February 02, 2007

ほたる館物語〈1〉 あさのあつこ4

ほたる館物語〈1〉

なんとあさのあつこ初読み。そういえば「バッテリー」は収集中でまだ読んでなかった。
これってあさのあつこ氏のデビュー作らしいですね。
「温泉町にある老舗旅館「ほたる館」の孫娘・一子は、
物怖じしないはっきりとした性格。
昔ながらの旅館に集う個性豊かな人々や親友の雪美ちゃんに囲まれ、
一子は、さまざまな経験を重ね少しずつ成長していく。
家族や友達を思いやり、ときには反発しながらも、
まっすぐに向き合っていく少女たちの純粋さが眩しい物語を2編収録」
といったストーリーですが、とてもデビュー作とは思えない練れた巧さのある作品でした。
主人公一子はまだ小5なのですが、旅館の手伝いをし、旅館の大人たちもなかなか大人な会話を交わしたり、と大変大人なのに驚きます。
大規模ホテルの影響で昔からの小さな旅館が不況に喘いだり、元芸者である母を持つ雪美が学校で辛い目にあったりと、なかなか深刻な事情もしっかりと描かれ、読み応え十分。芸者の粋、芸事の奥深さが描かれた2編目は特に印象的でした。
ぜひ続編も読んでみたいです。

amaukihune at 00:15|PermalinkComments(2)TrackBack(0)clip!作家(あ) 

February 01, 2007

穴 ルイス・ハッカー5

穴 HOLES


四季っちに教えていただいたこの「穴」。タイトルからは想像もつかない面白さでした!
「無実の罪で少年たちの矯正キャンプに放りこまれたスタンリー。
かちんこちんの焼ける大地に一日一つ、でっかい穴を掘らされる。
人格形成のためとはいうが、本当はそうではないらしい。
ある日とうとう決死の脱出。
友情とプライドをかけ、どことも知れない「約束の地」をめざして、穴の向こうへ踏み出した。 」

というお話ですが、伏線がいっぱい張られていて、ラストに向けてたたみかけるようにばったばったと伏線が回収されていく、その醍醐味がたまりません。
ジュニア向けにも関わらず、写実的なキツイ表現や容赦のない描写もあるあたりがさすが翻訳物です。友情や冒険、スリル、ミステリーとファンタジー、あらゆる要素を含んだちょっぴり毒のある少年活劇調は、ハリー・ポッターシリーズにも通じるものがあるかもしれません。
大人でもなるほどーと唸ってしまう完成度の高いストーリー。爽快感たっぷりの読後感でした。
映画にもなってるんですね。
穴 / HOLES


今度探して見てみたいです。

January 27, 2007

コンビニたそがれ堂―街かどの魔法の時間 村山早紀5

コンビニたそがれ堂―街かどの魔法の時間


素敵なお話でした。
風早の街を舞台とした連作短編。
風早の駅前にあるというコンビニたそがれ堂。
行こうと思っても行けるとは限らない、不思議な魔法のコンビニ。
私もいつかぜひ必要な時が来たら行ってみたいです。
ほっこり優しい気持ちになりつつ泣けてしまう、そんな暖かくて不思議なストーリーでした。
「手をつないで」は読んでて辛かったな・・。でもいいお話でした。

レジのお兄さんはなんだかハウルみたいだなーとちょっと思ってみたり。

コンビニたそがれ堂//手をつないで//桜の声//あんず//あるテレビの物語//エンディング〜たそがれ堂

amaukihune at 23:56|PermalinkComments(4)TrackBack(0)clip!作家(ま) 

December 02, 2005

クライマーズ・ハイ 横山秀夫5

クライマーズ・ハイ


男には、乗り越えねばならない山がある。〜帯より〜

凄い作品を読んでしまった!という興奮状態です。没頭しすぎて、今も頭が痛い。
横山作品は「半落ち」しか読んでなかったものの、もうすぐドラマ放送されるということだし、山小説は大好きだし、と気軽に読み始めてみた訳ですが・・・いやはや、ハンパな小説ではありませんでした。

上毛新聞社にて12年間記者生活をされてきたという筆者。ということは、日航機墜落事故当時にはまさしく記者の目であの事故を体験したということか。だからなのか、その事故直後のパニック状態の新聞社編集局の描写が半端じゃなくリアル。その臨場感と緊迫感は相当なものでした。事故直後の編集局の一週間を、その17年後のクライミングシーンと並行しながら、濃密に描いた熱い熱いストーリーです。

