることについて聞かれ、「それをまた始めますと、時間との関係もございます」と述べ、政府案通りとすることを示唆している。つまり、守屋氏の考えに小池氏が寄せたのだ。

沖合移設案に理解を示していた環境大臣のころと態度を一変させたことに対し、沖縄では失望感が広がった。大城敬人名護市議は「小池氏はタカ派で安倍政権の最も忠実なる実行者。地元の声を無視し、久間さんよりもっと強硬に日米合意を推し進めるでしょう」(2007年7月7日、東京新聞「こちら特報部」)と述べている。

こうして振り返ると、防衛相に就任した後の小池氏と守屋氏との間に、辺野古新基地をめぐる確執はなかったことになる。

では、小池氏が守屋氏のクビを切ろうとした理由は何なのか。私には、事務次官職に4年という異例の長期にわたって居すわり、絶大な権力を握るに至った守屋氏の存在が邪魔だったからだ、としか思えない。

小池氏が防衛相になるより1年前の2006年5月30日、当時の小泉純一郎首相は、辺野古新基地案を含む米軍再編に「特別な功労があった」として、自らの訪米に守屋氏を同行させた。外務事務次官でさえ首相に同行した例はない。帰国した守屋氏は上機嫌で訪米の写真集を大量に作らせ、関係筋に配布したほどだ。

小池氏は、自分が小泉氏の全面的な支援を受けたのと同じように、小泉氏が守屋氏の後ろ楯になっていることに我慢がならなかったのではないだろうか。

防衛省でポイントを稼ごうとしても必ず、守屋氏のチェックが入る。小泉氏に不満を訴えたとしても「守屋と相談して、よろしくやってくれ」と言われるだけではないのか。そう考えたのではないだろうか。

小池氏は短い在任期間だったにもかかわらず、守屋氏との対立に加え、訪米やインドへの訪問もあり、まともに防衛政策を練る時間などあろうはずもなかった。しかし、常に記者には囲まれていた。

自らに不利な状況を察した小池氏が大臣辞任を表明したのも、日本からインドへ同行した報道陣の前だった。戸惑う記者が何度も聞き直すと、小池氏はイラつき、「私は辞めるって言ってるのよ! わかる?」と声を荒らげた。


都知事選を前に考えたい

『女帝』を読むと「なるほど」と思う。敵をつくり、その敵への憎悪を人々の中にも植えつけ、その憎悪のパワーを利用して自分への支持へとつなげていく手法を小池氏は繰り返した、とある。

東京都知事選の告示は6月18日。これ以上はないタイミングで超弩級のノンフィクションが出版されたと思う。

『女帝』は、「カイロ大卒」との小池氏の学歴について、カイロで2年間同居していた女性の新証言を含めて、多角的な視点から疑問を投げかけている。9日のテレビ朝日の報道によると、カイロ大当局は「小池氏が1976年に卒業したことを証明する」との声明を発表したという。

同様の声明は『女帝』にも出てくるが、学者らから「あまりにお粗末」(同)と指摘される、アラビア語はどうしたわけだろうか。一時は「カイロ大を首席で卒業」と主張した小池氏が「英語に置き換えれば『中一レベル』」(同)で話すはずなどないのだが。

小池氏は、私たちの信頼に足る政治家なのだろうか。学歴に関しては会見を開いて証拠を提示し、後顧の憂いをなくして、都知事選に臨むべきだろう。真実は情報の開示によってのみ、明らかにされる。
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小池都知事はカイロ大学を卒業していたか?

小池都知事はカイロ大学を卒業していたか?(デイリーBOOKウォッチ)
https://books.j-cast.com/2020/06/13011986.html
2020/6/13

 小池百合子・東京都知事の半生を描いたノンフィクション『女帝 小池百合子』(文藝春秋)が話題になり、なかなか書店で手に入らない。伝手をたどってなんとか入手した本書を読み、さまざまな「物語」に彩られた人物像に驚愕した。

 読者の最大の関心は「カイロ大学を首席で卒業した」とされる経歴の真偽だろう。そのことにふれる前に、著者の石井妙子氏とこの問題のかかわりについて言及したい。

 石井氏は1969年生まれのノンフィクション作家。白百合女子大学卒業、同大学院修士課程修了。伝説的な「銀座マダム」の生涯を描いた『おそめ』は、大宅壮一ノンフィクション賞などの最終候補となり、一躍注目された。『原節子の真実』で新潮ドキュメント賞を受賞。女性をテーマに手堅い取材で定評がある人だ。

カイロ時代の知人から手紙

 前回の都知事選(2016年)後に、月刊誌の依頼で小池都知事について取材を始めた。著書やインタビュー、対談の記事を読むうちに、話の辻褄が合わないことに気がついた。

 カイロ時代を知る研究者、ビジネスマン、マスコミ関係者らの口は重かったが、取材を重ね、「小池百合子研究 父の業を背負いて」(「新潮45」2017年1月号)、「男たちが見た小池百合子という女」(「文藝春秋」2017年8月号)、「女たちが見た小池百合子『失敗の本質』」(「文藝春秋2018年1月号」)を発表した。

 すると、カイロ時代に小池氏と同居していたという女性、早川玲子さん(仮名)から、「文藝春秋」編集部気付で石井氏に手紙が届いた。

 「小池さんがカイロ・アメリカン大学に、正規の学生として在学していたかは不明と言えます。カイロ大学は1976年の進級試験に合格できず、従って卒業はしていません。小池さんは『カイロ大学を卒業。しかも首席』という肩書を掲げて今日の栄光を勝ち得た訳ですが、私は彼女の自分語りを、あたかも真実のように報道している日本という国のメディアの浅薄さを感じずにいられませんでした」

 石井氏はカイロに飛び、当時の手帳、メモ、資料をすべて譲り受け、現地で調査。「文藝春秋」2018年7月号に「小池百合子『虚飾の履歴書』」を発表したが、反響は少なかった。1週間後に都知事会見でこの件が質問され、小池氏は「卒業証書もあり、カイロ大学も認めています」と答え、都議会で「法的な対応を準備している」と述べたが、今日に至るまで、石井氏は訴えられていない。

 こうした経緯を踏まえた上で本書は刊行された。100人を超える関係者の証言をもとに、以下の構成になっている。「序章 平成の華」「第1章 『芦屋令嬢』」「第2章 カイロ大学への留学」「第3章 虚飾の階段」「第4章 政界のチアリーダー」「第5章 大臣の椅子」「第6章 復讐」「第7章 イカロスの翼」「終章 小池百合子という深淵」。

 テレビキャスター、国会議員、都知事といかにしてステップを駆け上がって行ったかがわかる。

 中でも「卒業問題」にかかわるカイロ時代の生活ぶりが詳細に書かれている。小池父娘が当時、頼りにした浪速冷凍機工業(ナミレイ)元会長の朝堂院大覚(松浦良右)氏の証言が興味深い。

 「勉強に励んでいるようにはまったく見えなかった。親父の商売手伝ったり、空手の雑誌作ったり、そんなことしとったんだから。ワシはカイロ大は聴講生だと思っておったよ。勇二郎はワシにさかんに百合子を売り込んできよって、百合子もワシに近づこうとする。おそろしい親子だと思うた」

アラビア語の難解な文語で講義

 ところで、カイロ大学とはどういう大学なのか。BOOKウォッチで以前紹介した浅川芳裕氏(同大学中退のジャーナリスト)の『カイロ大学』(ベスト新書)によると、形の上では、カイロ大学はエジプトの国立総合大学だが、中東など幅広いアラブ・イスラム諸国から多数の留学生がやってくる。いわばこの文明圏の「エリート養成所」だという。

 サダム・フセイン元イラク大統領(1961年、法学部中退)、アラファトPLO議長(55年、工学部卒)、ガリ国連事務総長(46年、法学部卒)、石油ショックの時に世界を揺るがしたサウジアラビアのヤマニ元石油相(51年、法学部卒)、アルカイダ指導者のアイマン・ザワヒリらを輩出している。

 石井氏によると、カイロ大学で学生を苦しめるのは大学で使われる言語だそうだ。エジプトでは口語(アーンミヤ)と文語(フスハー)が明確に分かれており、大学の教科書は文語で書かれ、講義も文語でなされる。大変難解で、アラビア語を母国語とする人でも苦しむという。

 「アラビア語の口語すら話せなかった小池が、文語をマスターして同大学を四年間で卒業する。そんなことは『奇跡』だと嫌味を込めて語る人は少なくない」

 この問題は石井氏だけでなく、国際ジャーナリストの山田敏弘氏やカイロ・アメリカン大学大学院の卒業生である作家の黒木亮氏も調査し、それぞれ雑誌に発表していることも紹介している。

 カイロ大学は従来から「小池都知事は卒業している」としており、先日も同様の声明を発表したばかりだが、石井氏はその理由にもふれている。詳細は本書を読んでいただきたい。

 学歴なんか政治家の実力に関係ない。卒業でも中退でもどうでもいい、という人も多いだろう。しかし、石井氏はこう書いている。

 「出てもいない大学を出たと語り、物語を作り上げ、それを利用してしまう。彼女の人間としての在りようを問題視している。彼女は学歴と中東での経歴を最大限に利用し、政治的源泉として今の地位を手にした。しかし、それが虚偽であったなら、公職選挙法を持ちだすまでもなく、その罪は問われるべきであろう」

 小池氏が世に出るきっかけを作った記事を書いたり、政界へ紹介したりしたとされるメディア関係者の中には、評者が知る人もいる。本書を読み、先輩たちの不明を恥じ入るばかりだ。

 BOOKウォッチでは、石井氏の著書『日本の天井――時代を変えた「第一号」の女たち』(株式会社KADOKAWA)、『原節子の真実』(新潮文庫)を紹介している。
  
(BOOKウォッチ編集部)


私も雨の中、田舎町の本屋にはまだ売れ残っているかもしれない

『女帝 小池百合子』を求めて出かけた。

甘かった!もちろん売り切れている。

致し方ない、ネットでさらに情報を求める。


女帝 小池百合子──救世主か? “怪物”か?
https://books.bunshun.jp/articles/-/5542
文: 石井 妙子
序章全文公開

(略)

二〇一六年夏、日本の首都は異様な熱気に包まれていた。

 都知事を決める選挙に、突如、彼女が名乗りを上げたからだ。緑の戦闘服に身を包み、彼女は選挙カーの上で叫んでいた。足下の群衆に向かって。

「崖から飛び降りました!  覚悟はできておりまーす!」

 それに呼応して歓喜の声が湧き起こる。緑の布を振り上げ、人々は彼女の名を連呼した。

「百合子!  百合子!  百合子!」

 アスファルトとコンクリートで作りあげられた大都市の、うだるような暑さの中で。

 天皇が生前退位の意向を伝えた夏、彼女は圧倒的な勝利を収めると女性初の都知事となった。それから早くも、四年の歳月が経とうとしている。

(略)

彼女は平成のはじまりに、華々しくテレビ界から転身して政治家となった。

 二世、三世ばかりの政界で、たとえ政権交代があろうとも、沈むことなく生き抜いた。
「権力と寝る女」、「政界渡り鳥」と揶揄(やゆ)されながらも、常に党首や総理と呼ばれる人の傍(かたわ)らに、その身を置いてきた。権力者は入れ替わる。けれど、彼女は入れ替わらない。そんな例を他に知らない。

 男の為政者に引き立てられて位を極め、さらには男社会を敵に見立てて、階段を上っていった。女性初の総理候補者として、何度も名を取り上げられている。

 ここまで権力を求め、権力を手にした女は、過去にいない。なぜ、彼女にだけ、それが可能だったのか。

 おそらく彼女には、人を惹きつける何かがあるのだろう。権力者に好かれ、大衆に慕われる何かが。

 選挙での言葉は力強く、熱を帯び、人々を興奮させる。芝居がかった所作や過剰な表現。ひどく饒舌(じょうぜつ)で耳触りの良い演説。「敵」を作り出して戦う姿勢を見せながら、他者から共感を引き出していく手法。

 二〇一六年夏の選挙をめぐる狂騒を、私は主にテレビを通じて見ていたが、未だに記憶に残り忘れられない場面がある。彼女が対抗馬の鳥越俊太郎を街頭演説で、「病み上がりの人」と言ったのだ。それは明らかな失言であるとされ、何度かテレビでも流された。だが、私が忘れられずにいるのは、その後の彼女の振る舞いである。

  テレビ番組の討論会で顔を合わせると、鳥越は彼女に激しく食ってかかった。

「私のことを『病み上がりの人』と言いましたねっ」

  彼女はどう詫び、どう切り抜けるつもりなのか。私はそれを知りたいと思い、次の瞬間を見逃すまいとした。

  彼女はおもむろに口を開いた。だが、それは私の、まったく想像し得ない答えだった。

「いいえ、言ってませんねえ」

  テレビを通じて、おそらくは何十万、何百万の人が「病み上がりの人」と彼女が口にするのを見ていたはずである。それでも、「言ってない」という。

「言ってないって、証拠だって」

 鳥越のほうが取り乱し、声が裏返ってしまっていた。

 私はこの短いやり取りが、選挙後も長く忘れられなかった。


  私が書き手として、平成の代表者である彼女に向き合うことになったきっかけは、月刊誌からの原稿執筆の依頼だった。都知事選が終わり、騒がしい夏が去ろうという頃のことだ。

  私はそれを引き受けて、いつもと変わらぬ手順で執筆しようと試みた。資料を集めて読み込むことからすべては始まる。彼女は政治家の中でも群を抜いて自著の多い人である。受けたインタビューや対談の類も膨大な量にのぼり、読むべき資料には事欠かなかった。

  ところが、それらを読み始めて間もなく、私の手は止まってしまった。違和感がぬぐえなくなったからだ。疑念が次々と湧き上がり、私は当惑した。

  彼女が書いていること、答えていること、語ってきたこと。それらは、果たして真実といえるのか。

  あまりにも話が出来すぎている。あまりにも話の辻褄が合わない。あまりにも矛盾があり、腑に落ちないことが多すぎる。

 たとえば、彼女はエジプトの名門校として知られるカイロ大学を、正規の四年で卒業することのできた最初の日本人であり首席だった、と何度となく述べている。一九七二年に入学し七六年に卒業した、と。

 だが、テレビタレント時代に発表した一冊目の著書、『振り袖、ピラミッドを登る』には「一年目は留年して」と彼女自身が書いている。留年したのならば、卒業は一九七七年以降でなければおかしい。だいたい、学生数が十万人を超える外国の名門大学を留学生が首席で卒業できるものなのか。

 こうした綻(ほころ)びはひとつやふたつではなかった。

 彼女ほど自分の生い立ちや経歴、経験を売り物としてきた政治家もいない。彼女は好んでマスコミを通じて、自分の私的な「物語」を流布(るふ)し続けてきた。魅力に富んだ彼女の「過去」が、彼女を特別な存在として輝かせてきたのである。

 政治家になるにあたって、政治家になってからも、彼女が武器にし、切り札としたものは、この自分をめぐる「物語」であり、それなくして今の彼女は存在し得ない。 では、その「物語」は今までに一度でも、きちんと検証されたことがあっただろうか。彼女の白昼夢ではないと言い切ることはできるのだろうか。


 女性初の都知事であり、女性初の総理候補者とも言われる小池百合子。

 いったい、彼女は何者か。

『女帝 小池百合子』序章 平成の華 を抜粋

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『女帝 小池百合子』は真の東京アラート…

私は、まだ本『女帝 小池百合子』石井妙子著(文藝春秋)を読んではいない。

しかし、以下の情報から、多くのことを知った。

新型コロナ後の時代を、読まなければならない時期、

まじかに近づいた東京都知事選だけでなく、

次なる首相ポストさえ狙っていると思っていた小池現都知事が、

いかなる人物であるか

都民は、いや国民は、知るチャンスが到来したのだ!


