天野ナス。

ぼくは黒っぽい犬。じゅうにん家族。

カテゴリ: 思うこと。

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人間はうまれた地域によって性質が変わるらしい。
ぼくのおかあさんは築地生まれで短気だ。
よくじじぃのようなまだろっこしく辛気臭くどんくさい人間と一緒に暮らせるものだとぼくは感心している。

おかあさんは性格的な欠点を指摘されると「わたしは江戸っ子だから仕様がない」という言い逃れをしている。
なんでも出生地のせいにする。

そんなこといったらぼくだって東京生まれだし、江戸っ子なのでは?と聞いてみたら
「ナスくんは東京生まれと言っても練馬だし、練馬は江戸じゃない」 と言われた。
東京でもいまの東京は武蔵野や多摩みたいのも合併して大きくなっているのだそうだ
なのでぼくは強いて言えば「武蔵野っ子」で「じじぃと同類」だと言われとてもショックを受けた。

ぽっちゅ姉ちゃん、助男先輩、ブチは銀座生まれだから江戸っ子なのだそうだが
あのピバールまでもが江戸っ子とは許しがたい事実なのでぼくは認めない。

ちなみにぼくはこの夏、五歳になった。

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おかあさんのお父さんは「老人」という生き物だったそうだ。
ぼくたちとは一緒に住んでいなかったけれど
ぼくたちの面倒をずっとみていてくれたんだって!
だから「老人」が「この家の長だよ」とじじぃが教えてくれた。


その「老人」が今月亡くなった。
その数日前に
犬助おとうさんがぼくたちを代表して感謝の挨拶に行った。
茶々は成城を一緒に散歩した。


おかあさんに「さびしくなった?」ってきいたら
ナスくんたちがいるからぜんぜんへいき と言っていた。
うれしくもあったけど、ぼくたちがいなかったらこの人どうなっちゃうんだろう?という不安もある。

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おかあさんはレモンケーキが好きだという。
しかし、こどもの頃の記憶の中のレモンケーキに出会えずにさすらっている。

もっとチープな感じなの
こんなに甘くはなかった
レモンの酸味がきいていない
コーティングはレモン風味のホワイトチョコレートだったのに
さわるととけて指につく感じで
駅の売店でも売ってたのに

などと差違ばかり申し立てる。
ぼくにはそういいながらレモンケーキを食べ続ける理由を探しているように見える。
きっと「おかあさんのレモンケーキ」はおかあさんの頭のなかにしか存在しない幻想にちがいない。
人間はなにかを追求しながら生きることを良しとされているらしいので
おかあさんの 場合はそれがレモンケーキなんじゃないか?と思った。

でも、そんなにまでいうなら
ぼくにもひとつくらいくれればいいのに。
というのが率直な意見だ。

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じじぃはいろいろとやらかす。
おかあさんは数ある「やらかし」のなかで我慢を超えるものがあると
「お義母さんに通報する」と言ってじじぃを脅している。
そして本当に通報することもあって
そんなことはいままでに二度ほどあったようだ。
すると「お義母さん」がすっとんできてじじぃをやり込める。
やり込められているじじぃを見ると、おかあさんはすっきりするそうだ。
だから常に「通報する」機会をうかがっているということだ。

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この夏、ぼくは3歳になった。
ぼくたちは人間よりも早く成長するので、、、
(・・・といえば聞こえはいいが寿命が短いというのがほんとのところだろう。)
とにかく、3歳といえども人間のような不束者ではない。
生きていくための大抵のことは勉強済みだ。

じじぃの換算によるとぼくは少年から青年になりかわるあたりらしい。
しかしおかあさんはあいかわらずぼくのことを「黒あかちゃん」と呼んでいる。
おかあさんのためにぼくはもう少しの間、赤ちゃんでいてあげようと思った。

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