興奮状態が極限になで達し、恐怖感がマヒしてしまう状態のことを「クライマーズ・ハイ」というのだそうだ。いや、まさに自分がこの本を読んでる最中ずっとそんな状態でした。もうわき目も振らずに読み明かしてしまいました。
そしてある日突然、世界最大の事故が地元に降ってきた、地元新聞社の面々もその「クライマーズ・ハイ」に支配されていたのでしょうか。

NHKの「クライマーズ・ハイ」ドラマ詳細
こちらに載っている製作者の方々の言葉が全てを物語っています。NHKとしても渾身の覚悟で制作して下さった様子。そして、主人公の悠木和雅を演じるのが佐藤浩市!イメージどんぴしゃりだ!凄く楽しみだ。

前編 2005年12月10日(土) 午後7時30分〜8時45分
後編 2005年12月17日(土) 午後7時30分〜8時45分
※東北ブロックのみ、前編は17日午後3時5分から、後編は同日午後7時30分からとなります。

amaukihune at 16:45|PermalinkComments(3)TrackBack(0)clip!作家(や〜) 

みんな一緒にバギーに乗って 川端裕人5

みんな一緒にバギーに乗って

これも面白かったですよー!
新米男性保育士小説といいましょうか、「ふにゅう」を読んだ時の衝撃を思い出します。新人保育士の田村竜太を中心に、他の新人保育士やベテランの保育士などの視点から語られる連作短編形式。
保育士さんたちの個性の書き分けが上手くて、それぞれしっかり感情移入出来ちゃうところが凄い。
特に主人公(?)の田村がとても魅力的です。マッチョ体型なのに、実は体育会系ではなく針仕事が得意だったりするし、ぼーっとしたフェミニンな印象って!(笑)

ここに登場する保育士達が、本当に子供が好きでたまらない感が良く出ているのも気持ちが良いです。小さな子供の日常の中の、特別可愛らしい一瞬に引き込まれる描写が度々登場するのですが、その描写がとても上手くて、こっちまで一緒になって子供の魅力に酔いしれてしまいます。特に1,2歳児の笑顔や瑞々しい肌の感触、独特の甘酸っぱい匂いは格別ですものね。

保育士の仕事ってこんなに大変なものなのね、というのも初めて知った気がします。保育士としての悩み、苦労、喜びが生き生きと描かれていて、読んでてとても昂揚しました。

ただ、王子様キャラの秋月保育士など魅力的な人物も良かったけれど、なんといってもフェミニン田村の個性が面白いだけに、田村の成長物語に絞って読みたかった気はしますね。ってか、田村のその後が知りたい。ぜひこれは続きを出して欲しいな。

本当に何度でも読み返したくなる魅力を持つ作品。なのでやっぱり5つ☆なのです。

amaukihune at 00:58|PermalinkComments(1)TrackBack(0)clip!作家(か) 

November 28, 2005

今ここにいるぼくらは 川端裕人5

今ここにいるぼくらは

いやぁ〜良かった!この手の川端氏の少年小説にはハズレがないですね。
「川の名前」で提示した、川を拠点に人間は暮らし、発展し、生きている、というテーマはそのままに、そこに「せちやん」風味を練りこんだという感じ。私の中では川端作品の最高峰は「せちやん」なので、あの雰囲気を少しでもまた味わえたのは嬉しいです。

人間は、太古から川と共存して生きてきたんだなという思いを再認識させられます。子供の頃、川とは本当に身近であり、そして時には恐ろしくもありました。そんなノスタルジックな気分にひたりつつ読みました。川端氏の「川」に対する愛情は本当に素敵。でも「川の名前」でも感じたのですが、もっと川について突っ込んでくれても良かった気がします。今回は「川」はモチーフとして使われており、川にからめて「自分の居場所探しの旅」、そしてやっぱり「ぼくは今ここにいる」という、感覚なのかな。

この作品は、少年小説としても秀逸。小学生の甘酸っぱいときめきや、思春期の体を持て余す少年の描写がリアルで愛しいです。川端氏の書く理系少年はほんとに魅力的。
これからもこういう作品をどんどん書いて欲しいな。夫婦ですっかり氏のファンです。

今はまた、同氏の新刊「みんな一緒にバギーに乗って」読書中。
いやーこれも面白いわ。「ふにゅう」分野ですね!

amaukihune at 22:04|PermalinkComments(1)TrackBack(0)clip!作家(か)