★『女帝 小池百合子』は真の東京アラート…「マニキュア、塗り終わったから帰ってくれます?」
https://news.yahoo.co.jp/articles/e3a13b1f79d8ebfb47f59ad766d124bed4c91eac
6/10(水) 6:00配信
文春オンライン

 脱力してしまう記事があった。

「東京アラート」を都が発動した日、お台場では夜になって前日より人が増えていた。その理由として、

「赤いライトアップ見物か」(産経新聞6月4日)

 本末転倒ではないか。

 お台場と芝浦を結ぶレインボーブリッジが赤くライトアップされ「見物客の姿もあった」という。いかにも見栄えを重視する小池百合子都知事の「対策」っぽい。


本当の意味での東京アラート『女帝 小池百合子』 

 しかし都民にとって本当の意味での東京アラートはこの本だ。

 石井妙子『 女帝 小池百合子 』(文藝春秋)である。帯は「救世主か? “怪物”か? 彼女の真の姿。」

《小池氏には、1992年に日本新党から政界に打って出て以来、幾度となく疑惑の目を向けられる「学歴詐称」疑惑がある。これについて、ノンフィクション作家の石井妙子氏が、小池氏とカイロで共に暮らし、小池氏のカイロ大学生活を誰よりもよく知る元同居人女性の早川玲子さん(仮名)から詳細な証言と当時の手帳や写真などの資料提供を得て取材をし、「小池さんはカイロ大学を卒業していない」との詳細な証言を得た。》(「週刊文春」6月4日号「 『カイロ大学卒業は嘘』小池百合子東京都知事の学歴詐称疑惑 元同居人が詳細証言 」)

 読みすすめていくと、著者が一貫して使っている表現に気づく。それは「物語」だ。カギカッコ付きの。

 小池氏はこれまで私的な「物語」をマスコミを通じて売りにしてきた。その「物語」があればこそ現在の地位も築けたようにみえる。石井氏の入念な取材により学歴詐称疑惑はあくまで象徴の一つにすぎないことがわかる。


特異な環境で養われた「強さ

《ウソにウソを重ねて物語を作っていると思いました。》

 石井氏は直近のインタビューでこう語っている(日刊ゲンダイ6月5日付)。

 本書によると、小池氏は小学5年生の時には校内の弁論大会で優勝、題は「ウソも方便」だったという。

 豊洲移転問題で知事は「盛土」について騒いでいたが、何のことはない、いちばん盛っていたのは小池百合子だったのである。

 なぜそうなってしまったのか。

《彼女は10代の頃まで非常に苦労が多かった。家が経済的に安定していないとか、親が多額の借金をつくって借金取りが取り立てにくるという状況で生きてきたわけです。生まれつき顔にアザがあったこともあり、物心ついた時から「普通の人生は送れない」と言われることもあった。幼い頃から気を張っていなければならない環境で生き、心が休まることもなかったのかもしれません。》(日刊ゲンダイ・同)

 だから上り詰めて自分を強く見せないといけなかった、と。

 しかしその特異な環境で養われた「強さ」は、ウソを平気でついたり、人として何かが欠落しているおぞましさがある。本書のあちこちで見かける。


「もうマニキュア、塗り終わったから帰ってくれます?」 

 テレビカメラの前ではアスベスト(石綿)被害者に「崖から飛び降りますよ」と決意を口にし、笑みを浮かべて対応した小池環境相(当時)だったが、後日国会で「その言葉は使っておりません」と平気で言う。被害者は傍聴席から「嘘つき!」と叫んだ。

 地元・芦屋の女性たちが阪神淡路大震災の陳情に行くと小池氏は指にマニキュアを塗りながら一度も顔を上げずに応じ、

「もうマニキュア、塗り終わったから帰ってくれます? 私、選挙区変わったし」。

 築地中央卸売市場の豊洲移転に反対した、仲卸業の女性は小池氏の演説に感動し「ジャンヌ・ダルクになってくださいね」と訴えた。しかし小池氏はテレビカメラも報道陣もいない場所になると「ジャンヌ・ダルクはね、火あぶりになるからイヤ」と笑顔で言った。女性たちは何を言われたのかわからなかった。

 ちなみに「崖から飛び降りる」「ジャンヌ・ダルクになる」は小池氏の選挙演説でのお得意のフレーズである。

 上昇志向が強いのは別にいい。しかしそれが酷すぎて弱者に対して異常に冷たいことがよくわかる。

 政界入りして細川護熙、小沢一郎、小泉純一郎などその時々の権力者に巧みに近づき取り入ったことは「政界渡り鳥」という異名でよく知られていたが、本書では用済みと判断すればコロッと変節し、次のステップに進む過程も細かく書かれている。必読の部分だ。


「自己責任論」をいち早く言い出した政治家

 政界パートを読んで私はあらためて思い出したことがある。

 2年前、シリアで武装勢力に拘束されていたジャーナリストの安田純平さんが解放された際、またしても自己責任論が噴出した。

 そもそも「自己責任」という言葉が流行語大賞のトップテン入りしたのは2004年だった。イラクで拘束された日本人3人に対して投げかけられた。

  あのときは政治家も率先して「自己責任」を声高に問うていた。あそこから時代が変わったんじゃないか? と思った私は当時の新聞を調べたことがある。一体、政治家で誰が最初に「自己責任」という言葉を言い出したのか?

 すると、事件勃発を伝える2004年4月9日にさっそくある政治家のコメントが載っていた。

「危険地域、自己責任も 小池環境相」(読売新聞夕刊)

《小池環境相は「(三人は)無謀ではないか。一般的に危ないと言われている所にあえて行くのは自分自身の責任の部分が多い」と指摘した。》

この11日後の4月20日に朝日新聞は「自己責任とは」という特集記事を書いているが、ここでも時系列の表で一番最初に載っているのが小池氏の発言だった。

 新聞で確認する限り、政治家として最初に被害者の「自己責任」に火をつけたのは小池氏だった可能性が高いのだ。

 そこであらためて考えた。今回『女帝 小池百合子』を読んで、もう一つ私が指摘しておきたいのはその巧妙な判断である。

「自己責任論」をいち早く言い出すことで、当時のトップである小泉首相も言いやすいようお膳立てをしたようにも見える。

 またしてもトップに寵愛されることをわかっていたはずだ。今から16年前の自己責任論読み比べでさえ小池氏の権力者への媚態がうかがいしれる。

 では、上ばかり気にしていた小池氏には「仲間」はいたのか。小池氏はよく「さらば、しがらみ政治」と言うが、あれだけ人を利用して裏切りを重ねればむしろ「しがらみ」をつくりたくても無理だろう。そういえば一瞬だが政権交代のムードすら漂った「希望の党」設立時でさえ側近は新人同様の若狭勝であり民進党を離党したばかりの細野豪志だった。しがらみがないのではなく仲間がいないのだ。そんな生き方をしてきたから。


「女性」には厳しい小池百合子

 本書を読むと、小池百合子はオヤジに可愛がられつつ、しかし「女性」には厳しい。

 のしあがってきた経緯もマスコミや記者のおじさんたちに可愛がられたからだ。彼らはノーチェックで小池氏の「物語」を流布してしまう。一緒になって「物語」をつくった共犯者でもある。だからこそ何度もささやかれた学歴詐称疑惑も踏み込まない。

 石井氏が2年前に「文藝春秋」で小池氏の記事(2018年7月号「小池百合子『虚飾の履歴書』」)を発表した際、二つに分かれた新聞記者の反応でより多かったのは「そんなことは自分たちも前から知っている」というものだった。

 これはかつて立花隆が田中角栄の金脈問題を文藝春秋で発表した際の記者の反応と同じではないか。そうして怪物を育てていたのだ。狭いムラ社会の弊害にも思える。

 もっと言えばオヤジ社会の罪が大きい。そして小池百合子もまたオヤジであった。

『女帝 小池百合子』は真の東京アラートである。都民に警戒を呼びかけるために発動された。

 何がゾッとするって、本書を閉じたあとにテレビをつけたら“怪物”が笑顔で喋っていたことだ。

◆ ◆ ◆

※追記

 昨夜になり「小池都知事は『1976年に卒業』 カイロ大学が声明」(ANN NEWS)と報じられた。この展開は『女帝 小池百合子』を読めばむしろ予想通りなのである……。

プチ鹿島


★「学歴詐称疑惑」再燃の小池百合子…その「虚飾の物語」を検証する
『女帝 小池百合子』著者が真相を語った

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/73063
近藤 大介, 石井 妙子

(一部抜粋、全文は現代ビジネスでお読みください)

石井: いまからちょうど4年前、舛添要一都知事が金銭スキャンダルで辞任しましたよね。その後行われた都知事選に、小池氏が衆議院議員を辞職して急遽、出馬し、東京都民は熱狂した。あの様子をテレビで観ていて、どこか違和感を覚え、胸がゾワゾワしてきたんです。

彼女はいつも作り笑いを浮かべているのに、目はちっとも笑っていない。目は心の窓と言うけれど、この政治家の心はどうなっているんだろう? 彼女には、人知れない「心の闇」があり、さらにその奥にも「真実の闇」が広がっているのではないか。そんなノンフィクション作家としてのモヤモヤ感からでした。でも、直接のきっかけは編集者からの執筆依頼です。それがなかったら、書いたかどうか。
 
近藤: なるほど。読者がまだ『女帝 小池百合子』を読んでいないという前提で言うと、この本には現在、東京都知事として新型コロナウイルス問題で日々、テレビに出ずっぱりの小池百合子という政治家の、少女時代から現在に至る赤裸々な姿が記されています。しかも感情的な誹謗中傷ではなく、一つひとつ事実を検証し、積み上げていくという帰納的手法によって、「小池百合子」という人間の本質を浮き彫りにしています。

小池百合子氏は、生まれてこの方、一体いくつのウソをつき続けてきたのだろうと、石井さんの本を読みながら数えていったものの、50くらいまで来てやめました。「嘘八百」という言葉があるけれど、本当にこの本には800くらいのエピソードが詰め込まれているかもしれません。まさに「虚飾の政治家」です。

石井: 本書を書くにあたって、ゆうに100人以上の関係者から話を聞きました。いずれも彼女の67年の人生の折々で、交わりのあった人たちです。例えば、「カイロ大学を首席で卒業した」と小池氏が公表している留学時代(1971年〜1976年)のことを知ろうと、遠くエジプトにも出かけて行って、その時代の彼女を知る10人近い人々に会いました。加えて、過去の小池氏の著作や発言、雑誌や新聞記事など、大量の資料を読み込みました。

するとこの政治家は、ウソにウソを塗り重ねたことで現在があるということが、次第にはっきりとわかってきたんです。ある時は自己顕示欲を満たすため、ある時は自己防衛のためにウソをつく。その後、それを隠そうと土を掘って埋めるけれど、隠そうとするあまり、土をかぶせすぎてしまうので、かえって、土が盛り上がり、そこにあるウソが透けて見える。そんなイメージでした。

近藤: 中国には「ウソも100回つけば真実になる」という言葉がありますが、小池氏の場合、ウソの上塗りで自己破綻していくということですね。でもあることに関して、最初にウソが小池氏の口から飛び出した時は、マスコミも喜んで報道したりするわけで、われわれも自戒しないといけません。

その意味で本書は、人間・小池百合子のウソをウソと見抜き、正攻法で著した初の著作と言えます。

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ブルーインパルスと「河野太郎防衛相の野心」共感のウラにあるもの:半田滋(現代ビジネス)

ブルーインパルスと「河野太郎防衛相の野心」共感のウラにあるもの
なぜ「発案者は自分」と明かしたのか
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/73047
半田 滋

「好評」とみて態度一変

航空自衛隊のアクロバット飛行専門チーム「ブルーインパルス」が、新型コロナウイルス感染者の治療にあたる医療従事者を激励するため、東京都心の上空を舞った。青空に白いスモークを残して、一糸乱れぬ陣形で飛行する姿は医療従事者ばかりでなく、多くの人々の共感を呼んだ。

河野太郎防衛相は、このイベントを発案したのは自分であると2日の定例会見で明らかにした。後手後手に回った新型コロナ対策や東京地検の黒川弘務検事長に関する諸問題で、安倍晋三内閣の支持率がガタ落ちする中、一人だけ好感度アップに成功した形といえる。ブルーインパルスのスモークは、ポスト安倍の一番乗りを示す狼煙にもみえる。

