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2つのものがヤケに並んでます。

まずマックイーンとニューマンというビッグネーム。
映画が始まるや、
この2つのクレジットが左右に並びます。
当時(1974)としては異例のことです。
シュワちゃんとウィリスが並んでるようなもんですよ。
この並び方でかなり揉めたりもしたみたいです。
上下では優劣がはっきりするんで、
どちらを左にするか右にするか、
並べるなら普通じゃダメ、
なぜならアルファベットは左から読むから、
つまり左に位置したクレジットが
真の主役となってしまう、
なら右のクレジットを
左に対して少し上にしたらどうか、
結果、ああいった神経質な並び方になりました。
セリフや出番の数だけ見れば
明らかにニューマンの方が勝っているわけですが、
存在感という点で
マックイーンに軍配が上がるのは否めません。
ただ、どちらが真の主役かなんていう考えは
観終った後には吹き飛んじゃいますね。
2つのクレジットが並んでいるという事実を
素直に受け入れてしまいます。

感動的なのは映画が始まって約40分後、
待ってました! と
ようやく姿を見せたマックイーンが
いきなりニューマンとのツーショットになるということ。
画面内でこの2人が
喋りながら並んで歩いてるというただそれだけで
小学生だった私の全身に鳥肌が立ち、
この映画の全てを受け入れよう
という決心がついたのでした。

2人が出演してんだから
ツーショットなんて当たり前じゃん、
などとほざいてはいけません。
「ヒート」、
あれデ・ニーロとパチーノの夢の競演
なんて言ってましたが、
2人がツーショットになるシーンてありましたっけ? 
せいぜいリバースショットで
交互にそれぞれを撮ってるだけで、
画面手前にフォーカスアウトで映り込む
それぞれの後ろ姿なり後頭部なんて
彼ら以外でも代替がきくもんでしょ。
つまりは、
2人の出演ショットを別々の日に撮ったって
あの映画は出来上がったわけです。
あんな詐欺みたいな映画ないですよまったく。
「ゴッドファーザーPART供廚両豺腓
2人が出てる時代設定が違うんで、
逆にツーショットになっちゃったら
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」になります。

続いてグラスタワーと高さ競争に負けた隣のビル。
冒頭、サボテンみたいに仲良く並ぶ
ロングショットが現れますね。
この瞬間、グラスタワーの歪な形に
引いてしまった観客がかなりいたと思われますが、
あなたははどうでしょうか? 
あの有名な俯瞰のポスターのイメージと
かなり違いましたね。
しかしこんなことで引いてたんでは
2時間45分もある長丁場を乗り切れない、
よって見て見ぬ振りをしたのは
私だけではないはずです。

この隣のビルとロープで繋いだ
「1人ずつユラユラ籠渡し作戦」を
荒唐無稽だと考えては決してならないというのが
この映画の基本ルールです。
世界中の遊園地どこを探せど、
これほどの恐怖を体感できる乗り物は
まずありませんし、しかも無料です。
2005年現時点での世界一は台湾のTAIPEI 101、
つまり101階、
「1人ずつユラユラ籠渡し作戦」のスタートは
135階です。
これだけでも「もぉ落ちて死んでもイィ」って
思っちゃいますよね。
<スパイダーマン・ザ・ライド>なんて
馬鹿クサくって2度と乗りたくなくなること間違いナシ。
羨ましくて観ていて身体がハチキレそうです。

このシーン、恐らく
ジョセフ・バイロックの手によるものではないでしょうか。
手によるものではないか、というのも、
この映画、
2人の撮影監督の名がクレジットされてるのですね。
もう1人はフレッド・キーネカンプ。
「パピヨン」や「エンブリヨ」
なんかを撮ったキャメラマンですね。
ということでここでも2つが並ぶことになりますが、
ここではやはりバイロックについて、
それがなぜ彼だと分かるか。
やはり影の使い方が違うわけですね。
ヴェンダースが「ハメット」で彼を起用したのも、
オルドリッチ時代に見せたその影に惚れこんだからだった
と記憶しています。
火災によって停電になっしまうこのシチュエーション、
物語上の要請というよりは、
バイロックの為に設えられた
正に独壇場というべきものでしょう。
トップライトがまったく機能しない状況下、
光はサイドかアンダーのみとなる。
かといってそこはハリウッドの大作、
あまり奇抜なことも出来ない、
ということで徐々に眼が慣れていくという想定で
照明プランを立てるとこうなりましたという、
パーティーという設定上
全ての男性が羽織るタキシードの黒を利用した
高コントラストの画面作りをもう一度ご覧になった後に
「ハメット」を再見すると
さらに納得いかれるのではないかと思います。
このシーンでは
完全なる沈黙を選択したジョン・ウィリアムス、
ガラスの割れた後に
急激に入り込む風と地上からのノイズ、
ニューマンが皆の先頭に立って
必死でロープを手繰り寄せるショットが感動的なのには
れっきとした訳があるのです。
手繰り寄せたロープにくっついてきた
あまりに大きな滑車自体と
そのピクピクした動きが妙に艶かしいと感じたのも
当時小学生だった私だけではないはずです。

