憲法施行60周年と集団的自衛権について

   昭和22年5月3日に新憲法が施行されてから、間もなく60年という節目を迎えます。折りしも参議院憲法特別委員会においては、「憲法改正国民投票法案」が審議されています。私も提案者の一人として、連日のように答弁席に釘付けになっています。当初の予定では60周年の前に成立するはずでしたが、少し遅れています。しかしこれは単に「60年のお土産」ではなく、あくまで「憲法付属法」ともいえるものですから、しっかりとした審議が求められます。
 それにつけても残念なのは、衆議院段階で与党と民主党の合意が得られなかったことです。私と枝野民主党筆頭理事、そして委員会の現場では、ほぼ完全に合意案が出来上がっていたにもかかわらず、採決当日朝の民主党役員会では、「実質的な合意ではだめで、一字一句民主党案を丸呑みしなければだめだ」という強硬論が台頭してしまい、「まぼろしの共同修正案」になってしまいました。
 憲法改正原案の発議が、衆参両院議員の3分の2の賛成を前提としますので、その付属法ともいえる国民投票法案も、出来るだけ幅広い合意を目指すべきであって、私たちは自公民の話し合いを数年間にわたって積み上げてきました。しかし最後のところで与野党の対決構図に巻き込まれ、ついに合意に至らなかったのです。その後は手のひらを返すように与野党対立が激化し、強行採決気味になったのはまさに痛恨事です。
法案成立後、次の国会から設置される「憲法審査会」の議論も、このことで一定の影響を受けざるをえないでしょう。しかし気を取り直して、3分の2の幅広い合意をいつも念頭に入れながら、地道な努力を重ねていかなければなりません。
 一方安倍総理は、先日「集団的自衛権」に関する政府解釈の変更を目指した「有識者懇談会」を発足させました。集団的自衛権とは、自分の国が直接攻撃されていないにもかかわらず、同盟国がその敵から攻撃を受けた場合、自国が攻撃されたとみなして反撃する権利をいいます。政府の憲法解釈では、これは必要最小限度の武力行使を超えるものだから、憲法違反ということになっています。
ところが有識者懇談会の基本的スタンスは、現行憲法を改正しなくとも解釈を変えることによって、限定的に集団的自衛権を認めるべきだということです。具体的な検討の類型として
[1]米国に向かって発射されたミサイルを、日本が打ち落とせるか。
[2]日本近海で展開する米海軍艦船が第三国から攻撃を受けたら、日本はそれを攻撃できるか。
[3]海外で人道復興支援を展開中、近くにいる他国の軍隊がゲリラに襲われたとき、助けることが出来るかどうか。
[4]米軍や多国籍軍が海外で活動しているとき、武力行使と一体とみなされる武器弾薬の運搬などは、許されるのか。
などの整理が課題となっています。
 たしかにこれらは限定的な集団的自衛権の行使であり、それを実行できるようにするのは、我が国の安全保障にとって望ましいことです。しかしこれらを憲法の解釈ですり抜けようとするのは、あまりに姑息な手段ではないでしょうか。これこそ憲法改正を要する問題であって、正面から議論すべき問題です。時間がかかるかもしれませんが、決して手を抜いてはいけないと思います。
長年に亙って積み重ねられてきた政府解釈を、手のひらを返すように簡単に変更してしまっては、憲法の理念も信頼性も失われてしまいます。この際私たちは、憲法の重みを十分に感じながら、堂々と憲法改正議論を起こしていくべきだと思います。

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