ブルーインパルスの飛行が直前に迫った5月29日午前。河野氏は白地に5機の航空機が編隊飛行するデザインのマスクをして定例会見に臨んだ。

報道陣から「今日のマスクはどういったものか」と聞かれ、「これはブルーインパルスがデザインされたマスクでございます」と回答。続いて、この日午後に予定されたブルーインパルスによる感謝の飛行について「発案の経緯は?」と聞かれたのに対し、「やることが大事なので、プロセスはどうでも良いだろうと思います」と述べ、答えをはぐらかした。

ブルーインパルス柄のマスクを掛け、どう見ても「察してほしい」という空気を醸しつつ、この時は結局はうやむやにした。

河野氏の態度が一変したのは、ブルーインパルスの飛行が終わり、好意的に受けとめる意見がSNSなどで広がった後だった。

安倍政権「失策続き」の中で

2日の定例会見に臨んだ河野氏は、米国やイタリアで空軍機が医療従事者に感謝を表す展示飛行をしていたとのエピソードを積極的に話し、「日本でもできないかと航空自衛隊に検討を求めた」と述べた。

一転して「自分が言い出しっぺ」と認めたわけだ。前回の会見で「プロセスはどうでもいい」と発言したことについては「一生懸命練習して、これから飛ぶという時に『あれは私の発案です』と言うのは私のスタイルではない。やぼだと思います」と語った。

「言わぬが花」という言葉がある。事前に聞かれて沈黙を貫いたのだから、ブルーインパルスの飛行が終わった後も「発案者は自分」と明かさずにいればよかったのに、と思う。

むしろ飛行開始前の5月29日の会見でこそ、「発案者は自分」と明かし、意思決定プロセスの透明性を確保して、世論の反応を待つべきであった。「医療関係者に手当を配るのが先だろう」などの批判は出たものの、概ね成功裏に終わったとみるや、「あれは自分の手柄」と言わんばかりの態度を取っては見苦しいばかりだ。

そんな意思決定のプロセスには無頓着なのか、今回、大喜びした人がいる。安倍首相である。首相官邸の公式ホームページの中で、ブルーインパルスの編隊飛行を見上げ、拍手を送る動画を公開した。

安倍首相は自身のツイッターに「ブルーインパルスと共に医療従事者をはじめとした皆様へ、心からの感謝と敬意を込めて、拍手をさせていただきました」と投稿。フォロワーからは「安倍首相ありがとう」「安倍総理頑張れ」といった書き込みが寄せられた。

展示飛行の成功は、失策続きの安倍内閣としては最近にない「慶事」となったのではないだろうか。かかった経費は燃料費や輸送コストなど「約360万円」(河野防衛相)とされ、今だに全世帯には届かない「アベノマスク」の経費260億円と比べ、いや比べ物にならないほどの「低コスト高評価」となった。

慎重な立ち回り

河野氏は2日の定例会見で「東京に限らず、ご要望をいただいているところでございますが、前向きに考えられたらいいなと」とも述べ、他の都市でのブルーインパルスによる展示飛行を前向きに検討する考えを示した。

いま河野氏はゼッコーチョーなのだ。当選8回。入閣する以前は反原発を掲げ、父親の河野洋平氏を連想させるリベラル派議員と見られていたが、安倍内閣で外相に就任後、態度が一変した。

テレビカメラが入っている大臣室で「極めて無礼」と非礼な言葉を投げつけて駐日韓国大使の発言を遮り、「外相専用機が欲しい」と言っては周囲を驚かせた河野氏だったが、防衛省に来て、さらにまた人が変わったようだ。

もっとも、現場からの評判は高い。新型コロナ対策で防衛省でもテレワークが始まると、渉外業務が多い陸・海・空・統合各幕僚監部の広報室を訪れては「テレワーク、できてますか?」と語りかけ、部下を思いやる姿勢を見せた。防衛省幹部からは「意見をよく聞いてくれる」との声が出ている。

安倍首相が第1次安倍内閣の失敗から学習し、内閣支持率の動向をにらみながら、強硬策と懐柔策を巧みに繰り返してきたのと同じように、河野氏は周りを見ながら慎重に自分の立ち位置を決めているようだ。

河野氏は緊急事態宣言下の4月26日、インターネット番組で自身のツイッターのフォロワー数に触れ、「安倍総理が190万で河野太郎が150万」と述べた。そして「私のフォロワーが1人1フォロワーを増やすと総理を抜く。ぜひ明日からご協力いただきたい。めざせ、安倍総理」と呼びかけ、首相ポストへの野心を隠そうとはしなかった。

東京五輪でも飛ぶのか

ブルーインパルスの物語は、医療従事者への感謝の飛行で終わりではない。

ブルーインパルスに使用されているT4練習機は昨年4月、エンジンの不具合が判明し、約200機すべてが飛行停止となった。その後、エンジンの部品を交換し、安全が確認された機体から順に飛行を再開しているが、遅々として進んでいない。

T4は戦闘機操縦士の養成訓練や航空自衛隊の操縦士が技量を維持するための訓練に欠かせない練習機なので、この6月からはブルーインパルスの部隊にあるT4のエンジンを一部取り外し、必要とする部隊に送ることになった。このため、ブルーインパルスは本来の6機体制が4機体制へと縮小される。

しかし、河野氏は2日の会見で、東京五輪・パラリンピックでのブルーインパルスの活用について問われ、「もしやるとすれば、開会式になるのだろうな、と思っていた。来年の東京五輪・パラリンピックまでには6機体制に戻したい」と意欲を示した。

初代のブルーインパルスは1964年にあった東京五輪の開会式で、国立競技場の上空に5色のスモークで五輪を描き、式を盛り上げた。3代目の現ブルーイパルスは今年3月20日にあった聖火到着式で、56年ぶりにカラースモークで五輪を描いた。

この聖火到着式は大会組織委員会から要請を受けた正式なイベントだったが、今夏に予定されていた東京五輪・パラリンピックの開会式は午後8時以降に実施される予定だったため、航空自衛隊に大会組織委員会からの参加要請は来ていない。

仮に要請が来たとしても、夜間のアクロバット飛行は危険なため、実施することはないという。しかし、すでにカラースモークの基になる塗料や必要分の燃料は購入して本番に備えていた、との情報もある。

来年に先送りされた五輪・パラリンピックでは、河野氏の意向が反映され、何らかの形でブルーインパルスが正式に参加するのではないだろうか。それはまた、来年9月にある自民党総裁選に河野氏が出馬するための「花道」となるのかも知れない。


ブルーインパルス:航空自衛隊のアクロバット飛行専門チーム。正式名称は、宮城県松島基地の第4航空団に所属する第11飛行隊。青と白に塗られた6機が一糸乱れぬフォーメーションで飛行し、ダイナミックなソロ演技を披露する。合い言葉は「創造への挑戦」 。1960年の発足以来、訓練中や演技中の墜落事故は5回あり、8人が殉職している。
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コロナ禍のどさくさに木更津が「オスプレイの街」になっていた─まもなく、首都圏を飛び回る :半田滋

コロナ禍のどさくさに木更津が「オスプレイの街」になっていた(現代ビジネス)
まもなく、首都圏を飛び回る
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/73034
半田 滋

木更津が本格的な「拠点」に

防衛省はオスプレイの整備工場がある千葉県木更津市に整備体制の強化を申し入れた。現在、陸上自衛隊木更津駐屯地で米海兵隊のオスプレイ2機の定期整備を行っているが、これを最大で7機整備できる体制とし、将来は、この米軍の同時7機整備と自衛隊版オスプレイの同時3機整備に対応するため、格納庫を新設するという。

これにより、木更津駐屯地は本格的な日米オスプレイの拠点になることが確定する。

だが、より重要なのは、この申し入れに「ある一文」が潜り込んでいたことである。防衛省が木更津市に渡したA4版2枚の書面には小さく、「2023年以降、米海軍のCMV22の整備も想定」とあり、2023年以降、日本に米海軍版のオスプレイが配備されると取れる内容となっている(https://www.city.kisarazu.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/007/016/aaa.pdf)。


防衛省の申し入れ書の一部


防衛省は、米海軍版オスプレイについて、配備時期はもちろんのこと、「日本に配備される」と言及したことさえない。新型コロナウイルスの感染拡大のどさくさに紛れて、新たな配備を既成事実化させる狙いがうかがえる。

米海軍版のオスプレイは、米空母「ロナルド・レーガン」に搭載されているC2輸送機の後継機。C2は陸上から洋上の空母へ兵士や補給物資を空輸する役割があり、空母には欠かせない輸送機だが、老朽化により、オスプレイと交代することになった。

オスプレイは沖縄県の普天間基地に配備されている米海兵隊版と、東京の横田基地に配備されている空軍版、そして海軍版の3種類がある。いずれも基本的な機体構造に変わりはない。

海軍版オスプレイの最大の特徴は、機体の左右下部にある張り出しが大型化され、燃料タンクを拡大したこと。これにより、航続距離が延びた。

製造元の米ボーイング社は、自社のHPで「6000ポンド(約2700kg)の物資を搭載して1150海里(約2100km)の飛行が可能。米空母に搭載されるF35C戦闘機のエンジンを飛行甲板まで空輸できる唯一の航空機である」と、海軍版オスプレイの搭載量と航続距離を自慢している。

艦内に巨大な格納庫を持つ「ロナルド・レーガン」は、当然ながら戦闘機の予備エンジンを多数搭載しており、オスプレイによる予備エンジンの空輸がどれほど現実的かは分からない。


起こりかねない「予期せぬ事故」

とはいえ、垂直離着陸ができるオスプレイの特性は、空母で便利なのは確かだ。発艦する際に航空機が勢いよく打ち出されるカタパルトを使用することなく、また着艦時に、高い技量を必要とする機体下部のフックを甲板上のワイヤーに引っかけて停止させる必要もない。

離発着が最難関とされる空母から難なく発艦し、着艦できること自体がオスプレイの大きな利点といえるだろう。だが、それは同時に最大の欠点でもある。

2017年8月、普天間基地のオスプレイがオーストラリア沖で揚陸艦に着艦する際、自身が発生させた強烈な下降気流が艦体にはね返り、回転翼の弧に入り込んで墜落、3人の乗員が死亡した。同様の事故は、米本土でも2015年12月に起きている。

艦艇とオスプレイの組み合わせは、予期せぬ事故を招きかねないのだ。

米海軍は、空母艦載機となるオスプレイを運用する部隊を米本土の東海岸と西海岸にそれぞれ新設し、初号機は今年2月10日、共同開発したベル社とボーイング社から米海軍に引き渡された。

海軍の計画では2027年までに44機を導入する予定だが、2007年からオスプレイの運用を開始した海兵隊の協力で、導入は「2023年まで」と前倒しされた。米ボーイング社のHPには、導入は48機とあり、機数が増えたもようだ。


首都圏上空を飛び回る

防衛省から木更津市への申し入れの通り、海軍版オスプレイが日本に配備されるとすれば、2023年は米国から調達する自衛隊版オスプレイ17機すべてが木更津駐屯地に揃う年にあたり、横田基地の空軍版オスプレイが現在の5機から10機に増える期限の前年にあたる。

これにより、オスプレイの整備・運用の拠点となる木更津駐屯地がある首都圏の上空を、米海兵隊版、米空軍版、米海軍版という3種類の機体が飛び回ることになる。ちなみに自衛隊版は海兵隊版と同型である。


オスプレイを購入したのは日本と米国のみ(ボーイング社のホームページより)

開発元の米国でさえ、首都ワシントンや大都市ニューヨークの近郊にオスプレイの基地や整備拠点などない。当たり前である。大統領や国会議員、経済の中心地を危機に陥れるわけにはいかないからだ。

それに比べ、日本政府は、首都圏という政経中枢の安全確保に何と無神経なのだろうか。死亡事故などを意味するクラスAの事故率は、海兵隊版は2019年9月現在2.50まで減ったものの、空軍版では6.22と高止まりしている。


米軍が行ってきた「地ならし」

海軍版オスプレイと交代するC2輸送機は、現在、岩国基地に2機配備されているため、海軍版オスプレイも岩国基地への配備が有力視される。新たに配備される海兵隊版オスプレイは同数の2機とみられる。

ただし、2006年に日米合意した米軍再編最終報告は、空母艦載機のうち固定翼機を神奈川県の厚木基地から岩国基地へ移転させ、回転翼機は厚木基地に残すとした。C2は紛れもない固定翼機だが、オスプレイは飛行モードでは固定翼機となり、離陸・着陸モードでは回転翼機となる。

米海軍も特殊な構造を持つオスプレイ配備に合わせて、飛行隊を新たに発足させたほどなので、配備先が岩国、厚木のどちらになるかは見通せない。いずれにしても空母「ロナルド・レーガン」の事実上の母港である横須賀基地に飛来する機会が高まることだけは確かだろう。

横須賀基地へは、普天間基地のオスプレイが2014年10月と16年5月にそれぞれ飛来した。2018年3月にあった神奈川県の日米合同防災訓練で米軍側が「オスプレイを参加させたい」と申し入れたのに対し、黒岩祐治知事は「住民の不安が取り除かれ、安全性が見えてこないとなかなか難しい」と語り、参加を認めなかった。

米軍はこれにめげることなく、2019年8月に横須賀基地で開いたフレンド・シップ・デーで横田基地のオスプレイを展示した。機体の前に順番待ちの列ができたのを見て、大いに溜飲を下げたことだろう。

このように米軍は折に触れて、オスプレイが地元住民の目に入るようにする「地ならし」を続けてきたのである。


日本は「最前線基地」という現実

ところで、本格的なオスプレイの拠点になる木更津駐屯地について見てみよう。

防衛省によると、在日米軍から定期点検整備を受注している自動車メーカー「SUBARU」との契約は年内に切れるため、2021年以降の受注企業は入札によって今秋に決まる見込みという。