さらに並ぶはフォックスとワーナーという2大企業。
これには私も当時ブッタまげました。
まぁ、
マックイーンとニューマンに支払うギャラだけではない、
これオールスター映画ですからね、
「ポセイドン・アドベンチャー」のような
まともな額ではあり得ないのです。
ウィリアム・ホールデン、フェイ・ダナウェイ、
フレッド・アステア、ジェニファー・ジョーンズ、
O・J・シンプソン、リチャード・チェンバレン、
ロバート・ワグナー、ロバート・ヴォーン、
逝くとこまで逝ってまえー!!ってな感じでしょうか、
正にバブルムービー、
こういう「クレオパトラ」「天国の門」的な自虐的振舞い、
キライじゃないです。
当時の日本円にして45億円、
これがこの映画の製作費です間違いありません、
「観終わった後、
しばらく席を立つことができませんでした。(郷ひろみ)」
を執拗に載せる新聞紙上の第2の宣伝文句にしてましたから。
因みに翌年の「ローラーボール」(ノーマン・ジュイソン版)は
50億円ですんで、
こちらの退廃性に比べるとまだ可愛いもんですね。

実はフォックスとワーナーが入り込んだのには
製作費云々よりもっと正当な理由がありまして、
それがこの2つの原作です。
また並びましたね。
 
「THE TOWER」 

「GLASS INFERNO」

どちらがどっちの版権を持ってたかは忘れたんですが、
これもよく知りませんが
同じような内容の話だったらしいですね。
同時期に同じような映画で競うなら、
いっそ2つまとめたものを脚色し、
製作費もワリカンでデッカイもん作りましょうや社長、
な、よろしいでっしゃろ、
ってな話になったということも
当時けっこう話題になってましたよ。

この映画、思いついただけでこんなに出てくるんだから、
探せばもっと色んな“並び”を
発見できるのかもしれませんが、
もうええ加減この辺で終わりにしたいんですが
どうでしょうかね。
ごっつぅ眠たいんです私さっきから。

それじゃ、
この映画の意外な一面を2つほど挙げてお開きに。

まずはですねぇ、映画が始まって間もなくの
ニューマンとフェイ・ダナウェイの再会シーンで流れる
ジョン・ウィリアムスの「Something for Susan」、
これ大阪の毎日放送の
夜の天気予報で延々と何年も使われてたんですね。
何とも都会の夜を彷彿とさせる
見事な70年代メロディーです。
ジョン・ウィリアムス、
やはりタダモノではないですねえ。

続いてさっさといきましょう、
この映画のヴィジュアル・エフェクト、
なんとダグラス・トランブルが担当してるんですよ。
クレジットには出てこないので
知ってる人少ないんじゃないでしょうか。
「2001年宇宙の旅」や
「ブレードランナー」の人というより
私的には「スタートレック」(79年)の救世主であった
というニュースの方が脳裏を過ります。
特撮シーンのパイロットを見たロバート・ワイズが
そのあまりに貧疎な出来栄えに泡吹いて倒れたんですね。
そこでプロデューサーが
急遽ダグラス・トランブルを呼びつけ、
全部撮り直させて九死に一生を得たのが
「スタートレック」だったわけです。
あの映画がまだ見るに堪えるのは
彼のお陰だったんですねぇ。

さてと、今日はこんなもんで如何でしょうか。
それではまた次回お逢いしましょうね。

   サヨナラサヨナラ、サヨナラ

thetoweringinferno4sss