天野ナス。

ぼくは黒っぽい犬。じゅうにん家族。


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じじぃの換算だと4歳のぼくは人間でいうところの20歳なんだそうだ。
ということで、ぼくはめでたく成人したのだ大人なのだとじじぃは言う。
そう言うじじぃはじじぃのくせにまったく大人になっていない。

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おかあさんのお父さんは「老人」という生き物だったそうだ。
ぼくたちとは一緒に住んでいなかったけれど
ぼくたちの面倒をずっとみていてくれたんだって!
だから「老人」が「この家の長だよ」とじじぃが教えてくれた。


その「老人」が今月亡くなった。
その数日前に
犬助おとうさんがぼくたちを代表して感謝の挨拶に行った。
茶々は成城を一緒に散歩した。


おかあさんに「さびしくなった?」ってきいたら
ナスくんたちがいるからぜんぜんへいき と言っていた。
うれしくもあったけど、ぼくたちがいなかったらこの人どうなっちゃうんだろう?という不安もある。

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おかあさんはレモンケーキが好きだという。
しかし、こどもの頃の記憶の中のレモンケーキに出会えずにさすらっている。

もっとチープな感じなの
こんなに甘くはなかった
レモンの酸味がきいていない
コーティングはレモン風味のホワイトチョコレートだったのに
さわるととけて指につく感じで
駅の売店でも売ってたのに

などと差違ばかり申し立てる。
ぼくにはそういいながらレモンケーキを食べ続ける理由を探しているように見える。
きっと「おかあさんのレモンケーキ」はおかあさんの頭のなかにしか存在しない幻想にちがいない。
人間はなにかを追求しながら生きることを良しとされているらしいので
おかあさんの 場合はそれがレモンケーキなんじゃないか?と思った。

でも、そんなにまでいうなら
ぼくにもひとつくらいくれればいいのに。
というのが率直な意見だ。

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じじぃはいろいろとやらかす。
おかあさんは数ある「やらかし」のなかで我慢を超えるものがあると
「お義母さんに通報する」と言ってじじぃを脅している。
そして本当に通報することもあって
そんなことはいままでに二度ほどあったようだ。
すると「お義母さん」がすっとんできてじじぃをやり込める。
やり込められているじじぃを見ると、おかあさんはすっきりするそうだ。
だから常に「通報する」機会をうかがっているということだ。

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夏休みになると毎年うちに「偽おかあさん」というのがやってくる。
外国という、日本ではないところから来るのだそうで
だいたい1~2か月うちで過ごす。

「偽おかあさん」はお母さんによく似ているが、似て非なるものだ。
性質はじじぃに似たところがあって昔の出来事を恩着せがましく言ったりする。
「離乳食を食べさせてあげたの誰だと思っているの?」とかだ。
その頃のぼくはやっと目が開いたばかりで誰が何してくれたとか全然覚えていないんですけど
離乳食を食べさせて下さったのならありがとうございます、と言っても
ぼくがとてつもなく人見知りでなつかないので悲しい顔をする。
それでも不屈の精神で「偽おかあさんだよ 偽おかあさんだよ」と迫りくる。

最初から「偽」だと公言してくるところなどは好感が持てるので
うーんそろそろなついてみようかな?と思う頃に夏が終わって「偽おかあさん」はまたどこか自分の家に帰っていく。

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