これまでの米軍の要求では、同時に整備できる機体数を3〜4機としていたが、2017年2月に定期整備が始まって以来、順番に1機、1機、2機と整備され、一度も3〜4機の同時整備が実現することはなかった。

目標が実現していないにもかかわらず、今回、米軍は最大7機の同時整備を要求している。さらに今後は、自衛隊版オスプレイの同時3機の整備要求も加わり、これらを実現するとすれば、大規模な整備工場が木更津駐屯地に新設されるのは時間の問題だろう。

防衛省は参入を希望する企業に対し、「海外への出張整備を要求することもある」との条件を示している。海外とはどこなのか、米軍が活動を続けるアフガニスタンなのか、イラクなのかは分からない。

確実に言えるのは、米軍が最初に設けたオスプレイの海外整備拠点が木更津であること、そして木更津は米本土からみて、前線基地でもあるということだ。

だが、その前線基地が首都圏にあることを、米軍はどれほど理解しているだろうか。米軍の言いなりの防衛省に安全策を期待するのは無理だろう。首都圏は間もなく「オスプレイの空」になる。

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検察人事への政治介入が招いた支持率急落(毎日新聞)

「毎日新聞」力(リキ)入ってます。
もう一度、紙面を、買おうかと、思わせてもらいました。

検察人事への政治介入が招いた支持率急落
https://news.yahoo.co.jp/articles/8f473dfd159d79323de5d3a041c302a9d95f6cd0
5/31(日) 15:00配信
毎日新聞

 ◇黒川氏個人の資質問題へ「すり替え」ならず

 時の政権による検察人事への政治介入が問題なのに、東京高等検察庁の黒川弘務検事長が賭けマージャンで辞職したことにより、焦点が黒川氏個人の資質問題にすり替えられてしまったのではないか。世論の認識はどのあたりにあるのかを探ろう。そう思って臨んだのが、社会調査研究センターと毎日新聞が5月23日に実施した全国世論調査だった。

 結果として、焦点はすり替わってはいなかった。

 安倍内閣の支持率は27%と、前回調査(5月6日)の40%から急落した。不支持率が前回の45%から64%に跳ね上がったのにも驚いた。

 資質に欠ける人物が東京高検検事長をしていたというだけではここまで内閣支持率は下がらないだろう。多くの人が安倍内閣、特に安倍晋三首相の責任は重いと考えたことが内閣支持率を直撃した。

 通常の世論調査は内閣支持率の質問を必ず最初に置く。政策課題などの質問を先に置くと、調査で取り上げたテーマの印象によって支持・不支持の回答が影響を受ける可能性があるからだ。

 今回の調査では2問目で、黒川検事長の辞職をどう思うかを尋ねた。「当然だ」は33%にとどまり、「懲戒免職にすべきだ」が過半数の52%に達した。この結果だけでは、批判が黒川氏個人に向けられているのか、政権に向けられているのかが判然としない。

 そこで3問目。「安倍内閣は黒川検事長の定年を今年の2月から延長していました。あなたは、安倍内閣の責任について、どう思いますか」と尋ねた。

 検察を所管するのは森雅子法相だ。しかし、「法相に責任がある」との回答はわずか3%。「首相と法相の両方に責任がある」が半数近い47%を占め、「首相に責任がある」の28%と合わせると、75%が首相の責任を重く見ている。

 黒川検事長の定年延長に対しては、首相官邸に近いとされる黒川氏を検事総長に就ける狙いがあるのではないかとの疑念が持たれていた。検察庁法では検事長の定年は63歳と定められていて、検察庁法が戦後に制定されて以降、ずっと厳格に運用されてきた。突然、法解釈を変更したと言って異例の定年延長に踏み切ったのが安倍内閣だ。

 ただし、質問でそういった経緯に触れれば、定年延長手続きの問題を意識していなかった人の回答を誘導することになる。黒川氏の定年を延長した安倍内閣の責任という聞き方であれば、それが資質に欠ける人物を重用した責任なのか、脱法的に検察人事に介入した責任なのかは回答者の認識に委ねられる。

 調査結果から言えるのは、少なくとも黒川氏の定年延長を主導したのは首相であり、法務省がそれに従ったと多くの人が見ているということだ。時には政治家の犯罪も捜査する検察組織のトップに、政権に都合の良い人物をゴリ押ししようとしていたのだとすれば、その狙いは何なのか。最長政権の終わりを見据えた「保身」のにおいをかぎ取った人も少なくないのかもしれない。

 ◇検察庁法改正案批判も支持率に影響

 この問題では前回の調査後、「#検察庁法改正案に抗議します」のハッシュタグをつけたツイートが拡散し、著名人や芸能人からも政権批判が相次いで社会現象化した。

 検察庁法改正案は、国家公務員の定年を65歳に引き上げる国家公務員法改正関連法案の一部として国会に提出された。だが、検察官の定年引き上げに加え、内閣や法相の判断で検察幹部の定年を延長できる規定が盛り込まれていた。

 法務省が昨年秋にまとめた改正案にこの規定はなかったことから、黒川検事長の定年延長を後付けで正当化し、将来的にも検察幹部人事への政治介入に道をひらくものだとして批判の声が上がった。

 だが、一見すると、少子高齢化時代の働き方改革として定年を引き上げる法案だ。国会で野党が求めていたのは検察幹部の定年延長規定の削除であって、法案自体に反対していたわけではない。こうした論点がどこまで一般に認識されているかも調査する必要があると私たちは考えた。

 調査では「国家公務員の定年を65歳まで引き上げる法案について、政府・与党は今国会での成立を見送りました。あなたは、どう思いますか」とざっくり質問したうえで、選択肢を工夫した。

 選択肢の一つ目は「政府が国会に提出した法案のまま成立させるべきだ」で、これを選んだのは12%だった。

 二つ目は「検察幹部の定年延長規定を削除して成立させるべきだ」で回答は36%。黒川検事長の定年延長に絡む問題意識を持っている人はこれを選ぶだろうという想定だ。

 三つ目は「国家公務員の定年引き上げに反対」で38%。この回答者には、そもそも政治家や公務員に反感を抱いている層が含まれるだろう。

 選択肢の文言をかなり複雑にしたので、四つ目の「わからない」を選ぶ人が多くなるかとも思ったが、13%だった。

 この結果の分析を複雑にしているのは、安倍首相が国家公務員の定年引き上げ自体を見直す考えを示したことだ。政府・与党として採決を強行する構えまで見せていたのに、黒川検事長の辞職が決まった途端の豹変(ひょうへん)には驚くほかない。論点を検察幹部の定年延長規定から公務員全体の定年引き上げにそらす狙いがあるのではないかとも感じる。

 2番目と3番目の回答が拮抗(きっこう)したことの評価は難しい。はっきりしているのは、どちらの回答者も大半が政権に批判的なことだ。「定年延長規定を削除」と回答した人の内閣支持率は18%、不支持率は77%。「定年引き上げに反対」は支持率16%、不支持率73%だった。

 ちなみに、黒川検事長の定年を延長した責任が首相にあると答えた層の内閣支持率は10%、首相と法相の両方にあると答えた層では14%だった。

 ◇「国民より保身」への不信感 

 今回の調査の大きなテーマはもちろん、新型コロナウイルス対策だ。緊急事態宣言の解除について「妥当だ」が53%を占める一方、「解除を急ぎすぎだ」との回答も31%あったことをどう考えるか。

 緊急事態宣言が解除された地域で「経済活動の再開を優先すべきだ」は23%にとどまった。「感染対策を優先すべきだ」が42%、「どちらとも言えない」が33%だったことを考えても、感染への不安がなお根強いようだ。

 新型コロナ問題で安倍政権への対応を「評価しない」は59%と過半数を占め、「評価する」は20%だった。評価しない層の内閣支持率はわずか5%、不支持率は90%に及ぶ。逆に評価する層の支持率は84%、不支持率は10%だ。

 気になるのは「評価しない」が前回調査の48%から11ポイント増えた要因だ。人々がコロナ感染の不安におびえ、生活や仕事の苦境にあえいでいたこの間、安倍政権は黒川検事長の定年延長にこだわり、第2次補正予算案の編成より検察庁法改正案の成立を急いでいたように映る。

 それが「国民より保身」と受け取られ、コロナ対応の政権評価を悪化させ、内閣支持率の急落につながったのではないか。コロナ対応と検察人事問題の相乗作用で政権への不信感が一気に高まったと言えそうだ。

 ◇新方式の調査3回、データは安定

 内閣支持率が3割を割り込むことは調査前には想定していなかった。冒頭に書いたように、検察人事問題の焦点が黒川氏個人の資質問題にすり替えられたのではないかとも考えていたので、大きく下がっても30%台前半だろうという相場観だった。

 新しい方式の調査は3回目だったので、予期しないデータの偏りが生じた恐れも考えたが、回答者の年代や居住地域、職業などの構成に変化は見られなかった。

 自由記述の回答が可能な携帯調査では前回に続き「コロナ対応で最も評価している政治家」を挙げてもらい、上位5人は全く同じ。トップの吉村洋文大阪府知事を挙げた人の割合も33%で変わらなかった。

 つまり、同じ方式で無作為抽出した調査において、明らかに内閣支持率が急落し、コロナ問題の政権対応評価が悪化した。そう結論づけるほかない。

 ただし、新方式の特徴は検証を続けなければならない。コンピューターで無作為に組み合わせた数字に電話をかけるRDS方式を用いる点は従来の電話調査と変わらない。新方式は家庭の固定電話と個人の携帯電話に自動音声応答(オートコール)機能で電話をかける。固定の場合は自動音声の質問に答えてもらう。携帯の場合は、調査を承諾した人にショートメールで回答画面へのリンク情報を送る。固定調査では選択肢から回答を番号で選んでもらうが、携帯調査では回答画面で自由に文章を入力してもらう設問も可能だ。

 知らない相手先からかかってきた電話に出て調査に応じる人、つまり「答えたい人」の声を集めて世論調査と言えるのかという批判があることは理解している。ただ、その問題点は従来の電話調査にも共通する。調査員が対象者を電話で説得する従来方式の方が「答えたがらない人」の声も集められるとの見方もあるが、自動音声の方が特殊詐欺の危険が少なく、回答しやすい側面もある。一概にオートコールの方が回答が偏るとは言えない。

 携帯調査の場合、オートコールで調査を承諾し、送られてきたショートメールのリンクから回答画面にアクセスするという2段階の手間を要する。迷惑メールが氾濫する現状で回答画面までたどり着いてもらうハードルは低くはない。一方、音声通話よりSNSのやり取りに慣れた30代以下にはそうでもないかもしれない。

 ◇ショートメール調査に「先取り」傾向?

 埼玉大学と調査会社「グリーン・シップ」が2年前から重ねてきたショートメール調査の実験では、報道各社の調査より内閣支持率の増減を先取りする傾向が見られた。見方を変えれば、ショートメール調査に積極的に応じる層は政治や社会問題に対する関心が高く、日本社会の政治意識の変化に敏感な人が多いのかもしれない。

 そもそも従来方式の電話調査においても、調査に応じる層は選挙で投票に行く層と重なるのではないかという仮説が調査の正当性を支えてきた面もある。

 今回の調査結果を調査方法別に見ても、内閣支持率は携帯27%・固定26%、不支持率も携帯66%・固定61%と傾向は変わらない。違いが目立つのは政党支持率くらいで、以下に上位5党の支持率を紹介する(カッコ内は前回調査)。

 ▽自民党 <全体>25%(30%)<携帯>24%(30%)<固定>25%(31%)

 ▽立憲民主党 <全体>12%(9%)<携帯>8%(4%)<固定>15%(13%)

 ▽日本維新の会 <全体>11%(11%)<携帯>13%(12%)<固定>9%(9%)

 ▽共産党 <全体>7%(5%)<携帯>4%(3%)<固定>9%(7%)

 ▽公明党 <全体>4%(5%)<携帯>3%(3%)<固定>4%(6%)

 ▽支持政党なし<全体>36%(33%)<携帯>43%(39%)<固定>30%(28%)

 自民党は携帯・固定で変わらないのに対し、立憲民主党は固定で高く、日本維新の会は携帯で高い。立憲民主の支持層は60代以上の高齢層が多く、維新支持層では40、50代が多いことが反映されている。支持政党なしの無党派層は40〜60代が6割以上を占める中で携帯の数値が大きくなっている。

 この結果は、携帯と固定の回答を合わせた全体として年代バランスの取れたデータが得られていることを意味する。前回調査と傾向が変わらないことも調査の安定性を裏付けており、その中で自民党支持率の低落傾向が示された。

 回答者の男女比では携帯で男性が、固定で女性が多くなる傾向がある。これまでの調査で性別や年代の構成を国勢調査に合わせる形で数値を補正する検証も行っているが、結果はほとんど変わらなかったことから、社会調査研究センターとしてはあえて補正は加えず、単純に合算して集計したデータを発表している。今後もさまざまな検証を重ねながら、同じ方式で調査を続けていくことが重要だと考えている。【世論調査室長・平田崇浩】

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任命責任は誰に?黒川氏の後任は「深刻な事態」

「テレビ朝日」放映映像が上手にまとめてある。
映像はそのうち見られなくなるでしょう。

任命責任は誰に?黒川氏の後任は「深刻な事態」
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20200527-00000068-ann-pol

  賭け麻雀問題で辞職した東京高検の黒川前検事長の後任・林検事長が就任会見に臨み「深刻な事態だと受け止めている」と語りました。

 賭け麻雀を認めて辞職した黒川弘務前検事長。

 後任、東京高検・林真琴検事長:「賭け麻雀をしていた行為。誠に不適切で、検察の基盤である国民の信頼を揺るがす深刻な事態であると私も受け止めております」

 不適切で深刻な事態と指摘された黒川前検事長に下された懲戒処分にあたらない訓告は一体、誰が決めたのか。

 森法務大臣:「最終的には任命権者である内閣において決定がなされたということでございます」

 当初は、内閣が処分を決めたと話していた森大臣に対し…。

 安倍総理大臣:「検事総長が事案の内容等諸般の事情を考慮して処分を行ったと」

 安倍総理は、法務省と稲田伸夫検事総長が決めたと説明しています。

 菅官房長官:「法務省及び検事総長として訓告が相当であると判断をし、決定をしたものというふうに承知をしております」

 無所属・今井雅人議員:「それが正しいとすると森大臣は嘘をついているということになりますね」

 立憲民主党・黒岩宇洋議員:「森大臣はきのうの答弁でも処分内容、この『訓告』を任命権者である内閣に報告したところ、異論がない旨の回答を得たと。これ、内閣って誰ですか?」

