2008年09月04日

官職のお話 その1 

書き手:赤龍

いつものことですが、しばらく空けてしまって申し訳ありません。最近また興味が別の方向にむかってまして……
でも、完全に三国志から離れていたわけでもないですよ。

先日古本屋で、大庭脩先生の『親魏倭王』(学生社)を見つけました。
タイトルからわかるように「魏志倭人伝」に関する本ですが、中国史の専門家による倭人伝研究ということで、後漢〜三国時代の東アジア世界の国際関係やら、卑弥呼のもらった制詔の説明など、非常に面白い内容でした。
中でも、一番私が注目したのが、魏から任命された「率善中郎将、率善校尉」、倭王武の「安東将軍」などの官位を説明するために、当時の将軍、中郎将、校尉がどういう地位なのかを変遷を追いながら述べられている部分です。三国志の官職を理解する上でも、大変勉強になりました。

いや、今回のテーマは書籍紹介じゃあないですよ。勿論この本はおすすめですが。

これを読んでふと思ったのが、人物紹介なんかで、その人物の任官した官職なんかを色々書いてますが、それについてここでまともに説明したことないなあ、という問題。
多分、三国志を初めて読んだときに苦戦するものの一つに「聞いたことが無い官職・役職が次々出てくる」というものがあると思います。

というわけで「当時の官職についてのお話を、おもいつくままあれこれしていこう」という新企画を思いつきました。
なんだか、あやふやで心配ですね(苦笑)そんなこと言われても「各官職を体系立てて整理し、その実体やら変遷やらをまとめる」なんて高尚なこと私に求められても無理なんです(涙)そういうことは、専門家の先生の本を探してください(あーあ、自分の無知を開き直ってしまった……)

不安全開なスタートですが、こんな感じでボチボチやっていきます。よろしくお願いします。



具体的な官職の説明をする前に、最初に少々総説的なお話を。
どうしても、面白みの無い解説がつづきますが、しばらくのご辛抱を

後漢時代の官職のランク付けは、与えられるお給料という、直接的な表現を用いて行われています。
といっても、金銭の単位でなく、穀物の単位を使っていました。実際は、全部穀物で支払われるわけではなく、穀物と銭で支払われるそうですが。

その穀物の単位は「石」
日本では「加賀百万石」なんていう、お馴染みの「石高制」では「石」は「こく」と読みますね。しかし、この場合は通常「せき」と読みます。

それぞれの官職に与えられる俸給が決まっており、順に
一万石→中二千石→二千石→比二千石→千石(以下略)
なんて序列になっています。といっても、年俸きっかり二千石というわけでもなく、中二千石と二千石では、ランクも違い、俸給も違ったわけですが、細かいことは省きましょう。
とにかく、俸給とする穀物の単位で序列を表した。これが「秩石制」と称されます。

三国の魏では、これに代わり新たな官制が作られました。世界史の教科書にも出てくる「九品官人法」です。
「九品官人法」自体の説明は面倒なので、今回は省きます。

ここでのポイントは、官職の序列が最高は「一品」から、順に「九品」までと、九段階にされたことです。「秩石制」より随分と分かりやすくなりましたね。
官制自体は後世様々な変遷がありますが、この官品による序列自体は歴代王朝に受け継がれます。
日本の古典なんかで「正三位」とか「従五位下」なんてでてきますよね。この日本の位階も、「品」と「位」と用いる言葉は違えど、九段階の官品に由来するものです。正や従、上や下というのは、この九段階をさらに細分化したものです。

ここで大切な注意点。
後漢の官制と三国時代の官制はイコールでないということ。それどころか、三国それぞれバラバラ。蜀は当然「九品官人法」なんて使ってません。
官品によるランク付けは、明確であり、官職を説明する時に便利ですが、そのランクが必ずしも、後漢末や蜀呉に対応するわけではありません。
魏にあって蜀にない官、なんてこともあります。

また、後々本題に入ると触れますが「三公九卿の形骸化」やら「将軍号の氾濫」やら、当時の官制は様々な変遷があり、かなり流動的なものだと思ってください。漢末三国といえば、戦乱の時代。つまり国家の非常時。これもその変遷の大きな要因です。

ですので、これから紹介していくそれぞれの官職も、ひとつの目安として官品も付記しますが、それが全てにおいて絶対の序列ではないとご了承ください。


とまあ、なんだか小難しい話で萎縮させてしまうような前置きですが、要は「色々変化があってややこしい時代なんで、説明もアバウトに理解してね」ということです。あまりガチガチに考えてしまうと、理解しにくくなる時代だと。

では、次回から具体的な官職についてのお話に入ります。
まずは、中央官のトップ、人臣の最高位である「三公」から



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