 森法務大臣:「人事上の処分のプロセスでございますので詳細は差し控えさせて頂きたいと思います」

 立憲民主党・黒岩宇洋議員:「異論がない旨というこの判断した主語を言って下さい」

 森法務大臣:「最終的に総理の方から法務省の対応について了承を得ましたから、総理でございます」

 国家公務員法では、検事長を懲戒処分にするのは任命権者の内閣と定めています。

 無所属・今井雅人議員:「内閣が懲戒をするかしないかを決めるわけです。検事総長にはその権限はありません。今回、懲戒処分にしないと決めたのは内閣なんですね」

 菅官房長官:「処分については法務省と検事総長の間で『訓告』ということを決定をして内閣はそれを『異議はない』ということを申し上げたところです」

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小沢一郎さんの発言(的をえている!)─安倍内閣の支持率27%急落報道に「自分の問題として捉え始めている」

小沢氏が指摘、安倍内閣の支持率27%急落報道に「自分の問題として捉え始めている」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200524-00000069-dal-ent
5/24(日) 14:13配信
デイリースポーツ

 国民民主党の小沢一郎衆院議員が24日、公式ツイッターに新規投稿。毎日新聞と社会調査研究センターが23日に全国世論調査を実施し、安倍内閣の支持率が27%と、今月6日に行った前回調査の40%から急落したという同紙の報道を引用し、「政府のコロナ対策を通じて、多くの方々が自分の問題として捉え始めている」と自身の見解を示した。

 小沢氏は「森友や加計に統計偽装とか数々の隠蔽、改竄。安倍政権が何をやってきたか、政府のコロナ対策を通じて、多くの方々が自分の問題として捉え始めているということ」と、調査結果を受けて指摘した。

 その上で、同氏は「国民がしっかりと声をあげれば、必ずや政治を動かすことができる。総理がこれまでやってきた出鱈目の数々を、今こそ明らかにすべきである」と呼びかけた。



【関連記事】

内閣支持率29%、発足以来最低に 朝日新聞世論調査
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200524-00000050-asahi-pol
5/24(日) 22:00配信
朝日新聞デジタル


 朝日新聞社は23、24日に全国世論調査(電話)を実施した。安倍内閣の支持率は29%(前回5月16、17日は33%)で、2012年12月に第2次安倍政権が発足して以来、最低となった。不支持率は52%(同47%)に増え、5割を超えた。

【写真】内閣支持率の推移

 男性の支持率は33%で、女性は25%。特に50〜60代女性の支持は2割以下で、7割近くが不支持と答えた。支持政党別では、自民支持層の内閣支持率は68%だったが、無党派層では14%にとどまった。第2次安倍政権のこれまでの最低支持率は、森友・加計問題への批判が高まった18年3月と4月の調査の31%だった。

 新型コロナウイルスに対する政府の対応を「評価しない」は57%にのぼり、「評価する」は30%だった。「評価しない」層の内閣支持率は14%と低かった。新型コロナ対応を通じて安倍晋三首相に対する信頼感が「低くなった」人は48%と半数に迫り、「変わらない」は45%、「高くなった」は5%だった。
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朝日新聞社
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コロナで「オンライン階級」が生まれた 東浩紀と藤田孝典が斬る「社会の歪み」〈AERA〉

コロナで「オンライン階級」が生まれた 東浩紀と藤田孝典が斬る「社会の歪み」〈AERA〉
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200521-00000017-sasahi-soci&p=1
5/23(土) 9:00配信 AERA dot.

 新型コロナ感染拡大で、テレワーク可能か不可能かという「分断」が表面化している。コロナ後の社会では階級化の加速が懸念される。社会の歪みを是正するために必要なこと、期待することとは。批評家の東浩紀氏と社会福祉士の藤田孝典氏がオンライン対談した。AERA 2020年5月25日号から。

*  *  *

──感染拡大によって、社会のあり方も大きく変わった。仕事のオンライン化が急速に進み、テレワークがこのまま社会に根付くかもしれない。今回の感染拡大は、ポスト・コロナの社会に何をもたらすのだろうか。

東浩紀:コロナ後の社会で最も懸念しているのは、テレワークができる人たちとできない人たちの「分断」です。終息後もテレワークでいいじゃないか、いい機会だと言っている人も多いですが、オンライン化できない仕事があることにもっと目を向けなければいけないと思っています。

藤田孝典:電話相談でも、現場に行かなければならない人たちの声をよく聞きます。感染リスクを抱えながら、仕事は放棄できないと働き続けている。ゴミ収集の人にせよ、交通機関の人にせよ、ヘルパーさんにせよ、そういったテレワークをできない人が実質的に社会を回しているんだと強く感じますね。

東:感染症は本来、社会全体でリスクを背負うものなのに、オンラインで仕事ができる人だけが助かって、それ以外の人がリスクを引き受けています。

藤田:テレワークできる人たちが比較的給料も高くて、ブルーカラーと言われたりする我々の生活に不可欠な仕事の方々の給与が低いのも問題ですね。

東:テレワークして、アマゾンで買い物をしてウーバーイーツで食事を頼む。結構便利じゃんと言いますが、配達員はテレワークできない。僕たちが「ステイホーム」できるのは、感染リスクを抱えながら働いている人がいるからこそです。

藤田:そのとおりですね。

東:今から15年くらい前に「クリエイティブ・クラス」という言葉が流行しました。要は知識労働者と呼ばれる人たちですが、テレワークできるのはこのクリエイティブ・クラスに重なります。これまでは給与の格差だったんだけど、それが命の格差にまで広がってしまいました。

藤田:私たちも分断社会と呼んで問題提起していますが、本当になければならない仕事って何なんだろう、我々の生活はどういう人に支えられているんだろうということを考え直すきっかけにしなければなりませんね。

東:10年前だったらオンラインじゃできないことも多くて、ある意味、社会全体でリスクをシェアできたと思うんです。けれどネットが発達しすぎて、身体的接触をしなくていい「オンライン階級」が生まれた。俺たちは外に出ないけれど、出なくちゃならない人は頑張ってねという社会になってしまったんです。

藤田:社会の歪みですよね。

東:今回、その分断がくっきりと表れて加速しています。ポスト・コロナの社会でも、より一層階級化が進んでしまいそうです。このことをもう一度見つめなおして、もっとリスクを社会全体でシェアする方向に歩み出すのが、あるべき一つの目標だと思います。


──「緊急事態」の長期化は、コロナ後の社会にも深い影を落とす。第一生命経済研究所の永濱利廣首席エコノミストは5月7日、5月末までの緊急事態宣言期間で69.9万人が失業するという試算を発表した。

藤田:ポスト・コロナの社会に期待したいのは、生活困窮が当たり前にありうることだと皆が想定することです。生活保護などの社会福祉って、かわいそうで情けないものなんだという意識が非常に強いんです。

東:気軽に社会福祉を受けていいという意識になっていないですよね。働きなさい、まずは家族を頼りなさいと。

藤田:今は制度的にもそうなんです。でも、コロナによって程度の差こそあれ、これまで通りの生活が送れなくなった人はたくさんいます。福祉は怠けている人、特別な人が受けるものじゃなくて、もっと普遍的に生活保障をするためのものなんだと社会全体が理解する機会にしたいですね。

東:藤田さんが問題提起されたナインティナイン・岡村隆史さんの「コロナが明けたら美人さんが風俗嬢をやる」という発言も、生活保護を受けるくらいなら性風俗で働くんだという発想が社会にあるからこそですよね。

藤田:私はコロナがきっかけで、かなり多くの人が生活保護になだれ込んでくると思っています。ただ、生活保護を受けるくらいなら死んだ方がマシだと思っている人も実際大勢いて、社会福祉の脆弱さに改めて愕然としています。

東:ネットカフェに住んでいる人たちの存在が、脆弱な社会福祉の典型例ですよね。本来、彼らが普通の家に住めるように手当てをすべきなのに、行政がすべきことをネットカフェが代替してしまっている。

藤田:ネットカフェにせよ、性産業にせよ、社会福祉よりもそちらの方がポピュラーで、公的なサービスの代わりになってしまっています。社会福祉の意味をもう一度問い直さなければいけません。

東:昔、社会学者の古市憲寿さんが「牛丼やファストフードのチェーンは、日本型の福祉のひとつ」という趣旨の発言をして話題になりましたけど、要はマーケットの中に安く食べられたり泊まれたりする場所があるから何とかなるという楽観論がありました。でも、「低価格疑似福祉」で生活していた人が放りだされる問題が出てきたんですね。

藤田:コロナでネットカフェも飲食店も休業に追い込まれています。今までは福祉政策の穴を民間が埋めてきた格好だけど、それでは対処できなくなった。ネットカフェに頼るのはおかしいんだと発想を変えていかなければいけません。

東:非常に大切な問題提起だと思います。

藤田:社会福祉の穴にせよ、差別にせよ、いま日本社会の悪いものが噴出してきています。これをしっかり議論して、ポスト・コロナの想定を社会全体でしていかなければならないですね。

東:繰り返しになりますが、多様な人がいる社会全体でリスクをシェアする。これが肝であり、ポスト・コロナ社会で最も必要なことではないでしょうか。

(構成/編集部・川口穣)

※AERA  2020年5月25日号より抜粋
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内閣支持率27%に急落 黒川氏「懲戒免職にすべきだ」52% 毎日新聞世論調査

内閣支持率27%に急落 黒川氏「懲戒免職にすべきだ」52% 毎日新聞世論調査
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200523-00000045-mai-pol
5/23(土) 16:54配信

毎日新聞

 毎日新聞と社会調査研究センターは23日、全国世論調査を実施した。安倍内閣の支持率は27%で、今月6日に行った前回調査の40%から急落した。不支持率は64%(前回45%)に跳ね上がった。社会調査研究センターとの共同調査は3回目で、最初の4月8日に44%あった支持率が1カ月半で17ポイント落ち込んだ。調査方法が異なるため単純に比較できないが、毎日新聞が従来行っていた電話世論調査では森友・加計問題で政権批判が高まった2017年7月に26%まで下落したことがある。

 東京高検の黒川弘務検事長が賭けマージャンをしていた問題で辞職したことについては「懲戒免職にすべきだ」が52%と半数を超えた。「当然だ」は33%にとどまり、厳しい処分を求める声が強い。

 黒川氏の定年を今年2月から延長していた安倍内閣の責任については「安倍晋三首相と森雅子法相の両方に責任がある」が47%、「首相に責任がある」が28%。合わせて7割以上が首相の責任を重く見ている。

 黒川氏の定年延長に対しては、首相官邸に近い黒川氏を検察トップの検事総長に就けるためではないかとの疑念が持たれていた。「内閣に責任はない」は15%、「法相に責任がある」は3%にとどまり、首相官邸による検察人事への政治介入を疑う厳しい見方を裏付けた。

 「両方に責任」「首相に責任」と答えた層では内閣支持率13%、不支持率78%。検察人事問題への批判が内閣支持率を大きく押し下げたと言えそうだ。

 自民党の政党支持率は25%(前回30%)で、前々回の34%からは9ポイント減。内閣支持率の下落が自民支持層も揺さぶっている。ほかの政党は立憲民主12%(9%)▽日本維新の会11%(11%)▽共産7%(5%)▽公明4%(5%)などとなっている。

 検察官を含む国家公務員の定年を65歳に引き上げる法案について、首相は今国会成立を見送るとともに、定年引き上げ自体を見直す考えを示した。それに対し野党は、検察幹部の定年を内閣や法相の判断で延長できる規定が問題だと主張し、国家公務員の定年引き上げには賛成の立場だ。

 調査ではこの法案について「国家公務員の定年引き上げに反対」の38%と「検察幹部の定年延長規定を削除して成立させるべきだ」の36%が拮抗(きっこう)。「政府が国会に提出した法案のまま成立させるべきだ」は12%だった。

 調査は、携帯電話で回答画面にアクセスしてもらう方式と、固定電話で自動音声の質問に答えてもらう方式を組み合わせて実施。携帯505件・固定514件の計1019件の回答を得た。

 携帯は50代以下、固定は60代以上の回答割合が多めになる傾向があるが、合算することで年代バランスがとれる仕組みになっている。方式別に分けても内閣支持率は携帯27%・固定26%、不支持率は携帯66%・固定61%と大きな傾向の違いはなかった。【平田崇浩】

 <おことわり>

 毎日新聞の全国世論調査は4月まで家庭の固定電話と個人の携帯電話に調査員が電話をかける方式で実施してきました。しかし、コールセンターで多数の調査員が作業する環境は新型コロナウイルスの感染リスクが指摘されるため、感染終息が見通せない中でこの調査方式を続けることはできないと考えています。

 毎日新聞が社会調査研究センターと23日に実施した全国世論調査は4月8日、5月6日に続き3回目となります。こちらは自動音声応答(オートコール)と携帯ショートメールの機能を使うため「3密」環境での作業は生じません。

 コンピューターが無作為に数字を組み合わせた番号に電話をかけるRDS法を用いる点は従来調査と変わりません。回答者の年代構成など安定したデータを得られることが確認されたので、今後は社会調査研究センターの調査方式に切り替えていきます。
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#閣議決定した責任取ってください

黒川検事長辞職なら「定年後勤務延長」閣議決定は取消しか(郷原信郎)
https://news.yahoo.co.jp/byline/goharanobuo/20200521-00179545/
郷原信郎 | 郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士
5/21(木) 8:42

 東京高等検察庁の黒川弘務検事長が緊急事態宣言中に新聞社の社員らと賭けマージャンをしていたことが週刊文春で報じられたことを受け、黒川氏に対する批判が高まっており、辞任は避けられない情勢となっている。

 検事長の任命権は内閣にあるが(検察庁法15条1項)、「検察官の身分保障」があり、「その職務を執るに適しない」との検察適格審査会の議決がなければ検事長職を解任されることはない(検察庁法23条)。

 もっとも、懲戒処分による場合は、その意思に反して、その官を失うこともある(25条)。人事権者である内閣は、懲戒処分を行うことができるが、人事院の「懲戒処分の指針について」では、「賭博をした職員は、減給又は戒告とする。」「常習として賭博をした職員は、停職とする」とされているので、今回の「賭けマージャン」での懲戒免職というのは考えにくい。

 黒川氏が辞職をするとすれば、自ら辞任を申し出て、任命権者である内閣が閣議で承認するという手続きによることになる。

 現在の黒川氏の東京高検検事長の職は、今年1月31日、国家公務員法第81条の3の


任命権者は、定年に達した職員が前条第1項の規定により退職すべきこととなる場合において、その職員の職務の特殊性又はその職員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分な理由があるときは、同項の規定にかかわらず、その職員に係る定年退職日の翌日から起算して1年を超えない範囲内で期限を定め、その職員を当該職務に従事させるため引き続いて勤務させることができる。

との規定を根拠に、定年後の「勤務延長」を認める閣議決定が行われたことに基づくものだ。

 そして、森雅子法務大臣は、黒川検事長勤務延長に関して、国会で


東京高検検察庁の管内において遂行している重大かつ複雑困難事件の捜査公判に対応するため、黒川検事長の検察官としての豊富な経験知識等に基づく管内部下職員に対する指揮監督が不可欠であると判断したため

と答弁している。

 法務大臣が答弁したとおり、「黒川氏の退職により公務の運営に著しい支障が生ずる」のであれば、今回、「賭けマージャン問題」で黒川氏が辞任を申し出て、法務大臣がそれを承認した場合、退職により「公務の運営に著しい支障」が生ずることになる。東京高等検察庁検事長の「公務」というのは、国民の利害に関わる重大なものであり、その「公務に著しい支障」が生じるのは、看過できない重大な問題だ。「公務の運営への著しい支障」について、法務大臣は説明しなければならない。

 そもそも、この黒川氏の定年後の勤務延長を認める閣議決定については、【黒川検事長の定年後「勤務延長」には違法の疑い】で述べたように、検察庁法に違反し違法であることを指摘してきた。

 その後、その点について、国会で厳しい追及が行われたが、【「検事長定年延長」森法相答弁は説明になっていない】で述べたように、黒川検事長の定年延長についての森法務大臣の答弁は、法律解釈としても疑問であり、実質的な理由も全く理解できないものだ。

 黒川検事長辞任を内閣が承認するということは、現時点で、「退職による公務の運営への著しい支障」はないと判断したことになるのであるから、「著しい支障がある」と判断した閣議決定が取り消されるのは当然だ。

 閣議決定の効力については、2013年7月2日に、第二次安倍内閣で行われた閣議決定で、


閣議決定の効力は、原則としてその後の内閣にも及ぶというのが従来からの取扱いとなっているが、憲法及び法律の範囲内において、新たな閣議決定により前の閣議決定に必要な変更等を行うことは可能である。

とされている。過去に、閣議決定が取り消された例を調べてみると、民主党政権時代の2011年6月、学術や産業で功績のあった人物や団体に国から贈られる褒章をめぐり、国土交通省が推薦した会社社長の男性の受章が、14日に閣議決定されながら、「ふさわしくない事態が判明した」として3日後の閣議で取り消された例がある。

 今回も、勤務延長を認めた閣議決定を取り消すことになるだろうが、その際、閣議決定取り消しが決定時に遡及するのか、取り消すまでは有効なのかが問題となる。「公務の運営への著しい支障」による勤務延長の必要性について、当初の判断は誤っていなかったが、現時点では異なる判断をしたというのであれば、その点についての内閣の説明が必要だ。その点について、合理的な説明がなければ、黒川氏の勤務延長は、閣議決定の取り消しにより決定の時点に遡って無効とならざるを得ないだろう。それによって、黒川検事長の指揮を受けて行われた高検検察官の職務の適法性にも重大な疑問が生じることになる。

 検事長は、国務大臣と同様に、内閣が任命し、天皇が認証する「認証官」だ。これまで、大臣の失言や不祥事で総理大臣の判断による「首のすげ替え」が簡単に行われてきたが、黒川検事長については、「退職により公務の運営に著しい支障が生ずる」として閣議決定によって「勤務延長」を行ったことによって、その検事長職が根拠づけられているのであり、大臣辞任の場合のように、安倍首相が「任命責任は総理大臣の私にある」と述べただけで済まされるような問題でない。

 黒川検事長の辞任は、安倍内閣に重大な責任を生じさせることになる。


#閣議決定した責任取ってください
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ウソばっかり!─安倍首相「法務省から人事案」

小沢一郎氏 安倍首相に辛辣「もはや嘘と自慢が主たる業務になっている」(東京スポーツ)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200519-01859298-tospoweb-ent
5/19(火) 16:44配信

 国民民主党の小沢一郎衆院議員(77)は19日、自身のツイッターを更新し「総理は嘘ばかり」と断じた。

 安倍晋三首相が15日に出演したネット番組で、黒川弘務東京高検検事長の定年延長については、そもそも法務省側が提案したものであると発言したことを受けてのもので「もはや嘘と自慢が主たる業務になっている。総理が嘘ばかりなら、国民は何を信じればよいのか」と続けた。

 さらに「社会は信用で成り立っている。一国の指導者が嘘ばかりだと、やがて世の中全体にも嘘が蔓延する。治安は悪化し、人々の心も荒む。いま本当に危機なのはこの国の道徳心であり、倫理観である」とつづった。
.
東京スポーツ


<<関連記事>>
安倍首相「法務省から人事案」 波紋発言の詳細と、繰り広げられる場外戦と(J-CASTニュース)
https://www.j-cast.com/2020/05/19386233.html?p=all
2020年05月19日19時13分

安倍晋三首相が東京高検の黒川弘務検事長の定年延長に関して行った発言に注目が集まっている。共同通信が「『法務省が提案』首相発言が物議(以下略)」の見出しで報じる一方、共同記事に対して産経新聞出版の一部ツイッターアカウントが違和感を示すなどしている。

首相の言及は、ジャーナリストの櫻井よしこ氏のインターネット番組でのやりとりの中であった。記事配信の数日前に公開されたもので、安倍首相は、法務省が人事案を持ってきて、それを「我々が承認をする」と述べていた。


共同「無関係強調に疑問の声」

共同通信(ウェブ版)は2020年5月19日、「『法務省が提案』首相発言が物議 定年延長、無関係強調に疑問の声」の記事を配信した。「検察庁法改正案に反対する前川喜平・元文部科学事務次官」と、国民民主党の小沢一郎衆院議員の2人のコメントが紹介され、前川氏は「(略)首相の言っていることは形式論」と、小沢氏は「総理は何事でも平気でうそをつく」と述べている。

17日にも、櫻井氏のネット番組(15日)での安倍首相の言及内容に触れながら、「(黒川検事長の定年延長に関し、)安倍晋三首相は、法務省側が提案した話であって、官邸側はこれを了承したにすぎないとの説明に乗り出す構えだ」と指摘する別記事も流していた。

今回の19日共同記事をツイッターで紹介しつつ、共産党の志位和夫委員長は同じ日、

「『黒川氏の定年延長は法務省の提案』なる首相の主張は、15日の桜井よし子氏(編注:原文ママ)とのネット番組で突然言い出したことだ。到底信じられない話だが、そういう『事実』があるというなら、国会で説明してもらわねばならない」

とツイートした。

一方、同じ記事を批判的に取り上げたのは、産経新聞出版の書籍編集部アカウントである「産経新聞出版1」で、

「この記事がヤフーニュースのトップに置かれて『首相発言』がトレンドにもあがっていますが、本文に出てくるのは前川喜平元文科事務次官と小沢一郎氏だけ。『元官僚らからは疑問の声が上がる』って...」

と、19日共同記事の前文の一部を引用しながら違和感を表明していた。前川氏も小沢氏も、従来から安倍政権に批判的な発言を行っていることで知られている。


櫻井氏の指摘に「全くその通りですね」

  15日の櫻井氏のネット番組(言論テレビ)での安倍首相と櫻井氏とのやりとりは、19日夕現在、言論テレビ公式サイトの動画で確認できる。黒川検事長の定年延長に関する箇所は、以下のような流れだった。

櫻井氏「政府高官に取材をしました。黒川さんの定年延長の問題も、検察庁つまり法務省の側から持ってきたものを官邸が了承しただけだと聞いたんです。かなり詳しく。本当なんですか」

安倍首相「全くその通りですね。検察庁を含めて法務省が、こういう考えでいきたいという人事案を持ってこられて、それを我々が承認をする、と」

櫻井氏「(編注:法務省幹部の具体的役職名も挙げながら、その人物が人事案を)官邸に持ってきて頼んだことも本当ですか」

安倍首相「詳細は承知してないですが、基本的に検察庁の人事については、検察のトップも含めた総意で『こういう人事で行く』と持って来られ、それはそのままだいたい我々は承認している、ということなんですね」

櫻井氏「官邸が介入するとか、介入して変えるとかは?」

安倍首相「あり得ないですね」

といったやりとりがあった。


3月の国会説明では

また、櫻井氏は17日放送の「日曜報道 THE PRIME」(フジテレビ系)にリモート出演し、黒川検事長の定年延長を「前代未聞の卑劣なこと」と批判した若狭勝弁護士(元東京地検特捜部副部長)に反論した。15日ネット番組での指摘のように、自身の取材の結果として、法務省内の意思決定の時系列も示しながら、「官邸は法務省および検察庁から上がっているものをそのまま受け入れているだけ、と言ってもいい」と強調した。

一方の若狭氏は「まったくもって事実と反する。(略)実質的な発案者は官邸、内閣で間違いない。ただ、形式的な国の組織としては検察庁は法務省、法務大臣が管轄してますから形の上では法務大臣から上申した形は当たり前なんです」と、「法務省から提案」といった見方に対し、形式論に過ぎないと再反論を繰り広げた。

安倍首相はこれまでに国会で、黒川検事長の定年延長について、どのような説明を行っていたのか。

たとえば3月9日の参院予算委では、小西洋之議員(立憲民主党などの共同会派)の質問に対し、

「(定年延長が可能だとの)今回の解釈についての変更は、検察庁を所管する法務省において適切に行われたものと承知しています。その上で黒川検事長については、検察庁の業務遂行上の必要性に基付き、検察庁を所管する法務大臣からの閣議請議により、閣議決定され、引き続き勤務させることとしたものであり、何ら問題ないと認識しております」

と答弁した。

黒川検事長の定年延長との関連の有無も含め与野党で議論が対立していた検察庁法の改正案は、今国会での成立が見送られた。菅義偉官房長官は19日の会見で、改正案の見送りは黒川氏の今後の人事には「全く影響はない」との考えを示した。

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検察庁法改正を強行する与党議員へのキラーワードは「#対立候補に投票します」:相澤冬樹

検察庁法改正を強行する与党議員へのキラーワードは「#対立候補に投票します」( ハーバー・ビジネス・オンライン)
https://hbol.jp/219305?cx_clicks_art_mdl=6_title
相澤冬樹         2020.05.17

与党議員を揺さぶるハッシュタグ「#対立候補に投票します」

 「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグは、ツイート数が500万件を超える一大ムーブメントとなりました。

 私がメディアコンサルタントの境治と行っているYouTube配信「メディア酔談」では、5月15日、このツイートを最初に始めた「笛美」さんをゲストに招き、リモート参加で話に加わってもらいました。

 抗議の声が高まる中、与党は検察庁法改正案の採決を先送りしました。しかしまだ採決の構えは崩していません。「#検察庁法改正案に抗議します」だけでは与党議員への歯止めにならないようです。

 そこで私は「メディア酔談」の中で、新たなハッシュタグとして「#対立候補に投票します」を提唱しました。これは与党議員に対し「もしも検察庁法改正に賛成するなら、次の選挙であなたの対立候補に投票しますよ」という意味です。この言葉は与党議員を揺さぶるキラーワードになり得ます。


もの言わぬ人々がものを語り出す時、世の中は変わる

 なぜ「#対立候補に投票します」という言葉が力を持つのでしょうか? それは、そうつぶやいた人が、次の選挙でほぼ確実に投票に行くからです。

 自公がなぜ選挙に強いのか考えたことがありますか? それは強固な支持基盤を持つからです。しかしその人数は限られています。もの言わぬ人の方がはるかに多いのです。

 その人たちの多くはこれまで投票に行かなかったでしょう。これまで選挙に行かなかった人たちが、こぞって次の選挙で投票に行って、与党の対立候補に投票する。これほど与党議員にとって恐怖なことはありません。  

 それは2009年の政権交代選挙で実証されています。それまで投票に行かなかった人が投票に行ったから投票率が上がった。その人たちが「世の中を変えたい」と期待して、野党・民主党(当時)に投票しました。

 そして与党の自公現職議員がのきなみ討ち死にし、劇的な政権交代が実現しました。あれと同じです。だから「#対立候補に投票します」は力を持つのです。

 その時の議席数の推移です。
 自民 300議席→119議席(181減)
 公明 31議席→21議席(10減)
 民主 115議席→308議席(193増)

 自民が半分以下に激減、民主が倍以上に激増してほぼ入れ替わっています。この選挙の時の自民党の首相は麻生太郎現財務大臣でした。

 民主党は投票してくれた有権者の期待にこたえられませんでしたが、それはまた別の問題です。大切なのは「もの言わぬ人々がものを語り出す時、世の中は変わる」ということです。


政治家が重んじるのは「自分が当選するかどうか」

  もう一つ大切なポイントは、「#対立候補に投票します」という言葉は特定の誰かを非難攻撃するものではないという点です。「落選させる」は似た意味に思えますが、脅しの要素が感じられます。

  「抗議します」「反対します」という言葉は意思表示としては明確ですが、与党議員たちが有権者の意思表示をちっとも重んじていないことは、「#検察庁法改正案に抗議します」というツイートが500万件を超えても方針を変えないことから明らかです。彼らが最も重んじるのは「自分が選挙に当選するか落選するか」です。

 ですから皆さん、自信を持って地元の選挙区の自公と維新の議員にもの申しましょう。ここで維新を入れたのは、日本維新の会も検察庁法改正に賛成だと明確にしたからです(もともと「よ」と「や」の間の「ゆ党」と呼ばれる存在ですから)。

 皆さんの地元選挙区の自民・公明・維新の議員に、「#対立候補に投票します」と伝えましょう。電話で、FAXで、メールで、そしてTwitterでつぶやきましょう。検察庁法がどうとか、難しいことを書かなくてもこれだけで十分です。

 議員はもちろん、その意味がわかりますから。これは検察庁法改正に賛成したら自分の対立候補に投票するという意味だな、と。

 それが数人数十人だけなら「たいしたことはない」とたかをくくれるでしょうが、数百人数千人となったら、もう安心していられません。数万人になったら、もはや落選確実と言ってもいいでしょう。


検察庁法改正案にも、森友問題の真相解明にも、声をあげていこう

  政治を動かすには、政治家に直接働きかけるに限ります。もの言わぬ有権者であることをやめて、もの申しましょう。それは私たちの権利です。検察庁法改正案は、私たちにそのことを気づかせてくれる貴重な機会になるかもしれません。

 そしてこのことは同時に、森友学園への国有地巨額値引きに関する公文書を改ざんさせられて命を絶った、財務省近畿財務局の赤木俊夫さんのことにもつながります。財務省もあの時、ルール違反のめちゃくちゃなことをしたのです。

 でも、なぜそんなことをしたのか真相は明らかになっていません。俊夫さんの妻、赤木雅子さんは、真相解明のための再調査を求めていますが、安倍首相も麻生財務大臣も「再調査はしない」と突っぱねています。  

  私たちは「#赤木さんを忘れない」というハッシュタグで赤木雅子さんへの共感と支持をお願いしてきました。検察庁法の問題が決着したら、次は「#再調査してください」と声を上げたいと思います。 <文・相澤冬樹>

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#週明けの強行採決に反対します ─検察OBが提出した意見書

【意見書全文】首相は「朕は国家」のルイ14世を彷彿(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASN5H4RTHN5HUTIL027.html
2020年5月15日 16時14分

検察庁法改正に反対する松尾邦弘・元検事総長(77)ら検察OBが15日、法務省に提出した意見書の全文は次の通り。

    ◇

 東京高検検事長の定年延長についての元検察官有志による意見書

 1 東京高検検事長黒川弘務氏は、本年2月8日に定年の63歳に達し退官の予定であったが、直前の1月31日、その定年を8月7日まで半年間延長する閣議決定が行われ、同氏は定年を過ぎて今なお現職に止(とど)まっている。

 検察庁法によれば、定年は検事総長が65歳、その他の検察官は63歳とされており(同法22条)、定年延長を可能とする規定はない。従って検察官の定年を延長するためには検察庁法を改正するしかない。しかるに内閣は同法改正の手続きを経ずに閣議決定のみで黒川氏の定年延長を決定した。これは内閣が現検事総長稲田伸夫氏の後任として黒川氏を予定しており、そのために稲田氏を遅くとも総長の通例の在職期間である2年が終了する8月初旬までに勇退させてその後任に黒川氏を充てるための措置だというのがもっぱらの観測である。一説によると、本年4月20日に京都で開催される予定であった国連犯罪防止刑事司法会議で開催国を代表して稲田氏が開会の演説を行うことを花道として稲田氏が勇退し黒川氏が引き継ぐという筋書きであったが、新型コロナウイルスの流行を理由に会議が中止されたためにこの筋書きは消えたとも言われている。

 いずれにせよ、この閣議決定による黒川氏の定年延長は検察庁法に基づかないものであり、黒川氏の留任には法的根拠はない。この点については、日弁連会長以下全国35を超える弁護士会の会長が反対声明を出したが、内閣はこの閣議決定を撤回せず、黒川氏の定年を超えての留任という異常な状態が現在も続いている。

 2 一般の国家公務員については、一定の要件の下に定年延長が認められており(国家公務員法81条の3)、内閣はこれを根拠に黒川氏の定年延長を閣議決定したものであるが、検察庁法は国家公務員に対する通則である国家公務員法に対して特別法の関係にある。従って「特別法は一般法に優先する」との法理に従い、検察庁法に規定がないものについては通則としての国家公務員法が適用されるが、検察庁法に規定があるものについては同法が優先適用される。定年に関しては検察庁法に規定があるので、国家公務員法の定年関係規定は検察官には適用されない。これは従来の政府の見解でもあった。例えば昭和56年(1981年)4月28日、衆議院内閣委員会において所管の人事院事務総局斧任用局長は、「検察官には国家公務員法の定年延長規定は適用されない」旨明言しており、これに反する運用はこれまで1回も行われて来なかった。すなわちこの解釈と運用が定着している。

 検察官は起訴不起訴の決定権すなわち公訴権を独占し、併せて捜査権も有する。捜査権の範囲は広く、政財界の不正事犯も当然捜査の対象となる。捜査権をもつ公訴官としてその責任は広く重い。時の政権の圧力によって起訴に値する事件が不起訴とされたり、起訴に値しないような事件が起訴されるような事態が発生するようなことがあれば日本の刑事司法は適正公平という基本理念を失って崩壊することになりかねない。検察官の責務は極めて重大であり、検察官は自ら捜査によって収集した証拠等の資料に基づいて起訴すべき事件か否かを判定する役割を担っている。その意味で検察官は準司法官とも言われ、司法の前衛たる役割を担っていると言える。

 こうした検察官の責任の特殊性、重大性から一般の国家公務員を対象とした国家公務員法とは別に検察庁法という特別法を制定し、例えば検察官は検察官適格審査会によらなければその意に反して罷免(ひめん)されない(検察庁法23条)などの身分保障規定を設けている。検察官も一般の国家公務員であるから国家公務員法が適用されるというような皮相的な解釈は成り立たないのである。

 3 本年2月13日衆議院本会議で、安倍総理大臣は「検察官にも国家公務員法の適用があると従来の解釈を変更することにした」旨述べた。これは、本来国会の権限である法律改正の手続きを経ずに内閣による解釈だけで法律の解釈運用を変更したという宣言であって、フランスの絶対王制を確立し君臨したルイ14世の言葉として伝えられる「朕(ちん)は国家である」との中世の亡霊のような言葉を彷彿(ほうふつ)とさせるような姿勢であり、近代国家の基本理念である三権分立主義の否定にもつながりかねない危険性を含んでいる。

 時代背景は異なるが17世紀の高名な政治思想家ジョン・ロックはその著「統治二論」(加藤節訳、岩波文庫)の中で「法が終わるところ、暴政が始まる」と警告している。心すべき言葉である。

 ところで仮に安倍総理の解釈のように国家公務員法による定年延長規定が検察官にも適用されると解釈しても、同法81条の3に規定する「その職員の職務の特殊性またはその職員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分の理由があるとき」という定年延長の要件に該当しないことは明らかである。

 加えて人事院規則11―8第7条には「勤務延長は、職員が定年退職をすべきこととなる場合において、次の各号の1に該当するときに行うことができる」として、/μ海高度の専門的な知識、熟練した技能または豊富な経験を必要とするものであるため後任を容易に得ることができないとき、勤務環境その他の勤務条件に特殊性があるため、その職員の退職により生ずる欠員を容易に補充することができず、業務の遂行に重大な障害が生ずるとき、6般海寮質上、その職員の退職による担当者の交替が当該業務の継続的遂行に重大な障害を生ずるとき、という場合を定年延長の要件に挙げている。

 これは要するに、余人をもって代えがたいということであって、現在であれば新型コロナウイルスの流行を収束させるために必死に調査研究を続けている専門家チームのリーダーで後継者がすぐには見付からないというような場合が想定される。

 現在、検察には黒川氏でなければ対応できないというほどの事案が係属しているのかどうか。引き合いに出される(会社法違反などの罪で起訴された日産自動車前会長の)ゴーン被告逃亡事件についても黒川氏でなければ、言い換えれば後任の検事長では解決できないという特別な理由があるのであろうか。法律によって厳然と決められている役職定年を延長してまで検事長に留任させるべき法律上の要件に合致する理由は認め難い。

 4 4月16日、国家公務員の定年を60歳から65歳に段階的に引き上げる国家公務員法改正案と抱き合わせる形で検察官の定年も63歳から65歳に引き上げる検察庁法改正案が衆議院本会議で審議入りした。野党側が前記閣議決定の撤回を求めたのに対し菅義偉官房長官は必要なしと突っぱねて既に閣議決定した黒川氏の定年延長を維持する方針を示した。こうして同氏の定年延長問題の決着が着かないまま検察庁法改正案の審議が開始されたのである。

 この改正案中重要な問題点は、検事長を含む上級検察官の役職定年延長に関する改正についてである。すなわち同改正案には「内閣は(中略)年齢が63年に達した次長検事または検事長について、当該次長検事または検事長の職務の遂行上の特別の事情を勘案して、当該次長検事または検事長を検事に任命することにより公務の運営に著しい支障が生ずると認められる事由として内閣が定める事由があると認めるときは、当該次長検事または検事長が年齢63年に達した日の翌日から起算して1年を超えない範囲内で期限を定め、引き続き当該次長検事または検事長が年齢63年に達した日において占めていた官及び職を占めたまま勤務をさせることができる(後略)」と記載されている。

 難解な条文であるが、要するに次長検事および検事長は63歳の職務定年に達しても内閣が必要と認める一定の理由があれば1年以内の範囲で定年延長ができるということである。

 注意すべきは、この規定は内閣の裁量で次長検事および検事長の定年延長が可能とする内容であり、前記の閣僚会議によって黒川検事長の定年延長を決定した違法な決議を後追いで容認しようとするものである。これまで政界と検察との両者間には検察官の人事に政治は介入しないという確立した慣例があり、その慣例がきちんと守られてきた。これは「検察を政治の影響から切りはなすための知恵」とされている(元検事総長伊藤栄樹著「だまされる検事」)。検察庁法は、組織の長に事故があるときまたは欠けたときに備えて臨時職務代行の制度(同法13条)を設けており、定年延長によって対応することは毫(ごう)も想定していなかったし、これからも同様であろうと思われる。

 今回の法改正は、検察の人事に政治権力が介入することを正当化し、政権の意に沿わない検察の動きを封じ込め、検察の力を殺(そ)ぐことを意図していると考えられる。

 5 かつてロッキード世代と呼ばれる世代があったように思われる。ロッキード事件の捜査、公判に関与した検察官や検察事務官ばかりでなく、捜査、公判の推移に一喜一憂しつつ見守っていた多くの関係者、広くは国民大多数であった。

 振り返ると、昭和51年(1976年)2月5日、某紙夕刊1面トップに「ロッキード社がワイロ商法 エアバスにからみ48億円 児玉誉士夫氏に21億円 日本政府にも流れる」との記事が掲載され、翌日から新聞もテレビもロッキード関連の報道一色に塗りつぶされて日本列島は興奮の渦に巻き込まれた。

 当時特捜部にいた若手検事の間では、この降って湧いたような事件に対して、特捜部として必ず捜査に着手するという積極派や、着手すると言っても贈賄の被疑者は国外在住のロッキード社の幹部が中心だし、証拠もほとんど海外にある、いくら特捜部でも手が届かないのではないかという懐疑派、苦労して捜査しても(1954年に犬養健法相が指揮権を発動し、与党幹事長だった佐藤栄作氏の逮捕中止を検事総長に指示した)造船疑獄事件のように指揮権発動でおしまいだという悲観派が入り乱れていた。

 事件の第一報が掲載されてから13日後の2月18日検察首脳会議が開かれ、席上、東京高検検事長の神谷尚男氏が「いまこの事件の疑惑解明に着手しなければ検察は今後20年間国民の信頼を失う」と発言したことが報道されるやロッキード世代は歓喜した。後日談だが事件終了後しばらくして若手検事何名かで神谷氏のご自宅にお邪魔したときにこの発言をされた時の神谷氏の心境を聞いた。「(八方塞がりの中で)進むも地獄、退くも地獄なら、進むしかないではないか」という答えであった。

 この神谷検事長の国民信頼発言でロッキード事件の方針が決定し、あとは田中角栄氏ら政財界の大物逮捕に至るご存じの展開となった。時の検事総長は布施健氏、法務大臣は稲葉修氏、法務事務次官は塩野宜慶(やすよし)氏(後に最高裁判事)、内閣総理大臣は三木武夫氏であった。

 特捜部が造船疑獄事件の時のように指揮権発動に怯(おび)えることなくのびのびと事件の解明に全力を傾注できたのは検察上層部の不退転の姿勢、それに国民の熱い支持と、捜査への政治的介入に抑制的な政治家たちの存在であった。

 国会で捜査の進展状況や疑惑を持たれている政治家の名前を明らかにせよと迫る国会議員に対して捜査の秘密を楯(たて)に断固拒否し続けた安原美穂刑事局長の姿が思い出される。

 しかし検察の歴史には、(大阪地検特捜部の)捜査幹部が押収資料を改ざんするという天を仰ぎたくなるような恥ずべき事件もあった。後輩たちがこの事件がトラウマとなって弱体化し、きちんと育っていないのではないかという思いもある。それが今回のように政治権力につけ込まれる隙を与えてしまったのではないかとの懸念もある。検察は強い権力を持つ組織としてあくまで謙虚でなくてはならない。

 しかしながら、検察が萎縮して人事権まで政権側に握られ、起訴・不起訴の決定など公訴権の行使にまで掣肘(せいちゅう)を受けるようになったら検察は国民の信託に応えられない。

 正しいことが正しく行われる国家社会でなくてはならない。

 黒川検事長の定年延長閣議決定、今回の検察庁法改正案提出と続く一連の動きは、検察の組織を弱体化して時の政権の意のままに動く組織に改変させようとする動きであり、ロッキード世代として看過し得ないものである。関係者がこの検察庁法改正の問題を賢察され、内閣が潔くこの改正法案中、検察幹部の定年延長を認める規定は撤回することを期待し、あくまで維持するというのであれば、与党野党の境界を超えて多くの国会議員と法曹人、そして心ある国民すべてがこの検察庁法改正案に断固反対の声を上げてこれを阻止する行動に出ることを期待してやまない。


 【追記】この意見書は、本来は広く心ある元検察官多数に呼びかけて協議を重ねてまとめ上げるべきところ、既に問題の検察庁法一部改正法案が国会に提出され審議が開始されるという差し迫った状況下にあり、意見のとりまとめに当たる私(清水勇男)は既に85歳の高齢に加えて疾病により身体の自由を大きく失っている事情にあることから思うに任せず、やむなくごく少数の親しい先輩知友のみに呼びかけて起案したものであり、更に広く呼びかければ賛同者も多く参集し連名者も多岐に上るものと確実に予想されるので、残念の極みであるが、上記のような事情を了とせられ、意のあるところをなにとぞお酌み取り頂きたい。


 令和2年5月15日

 元仙台高検検事長・平田胤明(たねあき)

 元法務省官房長・堀田力

 元東京高検検事長・村山弘義

 元大阪高検検事長・杉原弘泰

 元最高検検事・土屋守

 同・清水勇男

 同・久保裕

 同・五十嵐紀男

 元検事総長・松尾邦弘

 元最高検公判部長・本江威憙(ほんごうたけよし)

 元最高検検事・町田幸雄

 同・池田茂穂

 同・加藤康栄

 同・吉田博視

 (本意見書とりまとめ担当・文責)清水勇男


 法務大臣 森まさこ殿


★☆#週明けの強行採決に反対します ☆★
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“不要不急”の検察庁法改正が、安倍官邸と黒川氏には“必要至急”のワケ(HARBOR BUSINESS )

“不要不急”の検察庁法改正が、安倍官邸と黒川氏には“必要至急”のワケ
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200511-00218851-hbolz-soci
5/11(月) 15:33配信

“東京の女王様”から電話「検察庁法改正がヤバい」

 5月8日の午後、私が取材を終えて「さあ原稿に取り組むぞ」と意欲をかき立てていた矢先に、武井由起子弁護士から電話がかかってきた。世の人の幸せと平和を願い、政治や人権の問題で積極的に発言している方だが、かなりの無茶振りをかます方でもあり、私は“東京の女王様”とお呼びしている(ちなみに大阪にも別の女王様が君臨している)。

「相澤さん、検察庁法改正がヤバいのよ。(以下、何がヤバいか延々10分ほど演説した後)それで、記事書いてくんない?」

 私は「たまらんなあ」という雰囲気を思いっきり醸し出しながら答えた。

「おっしゃることはわかりますけど。私、いま文春の原稿抱えて結構大変なんですよ。赤木さんの件で。だからなかなか他のことに手が出せないんです」

「赤木さんの件」とは、森友事件で公文書改ざんをさせられて命を絶った財務省近畿財務局の赤木俊夫さんと、妻の赤木雅子さんのこと。雅子さんは3月18日、国と佐川宣寿元財務省理財局長を相手に裁判を起こすとともに俊夫さんが書き残した手記を公表した。その日以降、私は『週刊文春』で連載を続けている。

 だが、そんな理屈は女王様には通用しない。

「だって、これだって赤木さんに関係あるじゃない。検察ですよ? 俊夫さんは検察の捜査におびえていたんでしょ? それだって追い詰められる一因になってるんでしょ?」

「それはその通りです。確かに俊夫さんに対する検察の接触の仕方はまずかった。主治医が止めていたのに、いきなり俊夫さんに電話してきて20分も長電話した。そのあげく財務省の人たちを全員不起訴にしたんですから、いったい何のために病気休職中の俊夫さんに無理して話を聞こうとしたんだか……」

「でしょ? だからこんな“不要不急”の法案をね……」

 この女王様の“不要不急”という言葉に私はピンとくるものがあった。以前、検察幹部に聞いていた話を思い出したのだ。私は思わず答えていた。

「わかりました。検察庁法改正で記事を書きますよ」


「あっちがそうくるなら、こっちも考えがある」

 話は今年1月にさかのぼる。黒川弘務・東京高検検事長の定年延長(正式には勤務延長)が閣議決定で決まった。よく知られているとおり、黒川氏は2月7日に定年を迎え退職するところだったが、これを半年延ばして8月にした。今の稲田伸夫・検事総長が慣例通り就任2年で勇退すれば7月にポストが空き、その後釜に据えられる。

 この定年延長は“官邸の守護神”の異名を取る黒川氏を検察トップの検事総長にするための奇策と見られ、それまでの法律解釈をいきなり変更する“超法規的措置”だったことから世の批判を招いた。検察幹部にとっても“寝耳に水”の話で、黒川氏の定年を前に予定されていた送別会が急きょキャンセルになった。これは検察史上初めてのことだという。

 ここからが検察幹部に聞いた“知られていない”話だ。黒川氏の定年延長を聞いて、稲田検事総長がこんな一言を漏らしていたのだ。

「あっちがそうくるなら、こっちも考えがある」

「あっち」はもちろん安倍官邸。「こっち」は稲田総長をトップとする検察組織。「安倍官邸vs.検察」の闘いが火ぶたを切った。なんか似たようなタイトルの本があった気もするが……。

 では「こっち」の考えとは何か?

 それはもちろん、広島地検が着手した河井克行前法務大臣(衆院広島3区)の妻、河井案里参議院議員の選挙違反事件だ。夫妻の秘書が逮捕・起訴されているが、実はこの事件、広島地検だけで捜査しているわけではない。

 逮捕した秘書の取り調べにあたったのは、大阪地検特捜部から応援に派遣された実力派特捜検事だ。そしてその内容は逐次すべて東京にも報告されていた。完全に東京マターなのだ。検察幹部は語る。

「だって最初から狙いは議員本人だからね。あ、議員と言っても案里じゃないよ。夫の克行の方。前法務大臣ね」
.

“動かぬ証拠”は河井前法務大臣の指示メール

 私は検察幹部に尋ねた。

――どうして、そこまで断言できるんですか?

「それはさあ、“動かぬ証拠”があるからよ」

 実は、河井克行・前法務大臣が今回の買収について、秘書たちに詳細に指示したメールがあるのだという。

「あんなものがあったら、もう言い逃れできないでしょ。メールはすべて克行から出ている。案里は何もわかってないんじゃないかな? 『籠池夫妻の妻と同じ』と言えばわかるでしょ」

「それがわかっているなら、籠池泰典さんの妻・諄子さんを起訴しちゃダメじゃないですか!」と言いたいところではあるが、今はその取材ではないのでぐっとこらえて……。

森本宏・東京地検特捜部長は「議員の逮捕」のために待機!?

 私はさらに質問を続けた。

――連休中に夫妻を事情聴取していますね。

「ああ、東京地検特捜部の検事がね。国会議員を逮捕するとなったら広島に任せておけないでしょ。国会会期中で逮捕許諾請求も必要だしね。東京地検特捜部の出番だよ。森本(森本宏・東京地検特捜部長)が動いていない(異動していない)でしょ?

 もう2年以上たつから、本来ならとっくにどこかの検事正に動いてなきゃいけない。同期どころか1期下まで検事正になっているからね。それが特捜部長に残っているのは『議員の事件をやるならこいつしかいない』と見込まれているからだよ。コロナが一段落したら許諾請求。ここで森法務大臣が指揮権発動したら、それこそ内閣が倒れるだろう」
.

安倍官邸は黒川氏の定年延長で、検察の“虎の尾を踏んだ”

――そこまでやるんですね。

「安倍官邸は黒川さんの定年延長で“虎の尾を踏んだ”んだよ。稲田総長は当初は就任2年で7月に辞めて、その後に林さん(林真琴 名古屋高検検事長)が就任という流れを考えていた。林さんは7月末で定年を迎えるけど、検事総長になれば定年が2年延びるからね。

 でも、その構想を覆されて稲田さんもブチ切れたんだよ。総長が2年で辞めるというのは慣例であって、稲田さんは65歳の定年まであと1年ある。本人が『辞める』と言わなければ定年まで辞めさせる手立てはない。

 黒川さんは半年延長しても8月には退職だから、稲田さんが辞めなかったら結局総長にはなれないからね。さすがに2度の定年延長はできないでしょ? 稲田さんはそれを考えているよ」
.

検察庁法改正は、安倍官邸と黒川氏にとっては「必要至急」

 そこに出てきたのが検察庁法の改正案だ。

●検察官の定年を63歳から65歳に引き上げる。
●検事長、検事正などの幹部は63歳で役職を降り、平の検事に戻るが、内閣が必要と認めた場合、役職を続けることができる。

 定年の65歳への引き上げは、ほかの国家公務員についても提案されている。実は、去年秋に政府部内で検察庁法改正が検討された時は、この65歳への引き上げだけが入っていた。それだけならさして反対もなかっただろう。だが問題は「役職の延長」だ。これは内閣の判断で決まる。ということは、内閣に都合のよい人物を検察幹部として残すことができるということだ。

 例えば黒川氏は退職が8月まで延びたが、違法な延長だと厳しく批判されている。だがこの法案が通れば、あの定年延長も「超法規的措置」ではなく合法的だったと後付けで正当化できる。そうすれば再度の定年延長も不可能ではなくなり、稲田検事総長が辞めた暁には、めでたく検事総長に就任できるようになる。

 コロナ対策で「不要不急の外出は控えましょう」と政府をあげて呼びかけているさなかに「三密」状態の国会を開き、「不要不急」としか思えない検察庁法の改正を急ぐのは、まさにこれが安倍官邸と黒川氏にとっては「必要至急」な法案だからだ。


“官邸の守護神”黒川氏が森友事件をつぶした!?

 ところで、その黒川氏が東京高検検事長になる前、法務省の事務次官をしていた時の重要事件が森友事件である。国有地の不当な値引きによる背任罪。関連する公文書を破棄・改ざんした公用文書毀棄(きき)、公文書変造罪。告発を受けて大阪地検特捜部が捜査していた。

 当時、私はNHK大阪報道部で検察取材を担当していた。この事件について、ギリギリまで大阪地検にはやる気があると感じていた。ところが一転して、結果は全員不起訴。その時、東京から大阪に大きな圧力があったという。その圧力をかけたのが黒川事務次官だとささやかれていた。黒川氏が“官邸の守護神”と言われるゆえんだ。

 この事件で命を絶った赤木俊夫さんの妻、赤木雅子さんが望んでいる「真相解明のための再調査」。もしも検察が財務省の関係者を起訴していれば、法廷ですべてが明らかになったはずだ。黒川氏は赤木さんの願いをも握り潰したことになるのである。
.

現職検事は定年引上げに「そんなんいらんわ」

 この記事を書くにあたって私は、とある現職検事に話を聞いた。定年の引き上げ自体は、検事にとって歓迎すべきことではないかと考えたからだ。その検事はベテランの域にあるが、定年引き上げには冷ややかな見方を示した。

検事:まず年金の問題があるやん。今は65歳からもらえるけど、定年が65歳になった時にどうなるか? 先に延びるんやないの?

 次に再就職の問題がある。私たちは公証人が有力な再就職先やろ? 公証人は普通8年くらいできる。それで60歳前後になると、いい席が空いたら「そろそろどう?」って声がかかるんよね。そしたらそもそも定年なんて関係ないやん。

 ただ、公証人の声がかかるのは、それなりに実績を認められている人。辞めて弁護士になるのも、実力がある人。定年まで役職にもつかず検事を続けている人は、やはりそれなりの人ということや。

 そんな人たちをあと2年も抱え込むことになると、役所の人事を決める人たちも頭が痛いやろうね。そして、そんな人があと2年余計に役所で給料をもらえるというのが、そもそも国民の税金の使い道としてふさわしいかという話やね。

相澤:じゃあ、今回の検察庁法改正で定年が延びることは歓迎しないと?

検事:歓迎どころか、余計なお世話。ほとんどの検事が「そんなんいらんわ」と言うやろな。喜ぶのは使えない検事だけ。こんなことで自分たちの歓心を引くことができると思われているなら、むしろ腹が立つ。結局、黒川さんだけのための法案やないの?


政権のため事件を握り潰した人物を、捜査機関のトップに据える“検察支配”法案

 有名なリンカーンの演説「人民の、人民による、人民のための政治」をもじって言うなら、検察庁法改正案はまさに「アベちゃんの、アベちゃんによる、検察支配のための法案」である。

 政権のため事件を握り潰した人物を捜査機関のトップに据えることを正当化するための法案が、コロナ問題の真っただ中に、最優先で審議されようとしている。

 そのことをヤバイと感じた、これまであまり政治的発言をしてこなかった人たちが、声を上げ始めている。

●きゃりーぱみゅぱみゅさん(tweet削除済み)

●浅野忠信さん。

●城田優さん。

●井浦新さん。

●西郷輝彦さん。

●俵万智さん。

●そしてキョンキョンこと小泉今日子さんは、立て続けに連投している。

 こうした著名人のツイートに対し「芸能人が政治的発言をするな」的投稿で圧力をかける人たちが大勢いる。だが「#検察庁法改正案に抗議します」のハッシュタグがついたツイートは、10日午後の時点で380万件を超えた。

 コロナのさなかに、この法案を最優先で通す。反対の声を押しつぶそうとする。我が国は、そんなことでよいのだろうか? 愛国者の方にこそ考えてほしい。

<文/相澤冬樹>

【相澤冬樹】
大阪日日新聞論説委員・記者。1987年にNHKに入局、大阪放送局の記者として森友報道に関するスクープを連発。2018年にNHKを退職。著書に『安部官邸VS.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由』(文藝春秋)
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